2021年12月21日AOSデータ株式会社 AOSデータ社、森・濱田松本法律事務所 蔦 大輔氏を講師に迎え、第24回オンラインセミナー 《事前対策が企業の明暗をわける~サイバー攻撃の最新動向と対応実務~》 を配信 クラウ・・・
損保ジャパンら8社、都内初となる自動運転移動サービスの実証実験を実施 他
12月20日 アイサンテクノロジーは今年52期(事業年度)を迎える。創業は1970年(名古屋市昭和区)だ。当初は測量計算プログラム「測量計算書」や測量システム「ABS」を販売、1983年には自動製図機オンラインコンピュータシステムに参入、翌年測量CADシステム「WING」を発売している。長く測量にこだわって来た同社は2012年に準天頂衛星みちびき初号機からの補強データを利用する日本初の「高精度単独測位」システムを発売する。沿革の中で「自動運転技術」に関する記述が出て来るのは、2014年だ。同社は、名古屋大学及び複数の企業と共同で市街地での自動運転技術の公道実験を実施するワーキンググループ「アーバンドライブWG」を設立する。同年11月に内閣府より自動走行システムの実現に向けた衛星測活用の基礎評価調査業務を受託している。その技術は瞬く間に成長を遂げ、様々な省庁や企業との協力関係を築く。2020年8月に経済産業省の"地域新MaaS創出推進事業"「塩尻型地域新MaaS×自動運転実証プロジェクト」に採択され、周知の通り「塩尻MaaS」は全国津々浦々に知れ渡る実証実験となった。測量と準天頂衛星を利用した位置情報から進み、いまや自動運転をも手中に収めんとする老舗は、この年末も活発に活動している。この12/3には「愛・地球博記念公園『モリコロパーク』にて自動運転モビリティサービス実用化に向けた技術研究」最終年度の研究評価を実施すると発表、知の拠点あいち重点研究プロジェクト「自動運転モビリティサービス実用化に向けた技術研究」の一員として、自動運転技術を基盤とする事業化レベルのMaaS全体システムの構築と、要素技術の実用レベルへの機能及び信頼性向上を目指す研究を行っている。プロジェクトは最終年度を迎え、各開発ターゲットの成果を集約した総合フィールド試験を行い、目標に対する達成状況を確認するとともに、一般利用者の試乗会を実施、ユーザー評価にも耳を傾ける姿勢は評価できる。12/6には、長野県塩尻市においてEVバス型自動運転車両を市街地(一般道)で走行させる社会実験にも参加したことを発表している。この実証実験には、一財)塩尻市振興公社と塩尻市が代表となり、ティアフォー、損害保険ジャパンが参加する。実証実験は、11/24~11/28に運転者が操作の責任を持った上で特定の条件下において、ハンドルやアクセル、ブレーキなどの操作をシステムが自動で行う「レベル2」として行われた。市内の広丘駅西口から無印良品/ツルヤ塩尻広丘店の約3.8kmのルートで、タジマ社製のGSM8(10名乗り)を自動運転対応車両に改造し、実施された。初日のセレモニーには、塩尻市の小口利幸市長も参加し、関係者がEVバスに試乗、乗り心地を確認した。前述した「愛・地球博記念公園『モリコロパーク』での実験の様子は、https://www.youtube.com/watch?v=KxGHKoISzmQ&t=5s(*外部サイト CBCニュース「ゴルフカート型の自動運転車 公園で試乗会 自動運転サービス実証実験の成果を体験」)などでも確認出来る。今後も様々な自動運転関連の技術の積み上げとその実用化に期待したい。
都内初、西新宿でまちのインフラと協調した自動運転移動サービスの実証実験を実施 他
12月17日 新潟県十日町市の「究極の雪国とおかまち-真説!豪雪地ものがたり-」は、文化庁が地域の歴史的な魅力や特色を通じ、日本文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産」として認定したストーリーの一つだ。同庁はこの魅力あふれる有形・無形の文化財群を総合的に整備・活用し、国内外へも戦略的に発信していくことにより、地域の活性化に取り組む。このストーリーは全国で104認定されているそうだ。十日町市は、豪雪に育まれて来た歴史と文化を「着もの・食べもの・建もの・まつり・美」の5つの物語として発信している(参考:「雪国とおかまち」https://www.city.tokamachi.lg.jp/yukiguni/nihonisan/index.html)。12/10に、一社)十日町観光協会により「究極の雪国ものがたり」MaaS実証実験説明会が開催された。新潟県の南魚沼市、十日町市、湯沢町エリアにて行われている本実証実験は、観光庁が公募した「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」に採択され、2022年2月13日まで行われる予定だ。同庁の観光地域振興課は令和2年8月に「日本の観光地域づくり法人(DMO)を取り巻く環境について」を発表している。DMOとは、Destination Manegiment /Marketing Organization(観光地域づくりを行う舵取り役となる法人)を指す。ちなみに2020年6月(日本政府観光局JNTO 集計)時点での訪日外国人旅行者数は394.7万人、2019年の3188万人の実に76.3%減となっている。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、観光需要は大きく減少、延べ宿泊者数が大幅に落ち込んだが、6月には「国内需要」について回復の兆しが見られている。本統計から観光庁は、国内観光の需要回復と観光関連産業の体質の強化を図り、次いでインバウンド促進に向け引き続き取り組む施策を講じている。その立役者となるのがDMOだ。観光地域づくり法人(DMO)は、観光地域づくりの司令塔となり、地域や関係者に対してプロジェクト・マネジメント、取組の企画立案や関係者間の合意形成、資金調達、予算執行管理、スケジュール管理、PDCAサイクルの実施などを担う。同庁のDMO登録制度には、令和2年3月末時点で全国281団体が登録している。だが、地方自治体には、地域経営に係るノウハウや人材が不足している等、まだ課題も多い。そこで同庁はDMOに「体制強化に対する支援・情報提供支援・事業に対する支援」を行い、観光地域づくり法人全般の底上げを図っている。一社)雪国観光圏は、この施策の中で令和2年度の重点支援DMO(計32法人)に属する。12/9から、同法人と一社)越後湯沢温泉観光協会、松之山温泉合同会社まんまが連携して行う「究極の雪国ものがたり~絶景と薬湯とにいがた清酒を愉しむ旅」(MaaS実証実験)は、雪国ならでは、雪道での運転や二次交通の課題に対して「新ルートバス」や、AI乗合いタクシーなどを用意して行われる。新ルートバスは、①南魚沼の豊かな景観と、地元マルシェで雪国文化の真骨頂とも言える雪国フードに出会える「魚沼雪里ライナー」(越後湯沢~道の駅南魚沼~六日町温泉~六日町駅~魚沼の里~浦佐駅)と、②日本三大峡谷の一つ清津峡の絶景と草津、有馬に並び日本三大薬湯の一つに数えられる松之山温泉の薬湯を堪能できる「雪国豪雪ライナー」(越後湯沢駅~清津峡(きよつきょう)トンネル駐車場~松之山温泉~まつだい駅)の2ルートとなる。①は11/3~2/13まで(*12/31-1/1は運休)大人500円/小人(小学生以上)500円、②は12/3~2/13まで(期間内の金・土・日・祝および12/28-1/4は毎日運行)大人1000円/小人(小学生以上)1000円、但し松之山温泉~まつだい駅間は、大人・小人ともに500円となる。③「まつだい・松之山周遊タクシー」は、まつだい駅から松之山エリアに予め設定された乗降ポイントを周遊運行する。運行期間は、12/9~2/13まで(期間内の火・水を除く全日運行、祝祭日も運行、12/28-1/4も毎日運行)大人500円/小人(小学生以上)500円となる。一方、④「まつだい・松之山AI乗り合いタクシー」は予め設定された乗降ポイント間の移動を、希望時間に自由に予約することが出来る。運行期間と運賃は、周遊タクシーと同一となる。今回の①~④のチケットは、㈱JTB総合研究所のスマホアプリ「Japan Travel Guide+CONNECT」上で販売される。アプリは、http://snow-country.jp/yukigunimaas/ にあるQRを読み取り、スマホにダウンロードして利用する。ダウンロード特典として、松之山温泉里山ビジターセンター(*改装中は「ひなの宿 ちとせ」)か、越後湯沢駅西口にある雪国観光舎にお越しいただくと、越後湯沢の湯を自宅でも愉しめる「温泉の素」(雪国観光舎)や「松之山発泡入浴錠」(松之山温泉 里山ビジターセンター)をプレゼントしてくれる。国境を越えた雪国、越後湯沢のプラットホームは「究極の雪国ものがたり」へのトランジットゲートウェイとなり皆様をお待ちしている。
万博に向け自動運転船実験 大阪城外堀で竹中工務店 他
12月16日 2025年の大阪万博に向けて、大阪城の外堀で竹中工務店による自動運転船「海床ロボット」の実証実験が始まった。「水上ドローン」とも呼ばれる本モビリティは、水上作業の自動化や効率化、安全性の向上に貢献することが期待されており、東京海洋大学やIHIなどとの共同開発となる。日本の大都市の臨海部の水辺は、都市の過密化により、交通・物流・環境・災害の課題が山積している。こうした水辺のヒトやモノの移動に水域の利用が一役買うことになるかも知れない。大阪には、2001年に内閣官房都市再生本部による都市再生プロジェクトに指定されたことが契機となり「水都大阪コンソーシアム」(大阪商工会議所、関西経済連合会、関西経済同友会、大阪府、大阪市、大阪観光局、大阪シティクルーズ推進協議会で構成される)と呼ばれるコンソーシアムが発足、水辺の生活の活性化や賑わいを再生する試みを展開している。同団体は2021年1月に「水都大阪の取り組みについて」を発表、水辺に携わる多くのプレイヤーの参画による水と光の魅力に更なる広がりや厚みを創出するとの方針のもとに、水辺の拠点・観光資源をつなぎ、ベイエリアや淀川舟運の胎動と連携によるネットワーク形成、水辺に点在する観光・文化施設等との連携、ライトアップなどの光景観を活かしたナイトカルチャー、水都の魅力発掘から発信や外部との連携によるブランディング・プロモーションの強化などを図っている。これまでは、八軒屋浜、ほたるまちなどの水辺拠点の活性化、新たなクルーズの造成、舟運基盤整備などに携わって来た。その中で水辺事業者や地域との連携、安全対策の強化、新型コロナ感染症対策、舟運利用者の利便性の向上などが課題となっている。また水辺への誘客や賑わいの創出などの面では大規模イベント開催による水都の訴求、中之島公園の水辺利活用促進、東横堀川周辺の魅力向上、中之島ゲート利活用の促進なども行ってきた。ここではイベント実施方法の見直しや、舟運連携強化、「次の目玉」となるエリアの開拓などが課題とされて来た。2017年度に119.9万人の舟運利用者は、コロナ禍の影響を受け、2020年度上期には、2.2万人まで落ち込む見通しだ。だがしかし、水都大阪ビジョンやコンセプト、アクションプランを拝見すると思いの外、「大阪万博」の文字が少ない。かろうじて、アクションプランの中で「ベイエリアの取組の一部に夢洲の船着場整備、万博との連携、水回廊とのネットワーク形成等」などが見られるが、具体的な案はまだ見えてこない。今回の自動運転船の実証は、万博に向け幾つかの意味が考えられる。東京海洋大学は、ホームページ上の研究・社会連携の「重点研究課題」に自律航行船の要素技術に関する研究 -ビッグデータと機械学習による見張り支援と自動化-との課題を研究しており、IHIは、株主(JFEホールディングス、IHI、今治造船)となるジャパン マリンユナイテッド株式会社(船舶・艦艇・海洋浮体構造物等の設計、製造、販売)の傘下であるJMU ディフェンスシステムズ株式会社において、多目的水上自律無人艇などの開発も手掛けている。元来は、防衛向けの無人機雷排除システムだが、技術の民間転用も試みる。航路保持・定点保持、遠隔無線操縦、遠隔管制などができ、障害物の自動回避、自動離着桟機能なども有する。これらの技術はイベントや重要施設の警戒監視活動、物流・人員移送などに使うことが出来る。万博会場は、今後2025年度に向け、2022年半ば程から、会場内基盤・インフラ整備などの本格的な工事に突入する(土地の造成は2020年~)。夢洲は、1988年に策定された「テクノポート大阪」計画の人工島3地区の一角。ゼネコンは、「海床ロボット」に資材搬入車両で混雑する夢咲トンネルや夢舞大橋の利用よりも、搬入する物量に余裕のある海上輸送路を利用し工期短縮・コスト削減に繋ぐことを期待し、大阪府や大阪市などは「水都のアピール」や一部水面を有する会場の魅力向上や、開催期間中の来場者の輸送を支える海上モビリティとしての活用を期待しているのではではないだろうか。
自動運転車、受け入れへ先頭走るシンガポール 現地で見えた実用化への課題 他
12月15日 国土交通省で12/16に、効果的・効率的な都市交通調査体系の構築に向け、「新たな都市交通調査体系のあり方に関する検討会」(第2回)が開催される。行政委員や都市計画コンサルタントが、各地域での取り組みやビッグデータの活用、分析等の留意点や課題等について、効果的・効率的な都市交通調査体系の構築に向け検討を行う。今年11/26に開催された同検討会の配布資料中、「都市交通調査に関する最近の状況、取組等について」を拝見した。内容は大きく5つに分かれ、1)都市交通調査の調査テーマ・目的の変遷、2)人々の活動と活動場所に生じた乖離、3)パーソントリップ調査の実施状況・最近の取組、4)新技術やビッグデータ整備の進展及びデータ活用ツールの高度化、5)自治体における都市交通施策の取組みニーズとデータ活用の状況についてまとめられている。1)について東京圏における調査テーマの変遷を見てみると、第1回~第3回(S43~S63)では、交通混雑解消や、多核多圏域型都市構造に向けた交通体系の強化、第4回~第5回(H10~H20)では、高齢化への対応など将来交通体系の見直しや有効活用、第6回(H30)では、人中心のモビリティネットワーク形成、暮らしやすい生活圏形成へとテーマが変遷している。2)では、人々の外出率や私事・業務目的の移動の減少が見られるなど、コロナ禍以前と比較すると、移動の減少傾向が顕著であることがグラフで示されている。三大都市圏の外出率(平日)は1987年には86%であったが、2015年には81%まで減少している。休日では同じく1987年に66%あったものが、2015年には、59%まで減少した。移動の減少の理由として上がるのは、人々のオンライン上の活動(物販系のEC市場の規模拡大、Web・TV会議など仕事の仕方の変化、電話や情報機器を用いた診療を実施できるとして登録した医療機関数の増加など)の増加であり、今後定着する可能性があると予想されている。活動場所としては、テレワークによる自宅就業、コワーキングスペースの利用、道路上におけるラウンジ空間、ワーケーション等が挙げられている。3)これらの背景を踏まえ、1960年代以降、各都市圏で実施されてきた「パーソントリップ調査」(以下「PT調査」)が、近年は減少傾向にあり、特に地方都市圏ではその傾向が顕著になっている。同調査方法は、各都市圏が抱える課題に対応し調査設計を行うため、都市圏間でのデータの相互利用がしづらいなどの点が指摘されている。国交省が、昭和62年から概ね5年毎に行ってきた「全国都市交通特性調査」。従来の調査は訪問や郵送配布が主流であったが、近年ではWeb回収にシフトし、効率化やデータ品質向上が期待される。4)では、位置情報を活用したビッグデータ整備の進展とデータ活用ツールの高度化について触れられている。ビッグデータは、大量のサンプルを高頻度で把握できることがそのメリットである一方、活用する技術により得られるビッグデータの特性が異なるため、同省の立ち位置としては利活用の目的に応じ、データを適切に利活用することが必要とされる。近年では一部の都市圏では、PT調査とビッグデータを組み合わせ互いのデータ特性を生かした推計や分析が実施されている。長野都市圏では広域の流動を携帯電話基地局データを用いて把握、休日に都市圏外から訪れる人の規模の把握と観光交通の検討などに活用している。これらのデータを活用したシミュレーション技術なども高度化している。PT調査だけでは把握や検討が困難である街区レベルでの施策の検討や評価ツールとして活用されることが期待されている。また、3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化も推進されているが、こちらはまだユースケースが開発されている実証実験段階だ。都市計画やまちづくり、防災対策の高度化、多様な都市サービスの創出等を実証、スマートシティの社会実装を加速させることが期待されている。他方、ビッグデータのみでは捉えられない活動実態をアンケート調査から明らかにするなどの試みも行われている。5)都市交通施策における自治体ニーズにはどのようなものがあるのか。「公共交通の利用促進・利便性向上」や「公共交通維持」などのニーズが高く、次いで地域公共交通計画等の策定、交通不便地域・公共交通空白地の解消、公共交通ネットワークの構築・整備と続く。各自治体が「MaaS」を推進する上で必要とされる。またPT調査データは、一定の活用はされているものの「詳細分析には外部委託が必要になる」と感じる自治体が多く、調査ゾーンと検討製作範囲が不一致、統計的精度が不十分などの声もある。今後「都市交通政策検討に活用したいデータ」は、交通IDデータ、GPSデータ、基地局データ、カーナビデータ、交通流動量調査、センサー・カメラデータ、その後にPT調査との順であった。人中心のモビリティネットワーク形成、暮らしやすい生活圏の形成には、人々の移動と時流に即した技術や調査方法が必要であり、早急に刷新されていく必要がある。
京急、三浦半島で混雑回避ルート案内 MaaS活用 他
12月14日 神奈川県三浦市といったら、皆さんはどのような景色を連想するだろう。昭和35年に市のシンボルでもあり、かつて東洋一と謳われた城ヶ島大橋が開通、昭和43年には油壷のマリンパークが開園し、昭和50年に京急久里浜線「三崎口駅」が開業させた同市は、平成13年に入ると、旧三崎魚市場跡地に「三崎フィッシャリーナウォーフ・うらり」(マグロを中心とした水産物の産地直売センターや市の文化施設である三浦市民ホールなどを併設した複合施設)をオープン、いまでは1Fをさかな館、2Fをやさい館とする「うらりマルシェ」が海やまちを楽しむ拠点となっているようだ。三崎漁港は、昭和初期よりマグロ類の水揚げで先刻有数の遠洋漁業基地として栄えた。三崎に初めて魚市場が出来たのは、大正11年。今ではその姿を「三浦市三崎水産物地方卸売市場」という公設市場に変え、1日400~1,000本のマグロを首都圏を中心に出荷している。長年、首都圏から同地への観光の足を支えてきた「赤い電車」こと京浜急行電鉄(以下、京急)は、2009年から「みさきまぐろきっぷ」を発売、多い時では年間20万枚を売り上げて来た。しかし、この観光需要はコロナ禍により大きな打撃を被っている。京急グループは、現在「MaaS」に注目し、三浦の観光需要の復活を図っている。京急とアイシンは、12/13に混雑を避け、三浦半島を周遊できるナビゲーションサービスを始めると発表、12/16~サービスを開始する。このサービスは京急の観光MaaS「三浦COCOON」とアイシンの観光ルートガイドナビ「Smart Buddy」を連携させ、音声や画面で観光ルートをナビゲーション、または観光スポットの案内なども行うことで、交通渋滞緩和や三浦半島の周遊性向上を実現する。京急の「三浦COCOON」は、三浦エリアの観光事業者108団体(12/13現在)が連携し、「エリアマネジメント」と「すごしかた提案」に取り組むため、エリアマネジメント組織「COCOONファミリー」を形成し、地域と一体感のある取り組みを行っている。この2つのサービスが連携し、今回は9つの観光コースが提供される。さらに「三浦COCOON」では、三浦エリア周遊の際、エコロジーにも配慮した二次交通として、レンタルサイクル、電動キックボード、レンタルeバイクを提供、脱炭素化にも目を向けている。京浜急行電鉄は今年5月に発表したグループの総合計画において「取り組むべき事業への経営資源集中による収益構造の変革を図る」としている。取り組むべき事業とは、移動プラットフォーム(沿線拠点のつなぎ役として、快適でシームレスな移動を創造するプラットフォーマーとなること)と、まち創造プラットフォーム(拠点や沿線地域の魅力づくりを通じた人流・物流の創造)の連携を指す。その延長線上に今回の「三浦半島各エリア」(城ヶ島・油壷・三浦海岸)のエリアマネジメントが存在し、同社は地元・行政・企業・大学を繋ぐ三浦半島の「コミュニケーションハブ」を目指すとともに、三浦半島の課題解決と価値向上に取り組んでいる。この9月に惜しまれつつ「油壷マリンパーク」を閉館し、隣接する「ホテル京急油壷 観潮荘」と併せ、滞在拠点を一新するのもこの一連の動きと捉えることが出来る。令和の潮風を受けた三浦半島がどのような「都市近郊リゾート」に生まれ変わるのか、いまから楽しみだ。
移動手段の利便性向上へ「MaaS(マース)」実証実験始まる 他
12月13日 西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)は、今年6月に「2022年度に北陸エリアで観光型MaaSを導入します!~導入に向け、実証実験を今年度中に実施します~」を自社のNews Release上で発表している。実証実験の目標は、北陸新幹線敦賀延伸の効果を最大限高めるためとして、2022年度まで「Japanese Beauty Hokurikuキャンペーン」(観光MaaS/「JRおでかけネット」*)を開催中だ。北陸エリアへの誘客拡大を図っている。実証期間は、2021年12月1日~2022年3月31日までとし、観光MaaSの本格導入は、2022年度下期を予定している。北陸三県(富山・石川・福井)側からは、北陸三県誘客促進連携協議会および日本旅行が参画する。同協議会には、各県の観光連盟・観光推進機構・北陸経済連合会・JR西日本金沢支社が集う。実証実験は、JR西の「WESTER」の基盤を活用した「おでかけクエスト」というデジタルスタンプラリーを用いるとしていた。2021年11月15日の株式会社ギックス発表によると「スマホdeスタンプラリー 北陸5つの美めぐり」(スタンプラリー)に、同社の顧客選択型スタンプラリー「マイグル」が採用された。スタンプラリーは、前述の北陸三県で行われ「5つの美」(「美食」「美観」「美技」「美湯」「美心」)とのテーマに沿って観光スポット・飲食店・宿泊施設など計418施設が対象となる。「5つの美」の中身は、11月に解禁され、既に旬を迎えている冬の味覚「カニ」を始めとする鮨や蕎麦といった美食と、世界遺産に数えられる日本の原風景とも言える五箇山・白川郷への美観(バス旅)、高岡のすずがみ(紙のように薄い錫の器)作りや、約360年の歴史を誇る「九谷焼」の九谷陶芸村での作陶体験などを美技としている。和倉、あわら、宇奈月などの名湯巡り(宇奈月エリアでは黒部の名水で地ビールを醸造する宇奈月麦酒館などにも足を延ばせる)は美湯、永平寺などでは心を癒す禅体験などを美心としている。JR東日本が主催し、東北6県(青森・秋田・岩手・山形・宮城・福島)が注力する「TOHOKU MaaS」と競演する恰好だ。コロナ禍で二年近くも足止めされた旅行好きの面々には、喜ばしい冬の旅路となる。*https://www.jr-odekake.net/navi/hokuriku-w7/jbh/
国交省、ビッグデータを活用する9事業採択 公共交通再活性化等を目指す 他
12月10日 国土交通省は、地域の人口減少、公共交通のサービス需要縮小、公共交通事業者の経営悪化、人手不足などの状況に対応するため、原則としてすべての地方公共団体において地域交通に関するマスタープランとなる計画(地域公共交通計画)を策定した上で、交通事業者をはじめ地域の関係者と協議しながら、公共交通の改善や移動手段の確保に取り組むことが出来る仕組みを拡充、特に過疎地域においては地域の輸送資源を総動員し、持続可能な運送サービスの確保に資する取り組みを推進するための「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」等の一部の改正法を令和2年11月27日に施行している。同省は地域の移動手段の確保・充実を図る取り組みについて支援する姿勢を示している。この12/6に、国交省は「ビッグデータを活用した実証実験事業」の実施対象を決めた。携帯電話の位置情報データ(ビッグデータ)を活用し、地域の課題解決や、従来の交通調査では得られなかった知見の取得を目指す事業について、採択されたのは日野町の「町の公共交通再活性化に向けたビッグデータ活用分析実証実験事業」、ふじさんゼロゴミアクションの「富士山周辺におけるビッグデータを活用したゼロゴミアクション」や、一般社団法人おしかの学校による「牡鹿半島における観光ビッグデータ活用の実証実験」など9事業だ。宮城県石巻市にある同一般社団法人は、石巻市の東地区及び女川町が東日本大震災から復興し、被災地の子供たちを応援、各種イベントの主催や支援、地元の雇用促進、復興の遅れに伴う人口減少・高齢化などについて地域と一体となり、これらを推し進めるため、2016年1月に「おしかの学校」を立ち上げた。その活動分野は、植樹活動から夏祭り、県道の清掃活動、学習支援、海外派遣交換交流など多岐に渡り、活動の中には地域・まちづくりやITの推進、観光、食・産業、漁業、林業なども含まれる。一般社団法人石巻圏観光推進機構が運営するWebサイト「海街さんぽ」の観光動態調査ページでは、2021年3月に「2020年度来訪者調査 調査結果報告書」(調査実施概要)を公開している。調査の手立ては、留置法(対象となる調査地点の施設にあらかじめ調査協力依頼を行い、施設スタッフから対象者にアンケートを依頼。自記入によって回答してもらい、その後回答済みアンケート票を回収する形式)となっている。石巻圏に観光目的で来訪している人へのアンケート調査を通じ、来訪者属性、観光行動実態、観光資源や受入体制に対する評価を定量的に把握、石巻圏観光の強みや課題を洗出し、今後の観光マーケティング戦略を検討するにあたっての基礎資料を得る目的で2017年度から行われている。調査対象は18歳以上の観光目的で来訪していると思われる男女(石巻、東松島市民、女川町民、外国人は除く)。調査地点は、石巻市では宮城県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)、東松島市では同市震災復興伝承館、女川町ではシ―パルピア女川など。サンプル数は362、調査実施時期は2020年10月1日~2021年2月10日だった。調査項目は、来訪者の性別や年代から始まり、石巻圏観光場所、コロナ禍における旅行先について等々。調査によると来訪者の居住地域は宮城県内が48%で最も多いが関東地方居住者も3割程度いる。周遊状況は石巻市のみの訪問が最も多い。2市町を巡る人は38%、3市町全てを巡る人は11.6%にとどまった。石巻圏外への訪問は、仙台市内が14.9%、次いで松島町が11.6%、塩竈市内が8.0%となった。ちなみに宿泊旅行は全体の7割弱を占め、圏外では仙台市内での宿泊率が比較的高い。旅の同行者は家族・親族が25.4%で、旅行形態は個人旅行が8割を占めた。従来の留置法による調査によっても、観光や旅行者の傾向(属性・旅行形態・観光動態・観光評価)を浮き立たせることは出来る。携帯電話の位置情報と決済データなども掛け合わせ、その解析が進めば、さらに大量のサンプルから周遊の糸口につながるヒントを導き出せるのかも知れない。結果に期待したい。
JR山手線・京浜東北線で25年頃から有人の自動運転…30年頃ワンマン運転に 他
12月9日 JR東日本が発行する「JR東日本ニュース」が、12/7に「首都圏の輸送システムの変革を進めます」を発表した。本発表でJRは、ATACS(無線式列車制御システム)を導入し、ATO(自動列車運転装置)の高性能化により、輸送安定性の向上とお客様のニーズに応じた柔軟な運行の実現や首都圏の主要線区において「ワンマン運転」に向けた準備を進める、今後は技術イノベーションに取り組み、将来のドライバレス運転の実現を目指した開発を進めるとしている。Webを浚ってみると、目玉となるATACS、ATOなどの列車制御技術導入により、GoA4(IEC(JIS)による自動化レベルの定義、GoA0の目視運転から始まり、5段階ある)に向け、段階的な取り組みを進めるとの話題より、これら「変革」を進めるにあたって、運用の安全性から始まり、各路線で段階的に実施されているワンマン運転の導入、新形式の車両、運転士や車掌の雇用関係の問題、踏切問題、ホームドアの導入、設備導入コスト、人件費、運転士の負担の増大(責任範疇)など、むしろ周辺の話題に事欠かない様だ(*具体的なサイト名の掲載は控えるが、参考になるWebサイトが幾つかある)。意見を述べる人々の立場も様々だと想像する。JR職員、労働組合、JRのOB、沿線の利用者、鉄道ファン。皆それぞれの立場での持論があり(言い回しは様々だが)納得できる意見も多い。意見は賛成、部分的に賛成、反対、提案、期待など多様性に富む。「公共交通機関」と言われる由縁だ。人々は鉄道が自分と親しく関わり合うからこそ、この発表に関心を持ち、熱心に意見を述べる。困難だが、人々の日常生活に密着して動く企業だからこそ「変革」の前に、多方面の人々の意見に耳を傾け、対話し、最大限「調和」を導き出していく必要がある。自社が取り組んできた技術イノベーションの恩恵を、どのように社会に享受してもらうか?余計なお世話かも知れないが、特にコロナ禍により、多大な影響を受けた人々の「雇用・安全・安心」の部分については、よりオープンで丁寧な扱いが必要かもしれない。長年に亘り「鉄道」を動かし続けるべく、膨大なテクノロジーや法令を学び、安全技術を研鑽してきた社員を、今後どのように活かすのかについては、民営化の道を選択した時を思い馳せ、いま一度資料にある「人ならではの創造的な仕事」の部分を、より具体的に掘り下げ、アップデートしていただきたいと思う。この部分が技術の進化とセットで変革され、明確化されていくことが、より早いプロジェクト「完成」につながるのではないかと思う。「安全・安心」の部分については、各地で盛んに行われている自動運転バスなどの「試乗会イベント」や地域との協力なども、よき関係を醸成する一つの契機となっていると思う。
年末年始休業のお知らせ
2021年12月9日AOSデータ株式会社 年末年始休業のお知らせ 平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。年末年始の休業期間は、2021年12月29日(水)~2022年1月3日(月)となります。お客様には大変・・・