4月20日 TIS株式会社と沖縄都市モノレール株式会社は、4月20日、両社が展開する「沖縄MaaS」において、CCCマーケティンンググループと協業し、沖縄MaaSと親和性の高い生活者に向けて、CCCが有する「Tポイント」のデータを活用した利用促進施策を実施していると発表した。「沖縄MaaS」は、国土交通省の「令和2年度 日本版MaaS推進・支援事業38事業について」によれば、①MaaS基盤整備への支援、②全国の牽引役となる先行モデル事業への支援を柱とする。内訳は、AIオンデマンド交通の導入が6地域・6事業者、キャッシュレス決済の導入が9地域・9事業者、そして②の先行モデル事業が19事業()となる。沖縄では、県全域と宮古市が対象として選定されている。沖縄MaaS事業連携体が実施する「沖縄全域における観光型MaaS実証実験」は、沖縄県全域のモノレール、路線バス、オンデマンドバス、船舶等の交通手段と、商業/観光施設など交通分野以外との連携、更に他MaaSアプリなど幅広い連携をAPI/データのオープン化により実現する観光型MaaS(以下、沖縄MaaS)を提供するものだ。この取組みにより「沖縄県における交通、観光の課題」を解決し、来年度以降の継続稼働や地域住民展開を見据え有用性の検証を行うとしていた。協議会は、沖縄都市モノレール、自治体としては那覇市、石垣市、浦添市、宮古島市、今帰仁村(なきじんそん)、伊江村、座間味村、竹富町、民間企業では、ゼンリン、TIS、琉球銀行、オブザーバとして、沖縄県と内閣府沖縄総合事務局運輸部で構成されている。沖縄県は全国と比較して公共交通分担率が低いため、分担率向上が必要となっており、その原因となっている観光に関する交通課題に対し「沖縄MaaS」での解決を目指していた。「観光に関する交通課題」を行政の立場から見ると、バスの輸送人員が全国平均よりも大きく減っており、地域の足としてバス網の維持が困難になっている点や、特定の有名観光地、観光施設に観光客が隔たり、他の魅力あるスポットへの送客が出来ない点が挙がる。また地域住民の視点からは、観光産業に対する期待は大きいものの、マイナスの影響のトップは「バスや自家用車の混雑等により、交通が不便になる」点が挙がる。困っている点としては「レンタカーによる事故」「交通渋滞」「違法駐車」が挙がる。沖縄を訪れる観光客の視点では、二次交通の多くは現金利用が殆どであり、行先や系統が分かりづらいなどの点が課題となっていた。2021年1月~2月に実施された沖縄全域を対象とした実証実験では、20社に上る交通事業者と10社の連携サービス会社が参加意向を示していた。実証で提供されたサービス(=課題の解決手段)は、複数交通手段の連携乗車券を含むチケットの電子化とスマホ上のキャッシュレス決済を利用した事前決済、ルート検索や地図情報の提供、情報配信、移動情報のコード化(トリップ単位でコード化し、収集・分析を行う)、データ利活用(AI活用等による分析を行い、公共交通や商業・観光施設への送客や誘客を行うことで、観光客の分散化を図る)、他サービス連携(前述の連携するサービスとAPI連携や相互リンク等により、連携し沖縄MaaSのサービス拡充を実現)などであった。サービスの利用方法は、ユーザーがスマホ上で沖縄MaaSへアクセスし、クレジットカードなどでチケットを事前購入、利用時には手持ちのスマホで各事業者の窓口等に掲示される固定QRを読み取り、チケットを表示させ、これを消込む(利用済の認証)などの手順としていた。「MaaS」領域において、富山県朝日町の「ノッカルあさひまち」の構築に博報堂が参画する等、異業種からの参入が相次いでいるが、「沖縄MaaS」もそのような潮流の一例となったと言える。時計を巻き戻すようで恐縮だが、カルチュア・コンビニエンス・クラブと言えば「TSUTAYA」であり、中高年世代では、ビデオやCDレンタルを利用された方も多いと思う。同社は1985年に「TSUTAYA」のフランチャイズ本部として設立され、2006年に子会社となる㈱TSUTAYAを設立、TSUTAYA事業を移管、純粋持ち株会社となった。2009年10月に㈱CCC(旧・㈱TSUTAYA)を吸収合併、再び事業会社となる。その後も様々な変遷を経て、2021年4月に中間持ち株会社4社とその関連会社を吸収合併し、再び事業会社となっている。本件で話題に上ったCCCマーケティンンググループのホームページを拝見すると、2020年4月1日に設立された、同社(CCCマーケティング㈱)の事業内容はマーケティング・ソリューション事業であり、メインメニューの中に「地域共生」の言葉がある。関連会社には㈱Tポイント・ジャパン、㈱Tポイント、㈱Tマネーがある。CCCマーケティンググループは、そのミッションに「UNIQUE DATA,SMALL HAPPY.」を提唱し、自らを生活者から預かる大切で多種多様なデータを、テクノロジーとアイデアで価値ある情報に磨き上げ、社会に届けることで新しい喜びを提案していく「情報製造流通カンパニー」としている。「UNIQUE DATA」(=唯一無二のデータ)とは何か?同社はパートナー企業が市場に対して持続的に価値提供するための「本業支援」を支援する。その範囲はアプリ開発から、デジタルコミュニケーション、現場でのオペレーション改善、商品開発、販促企画と実行、さらに経営における出店計画や事業戦略にまで及ぶ。彼らは「コンサルとデータ分析」×「データ活用ソリューション」に、自社の持つ(「Tポイント」で蓄積した膨大な)「ユニークデータ」を掛け合わせ、顧客を支援するとしている。これらの元となるのは、パートナー企業が保有するデータと、T会員から収集したユニークデータだ。これらによりパートナー企業の現場の事実把握(可視化、分析)しながら、次なる一手(アプローチ、CRM)を導くとしている。ここには専属コンサルタントとデータアナリストの姿が見える。専属コンサルタントとデータアナリストの仕事は、個社ごとに異なるマーケティングの課題に最適な解決策を打ち出せるよう伴走することだ。ここでは証券やデータ分析による新店開発、業界別市場予測による新商品開発と売り場改善、アライアンスネットワークを活かしたアプリ開発、循環型のデジタルコミュニケーションの提案などが提供される。但し、彼らの仕事は「提案」だけで終わるのでなく、次の一手、即ちプラットフォーム事業や地域共生に関わる事業など、様々なプラットフォームを通じた「ライフスタイルの提案」を行うものとしている。佐賀県武雄市の図書館を筆頭に、国内の様々な地域で図書館や文化複合施設を指定管理者とする公共サービスなども手掛けてきた。同社のこれらの事業を支えるのは、やはり「T会員」から収集した「ライフスタイルデータ」だ。リアルとネットの多種多様なデータがシングルIDで紐づいていることで、推測ではなく事実に基づいた最適な解決策を導き出すことが出来るとしている。数値的な言い表し方をすれば、カード累積発行枚数は2億枚、月間UU数4000万人、年間UU数7000万人、ネットID連携数は4000万人、関与売上は8兆円/年、トランザクションは35億件/年という。これが同社の核となる「UNIQUE DATA」の姿だ。7,000万人を超えるT会員を持つ。この数字はTカードの発行枚数ではなく、Tカードを複数枚所持する個人も、きちんと一人として数えた上での人数(1年に1回以上カードを利用している顧客)である。総務省は平成30年版の情報通信白書の中で、データは「21世紀の石油」と表現しているが、この表現が正しければ、彼らは既に相当規模の産油企業であり、資源保有企業と言える。(続く)
クラウドバックアップサービス「AOSBOX Business」が 「ITreview Grid Award 2022 Spring」の3部門で10期連続受賞 ~クラウドバックアップ部門、PCバックアップ部門の2部門で「Leader」、 オンラインストレージ部門で「High Performer」を受賞~
2022年4月20日AOSデータ株式会社 クラウドバックアップサービス「AOSBOX Business」が 「ITreview Grid Award 2022 Spring」の3部門で10期連続受賞 ~クラウドバックアッ・・・
超小型電気自動車を無料貸し出し 法人対象にトヨタレンタリース佐賀 他
4月19日 第二次世界大戦前の1930年代にアメリカのタイヤメーカーは恐慌を脱し、売り上げも順調に成長していた。タイヤはそれまで使用していた木綿コードからレーヨンを使用した乗用車用タイヤが市場に出回り始め、戦時下となる1942年頃にはナイロンが軍用タイヤに採用されるようになった。一般車にこのナイロンが普及し始めたのは戦後となるようだ。戦時下には、タイヤメーカーも本業ばかりでなく、ガスマスクや、航空機用の燃料タンクや輸送機の翼、戦闘機など多様な製品の製造を余儀なくされた。戦争により天然ゴムの供給は急激に減少(モノづくりの立場で申せば非常に迷惑な話だが、いつの世も戦争はモノの交易に影響を与える)したため、合成ゴムメーカーは合成ゴム軍需工場を創業し始めたという。欧州ではミシュランやピレリがラジアルタイヤを試作し、ラジアル構造の研究が進んだ。現在では、ほとんどの乗用車用のタイヤはこのラジアルタイヤが用いられている。「ラジアル構造」とは、タイヤ(ゴム部)の一番内周に近い「カーカス(骨格)」と呼ばれる部分を、タイヤの中心から放射状(RADIAL)に配置したタイヤで、これを一層上の外周部分に当たる「ベルト」で締め付ける構造のタイヤという。ちなみに対する概念としては、「バイアス構造」があるが、バイアス構造の場合、カーカスを斜め(BIAS)に配置しているため、この呼び名がある。しかし、バイアス構造は、斜め配置となるため、ねじれが生じやすい特性がある。これを防ぐため、逆方向に複数枚のカーカスを重ねる必要がある。このカーカスを先ほどと同じように一層上の外周部分に当たるブレーカーで締め付ける構造となる。バイアス構造は比較的製造方法が容易であることから、モーターサイクル用タイヤや産業車両用タイヤ、建築車両タイヤ、農業機械用タイヤなどに使用されている。日本では、1937年の日中戦争を機に、1938年にゴム統制規則が交付され、翌年にはタイヤも配給制となっている。ブリヂストンはこの時期、1934年に久留米市京町(現ブリヂストン久留米工場)に本社を移転、その後1937年5月に東京市麹町(現千代田区)に本社を移転、その後1939年に東京市京橋区に事務所用地を購入、1942年に新事務所での業務を開始するも、1945年5月の空襲で事務所は消失、この後、麻布飯倉片町に事務所を移転、英語の使用は制限しようとの風潮の中、社名を「日本タイヤ㈱」に変更している。1938年には日本足袋(1937年に社名を日本ゴムに変更/石橋氏が社長であった)の、横浜工場を継承し、再生ゴムの製造を開始した。久留米工場は1939年4月の「自動車用タイヤ・チューブ配給統制規則」が実施された後、トラック用タイヤの生産を主力とした。1941年にその生産額がピークに達するも、その後は天然ゴム、コード、カーボンなどの原材料不足のため、タイヤの生産は著しく低下して行くこととなった。1945年には、久留米工場が九州を戦場とする本土決戦の観点から、久留米工場の「本土疎開」を要求されましたが、石橋氏はこれを拒否したため、九州軍需管理官から責任者交代を命じられるものの、本件は決着を見ないまま終戦を迎えた。1939年4月からの配給統制下では、商工大臣の承認を得た生産数量に応じた天然ゴムが割り当てられ、日本ダンロップ、横浜護謨、ブリヂストンの3社が統制を受けている。当初、天然ゴムの割り当て比率は等分ではなかったが、1940年3月からは3社3等分となった。1942年3月には、オランダ領・ジャワ島に進出していた日本軍よりグッドイヤー社から接収したジャワ工場の経営を委任される。石橋氏は敗戦時に工場を破壊せず、整備の行き届いた工場を同社に返却した。このことは、戦後グッドイヤー社会長のリッチフィールド氏と石橋氏の間に信頼関係を醸成、同社との技術提携を結ぶ契機となったとしている。このように、戦中や戦後のさまざまな艱難をゴム製品の生産に携わりながら乗り越えてきたブリヂストンの今日の繫栄は、昨日の当欄で紹介した通りだ。しかし、その束の間の休息も終わろうとしている。同社は、いま世界が突入したばかりの自動運転社会、自動車における100年に一度と言われる大変革期、アフターコロナ感染症後の社会変化や消費者ニーズ、SDGsや脱炭素社会、デジタルトランスフォーメーションなど幾つもの荒波をどのように乗り切ろうとしているのだろうか。昨日紹介した同社のTechnology&Innovationのページを見ると、その答えの一端を伺い知ることが出来る。「ブリヂストングループは、世界を支える覚悟と責任を持ち、革新的な技術を磨き続けていきます」とのメッセージから始まるこのページでは、同社のリサイクル事業、ソフトロボティクス、建設・鉱山車両用タイヤの進化を支える独自技術、月面探索ミッションを足元から支える月面探査車用タイヤ、ゴムと樹脂を分子レベルで結び付けた世界初の素材"SUSYM(サシム)"、昨日ご紹介したバリアレス縁石システム「PlusStop」低燃費性能と耐久性能を両立するしなやかで強い"ダブルネットワークゴム"、運送ビジネスを支えるデータツール、タイヤの接地面を"見る"技術「ULTIMAT EYE™」、ブリヂストンプルービンググラウンド(テストコース)、空気を不要にするタイヤ技術エアフリーコンセプト®、分子構造を操る技術(ナノプロ・テック™)、パンク後の走行を可能にするランフラットテクノロジー、ブリヂストンのタイヤ開発、天然ゴム資源への取り組み、次世代の低燃費タイヤ技術「ologic®」、高圧充填を可能にする水素ホース、タイヤと路面を感知する技術など、テクノロジーとイノベーションを示す例は枚挙に暇がない。この内、新しいクリーン燃料である水素燃料の普及と水素社会の実現への貢献が期待される「高圧充填を可能にする水素ホース」などは、まさに同社の強みを活かした施策と言えるのではないか。「高圧充填を可能にする水素ホース」は、トヨタのウーブンシティ(Woven City)などでも製造や利用が期待される「水素」の供給スポットとなる水素ステーションで広く普及が期待される。水素は、常温、常圧では無色無臭の気体であり、燃焼させた際にも水と熱しか発生しないため、次世代のクリーン燃料として期待される。また化石燃料と比較しても重量が軽いため、燃料重量の軽量化にも貢献する。これにより、水素は燃料電池自動車の開発や、水素を供給する水素ステーション設置など、水素燃料の活用に向けた取り組みが進められているところでもある。水素原子は宇宙で一番小さな原子と言われ、小さな隙間でも通り抜けてしまう特徴があるのと、一度に大量に充填できるよう、水素ステーションで供給される水素ガスは、非常に高圧(現在日本では、70Mpa、将来は82Mpaが見込まれる)で圧縮されているという特徴があり、この高圧に圧縮された水素を漏らさず車両に供給するためには、水素ガスを閉じ込めることが出来る性質に優れた樹脂と、補強として「耐水素脆化性を追求した高抗張力鋼線ワイヤー」が必要となる(ブリヂストンの水素ホースには、このワイヤーを6層に巻き付けている)。同社はウォータージェット等に使用される超高圧ホースの技術をベースに、高圧の水素を閉じ込めることが可能で、かつ柔軟で使い易い水素充填用ホースを開発している。ここで開発された技術は、今後の水素社会や燃料電池自動車を擁するモビリティー社会に広く貢献していくものと思われる。ちなみに同製品は、早くも2017年3月に横浜市港北区綱島東にある「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」(以下、Tsunashima SST)内の「横浜綱島水素ステーション」に、高耐圧性の水素充填ホースとして納入されている。「横浜綱島水素ステーション」は、Tsunashima SST内の水素供給拠点であり、将来の水素社会をリードする情報発信型水素提供フィールドとして位置付けられている。また「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」は、パナソニック㈱、野村不動産㈱、JXエネルギー㈱ら10団体が推進する次世代都市型スマートタウン。街全体でのエネルギーの効率的な利用など、先進的な取組を行い、参加する事業者が環境配慮型のタウンマネジメント施設・集合住宅・技術開発・商業施設を計画する新たな街づくりプロジェクトである。ブリヂストンのテクノロジーとイノベーションは、モノづくりだけに止まらない。同社は、トラックやバス用の新品タイヤや、使用済みのタイヤの設置部分(トレッド)に新たなゴムを張り替え、再使用するリトレッドタイヤ、タイヤ交換や点検など、運送事業者のビジネスを支える製品として、様々なタイヤ情報を管理・分析することで顧客に最適なソリューション(安全運行や経済性向上)を提案するデジタルツールも開発している。「Toolbox」(ツールボックス)は顧客の車両や装着タイヤ、点検結果などタイヤに関する情報を管理するためのデジタルプラットフォームだ。世界80ヵ国以上のトラック・バス運送事業会社で利用される。同社は顧客や顧客のタイヤ情報を取得・蓄積して、サービスや販売・マーケティング、タイヤ開発に繋げる。また「Tirematics」(タイヤマティクス)は、センサーを用いてタイヤの空気圧や温度を計測、リアルタイムで遠隔モニタリングするシステムだ。今後、自動運転車両が主流となるであろう公共交通の運行・遠隔監視時の現場において、安全運行や事故予防ソリューションとして必須とされるシステムの座を獲得するであろうと予想される。「Toolbox」と連動させて運用することで、タイヤのライフサイクル全体におけるタイヤ情報の管理・分析が可能になるとしている。「BASys」(ベイシス)は、リトレッド工場向けとも言えるが、前述したリトレッドタイヤの製造・品質・在庫などの情報を管理するツールだ。使用済みのタイヤをリトレッド工場に預け、検査や修理、加工を経て、顧客の手許に再度タイヤが納品されるまでの過程を一元管理する。これにより、リトレッド工場は、各プロセス別にリアルタイムに情報を把握し分析することで、生産の効率化や品質向上にツン上げることが出来る。ブリヂストンは、2017年1月にデジタルソリューションツールの開発並びに展開を加速させるため、「デジタルソリューションセンター」を開設させている。ミシュランに次ぐ世界屈指のタイヤメーカーは、この「大変革期」にもタイヤの歴史に鍛えられたしなやかさで、DXやエコロジカルを身に纏いつつ世界の道を軽やかに走り続けている。
トヨタ、一部車種で車外画像データを収集 自動運転技術で活用 他
4月18日 歴史あるダイニングガイドのミシュランの起源は、より多くのドライバーが道路に行くことを推奨するために考案された小さな赤い冊子だった。1889年フランス中部のクレルモンフェランで始まった、アンドレ兄弟とエドゥアールミシュラン兄弟は、フランスの自動車産業の壮大なビジョンに支えられ、国に3,000台未満の自動車が走り回った時代、彼らはその名を冠したタイヤ会社を設立した。兄弟は運転手が自動車旅行を広め、それによりクルマの販売を増やし、ひいてはタイヤの購入を促進するため、地図、タイヤの交換方法、充填場所など、旅行者向けの便利な情報が満載された小さなガイドブックを作成した。ガイドには、旅行者が立ち寄る給油スポット、一日の冒険、旅路の休息を得、食事をとりブランケットを広げることができる宿を載せた。日本のミシュランと言えるかどうかは分からないが、日本のブリヂストンは、まだ日本が英米系の技術に頼り、日本のゴム技術がよちよち歩きを始めた時代、1930年に小型の乗用車用タイヤの第1号を完成させている。ブリヂストンの世界タイヤ市場シェア(売上高ベース)は、現在2位。一位はミシュラン、三位はグッドイヤーである。世界に展開したブリヂストンの生産拠点は139拠点(2022年1月現在)。同社の製品はタイヤをはじめ化工品(自動車関連部品、ウレタンフォーム及び関連用品、電子精密部品、工業資材関連用品、建築資材関連用品)、スポーツ(ゴルフ・テニス製品)、自転車など幅広い分野で使われ続けている。磨かれてきたその製品技術の応用分野も、タイヤをタイヤとして生まれ変わらせるリサイクル事業や建設・鉱山車両用タイヤ、月面探索車用タイヤなど広がりを見せる。これらの分野の中に「plusstop」と呼ばれるバス停の縁石形状に着目した、バス乗降のバリアフリー化に貢献するソリューションが開発されている。バスの自動運転化が進む中、報道などでよく話題となる正着(自動運転システムにより、バス停に正確に車両を寄せる技術)。公共交通機関の一翼を担い、子供からお年寄り、ハンディキャップを持つ利用者など、様々な人に幅広く利用される移動手段であるバス。このバスの乗降時のバリアフリー化は、利用者の安全や利便性のため、運行ダイヤを保つためにも、重要な役割を果たしている。しかし、現在の乗降システムは乗降口と停留所である路面の間に段差や隙間が存在し、心ならずも高齢者や車いす利用者、ベビーカー利用者に不便を強いる形となっている。そこで同社は横浜国立大学(「都市と交通研究室」:中村文彦教授)や公益社団法人日本交通計画協会、㈱アドヴァンスとともに、バス停の縁石に着目、利用者の乗降を容易にするソリューション「Plus Stop」の研究開発と普及に取組んでいる。ここで開発中の縁石(道路と歩道を隔てるコンクリートブロック)は、一般的な縁石と異なり、バスが縁石に接近した際にも、ドライバーがバスを縁石に寄せやすく、万が一タイヤが縁石に接触した場合でもタイヤへのダメージが少ない特殊な形状を持っている。ここでの共同研究成果は、2016年12月に「次世代正着縁石」並びに「バリアフリー用新コンセプトタイヤ」として、やはりバス停と停留所の間の隙間を可能な限り小さくすることを目的として発表されている。共同研究で挙がった課題は、①ドライバーに極力負荷をかけず、スムーズかつ安定してバスを縁石に寄せること、②縁石接触時のタイヤダメージを低減することの二点だった。①についてはドライバーの技量に応じて発生する、タイヤと縁石の間の正着距離のバラツキ及び接触時の衝撃を低減させること、②については海外の一部の地域で実施しているタイヤサイド部を厚くする既存の手法(タイヤ重量増、転がり抵抗悪化の傾向)を進化(改善)させることであった。縁石については、ドライバーの技量に依存せず、車両をバス停に着けるための進入角度を制御する手法として、僅かなハンドル操作で自然に縁石にアプローチできる路肩スロープが考案された。新たに考えられた縁石の断面形状は、道路のレベル(水平面)より続く、タイヤが踏む面を僅かに道路中心から外側に傾斜させ、同時にその傾斜面が垂直に立ち上がる面への繋ぎ部分は、直角とせずラウンド形状としている。この次世代縁石の効果測定のため、同社のプルービンググラウンド(栃木県那須塩原市)に実際に縁石を設置、試験を実施している。その結果「欧州一般正着縁石」と比べ、縁石と車両の間隔を半減することに成功、目標正着距離40mm以下を達成、縁石と車両との間隔のバラツキも大幅に低減させている。また同時にタイヤサイド部へのダメージ(摩耗量)も低減可能であることを確認している。また、タイヤ側ではこの縁石接触時のダメージを低減するため、摩耗対策を施す技術を開発、推進している。この技術はタイヤと縁石の接触時に生じる摩耗エネルギーを低減するコンセプトで開発され、結果的にサイド部の摩耗量を3割程度抑制できると予測されていた。この翌年2017年6月には、更に新コンセプトタイヤ開発と正着縁石の改良が発表されている。新コンセプトタイヤでは、ゴム自体を摩耗しにくくしていることに加え、接触を繰り返すことによりサイドゴムが摩耗した際はサイド部のみ貼付けによる交換が可能となっている(リトレッド工場で新たなトレッドゴムと再度ゴムを道に張り替えることも可能)。これらの技術により、タイヤの重量増や転がり抵抗の悪化を軽減することができるとしている。この時点における次世代の正着縁石改良については、前回導入した路肩スロープと縁石底ラウンド形状に加え、新たに縁石の角を欠き取る形で車両接触回避形状を導入している。初回の形状で58mmあった段差を減少させつつ、バスの車体と縁石の接触を回避する新形状により、さらに25mmの段差減少を実現しており、バス乗降時の車いすやベビーカー利用者の負担軽減を促進した。その後も同社は2019年に、横浜国立大学(「都市と交通研究室」:中村文彦教授)や公益社団法人日本交通計画協会、㈱アドヴァンスと、この「バリアレス縁石」の実用化について発表している。2019年6月10日に、この縁石は岡山市後楽園前に全6個が(全長12m)設置され、運用が開始されている。この際にも「バリアレス縁石」の形状には、工夫が重ねられ、一番道路の水平面に近い部分(センターラインと並行する方向)に連続する凹凸(警告用突起)が加えられている。これによりドライバーは、バス車体が縁石に接近したことを、振動により体感できるようになっている。これらの改良の結果、この「バリアレス縁石」は東京2020オリンピック・パラリンピック選手村(東京都中央区晴海5丁目)でのバス輸送のバリアフリーに貢献するとして、現地に216個(32ヶ所)、合計394.3mが納入されている(2019年9月25日発表)。竣工は2020年2月となった。2019年10月21日の発表によると、この「バリアレス縁石」は新たに「PlusStop(プラスストップ)」と新名称が冠されることとなった。バスの自動運転化については、自動運転システムや通信方式、センサーなど華やかな技術情報がメディアを賑わしているが、水面下ではタイヤメーカーによるインフラ側からの正着制御改善が黙々と行われている。天晴れ、日本のモノづくり!と言いたいところだが、同社はいまや既に単なるタイヤメーカーではなくなっている様子が伺える。同社ホームページのTechnology&Innovationを拝見すると、ゴムにまつわる様々な技術の宝庫となっているようだ(続く)。
テラモーターズ EV充電インフラの電気工事網を全国構築 他
4月15日 Terra Moters㈱が4月12日にEV用の充電インフラの普及を目指し、全国での電気工事を可能とした。この事業を開始後、全国各地のマンション管理組合、マンション管理会社から問い合わせが「殺到」しているとのこと。同社グループ会社のTerra DX Solutions㈱の全国対応の災害復旧事業のノウハウを活用することで、全国の電気工事に対応した。Terra DX Solutions㈱の災害復旧事業は、「ジェルコリフォームコンテスト ビジネスモデル部門」で 経済産業大臣賞 2021を受賞している。平時において、災害対策として全国規模の工事業者ネットワークの構築をし、災害時における工事業者の不足を解消し、被害の早期復旧を実現する事業である。大手損害保険会社やドローン空撮パートナーを加えたビジネスモデルが、被災した家屋などの迅速な復旧につながる(社会課題解決につながる)として評価されたものだ。住宅分野においては、大手損害保険会社と共同で自然災害時の家屋修繕サービスや屋根・外壁施工Webサービスなどを提供している。同社は建築業界のDX(足場管理ソフト事業、施工管理ソフト事業など)を推進すべく2021年に設立された会社だ。テラグループは、資本金合計33.2億円、社員数合計460人で東京都渋谷区に本社を置く。今回、EV用の充電インフラの普及を電気工事により迅速な普及を目指す、本事業においては、サービス提供に向け、前述の災害復旧事業で培った全国規模の工事業者ネットワークが大きく貢献する形だ。Terra Moters㈱の「TERRA CHARGE事業」は、現在、日本において進むEV(電気自動車)の普及に欠かせない充電インフラを提供し、地球温暖化の原因となるCO2の排出の抑制するとともに、政府が2035年までの乗用車新車販売において、EV(電気自動車、HV、FCV)100%とする目標の実現を後押しする事業と言えよう。2030年までに設置されるEV充電器は15万基、うち12万基が普通チャージ、3万基は急速チャージとされる。政府(国と自治体)は、この施策を実現するため、助成金の支給を本格的に開始している。この助成金を活用し、EV用の充電インフラの設置にかかる初期費用を大幅にセーブする。同インフラの導入には、ノウハウを持つ電気工事会社との連携が必須といえる。EV充電設備自体の開発は進んでも、全国規模で迅速に工事を進めてゆくには、電気工事会社とのネットワーク構築が重要だが、これまでは、全国の電気工事ネットワークそのものが構築できていなかった。Terra Moters㈱が大手損害保険会社と連携し構築したネットワークには、現在647社の電気工事会社が参加しているとのことだ。EV用の充電インフラ普及のため電気工事ネットワークを提供する、Terra Moters㈱(資本金:1億円、本社:東京都千代田区)は、電気自動車向け充電インフラの構築の他、EV2輪・3輪の開発から販売までをカバーし、日本とインドを拠点に、日本、南アジア、東南アジア圏におけるモビリティ・プラットフォームを実現し、EV(電気自動車)の社会実装に貢献するとしている。日本では、諸外国に比べEVの普及の増加が緩やかである。政府の助成金導入や、環境に配慮する意識の向上から、EV購入を希望するユーザーは増加しているものの、購入に踏み切れないとの状況がある。新車購入時にドライバーのEV購入を踏みとどまらせる理由の一つには、充電に時間を要する点が挙がる。同社ホームページによれば、走行距離約100㎞に対し、20分の充電が必要になると言われ、ユーザーにEVを思いとどまらせる要因となっている。また、EV充電スポットの不足もEVを普及させる上で、障壁となっている。特に地方などに遠出した際、高速などを利用し、走行距離が長くなる場合など、充電スポットの密度が薄い状態であることも、ドライバーの心理的な負担となっていることも否めない。あるいは、自宅に充電装置を設置する場合、設置の意思決定に関する自由度は高いが、集合住宅(マンションやアパート、テラスハウス、タウンハウスなどの共同住宅や長屋を含む)になると、EV利用者や購入希望者は、EV充電設備の設置を望むが、ガソリン車の利用者には不要な設備であるため多いため、設置のための意思決定自体、或いは導入後の費用負担などの調整に時間を要するケースも多いと聞く。この結果として、集合住宅における充電設備の不足も課題の一つとなっている。EVの現在のバッテリー容量では仕事とプライベートで毎日車を利用するユーザーにとって、充電頻度は4日に1回程度となり、ガソリン車に比べ、補給頻度が高いことなどもネックとされている。他方、集合住宅などにおける管理組合側でも、充電設備の導入費が50万円~150万円と効果であることや、助成金の申請が煩雑である点や、先に挙げた管理組合内での合意の形成に時間がかかる点、導入後の運用負担が大きい(運用費用を受益者に負担する仕組みへの移行が出来ないなど)点などが、EV用充電設備の導入を妨げる要因となっている。Terra Moters㈱の「Terra Charge」では、集合住宅に住んでいて、充電設備がなく困っているユーザー向けには、専用モバイルアプリを提供し、最寄りの充電スポットの検索機能を提供したり、アプリ上から充電の開始や充電の途中での終了、充電終了後の決済までをカバーできる。また、集合住宅を管理、導入費用の合意形成に困っている管理組合向けには、EV重電機器の購入費用を軽減する助成金サポートを行うとともに、設備費+工事費をTerra Moters㈱が負担、実質無料での導入を可能としている。合意形成が出来た後は、EV充電器へIoT機器を設置、専用アプリでクラウド管理し、ユーザーの支払い管理までをサポートする。同社による現地調査後に、見積りも作成される。設置工事は、管理組合から駐車場での充電設備の設置を同社が請け負い、同社のEV充電器と、クラウド一括管理を行うためのIoT機器を設置する。充電器設置後に、居住者に専用アプリでの充電時間の予約を提供、課金を行うことも出来る。同時に管理組合では、ユーザーの利用履歴を確認することも出来るようになる。EV充電器を設置したが、受益者負担に移行できず困っているという管理組合などには、状況のヒアリング(EV充電器の設置台数、利用状況など)の後、受益者負担にスムーズに移行できるプランを提案、理事会などで合意形成後、同社がIoT機器を無料設置し、居住者にはアプリを通じて使用料を直接決済するなどのサービスを提供している。Terra Moters㈱の「Terra Charge」は発表から2週間程度とのことだが、全国の大手マンション管理会社やマンション管理組合より、多数の問い合わせが来ているとのこと。現在、EVの充電機器設置の問題を抱える集合住宅関係者の多さ、充電機器の設置を望むユーザーの多さを物語る反響と言えよう。今後の同社の活躍に期待したい。
無人の自動運転タクシーが交通違反。パトカーが止めるも警官とまどう 他
4月14日 去る2月28日(月)~3月18日(金)まで、富山県では日頃、マイカー・バイク等で県内の事業所・学校に勤務や通学する方を対象に、マイカーに依存した生活を見直し、エコや健康づくりにもつながる公共交通等の利用を一層促進するため「とやまノーマイカーウィーク」が実施されている。*土日、祝祭日を除く。期間中はトヨタのスマホアプリ「my route」でデジタル乗車券「とやまノーマイカーウィーク限定きっぷ」が販売され、県内の一部を除く公共交通機関)が90分間乗り継ぎ・乗り降り自由となっていた。この取り組みにより、マイカー利用者が、期間中に1日以上、公共交通、徒歩、自転車等により通勤・通学することを取組みの内容としている。「とやまノーマイカーウィーク」に参加するには、事業所や学校単位で県のホームページから申込用紙をダウンロードしてもらい、参加申し込みを行い、スマホアプリ「my route」をダウンロードして、会員登録を行うものとし、参加当日にデジタル乗車券を「my route」で購入、乗車前に「利用開始」をタップする流れとした。鉄道では乗降時に乗務員や改札口の駅係員にアプリ画面を提示、バスの場合は乗車時に乗務員にアプリ画面を提示することとした。この取組みに参加するために必要となる「とやまノーマイカー限定きっぷ」は、期間中、公共交通機関を利用する際に、富山地方鉄道㈱が販売事業者となるスマホアプリ「my route」から、クレジット決済により購入する方式とした。販売価格は破格と言える150円として、利用当日に購入してもらい、購入当日のみ利用可能、払い戻し不可としている。但し、利用時間は90分間となるため、移動できる距離は限られたものとなった。*降車する(または改札を出る)とき、90分の有効時間が切れていた場合は、乗車した駅・バス停からの運賃を払う必要ありとのルールだったため、バスを降車したり、電車から降りたりするときに、利用者はちょっとドキドキしたかもしれないことを想像すると微笑ましい。富山県を移動するいくつかのルートを鉄道で移動する前提で、この90分を考えると時間帯にもよるが、あいの風とやま鉄道の越中宮崎駅~富山駅は1時間20分程度、富山駅~石動(いするぎ)駅は35分程度、今回、JRは協力交通機関ではないが、JR城端線の高岡駅~城端駅は55分程度、JR高山本線の富山駅~猪谷駅は56分程度、富山地方鉄道立山線の富山駅~立山駅は1時間14分程度と検索できる。*検索はGoogle。この移動時間から考えると、90分という時間制限を考えれば、通勤や通学でこの範囲を乗り通す人は限定されると思えるので、十分な時間設定と考えられる。この取り組みに協力した公共交通機関は、あいの風とやま鉄道、富山地方鉄道(電車・バス)、加越能バス、万葉線、高岡市公営バス、射水市コミュニティバス、魚津市民バス、黒部市内路線バス、南砺市営バス、上市町営バス、立山町営バス、入善町バス、あさひまちバス(*高速バス、定期観光バス、富山地方鉄道特急電車、特急バス、コミュニティバスの一部路線は除く)。ちなみに利用区間は、乗降駅・バス停がともに富山県内である場合とされ、県外の駅、バス停への乗り越しは出来ないものとされた。ちなみに富山県公共交通利用促進協議会の作成した「とやまノーマイカーウィーク」のチラシを拝見すると、ノーマイカーの取組みがエコや健康づくりに一役買うことが出来るとして、二酸化炭素排出両比較グラフや、移動に伴う消費カロリーグラフ、経済性についての記載がある。この資料によると、2019年度の「二酸化炭素排出両比較」(単位:g-CO2/人キロ)は、鉄道が17、バスは57、航空(機)は96、マイカーは150となっており、鉄道やバスを利用することが環境に優しく、「移動に伴う消費カロリー」(出典:第6次改訂日本人の栄養所要量)を見ると、クルマでの移動は102(kcal)に対して、公共交通での移動は220(kcal)とされており、2倍以上のカロリー消費が期待できるため、健康にもいいとされ、さらに「公共交通は経済的」では、マイカー(1,000cc程度の車の場合)1日当たりの維持費は1,500円~2,000円程度、年に換算すると55~75万円程度の維持費がかかるため、電車・バスの方が経済的!と推奨されている。「とやまノーマイカーウィーク」を見れば、日本の地方自治体の環境対策や県民の健康増進の施策とも取れるが、これらの施策は世界でも進んでいる。日経トレンドの「世界で進む公共交通「運賃ゼロ革命」 環境配慮と移動喚起を両立」(2022年3月15日)でも紹介されているが、新型コロナウイルス感染症拡大の出口戦略として欧米で脚光を浴びる「グリーンリカバリー」と呼ばれる政策がある。公共交通の「運賃ゼロ」を実現することで、環境に配慮しながら、移動需要を喚起し、経済の活性化を狙う例も出てきているとのこと。オーストラリアでは、2021年より「気候チケット(KlimaTicket)」の販売が始まり、好評のようだ。実際にオーストラリアの(https://www.klimaticket.at/en/)を見てみると、チケットは「KlimaTicketÖ」と呼ばれ、オーストラリアの公共交通機関は、1枚のチケットでシンプルで安価。しかも、私たちの惑星の機構への貴重な貢献ができると謳われている。「KlimaTicket」は、「KlimaTicketÖ」を使うと、特定の地域(地域、地域間、全国)で予定されているすべてのサービス(公共及び民間の鉄道、都市および公共交通機関)を1年間使用できるとされている。但し、Waldviertelbahn、Wachaubahn、Schneeberbahn、Schafbergbahnなどの観光オファーには使用できない。同チケットはこれまでの全てのチケットに勝り、同時にこのチケットはパリの気候目標を一緒に達成することを目指す手立てであるとされ、公共交通機関はモーターを備えた個別の交通機関に変わる優しい交通機関だとされている。参加すればするほど、気候(変動の改善)に資することが出来るため「KlimaTicketÖ」はシンプルで手ごろな価格であると説明されている。「KlimaTicketÖ」に加えて、同国の公共交通機関は、気候にやさしい公共交通機関を確保するため、近代化と継続的な拡大を続けているとされる。連邦政府(の政策として)は地方、地域、および長距離輸送で提供される、益々高密度で快適な公共交通サービスに投資し、駅のモビリティ・ハブ(交通結節点)化、輸送ルートの更なる拡大に加え、都市部における地方(日本で言うところの都市近郊・郊外のことか?)及び地域輸送の発展のため、十数億円の資金を割り当てているとし、安価な「KlimaTicketÖ」(初回キャンペーン価格は年間約949ユーロ=約12万円、通常価格は1095ユーロ程度)を使用すれば、気候に優しい未来への投資となり、オーストラリアを通勤や旅行するすべての人が利益を受けられると結んでいる。この取組みは、気候変動(危機)への対策として「移動による温暖化ガス削減」と国民の移動コストの負担軽減、移動による「経済活性化」をかなえる政策として世界から注目されている。公共交通事業者の視点からは、新型コロナウイルス感染症拡大の切り札になるのでは、との期待感が伝わってくる。オーストラリアの人口当たりの自動車保有台数は世界第二位。一人当たりの道路延長は欧州の3~4倍、アジアの7~9倍、世界で3番目に一人当たりの燃料消費量が多いと言われる。この自動車大国(と言って差し支えないだろう)の鉄道システムは、市内公共交通機関(トラム等)、都市間鉄道、州間鉄道、州内・都市鉄道、鉱山鉄道、産業鉄道などで構成される。同じく自動車大国の日本では、11日にJR西日本が利用者が減少している地方路線の線区ごとの収支状況を初めて公表した。十分に現状把握が出来たら、次はその相方となる「打開策」が必要だ。但し、持ち時間は限られている。世界の潮流を取り込むとともに、官民一体となり「環境配慮型の経済活性化戦略」を考えを深めて見てはいかがか。
長野県小諸市にて、LINEと連携したMaaSサービスをリリース 他
4月13日 長野県小諸市で4月16日(土)から、日本初のDXによる情報発信とMaaSによる新交通とを組み合わせた社会実験「縁JOY!小諸」が始まる。小諸市は「多極ネットワーク型コンパクトシティ」の理念に基づき、小諸駅を核として都市機能の集約(コンパクトシティ化)を図り、中心拠点に生まれる新たな魅力の発信と、市民や観光客の回遊の促進を目指している。「多極ネットワーク型コンパクトシティ」とは、医療や福祉施設、商業施設や住居等がまとまって立地するエリアを中心拠点として形成し、周辺部の居住エリアである「生活拠点」との拠点間を結ぶ交通サービスの充実を図るもので、高齢者を始めとする様々な住民に対して、自家用車に過度に頼ることなく、公共交通による医療・福祉施設や商業施設等へのアクセスを容易なものとし、日常生活に必要なサービスや行政サービスが住まいなどの身近に存在する都市を目指す都市再生計画だ。この計画に参画するのは、全国で都市再生の支援に取り組む、「UR都市機構」と「㈱URリンケージ」だ。3者は、平成29年12月18日に「多極ネットワーク型コンパクトシティによる都市再生に関する基本協定」を締結、令和3年3月31日までを期間(*必要に応じて更新に関する協議を行う)と定め、この取り組みを行っている。中心となる小諸市複合型中心拠点誘導施設「こもテラス」は、同市相生町2丁目のスーパーツルヤ小諸店の敷地を中心としたエリア一体で、2021年8月に開館、交流施設、福祉施設、交通施設、商業施設を集約した施設で、地域の出会いや、語らい、ふれあいの場として機能する。このような流れの中で行われる今回の「縁JOY!小諸」は、まちなかの魅力的なスポットをDXで繋ぐことで、まちなかでの滞留と回遊の促進を目的とした社会実験だ。実施には「こもろまちタネプロジェクト」(小諸市、小諸商工会議所、こもろ観光局、しなの鉄道、JRバス関東、まちづくり小諸、㈱カクイチ他)で構想し、UR都市機構の支援で行われる。小諸市では、時期の重なる令和4年4月16日~11月末まで、「まちなかポップアップ&ゴーDX社会実験」も進める。この社会実験では、小諸市内外において、まちなかにおける"コト(取組)"と"モノ(施設や建物)"の情報認知の拡大を図るため、小諸駅や懐古園、こもテラスでの屋外デジタルサイネージによる情報提供(ポップアップ)を行い、デジタルサイネージと連動したポータルサイトによる詳細情報の提供、ポータルサイトからの経路検索としなの鉄道・市内巡回バスの周遊チケット電子版の発券・決済、情報通信技術を活用した人流の分析をDX型の社会実験として取組み、効果の検証と運営方法の検討などを行う。本社会実験では、小諸駅から市内の各方面を「新交通」(スマートカート「egg」、EVバス「こもこむ号」、しなの鉄道)に乗って周遊できる「北国街道巡回!カート周遊チケット」(無料)、「北国街道、布引観音方面巡回!」、「お得な1日フリー電子切符発売!『信州こもろパス』」の3つのチケット・パスが利用できる(令和4年4月16日(土)から毎週土曜日、ゴールデンウィーク中は4月29日、5月3日、5月4日も運行)。小諸市の主な交通結節点となる小諸駅は、しなの鉄道とJR東日本小海線の乗換駅でもある。長野~上田~小諸~軽井沢、小諸~小渕沢方面への移動が可能で、それぞれの路線は北陸新幹線とも接続しているので、首都圏からの玄関口になる。しなの鉄道の利用は、「お得な1日フリー電子切符発売!『信州こもろパス』」がおススメだ。市内の中心部を巡回する「北国街道・まち巡り便」、小諸駅と千曲川の西岸を結ぶ「布引観音・台地巡り便」は、EV(電気自動車)バス「こもこむ号」(一部、愛のりくん車両)が便利だ。利用料金は大人が500円、小人が250円となる。利用日は、2022年4月16日~11月26日の土曜日、4月29日、5月3日、5月4日も運行する。*2022年5月7日までは無料キャンペーン!(https://enjoy-komoro.jp/introduce/evbus/)があるので、ぜひ試乗してみたい。*「こもろ周遊チケット」ご利用の方は、ご利用できる日にちに制限があり。もう一つ。市内を散策する際、忘れてはならないのがEV三輪カート「egg」だ。「egg」は、小諸市中心部の運行ルートを時計回りに約10分間隔で巡回、運行ルート上なら、どこでも乗り降り自由だ。「egg」のおかげで食べ歩きの自由度が(笑)格段に上がる。「egg」の利用は、LINEアカウント「こま~す」の「チケット購入」ページより、デジタルチケットを購入(※無料!)、カートの運転手に提示すればO.K.だ。利用日は2022年4月16日~5月28日の土曜日、4月29日、5月3日、5月4日となる。*「こもろ周遊チケット」ご利用の方は、ご利用できる日にちに制限があり。「新交通」で市内を移動するため LINE公式アカウント「信州こもろ・こま~す」で、お得なチケット「バス・カート周遊チケット」や電子切符「信州こもろパス」を購入しておくと、まちなかの店舗や施設で行われるイベントやスタンプラリーに参加できる。ちなみに4月16日(土)~5月29日(日)まで開催される「スタンプラリーキャンペーン」で、市内の施設や店舗をめぐって、各所でQRコードをアプリの「スタンプラリー」で読み込むとスタンプが貯まる。5個貯めると、市立小諸図書館に設置された素敵な景品の当たるガチャ(カプセルトイと呼ばれる抽選式の玩具購入方式)を1回利用できる。レトロ感を醸し出す遊び心が嬉しい。スマホアプリ「LINE」を使った「信州こもろ・こま~す」は、地図で市内の観光スポットの情報提供を行ったり、徒歩での経路検索や電車・バス・カートなどのモビリティの複合経路検索をしたり、地図上でバス・カートの現在地の確認、カートに乗車する場合は、カートの乗車人数確認をすることが出来る。また、しなの鉄道(軽井沢~上田間)、EVバス「こもこむ」で使える電子ケットの販売を行うとともに、各スポットに設置されたQRコードを使ったスタンプラリーなども楽しめる。複合的な小諸市の社会実験が並走する同市にとっては重要な時期だが、観光客の目線からはこの社会実験は「楽しいゴールデンウィークの小諸観光」となる筈だ。詩情あふれる高原の城下町、信州小諸の観光を愉しみつつ、実験の成功を祈りたい。
4種同時実証!大阪、自動運転車や配送ロボをミックス 万博に向け 他
4月12日 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は4/11に「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/自動運転(システムとサービスの拡張)/協調型自動運転のユースケースを実現する5.9GHz帯V2Xシステムの通信プロトコルの検討」に係る実施体制の決定について、を発表した。自動運転社会の実現には、分合流地点における自動車間での調停など自律センサでは認知できない周辺環境の把握が必須、これを可能にするV2Xシステムについては、5.9GHz帯の電波を用いる流れが国際的な動向として主流になりつつある。本事業では、協調型自動運転の実現に向け、5.9GHz帯の電波を用いるV2Xシステムの導入に係る課題解決及び検討を加速するため、その導入に必要となる通信プロトコルを含めた無線機の仕様の案出(実施予定先は沖電気工業、日本電気)を目的としている。採択委員側は内閣府をはじめ、総務省総合通信基盤局、電気通信大学、慶應義塾大学だ。内閣府の「SIP第2期自動運転(システムとサービスの拡張)中間成果報告書」(第2章 交通環境情報の構築と活用)によれば、交通環境情報とは、その中で大きく交通環境情報の生成に係る技術と、同配信にかかる技術に大別されている。各研究課題(タイトル)と参画企業は次のようになる。①交通環境情報の生成に係る技術については、「交通環境情報の活用とロードマップ(トヨタ自動車㈱)」「インフラ協調型自動運転のための信号情報提供技術(V2I)の開発(住友電気工業㈱、日本信号㈱、パナソニックシステムソリューションズジャパン㈱、オムロンソーシアルソリューションズ㈱、一財)UTMS協会)」「車両プローブによる車線別道路交通情報に係る技術開発(パシフィックコンサルタンツ㈱、㈱三菱総合研究所)」「車両プローブ情報を活用した高精度3次元地図更新の開発(ダイナミックマップ基盤㈱)」②交通環境情報の配信に係る技術については、「協調型自動運転のための通信方式の検討(概要)(マツダ㈱)」「狭域・中域情報の収集・統合・配信に係る研究開発(㈱NTTドコモ、パナソニック㈱、住友電気工業㈱、沖電気㈱)」となる。これらの研究課題の中で、5.9GHz帯に言及があるのは、マツダ㈱の「協調型自動運転のための通信方式の検討(概要)(マツダ㈱)」だ。それによると、協調型自動運転のコンセプトは以前より様々な企業、研究機関等により検討されて来た。この機能を実現するための通信方式についても、各地域で実証実験や標準化活動を通じて検討が行われている旨が書かれている。日本においては、既に実用化され安全運転支援に活用されているITS無線(ITS:高度道路交通システムは、情報通信技術を用いて人、道路、車両に関する情報を結び、それらを一体として構築したシステムを指す。安全や環境、快適・利便の目的に資する。VICSやETCのように渋滞解消や交通円滑化等に資するサービスが実用化されている。)を自動運転に拡張することが考えられるとしているが、その適用可否または「将来のあるべき通信方式」についての議論は個別には行われていると思われるが、日本としてまとまった議論となっていなかった、とある。SIPでは産学官が一堂に会し、自動運転の実現に取り組む体制が出来ていることから、この枠組み(SIP)を活用して議論することととした、とのことだ。2019年度に協調型自動運転通信方式検討TFを立ち上げ、3年計画で将来の通信方式の検討をスタートさせている。TFで、検討のベースとなる「通信を用いるユースケース」を定義し、その上で「通信要件の明確化と要件を満足する通信方式の検討」が行われている。ゴールとしては、「協調型自動運転に必要な通信方式の提案」と「それが必要になる時期」を明記したロードマップの策定を目標とする、としていた。背景として、自律型自動運転+インフラ協調型システムの組合せによる自動運転が構想・実現が期待されている中で、必要な通信に関しては様々な課題が挙がっており、日本では安全運転支援システム用のITS通信は実用化されているものの、協調型自動運転時代には、この周波数や帯域幅では不足であり、新しい周波数が必要となる。必要となる帯域幅や、欧米では、5.9GHzの電波がITS通信用に割り当てられているが、日本では760MHz帯、5.8GHz帯の電波を使用している。このため世界標準との乖離が懸念されるなどの議論はあるが結論が見えないとの状況があった。このため、SIPシステム実用化WGでは、2019年度より協調型自動運転通信方式TFを立ち上げ、3年計画で通信方式の検討を始めていた。TFの目標と達成計画としては、目標を「協調型自動運転のあるべき姿、実現までのロードマップを描き、国際標準も考慮しつつ、ALL JAPANとして最適な通信方式の方針を固める」とし、ゴールとしては協調型自動運転に最適な通信方式を提案すること、通信方式の変化点のロードマップを描くこととしていた。通信方式の検討の手順は、①そのような機能、性能を持つ協調型自動運転の想定、②協調型自動運転の具体的なユースケースの決定、③ユースケースに基づく通信要件のまとめ、④通信要件を満足する通信方式を考える、とした。検討手順に基づいて、TFの活動は、フェーズ1として、協調型自動運転の定義と対象の明確化、ユースケース選定、フェーズ2では、前述のユースケースを実現するための技術要件、通信要件の調査・検討、現状のITS通信に適用した場合の課題抽出、フェーズ3では、課題解決のための通信方式の検討、妥当性の評価を行い、最適な通信方式を提案するとともに、通信方式のロードマップを策定するとして取り組むものとした。これらを達成するため、自工会や有識者、関係省庁、ITS情報通信システム推進会議、一社)電気情報技術産業協会、一社)UTMS協会、国土技術政策総合研究所、公社)自動車技術会などの体制も整えられている。ユースケースの策定については、選定の結果として25件が挙がり、合流・車線変更支援/信号情報/先読み情報(衝突回避)/先読み情報(走行計画変更)/先読み情報(緊急車両回避)/インフラによる情報収集・配信/隊列・追従走行/遠隔操作など分類を行っている。これらを協調型自動運転定義ごとに整理し直すと、①車載センサー検知外情報の入手が必要なケース(合流・車線変更支援/信号情報/先読み情報の衝突回避、走行計画変更、緊急車両回避)、②自車が保有する情報の提供が必要なユースケース(インフラによる情報収集・配信)、③車車間及び路車間の意思疎通が必要なユースケース(合流・車線変更支援/隊列・追従走行/遠隔操作)に整理される。通信要件は、ITS情報通信システム推進会議(ITS Forum)の協力を得て進められており、同フォーラムではユースケースを通信の切り口で再整理、5つのカテゴリーに分類している。カテゴリーは「合流車線変更支援」「先読み情報・衝突回避支援」「信号情報/隊列・追従走行」「先読み情報:走行計画変更」「インフラによる情報収集・配信」とされた。前提条件としては、SIP協調型自動運転ユースケース(2)で示された情報だけでは不十分年、更に詳細なユースケースシナリオの検討を行う必要があるとして、検討の前提条件として高精度3次元地図情報の保有や通信遅延、通信品質の定義を明確にし検討を開始している。シナリオ検討については、ユースケースに類似した技術検討や実証実験等を実施している研究団体より、情報収集した上で、検討対象となる道路の最大車線数、想定車間距離、速度条件、最大加減速条件など、道路や自動車の基本的な条件設定を行っている。個々のユースケースに求められる通信エリア、通信対象台数を想定した上で実際の自動車の動きや必要な情報項目(メッセージ)を決めている。また送信元と送信先とのメッセージのやり取りを一連の送受信シーケンス(要求車、路側インフラ、受入/応答車間のメッセージの流れを表す図)にまとめている。メッセージについては、通信要件のうち大きな要素を持つものとして通信量がある。前述の送受信シーケンスでやり取りするメッセージとデータ量を定義している。取り扱われる情報要素としては、共通情報として、メッセージID、インクリメントIDまたは情報更新時刻、路側管制情報、路側機ID、合流起点情報、道路番号、走行車両数となっている。また位置情報(走行車両数で変動)として、車両ID、車両位置(緯度、経度、高度)、走行車線、走行速度、車両長さ、合流起点到達予定時刻、センサ情報取得時刻、情報信頼度などが挙がる。通信要件としては、ユースケースごとのシナリオ、メッセージデータ量、要求遅延時間、要求通信品質などの諸要件から通信要件をまとめ、今後これをベースに通信方式の検討を行うとしていた。今後の検討については、各ユースケースに対する通信要件がまとまった後、すでに実用化されているITS無線(狭域通信)やモバイル通信(広域通信)への的要件等を通し、課題抽出を行うとしている。さらに上記のフェーズ3では、課題解決のための通信方式の提案と、それが必要とされる次期を明らかにしたロードマップを策定し、これにより将来を見通し協調型自動運転に必要な電波リソース確保の準備を行うことが出来るとしている。日本では、総務省が令和3年11月15日に「周波数再編アクションプラン(令和3年度版)の公表」により、令和3年9月14日~10月13日までの間、周波数再編アクションプランの意見募集を行った結果、107件の意見が提出されている。これらに対し、総務省は「考え方」を併せて公表している。総務省が発表した具体的な取組の中で、同省は、V2X [5.9GHz]については、自動運転システム(安全運転支援を含む)の進展・重要性を踏まえ、既存のITS用周波数帯(760MHz)に加えて、国際的に検討が進められている周波数帯(5.9GHz帯)において、同周波数帯の既存無線システムに配慮しながら、V2X用通信を導入する場合に必要となる既存無線システムとの周波数共用等の技術的条件について、令和3年度末までに検討を行うとしており、またその検討結果を踏まえ、同周波数帯へV2X用通信を導入することとなる場合には、既存無線システムの移行等により必要な周波数帯域幅を確保した上で、令和5年度中を目処にV2X用通信への周波数割当てを行うとしている。
自動運転中の責任はメルセデスに! テスラのオートパイロットを凌駕する「自動運転レベル3」を搭載した「Sクラス/EQS」がまもなく本格始動 他
4月11日 経産省は4月5日に発表した「令和3年度「スマートモビリティチャレンジ」事業の成果と今後の取組の方向性について」の参考資料として「新たなモビリティサービスの社会実装に向けた知見集」を作成している。本欄では、昨日より資料中において紹介されている課題とユースケースなどをダイジェストでご紹介している。本日はその続編となる。資料では、サービス提供に携わる主体が参画して、教育や育成も含めて事業の継続性を維持したり高める仕組みとして、全国的な知見を有する主体も参画し、新しい取組の構想・実証が推進されていると伝えられ、今後は教育・育成も含め、地域の自走に向けた体制・仕組みの構築が課題であるとしている。これらの活動には、関連事業者(交通事業者、商業施設等の地域事業者)の巻き込み*や、交通行政に福祉部署を巻き込み(社会保障費削減分を充当するビジネスモデル)、産学官連携(公共交通事業者等参画企業以外に、地域の核となる自治体や大学に実証主体として参画してもらう)などの取り組みも紹介されている。*但し、旗振りは行政が行い、具体的なデータ利活用方法が想定できない地域事業者が多いため、実際のデータや分析結果を"見せる"ことで事業者の協力を促す必要があるようだ。利用者と事業者の密な協働関係を通じた行動様式・実態への理解については、実証前の段階で、インタビューを通じて利用者像を洞察して、事業者のサービス構想と整合性を確認、実証後に当初の狙いが達成出来ていたかを振り返ることが重要であるとされている。これは、地域の交通事業者でも利用者ニーズを熟知しているとは限らないことが挙げられている。利用者の移動範囲や頻度がサービス提供者の想定とは異なるケースや、住民同士の関係性に対する意識が、サービス提供者と住民で異なっていたなどの事例が発生したことから、留意が必要と言える。データにおける把握がし辛い部分だが、サービス構築に際しては、サービス提供者と利用者の「心理的作用の理解」は必須だ。このため、資料では初めから長期の実験を実施するのではなく、実証実験を複数フェーズに分割し、PDCAサイクルを設けることで、住民の移動実態や地域の社会特性を実験計画に反映できるとしている。新たな試みを多くの利用者が認知し(関心を持ち始め)、体験に進む(実証サービスを利用しようと思っている)環境の醸成については、住民同士の声掛け、住民によるサービス設計への関与が実証実験への参加を促進しており、今後はその経験が継続的な利用(実証サービスの利用/利用の維持)に貢献するかどうか、住民参加型のデザインがモビリティサービスの社会受容性向上にも有効であるかなど、更なる検証が求められる。需要創造や費用圧縮等の検証したい条件を再現する実験計画については、複雑な介入による行動変容等の効果を検証する実験は、難易度が高いものの、適宜外部専門家との連携を行うことで、限られた準備期間でも効果的な検証が可能になるとしている。(沖縄県北谷町の「北谷観光MaaS」:那覇空港周辺の混雑度等を情報提供することによって、空港周辺でのレンタカー利用からその他の交通手段の利用へ観光客の行動が変容するか検証した)この実験の検証命題は、待ち時間等の混雑情報を可視化したものをダイナミックに提供し、レンタカーから公共交通への移動手段の転換を図ることであったが、有識者による視察・意見交換を通じた地域への「アドバイス」が実施されている。当初は待ち時間に関する混雑情報を提示する介入を計画していたが、待ち時間の発生が見込みにくいため、介入方法を道路混雑等の混雑情報を提示する形に変更、さらに道路混雑情報をWebサイトに掲載する方法に修正、Webは受動的で閲覧実績が把握できないため、確実に事前告知が可能な情報提供手法を整理したところ、地域側のチーム内で調整・検討した結果、業務上リアルタイムで更新される情報を告知することが難しいという結論に至り、リアルタイムではなく、混雑情報の過去トレンドを予測値として提示する形になった。これらの議論を経て、最終的に実験では2019年度の日・時間帯別の混雑情報を記載した資料を配布し、目的地周辺店舗でレンタカーを借りた人が空港周辺店舗で返却する割合を検証する方法を選択することで、実験費用や時間を節約し効果的な検証を実現している。資料では、地域内外のリソースを活用して実情に適したサービス像を模索する協働関係の仕組みについても言及している。多くの自治体や事業者が「地域課題」と「解決策の模索・提案」に悩みを持っており、解決に向けては課題相談や関係者間の交流・マッチングを促す場の創出が求められることも明らかにされた。これらについては経済産業省と国土交通省による合同プロジェクトである本プロジェクトの推進母体である「スマートモビリティ推進協議会」におけるシンポジウムやイベントを通じ、地域・事業者の交流やマッチングを行っていることなどがアピールされており(2022年3月末時点で加盟数は329団体)、また民間側では、MONET Technorogiesの「MONET LABO」(自動運転社会に向け、モビリティを通じた社会課題の解決と新たな価値創造を目指すMONET Technorogiesでは、700社近い企業で構成されたMONETコンソーシアムの運営と100を超える自治体とMaaSの実現に向けて協議が進められており、その一環として「MONET LABO」という事業共創プログラムを実施している)。資料の最後となる、地域の交通課題の継続的な解決に向けた組織的な体制では、(現在の)自治体目線では、交通課題とデジタル技術の可能性への理解・浸透は十分でなく、関心を高める必要があるとしている。一手法として、来期は意欲ある都道府県との協業も視野に入れるとのメッセージが印象的だ。国としては、全国各地で起こる少子高齢化や公共交通事業者の経営環境の悪化、交通の担い手の人手不足、免許返納による移動弱者への対応などへの対応に迫られ、自治体との足並みを揃えたいところだ。反面、自治体によっては生活課の職員1名が地域の交通を管轄せざるを得ない状況で、実証実験のための十分な組織体制が整えられない地域や、マッチングを行っても「進め方が分からない」「財源がない」などの理由で事業が進まないといった地域の事情があることも十分認識している。だからこそ、本資料で「スマートモビリティ推進協議会」や「MONET LABO」という共創の場を示し「まず、相談して欲しい」との呼びかけをしていると感じる。本資料には、その懐も厳しく人的余裕もない地方自治体でも、地域の交通事情の改善に取り組むことが出来る珠玉の「知見」がたくさん詰まっている。ぜひ目を通していただきたい資料だ。
Newモビリティーの自動運転、挑む採算性の壁 他
4月8日 経済産業省は、4月5日に「令和3年度「スマートモビリティチャレンジ」事業の成果と今後の取組の方向性について」を発表、令和3年度に各地で行われたMaaS普及のための実証実験やスマートモビリティチャレンジ推進協議会での取組などから得られた成果や課題を取りまとめ、地方自治体や事業者などへの取組の参考として「新たなモビリティサービスの社会実装に向けた知見集」を作成した。まとめられた資料は資料1~3(*1には参考資料1~3、資料2は-1と-2に分かれる)となり、内容も非常に豊富だ。取り纏めに携った関係者のご苦労を思う。コンソーシアムの面々は、野村総合研究所、産業技術総合研究所、日本工営㈱となる。経産省の肝煎り事業「スマートモビリティチャレンジ」は、先進パイロット地域やデータ利活用事業を通じて、有望なアイデアを開拓したり、地域への伴走支援を通じ地域の経験不足を補いつつ、各所の悩みや足踏みの原因を探って来た。各地域の新モビリティサービスに対する経験値の高まりに伴い、本事業では様々な支援を講じて来た。初期にはMaaSに関心を持ち取り組もうとする地域などへの声掛け、構想と実証の段階では地域に対し適した実証取組を設計できるよう、先行的な知見を可視化したり、単発の取組みに終始せず、将来の実装を意識した検証命題や実験計画を促すなどし、実装の段階においては、住民や事業者の支持が得られつつ、継続的にサービス提供が可能な事業モデルの構築、各地と協働して、サービスの実装に向けた環境構築や関係者間の理解の醸成を推進する等、様々な取組みを形にして来た。3年目に突入する本事業は、広域連携や複数主体・サービスの統合、車両改良等の地域の変革は着実に後押ししながらも、関係者間で事業リスクを共有する仕組みのあり方は今後の課題としている。これに対し資料中では、利用者の料金負担や当該サービスの利便性が釣り合った事業とするため、収支バランスが取れ、利便性向上に寄与することが期待される(今期の採択地域で創出された)ユースケースを(成果として)紹介している。①その一つは三重県6町連携による「移動診療」(詳細については別資料「地域新MaaS創出推進事業での取組」参照)だ。*「三重県広域連携スーパーシティ構想」。②また他の手法としては、企業シャトルバスに加え、スクールバスも行政サービスに集約した形での交通サービスの受容性・事業性を検証した「共同輸送」(佐賀県基山町)や、③旅客バスを改造し、マルシェ機能の付加による収益多角化・向上効果の検証をした「移動販売」(北海道帯広市)などの事例も挙がる。同省は新しい取組を進める上では、官民が住民・自治体・事業者間に存在する、公共交通の費用感、維持負担に関する認識の乖離を理解した上で、サービス設計を行うことが重要だとしている。資料は、関係者に新しい公共交通が提供し得る「価値」と「限界」を体験・認知してもらうことが、現状低水準・安価なサービスを志向している自治体・地域住民のイメージを変化させ、認識の乖離を狭める、地域においては公共サービスとしての交通を受益者(交通機関利用者や商店等)負担以外の手法(自治体の補助金等)で支えるという共通認識は存在するとしており、一方自治体の負担割合に関しては意向に違いがあり、乖離を埋めるには税金以外の収益源創出が(課題解決の一つの)手法として考えられるとしている。資料は、新モビリティサービスが持続するためには、自治体と地域住民などが一丸となり「収益源の創出」を検討して行かなければならないことを示唆しているものとも思われる。実交通に留まらず、他分野(異業種やデータ基盤)との連携を図る事業モデルにおいては、物流・福祉分野との連携では全体の車両稼働率向上が検証できたため、展開地域の拡大が今後の課題となり、加えて広い分野でのユースケースの創出が求められる。「旅客×福祉」連携では、高齢者・障碍者の移動・外出時において、福祉・交通双方の両面からアプローチした実証(福祉事業者の車両共同利用による送迎の共同化・オンデマンド相乗り)を実施、コスト削減効果・外出機会の創出を目的とした検証を行い、18.2%車両の稼働率が向上、2台/1日の車両台数の削減、外出意向が6割との結果を得たが、今後の社会実装に向けては業界や管轄を超えた関係者間の協力や社会課題解決に向けた意識統一が必要との課題もある。「旅客×物流」連携では、物流事業者が抱える非効率配送地域の配送を地場のタクシー事業者等にアウトソースする受給マッチングを提供するサービスをユースケースとして、サービスプロトタイプを構築、物流と交通の既存データの組合せによる移動・物流の両需要を賄う走行経路を算定できるモデルを構築するとともに、人口規模(3万2千人)で約6,400人分以上の貨客混載需要を担保できれば、事業採算性が確保できる可能性が高いことを確認したとしている。今後の社会実装に向けては、収益モデルに合致する具体的な地域の探索・具体事業者との協働が出来れば、社会実装に近づくとされる。*(詳細については別資料「地域新MaaS創出推進事業での取組」参照)。*三豊市のケースは、物流事業者が抱える非効率配送地域の配送を地場の交通事業者にアウトソースする受給マッチングが構築されたが収支バランスが取れない、上記で言う「限界」を示した事例と言えるのかも知れない。しかし、本取組から得られた貨客混載需要と事業採算性のバランス値は、まさに体験から得られた「知見」と言え、様々な努力の末、これらを創出した関係者を高く評価したい。三豊市においても、同省の更なる伴走をお願いしたい。異業種連携のもう一角、データ基盤との連携においては、データ取得の容易さや一部の分野におけるデータ基盤の活用可能性を机上で確認できたため、今後は現場の実情や制約を考慮した活用策の具体化が課題となる。「スマートモビリティチャレンジ」では、令和3年度の採択地域やデータ利活用事業の取組みも紹介している。うち一つは「データ基盤の活用可能性机上検討」とされ、過年度までの活動で有望視された物流・エネルギーに着手、データ基盤が創出する価値の検証を行っており、令和3年度は過去の受発注実績をもとにデータ基盤を活用した最適解を算出し、実績との乖離(=効果)を確認した。サービスのプロトタイプイメージでは「自家用車で個別に走行した場合、126.5kg-CO2の排出となる150トリップに関して、本サービスではデマンド交通による輸送の最適化計画を行い、合計走行距離を算出し、稼働台数6台、通常車両運行の場合は、計86.9kg-CO2の排出(▲31.7%)、EV車両運行の場合は計56.0kg-CO2(▲55.7%)となることを確認」などの記載がある。今後の課題としては、多くの場合マーケット情報はダイナミックに変化するため、現場で実際に活用できるようなデータ基盤のあり方を深堀するする必要がある、物流やエネルギー分野への適応可能性は引き続き検討が必要としている。また、もう一つは「データ取得拡大に向けた受容性検証」として、パーソナルデータ(個人属性、移動履歴、クーポン閲覧、利用実績)の取得拡大に向けた受容性を検証している。データ提供の見返りとして利用者が好む還元策を、インセンティブの有無、大証、活用方法を変更したいくつかのユースケースに対する意向を調査することで(受容性を)検討している。今後の課題としては、今期はMaaSアプリから取得可能なデータに限定されたため、今後は幅広い購買行動や、他事業者が保有しているデータ(金融・ユーティリティ等)の入手方法の継続的な検討が必要などとしている。(続く)