12月7日 去る10/16に富山銀行と富山県南砺市は「地方創生に向けたSDGsの推進に関する包括提携協定」を締結した。協定内にある「地域における産業の振興並びに雇用の維持及び拡大に関する事項」に基づいて、この度新たな商流の創出による地域活性化の取り組みとして、金沢市と南砺市を結ぶ、無料巡回バス「ラン♪Run♪Bus」(定員28名/1日3往復)の運行が開始された。南砺市と富山銀行の取引先となる株式会社アペックスグループのコーディネートを同行が請け負った。この開催セレモニーが11/13に南砺市にあるJR城端駅で行われた。セレモニーに出席したのは、南砺市の田中市長、富山銀行の中沖頭取、株式会社アペックスグループの沖野社長だ。アペックスは低温配送センターや長距離幹線車両、地域配送車両といった低温配送機能に強みを持ち、金沢市に本社のある物流会社だが、事業の裾野は広く、自動車修理・整備、不動産賃貸、生ごみ処理機の販売、特殊肥料生産及び販売、太陽光発電、損保保険代理店などの物流、環境分野の事業も運営している。同社は今回無料巡回バスの運行実施にあたって、ルート付近の施設などから協賛金を募った。同バスの運行はアペックスの子会社となり、タクシー、介護タクシーサービスや貸切バスを運行する「なるわ交通」が請負う。この無料巡回バスは南砺市から、金沢市および近隣で県境を跨ぐ、石川県河北郡津幡町にも足を延ばす全国初の画期的な事例だ。広域での無料バスの運行に、地域の小売業や観光事業者は期待を寄せる。ちなみに南砺市福光駅から金沢駅までJRを利用して移動する場合、福光駅から一旦新高岡駅まで出て、折り返し北陸新幹線で、金沢駅に向かうと所要時間はおよそ1.5時間で、片道3,370円となる。高岡駅であいの風とやま鉄道に乗り換える場合は、所要時間が1時間48分かかり、片道は1,350円となる。南砺市から車で移動する場合は、県道27号経由、国道304号経由、北陸自動車道経由などで移動する。加越能バスの路線バス(1日6往復)を利用する場合は、55分程度の所要時間で、片道870円となる。JRや加越能バスとのバランスもあり、ルートや便は限定されるものの、長年金沢市への移動に時間と移動コストを費やしてきた南砺市、津幡町の住民にとっては朗報となるだろう。バスルートの石川県河北郡津幡町側には、アル・プラザ津幡やイオン金沢店などがある。また南砺市側では、道の駅福光やJR福光駅、城端駅等に停車する。国内に目を向けると「県境を跨ぐことのできる利便性」が必要なケースはたくさんある。一例だが、自動運転バスの町内運行で、全国的に有名になった茨城県猿島郡境町なども、町内にバスターミナルを新設し、自動運転バス(無料)と高速バス(有料)を接続、東京駅や王子駅との接続を実現させている。経済効果という意味では、都心側で消費される可能性が高いが、自動運転バス利用のモチベーションを上げ、復路においては地元消費活動も期待できる。今後、地方創生・交通網再整備の場において、地銀の存在が再び脚光を浴びることになるのかも知れない。
ギックスの個客選択型スタンプラリー「マイグル」とJR西日本提供アプリ「WESTER」を活用し、太秦エリアの公共交通利用による観光需要拡大を目的に実証実験を実施 他
12月6日 株式会社ギックスと西日本旅客鉄道(JR西日本)が協業し、JR西日本のMaaSアプリ「WESTER」とギックスの顧客選択型スタンプラリー「マイグル」を活用し、エリア観光活性化を目的とした実証実験が行われる。コロナ第5波と第6波の端境期「コロナ・オフ」である今、前回のパンデミックにより経済に大きな打撃を受けた公共交通者および観光・宿泊業者。喉から手が出るほど観光客が欲しい状況の中、京都の映画のまち太秦(うずまさ)で行われる実証実験の目的を拝見すると、その中身は一風変わったものだ。国際観光都市「京都」では何が起こっているのか?日本だけではなく、世界各地の観光地では「オーバーツーリズム」と呼ばれる現象が起こっている。JTB総合研究所の観光用語集によれば、「特定の観光地において、訪問客の著しい増加等が、地域住民の生活や自然環境、景観等に対して受忍限度を超える負の影響をもたらしたり、観光客の満足度を著しく低下させるような状況」のことだ。観光地で観光客増加による交通機関の混雑や、交通渋滞、ごみ処理や騒音、場所によっては、自然環境や治安の悪化等が地元住民の反発を招いたり、生活に影響を及ぼすケースだ。京都でも、観光シーズンになると街中は人で溢れ、ごみのポイ捨てやトイレの不足、生活路線バスの混雑、レジャー施設や宿泊施設、飲食店等では、繁忙期に雇用が一極集中し、閑散期には雇用側での調整が入るため、雇用が不安定になるといった現象も起きています。また雇用される側にとっても繁忙期の観光客の接客などで忙しさが続くため、従業員が定着しにくい等の状況も起こっている。観光客側でも、混雑により本来の京都の良さを味わうことが出来ないなど、地元の受入限度を超えるツーリズムにより各所で不都合が起こっている。今回の「映画と暮らすまち、太秦イベント」では、これらの課題に対して、個人に合わせた旅の提供ニーズの高まり、非対面・非接触による安全・安心な旅の提供、オーバーツーリズムへの配慮を目的に置く。「WESTER」を通じて、AIが「個」に合わせた観光・グルメ・ショッピングスポット(東映太秦映画村、大映通り商店街エリア、JR太秦駅、嵐電嵐山駅、京都エリアのグルメ・商業施設の5ヶ所)を含む旅の提案を行い、「マイグル」のスタンプラリーで3つ以上のスタンプを集めると、商品抽選に参加できる。「マイグル」は利用者「おひとりさま」毎に最適なスタンプラリーを提供するスマホ向けWebアプリで、AIにより一人一人のユーザーにあわせ、最適なお店の候補をおススメし、ユーザーは自分が行きたい店を選択、スタンプラリーを作成でき、選択した店舗で買い物をするとポイントが付与される仕組みだ。またスタンプラリーの参加状況やスタンプの押印状況は運営者がリアルタイムに確認することも出来る。運営側にとっても、市中の状況に見合った提案がしやすくなる。京都の観光協会は多言語でのマナー啓発やAIを活用し曜日や天候などから混雑度を予測し「観光快適度の見える化」にも取り組む。オーバーツーリズム解消の鍵は「分散化」だと言われる。京都市観光協会データ月報(2021年10月)を拝見すると、緊急事態宣言が明けた10月の客室稼働率は39.1%(前月比で上昇、前年同月比は同水準)、日本人延べ宿泊数は60.2%(前月比の6割増し、前年同月比は同水準)、修学旅行再開により市内主要旅館の客室稼働率は45.1%(前月比から大幅に上昇)、客室稼働率の予測値11月は65.5%、12月と来年1月も前年同月比を超える稼働率となる見込みだ。スマホの位置情報をもとに集計した市内主要地点39箇所の来街者数は、昨年の73.7%(前月比55.8%から大幅に上昇)だ。株式会社ギックスと西日本旅客鉄道(JR西日本)は、今回の実証実験により、公共交通機関の利用や回遊性の向上、観光消費の増加に向けた「行動変容」が図れるかを検証することを目的に置いている。実験は12/11(土)~2/13(日)のおよそ2ヶ月に亘って行われる予定だ。第6波の影響を極小化し、京都市民の日常に配慮しつつ、京都経済も活かさねばならない。AIを駆使したMaaSにより企業・地域・グローバルを調和させる力が試される。
東京都、自動運転社会へ都市づくり案 都民の意見募集 他
12月3日 東京都が今年の11月にまとめた「自動運転社会」を見据えた都市づくりの在り方(案)に違和感がある。東京都が作成した資料の中で、第1章、2章、3章は、今の東京都の交通状況を丹念に調査し、東京都下の対象区域を4つに分類し、それぞれの地域の特性を洗出し、今後必要とされる自動運転社会の方向性を導き出していく((3)各地域区分の交通課題 表2-3 各地域区分の交通課題)などの内容は秀逸だ。また第三章に記されている自動運転技術の開発状況や、普及予測なども現状を良く俯瞰していると感じる。資料を拝見し「第4章 都市づくりへの展開に向けた基本的な考え方」の中に違和感を覚えるところがある。交通施設として道路空間、駅前空間、駐車場が、交通サービスとして自動運転車の活用が論じられている。作成者は(3)基本的な考え方として、歩車分離を説明、路車間通信、車車間通信を上げ、安全なすれ違いを謳った後、特定車両の進入許可を提示し、ライジングボラード(路上に設置する杭、進入抑止時には杭を路上に上昇させ、車両進入時にはこれを下降させる構造物)の必要性と、カーブサイドと呼ばれる路肩側空間の(荷捌き車両の停止や駐停車、公共交通の乗降場所、自家用車における駐停車などに使われる)有効活用として、これらの利用を「マネジメント」すると説明している。提示されている「配分」が可能と思われる場所は、第1章で分析された東京都全域を考えれば限定的と言え、駅付近の商業圏か車線数が2車線以上確保出来る場所だ。例えば、私鉄沿線(小田急線沿いの下北沢~成城学園前あたりをイメージした見て欲しい)の都心側でこのような施策を行おうとするなら、沿道の建物の移動から計画しなければならない。既存の狭小な駅前商店街の道路空間を、無理に再分配すれば、歩車接触の危険を助長しかねない。諸外国において、歩車分離が社会的に受け入れられ定着しているのは、そもそも都市計画の段階から、歩車を分けることが出来る空間を確保してあり、生活のリズムや文化に合った道の使い方をして来たからだ。道路空間を杭で仕切り、仮設店舗を設置し、荷捌きの車を止め、ある単位でこれらを入れ替える場合、別な不便が生まれる。そこには、日常決まった場所で荷捌きなどを行う、駐車スペースのユーザー側の「都合」や「使い勝手」が存在するからだ。例えば先週は車を止められたのに、今週は店が出ており止められないとしたら、通院などのため車を路肩に駐車したい利用者はどうなるのか?時間単位で配送をしなければならない、物流ドライバーにとって決まった場所にトラックを停車させ、納入店舗に運び入れる時間が計算しづらくなる。オープンカフェの直ぐ脇を通る車両が電気自動車に入れ替わるにはまだ時間もかかる。*ご参考:南海なんば駅前の歩行者天国の社会実験を取り上げたMBSニュースの動画がある(https://www.youtube.com/watch?v=oK0AdCG5-KM)。シチュエーションは異なるが「使う側」の声が取材されている。本案が採用となれば、いずれかの段階で実証実験を経て「都民の声」が案の良し悪しを決めることになると思う。東京都の「案」であるなら、都市づくりにおける「様々な立場のバランス」が重んじられるべきだと思う。課題解決出来るシーンが限られてしまい、使い勝手に難のある歩車分離に投資するなら、V2Nへの投資を充実させ、路肩のカメラやセンサーから車両に情報を送ることで死角を減らし、歩道を走行するビークル等にヒトやモノを感知し、減速・回避可能な装置を取り付けたり、駅前商店街前の駐車場にトラックを駐車し、配送ロボットによる店舗配送を進める、或いは歩道を通行する配送ロボット数のコントロールを行うなどを検討する方が、都下のより多くの地域のニーズに適用出来る「自動運転社会」を見据えた都市づくりになるのではないだろうか。
ヨーロッパ初「レベル4」の完全自動運転車が公道での走行を許可される 他
12月2日 ひたちBRTが実証実験中に大甕駅付近でガードレールに接触したのは、昨年の年の暮れ、12/14(月)だった。駅付近にて自動運転バス運行中にハンドルが急旋回、ドライバーが速やかに対応したもののバスの右前方部分がガードレールに接触した。幸いにも一般乗客は乗車しておらず、けが人も出なかった。茨城県は12/15に「12月14日発生のひたちBRT自動運転車両接触事案の原因調査結果と対策について」を発表、続けて1/20に「ひたちBRT自動運転 安全確認のお知らせ」を発表、茨城交通のWebページに「ひたちBRT自動運転 安全確認のお知らせ」を掲出し、1.発生事案と状況、2.要因分析(産総研ホームページ)、3.原因究明と安全確認の経緯を公開している。産総研は本件について、事案発生から10日後の12/25に「中型自動運転バスによる実証実験(日立市)におけるガードレールとの接触事案の原因調査結果と対策について」を産総研のWebページで、その概要、発生事案と状況、要因分析、対策までを公開している。迅速で好感の持てる事後対応だ。実験の実施組織・研究者・受託者としての責任感が感じられる。今年の11/15(月)に「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」において、静岡県の伊東市内で発生した歩行者との接触事案について、静岡県は11/19に、県のWebページにおいて「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト実証実験の見合わせについて」を発表している。現在、12月に沼津市と掛川市で予定していた実証実験については見合わせとなり、原因究明と安全対策の検討をしている。一方、静岡県の「静岡交通ニュース」(https://www.pref.shizuoka.jp/kensetsu/ke-570/sub8.html)によると、令和3年度前期の乗合バスの退出意向の申出(4/14)は、2市町及びバス事業者4社(46系統)から、同じく令和3年度後期(10/14)は、6市町3事業者(38系統)から申出が出ており、地域公共交通会議等で退出、再編などの検討が進められている。その中には「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」に参加する沼津市や松崎町、掛川市などの系統も含まれている。令和3年度前期の乗合バスの退出意向の申出(4/14)の場合、前述の退出意向申出から最終的な退出、再編の決定までの事務的な手続きの流れを見ると、最終的に県協議会幹事会が退出、再編を決定するのは8/25となっているので、申出から決定までは、およそ4.5カ月ほどの時間的な猶予があることが分かる。しかしながら、その先に地元のバス路線がなくなる住民にとっては早期にの不便・不安の解消が求められよう。同様に考えると、令和3年度後期(10/14)分の申出の決定が下るのは、4.5ヵ月後となる2月末か3月初旬程だろうか?自宅や通勤・通学先まで「市民の移動」を担ってきた路線バスの代替機能を持つようになるであろう「自動運転バス」。自動運転の技術は、複雑多岐に渡る。市民生活の足を確保するため、利用者の安全と安心のため、自動運転の実証実験中から社会実装後も、サービス運営者を確実にサポート出来る(従来の事故調査委員会に自動運転専門の部門が設置されるなどでも良いが)専門的な支援体制の確立が必要な段階ではないだろうか。
弁護士法人ALG & Associates埼玉法律事務所 橋本雅之弁護士を講師に迎えたYouTubeセミナー動画《相続が「争族」にならないため今できること~遺言書の必要性~》を配信
2021年12月2日AOSデータ株式会社 弁護士法人ALG & Associates埼玉法律事務所 橋本雅之弁護士を講師に迎えたYouTubeセミナー動画《相続が「争族」にならないため今できること~遺言書の必要・・・
上小阿仁村 自動運転サービス開始2年も利用者数は低迷続 他
12月1日 気になるニュースがある。サービス開始以来、2021年度末で2年となる秋田県上小阿仁村で始まった自動運転サービスである。グリーンスローモビリティを用いた自動運転が村内の集落と役場、診療所などを結び、村民の移動を補助していたが、このところ振るわない。NHKのNEWS WEBによれば、サービスの利用者数を月別に集計したところ、一日平均15人を超えたのは、2019年11月のサービス開始以来2020年の3月だけで、今年に入ってからは一日平均8人を下回る。利用者が振るわない遠因として、国交省東北地方整備局には、コロナ禍の影響や運転手のいない自動運転車両が敬遠されていないのではないかとの考えがあり、サービス運営者となるNPO法人上小阿仁村移送サービス協会は「自動運転車を日常的に利用するユーザーと利用しないユーザーがおり、利用頻度に大きな差が生まれている現状を指摘、今後は日常的に利用のないユーザーにも利用してもらえるようにしたい」と述べている。上小阿仁村は、北秋田市、能代市、三種町(みたねちょう)、五城目町(ごじょうめまち)、秋田市と境界を接しており、北秋田市とは秋北バスの路線バスで繋がり、鉄道は秋田内陸縦貫鉄道の米内沢駅か阿仁前田駅が最寄り駅となり、高速道路は秋田自動車道の五城目I.Cが最寄りとなる。村と大館能代空港間、村と阿仁前田駅間には、デマンド型乗合タクシーが設定され、空港との連絡には地元などのタクシー会社が月替わりで上下合わせて4便/日、阿仁前田駅間との連絡には日に6便があり、住民の移動を支える。また、同村の社会福祉協議会は、電話予約により上小阿仁村有償運送(交通空白)こあに号を、上小阿仁~八郎潟駅間に運行している。MaaSは、地域で利用可能なすべての交通手段を網羅し、その情報を利用者に分かりやすく伝えるものだ。周辺地域との接続が、高齢者化率も高く、冬季には雪などの外乱要因の多いであろう同地で、同自治体内の結節点や高齢者の自宅内での閲覧も想定し、利用者が把握しやすい「情報表示」の仕組みが出来ているか気になる。また、高齢者化率の高さは健康上の理由などとあわせ、移動総数と直結する。ユニバーサルな移動環境が作られているかも、モビリティも含めた待合施設などのスロープや手すり、体調が悪くなった際の緊急連絡設備、食事や飲料の自動販売機、手洗、空調やベンチなど休息に必要な設備などを含めた使い勝手にも、再度目を配っていただきたい段階だ。上小阿仁村の昨今のニュースを見ていて、もう一点気になるのは、村が運営する移動販売車「こあにカー」の存在だ。同車両は高齢者化率の高い村内の20集落に向け、週1回(平日のみ)食料や日用雑貨などの移動販売、高齢者の見守り活動を行っている。村内において、食料品や日用品を扱う実店舗はコンビニを含め7軒あるが、それらを利用しづらい集落や移動弱者の買い物を支援している。「こあにカー」以外にも民間の移動販売車の存在がある。同時に「買い物」は、すべての交通利用者に共通する移動理由でもある。先ほど「こあにカー」は、村が運営すると書いたが、実際は道の駅「かみこあに」を運営するかみこあに観光物産に事業が委託されている。あくまで一案だが、移動と日常的な消費活動、どちらも両立するには、自動運転サービス運営者と観光物産を一つの台所にまとめたり、7軒の店舗への物流ルートを貨客混載方式にシフトしてもらう代わりに、自治体が近隣の市町も含めた施設・店舗利用のためのプレミアム付きの地域商品券などを発行する等の仕掛けをしてもよいのではないか。話は変わるが、林野庁(林政部木材利用課 https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/biomass/con_2.html)は、地球温暖化の問題や廃棄物問題への対応の一環として「木質バイオマス」の利用推進に注目し、これを推進している。「木質バイオマス」の利用メリットは「二酸化炭素の排出抑制」と「地球温暖化防止」の2点だと謳う。森林を構成する樹木等は、光合成により大気中の二酸化炭素の吸収と固着を行う。その根拠は、木材をエネルギーとして燃焼させる場合はCO2を排出するが、排出されるCO2は樹木の伐採後に森林が再生された場合、その成長過程で再び樹木に吸収されるとの計算にある。化石燃料の代替燃料として、前述の2つのメリットを生み出すという。同庁はこの「木質バイオマス」のライフサイクルを通じ山村地域の活性化も図る。資源の収集や運搬、バイオマスエネルギー供給施設や利用施設の管理・運営など新産業は雇用も創出し、地域経済を活性化させる可能性を持つ。上小阿仁村にこれらの施設を誘致する、との選択肢も有効だと思う。これらは、農林水産省出身である小林悦次(こばやし えつじ)町長を始めとする同町の第2期上小阿仁村まち・ひと・しごと創生総合戦略にも「本村は、森林面積が92.8%を占めるため、木質バイオマス等の再生可能エネルギーの有効活用や産業振興を図り、カーボンオフセットやグリーン購入等を推進します」といった言葉で表現されているように思う。
立って乗れる車椅子 筑波大発新興のQoloが開発 他
11月30日 筑波大学発のベンチャーQolo株式会社。代表取締役:江口洋丞(えぐち ようすけ)氏が率いる。事業内容は福祉、医療、介護支援、エンターテインメントに関わる機器やサービスの研究開発、製造およびリース、レンタル、販売及び保守、コンピュータおよび通信ネットワークを利用した情報の収集、分析、管理及び情報処理サービス、情報提供サービスならびに情報処理に関する研究開発業務。江口氏は学部時代にQoloの中核技術の研究を始め、起立姿勢で移動できるモビリティ4台の試作と実環境での検証、JIS準拠試験評価を経験。自動車メーカーでの制御系開発の担当者、筑波大学研究員を経て現職に就任。立ち上がる「能力回復の支援」と立ち上がる「機能」の支援、2つのアプローチを通して、誰もが社会の一員として働き、健康寿命が延びる世界の実現を目指している。今年7月30日にZoomで開催された文部科学省所轄のユニバーサル未来社会推進協議会が主催するロボットショーケースに筑波大学とともに出展、立ち上がりのサポート及び立ち上がっての移動を可能とするパーソナルモビリティ「Qolo」を出展、8月24日にはDEFTA Partnersと更なる技術開発・事業展開に向け提携を果たしたことにより、DEFTAを引受先とした第三者割当増資による総額6,000万円の資金調達をした。その後も9月23日に公益財団法人三菱UFJ技術育成財団が、技術志向型の中小企業の新技術、新製品等の研究開発を支援する事業「2021年度第1回研究開発助成金事業」において採択されている。また「茨城テックプランター2021」の最終選考会においては、ファイナリストに選出され、11月6日に開催された「茨城テックプラン グランプリ」において日立製作所賞を受賞している。チーム名でもある「Qolo」は「Quolity of Life Locomotion」からとった。立って乗ることが出来るモビリティー機器「Qolo」。Qoloは、ユーザーの体を足の下、膝まわり、腰まわりを支え、同時にユーザーと一体化する。立ち上がるときや座るときに、Qoloが膝関節の動きを助ける。ユーザーはこの3点でQoloに体を預ける。「チーム」におけるアドバイザーである、筑波大学医学医療系リハビリテーション医学準教授/筑波大学附属病院リハビリテーション部医師でもある清水 如代氏は「立ち上がり運動はとても良いリハビリになる」という。同チームの同じくアドバイザーである木戸俊介氏(NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクト代表)は約5年前に交通事故で車いすユーザーとなった。氏は「ユーザー視点でQoloの開発にアドバイスしている」といい、「車いすの生活もめちゃめちゃ幸せで最高、立つことが出来ないから幸せになれないとはまったく思わない、たてるかもしれないという選択肢があるだけで、気持ちがすごく前向きになるという経験を日々している」という。Toyota Mobility FoundationがYouTubeにアップした動画「The Qolo by Team Qolo of the University of Tsukuba」*のナレーションは語り掛ける。「人々がお互いの顔を見ながらコミュニケーション出来ることは、かけがえのないほど大切なもの。私たちが作るシステムは、人に寄り添って、人と会い、会話をして、同じ目線でのコミュニケーションを支えます、それはリハビリテーションにもつながるのです」。そしてナレーションは続く「Qoloはユーザーだけでなく、すべての人たちに必要だという。人々は、心の中では、みんなと同じように行動したいと願うのではないでしょうか。立ち上がることは、欠かすことができないもの、立ち上がることは生活の一部です」。社会一般の目に彼らは、開発者と医者と患者なのかも知れないが、Qoloの開発はチーム全員が同等であり、世にこれを送り出そうとする願いにおいて一つに繋がっているように見える。様々な受賞や評価は、その技術の将来性や優秀さもさることながら、ユニバーサル(普遍的、万人に共通)という開発チームの精神に敬意を表し贈られたものだと思う。*https://www.youtube.com/watch?v=yxKV41hNMKE
MaaS発展はオンデマンド交通の理解にあり!概要から事業開発まで一気に解説 他
11月29日 自宅の給湯管からお湯が漏れ、階下に。建物の管理会社経由、工事屋さんによる施工まで一週間を要した。朝晩の気温が10度を切ろうかという今日この頃、蛇口をひねるとほとばしる水の冷たさは身に染みた。身の上を相談したところ、親切にも賃貸会社のサポート窓口は「お風呂代は持ちますので」と言ってくれた。そそくさとGoogleマップで近所の銭湯を検索し、数年ぶりの銭湯へ。その日から一週間のご近所銭湯巡りで(それぞれの休業日もあり、3軒回った)得た感想は「銭湯は、地域の宝」である。同じような銭湯への「愛」を抱く御仁がいる。東京都の銭湯浴場組合の銭湯大使として、メディア上でも活躍するステファニー・コロイン氏だ。氏は南フランスのプロバンス地方の出身で、2008年に交換留学で来日し、立教大学にて日本文学を学んだ。2012年に再度来日し、日本の銭湯文化や、後継者不足に悩む銭湯業界の抱える課題を知り、多くの人に銭湯文化を伝播したいという想いから、日本国内で約2600軒ある銭湯のうち、800軒以上の銭湯を巡り、その魅力をWebサイト(https://dokodemosento.com/ja/)やSNSで発信し、テレビやラジオにも出演、書籍なども執筆している。巷のニュースを見ていると、以前にも当欄で言及したMaaS事業「事業の持続性」が、いよいよ現実のものとして問われてきた感がある。最近では、交通系のICカードと地域通貨を結び、地域商店街などの活性化を図ったり、オンデマンド交通などを走らせる場合、企業の協賛を得たり、医療など生活サービスや貨客混載(利用者の少ない場合、荷物の配送便として利用)などで収益を得る方法など様々な仕組みが提案されて来ており、持続化のためのアイデアも出揃ってきたのではないかと思う。地域交通を走らせるための収入源の一つとして「銭湯」もいい(「マンションには、お風呂があるから」という台詞は、実はいまや死語だ)。地域の銭湯の客筋をよく見てみると、近隣の住人でいっぱいだ。ちなみに「東京都内の公衆浴場利用者数の推移」を拝見すると、平成20年における延利用者都総数(単位:千人)は33,815、一浴場一日当たりの平均入浴人員(単位:人)は124であり、自家風呂保有率(%)は97.6%である。皆、たまには広い浴槽でのびのび湯に浸かりたいのだ。もし、小職が自治体の交通課にいたら、迷わずMaaSアプリに銭湯のデジタルチケットを仕込み、銭湯前にバス停を置きたいところだ。収益アイデアに話は戻るが、もうひと捻りするならば、地域の中で永続的に人流を生み出す可能性(食であれ、モノであれ、コトであれ)を、掘り出したり創出したりできる感性を持つ人材(ヒト)を、MaaS導入チームに招き入れたい。皆様がお住いの地域にも銭湯ばかりでなく、中高年やシニア世代にとって新鮮さは失われているとしても、若い感性や海外旅行者には「いいね」と映る、彼らにとって新鮮な地域の宝が、眠っている筈だ。地域交通の維持は、都市鉱脈から再利用可能な「宝」を掘り出す総力戦でもある。
レベル3の自動運転を可能にする第3世代LiDAR発表、2024年車載化へ…ヴァレオ 他
11月26日 Valeo(ヴァレオ)が11/23に第3世代の「スキャンニングLiDAR」を発表した。手許に経済産業省の「平成30年度高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業(CASE時代における次世代技術動向調査)」(平成31年3月29日)*がある。自動車新時代戦略会議中間整理で示したゴールを目指すにあたって、CASEに関わる現在及び次世代の世界の技術開発動向・関連企業動向についての情報収集・分析・評価を調査内容とした資料だ。対象となる技術領域にLiDARも含まれる。参考まで、自動走行システムにおける技術領域には、大きく①センサ②自動運転用地図③AI(機械学習~行動計画までを一つの項目として扱う)④パワートレイン⑤エネマネ⑥軽量化⑦デジタルエンジニアリングなどが挙がる。①を細分化すると、LiDAR、カメラ、超音波センサ、ミリ波レーダ、GNSS(GPS等)となる。自動運転システムにおいて、知覚を構成するセンサ類、地図情報、それらを認識・判断するAIは、重要な構成要素と言われる。センサ類は自動運転システムにおいて周辺環境認識のために使われる。知覚となるセンサ類から収集された情報は、センサーフュージョン(情報の統合)を経て、SLAM(自己位置推定と環境地図作成の同時実行)やリスク予測、経路走行計画として、AI半導体とAIアルゴリズムにより、認識・判断され、最終的な車両の行動段階(運動制御=ステアリング・アクセル・ブレーキなど)へと引き継がれる。システムを構成するセンサにはそれぞれ優劣があるため、個々の特性を踏まえ、冗長性を担保した組合せ設計が肝要とされている(要は一長一短)。同資料は、LiDAR及びカメラ、超音波センサ、ミリ波レーダの長所短所を◎、○、△、×で4段階評価している。LiDARの基本性能となる、物体認識性能は○、測距性能は◎、検知距離は○、視野角は◎、ロバスト性*2は×(自然光の影響を受ける)、量産性のサイズは×(当時は大型と評価された)、コストも×であった。当時から見た今後の競争ポイントは、量産化に向けたサイズおよびコストダウンだ。LiDARの当時の技術・状況は、モーターで本体を回転させる方式と、モータ駆動ミラーにより光を走査する方式の2種類のメカ方式が主流で、非常に高価であり、メカ式での豊富な実績を誇るVelodyne製で、単価は4,000ドル(およそ48万)~。技術進化のトレンドは小型・低価格化に向けメカレス方式が進展する見通しだが、これが主流を占めるとは言い切れない状況だった。MEMS方式、受光素子分割方式、光フェーズドアレイ方式などのメカレス方式による小型化・低価格化が進展していた。日本及び海外のプレイヤー動向としては、メカ式ではVelodyne(Waymo等が採用)が独占的であったが、Continentalや「Valeo」などの欧米系メガサプライヤがメカレス方式で参入中とある。また、米国系中心にベンチャーの参入が進んでいた。国内においてはパイオニアが参入していたが、OEMによる採用計画は限定的と記されている。今日、世界中のLiDARスキャナ搭載車の99%はValeo製と言われる。同社の第3世代「スキャンニングLiDAR」は、検知範囲、解像度、フレームレートの点で比類のない性能を備えていると同社は発表しており、具体的には、車両周囲の3Dリアルタイム画像を450万ピクセルと、25フレーム/秒の速度で生成するという。前世代と比較して、解像度が12倍、検知範囲が3倍、視野角は2.5倍になり、最大時速130kmの速度での高速道路においても、緊急事態を完全に自律的に管理できるとしている。*ご参考 https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H30FY/000704.pdf *2 ある系が応力や環境の変化といった外乱の影響によって変化することを阻止する内的な仕組み・性質のこと。
AIシステムのシンセティックデータ(リアルフェイクデータ)サービス開始 ~車のシンセティックデータが強みのMORAI社とAIMMO社との提携~
2021年11月26日AOSデータ株式会社 AIシステムのシンセティックデータ(リアルフェイクデータ)サービス開始 ~車のシンセティックデータが強みのMORAI社とAIMMO社との提携~ クラウドデータ、システムデータ、・・・