自動配送ロボットが次のフェーズへ!2022年4月の自動運転ラボ10大ニュース 他

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4月29日 神奈川県藤沢市に「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」という街がある。1961年に松下電器産業が初めて関東に進出した際、建設した藤沢工場の跡地を活用した新たなまちづくりとなる。スマートタウンという領域では、先行して静岡県裾野市に建設中のトヨタ自動車(ウーブン・プラネット・ホールディングスグループ)の「Woven City」(ウーヴン・シティ)を起草するが、生い立ちが松下電器産業であるPanasonicは、藤沢の地でどのような「まち」を実現しようとしているのか?調べてみた。かつて冷蔵庫の専門工場としてその名を馳せたFujisawa工場。その環境は自然に恵まれ、公園工場としてもよく知られていたという。2008年当時、パナソニックは宇都宮工場(液晶テレビの生産拠点)に車載用ディスプレイなどの工場を拡充し、藤沢工場の生産を取り込むことが決まった。工場撤退後もパナソニックと藤沢市の双方は、パートナーシップを実現できる方法を模索、結果多くの人々が居住でき、様々な施設を誘致、藤沢を再び活性化出来る可能性を持つ「まちづくり」という道を選択することとなった。2010年11月には、藤沢市と同社は基本構想で合意し、環境やエネルギー、安心・安全に関する街の目標を掲げ、約19haの広大な土地の新たな街づくりに取組むこととなった。藤沢市も環境行動都市のモデルプロジェクトとしてグローバルに発進すべく、地域連携を含むプロジェクトの推進に協力。9社と1市のパートナーシップの下、2013年のまち開きを目指し(実際は2014年4月)、新しいまちの開発に向け開発事業者、メーカー、サービス事業者が一体となり、マスタープラン段階から開発後の運用までを見据えた、総事業費約600億円、1,000世帯規模の街づくりが推進された。「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」の用地は、大きく高齢者施設、公園・道路、集合住宅、戸建住宅、商業施設に分かれる。パナソニックの先端技術を起点に、パートナー企業と8つのサービスが展開されることとなった。このプロジェクトのオーナーはパナソニックと、パナホームである。地域連携推進役には、藤沢市が腰を据えた。タウンコンセプトは「生きるエネルギーが生まれる街」。2013年3月には、タウンマネジメント会社「Fujisawa SSTマネジメント株式会社」が設立されており、17社1協会(2014年時点)によるFujisawa SST協議会を中心にスマートタウン・サービスの開発が進められた。町の住民向けに提供されたサービスは8分野、エネルギー(エネマネにより、町全体の創エネ・省エネ・蓄エネのベストミックスを提案)、モビリティ(環境に優しい交通手段をコミュニティ全体で共有)、セキュリティ(街丸ごとでさりげない防犯や見守りサービスを提供)、ヘルスケア(日々の健康管理から理美容までをサポート)、コミュニティ・プラットフォーム(通信サービスと住民向けサービスポータルを提供)、ファイナンス(不動産から環境設備の購入まで家計を支援)、アセットマネジメント(緑や公園や街路灯を管理し、資産を維持・向上する)、クラブサービス(*エコライフを啓発・促進するため住民交流の場を提供する)となった。プロジェクトオーナー以外に参画した企業は、アクセン、オリックス、住友信託、東京ガス、日本設計、三井不動産、三井物産となる。街には、様々な施設も建てられていく。街づくり拠点「Fujisawa SST SQUARE」、商業施設「湘南T-SITE」、健康・福祉・教育施設「Wellness SQUARE南館」、次世代物流センター「Next Delivery SQUARE、」」、健康・福祉・教育施設「Wellness SQUARE北館」などが建設されていく。街のコンセプトである「生きるエネルギーが生まれる街」には、様々なエネルギーが含まれる。「太陽という生きるエネルギー」「安心という生きるエネルギー」「行動というエネルギー」「健康という生きるエネルギー」「つながるという生きるエネルギー」がそれである。どれも大切だが、本稿では、先に上げた「Woven City」(ウーヴン・シティ)との違いを際立たせるため、「太陽というエネルギー」、自然エネルギーと「創エネ・蓄エネ・省エネ」などの先進技術のハイブリッドによって自産自消のエネルギーマネジメントに注目してみたい。藤沢市は東京から約50キロの地点に位置し、神奈川県においては県の中央南部に位置する。横浜市、鎌倉市、茅ヶ崎市、大和市、綾瀬市、海老名市、寒川町に囲まれ、南は相模湾に面する。土地柄はおおむね平地と言ってよい。東海道線に乗れば、東京まで約50分、横浜市までは約20分だ。「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」は、災害に強く環境負荷の少ない再生エネルギーを、暮らしの主役に据える。太陽光発電等を最大限活用し、自産自消(自分たちで使うエネルギーは、可能な限り自分たちの家でつくる)をキーワードとしたエネルギーサービスを提供するとしている。街の戸建住宅は約600世帯。すべての家に①太陽光発電システム、②蓄電池ユニットを配している。さらに家庭内のエネルギーをマネジメントする③「スマートHEMS」(*HEMS:ホームエネルギーマネジメントシステム)で、自産自消を実現している。目指すのは、エネルギー効率を最大限高めた「自立共生型のエネルギーマネジメント」だ。戸建住宅は、オール電化タイプと燃料電池タイプが用意され、暮らしに合わせたエネルギーニーズに対応する。戸建住宅には「創蓄連携システム」も導入され、太陽光発電システムや、蓄電池、家庭用燃料電池を「エネファーム」が連携させる。家でつくったそれぞれの電気を使い分けし、なおかつ余剰電力を売電に回すことも出来る。各家庭の「創蓄連携システム」は、将来的には「個」が「共生」し、町の各施設の「BEMS」(ビルエネルギーマネジメントシステム)とも連携させる。この「群」はやがて街全体の「CEMS」(地域エネルギーマネジメントシステム)と接続され、「自立共生型のエネルギーマネジメント」を成す。これらのシステムを活用することで、街と住民が一体となり、節電に取組むことが出来るという次世代のエネルギーライフを実現する。また、街には相模湾からの海風や太陽光を街の隅々に行き渡らせる「パッシブ設計」が採り入れられている。この「パッシブ設計」によって、風や光、水や熱などの自然の恩恵を無理なく取り入れる。この考え方は古くからある日本家屋の藁ぶき屋根の知恵に倣ったものだ。街の構築物(街路樹やガーデンパスと呼ばれる家々の間の生活道路)のレイアウトは、「風の通り道」を考慮して設計されている。住戸同士は、「タウンデザイン・ガイドライン」により、互いに太陽の光を遮らない街づくりがなされている。これにより太陽エネルギーがベースとなった創電・蓄電・省エネ機器による、アクティブ(積極的)なエネルギーマネジメントの効率を最大化している。そしてパッシブ(自然の恩恵の享受)とアクティブ(積極的なエネマネ)が、互いの性能を高め合い、街の住民に快適でエコな生活を提供している。この街では、見えないものが見える(と言っても、超自然現象のことではない)。むしろ極めて科学的に考えられた「スマートHEMS」や「BEMS」によって、個×の住宅はもちろん、街の全ての電気を「見える化」している。これらを家族構成や電気の使用状況などの情報をもとに、エネルギーに関するアドバイスを行うサービスも実施されており、電機の使い過ぎを抑制したり、売電したい家庭にも役に立ち、環境と家計の双方に貢献している。スマートハウスHEMSにより、住宅の家歴情報、家電機器情報、住人属性情報などがエネルギ情報(HEMS)を介して、街全体の「見える化」サーバに集約される。これらの情報は、住宅購入の動機付けや、入居後のライフスタイルの提案により、スマート機器の更新(買い替え)・賢い使い方の浸透を継続して行ってゆく。ハードウェア更新の促進により、常にスマートな家・設備・暮らしの状態が持続されるという。また東日本大震災の経験から、被災時の電力の重要性が見直され、被災時であっても電力供給を止めない仕組みづくりが行われている。「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」では、非常時でも明かりが灯る家で生活を営むことができる。携帯電話やタブレットなどの情報ライフラインや、EV、電動アシスト自転車といったモビリティに関する電力の確保も可能だ。これにより電力が街の復旧までの活力源となることが想定されている。街の戸建住宅には、太陽光発電システムと、蓄電池だけでなく「エネファーム」*も制御できる「創蓄連携システム」を導入するとしており、停電時でも太陽光で作られた電力と「エネファーム」が発電する電力の両方を活用できるため、より安定した電力の供給が受けられる。これにより給湯も利用できるようになる。その他にも、エネルギーマネジメントによって、あらかじめ設定された照明や冷蔵庫、テレビなど必要最低限の設備機器に電力を供給し続け、非常時にもエネルギーを絶やすことがない。*エネファームは、パナソニックの家庭用燃料電池の名称。エネルギーをつくるファーム(農場)という意味の造語。水素と酸素でエネルギー(電気とお湯)を同時に作ることが出来る。暮らしに必要なエネルギーを、効率よくおトクに「自産自消」できる。また、この街の公共用地には「コミュニティソーラー」が設置され、非常時は電力系統に電力を供給を支援させ、平時には地域全体の低炭素化に貢献させる仕組みだ。この設備は街の住人だけでなく、非常時には周辺地域の住民の「非常用コンセント」として開放するとしている。また太陽光発電を備えたユニット・システムは、移動が簡単にできるため、将来体には分散型の再生エネルギーとして多方面での活躍も期待される。街のセントラルパークに建設された「コミッティーセンター」には、太陽光発電システムや蓄電池も整備されており、電線の地中化や、耐震性に優れた中圧ガス導管を使用する等、街全体に災害時を想定したハード面の備えを構築している。これらのハードを非常時に有効活用できるよう、住民は10世帯~20世帯ごとに一つの共助グループをつくり、タウンマネジメント会社が、企画する季節のイベントや、防災イベントに参加し、交流を深めながら結束力や連携力を高めるといったソフト面での取組みも見逃せない。「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」では、パナソニックが4月15日に「保安要員なし」の小型低速ロボットを使用した自動配送サービスの道路許可を取得したと発表、今後街以外への展開も想定し、自動配送サービスの実用化に向け、取組みを進めてゆく。近い未来、この街にさらに新しい風景が加わりそうだ。街では、「Fujisawa SST見学ツアー」も開催している。JR藤沢駅よりタクシーで約15分、バスなら藤沢駅北口の2番バス乗り場から、約15分程度とのこと。藤沢市にお立ち寄りの際には、心地よい海風に吹かれながら、このスマートタウンを散策してみるのもおススメだ。*アイコン画像は宅配ロボットのイメージです。

そろそろ本気?グーグルが日本の「MaaS」をのみ込む日 他

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4月28日 昨日は、国内における「標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)」および「GTFSリアルタイム」活用の草創期から、今回2022年3月の一社)社会基盤情報流通推進協議会(AIGID)による「GTFSデータリポジトリ」構築、試験運用までの流れについて、その概要についてお話した。本日はその続編となる。「GTFSデータリポジトリ」に登録されたデータは、国土交通省データプラットフォーム上で検索・表示・ダウンロードできるようになった。検討会では、有識者や県、民間事業者など多様なメンバー参加のもと、公共交通分野のデータ横断的活用の実現に向け、「国土交通データプラットフォーム」と連携して公共交通データを掲載・利用するためのAPI仕様検討や開発が行われている。これにより、簡単にはAPIを介した交通情報提供や交通分析等の活用が可能となる。*リポジトリは直訳すれば倉庫や金庫のこと。データの一元管理や世代管理(過去、現行、次期)、API配信などを行う。具体的には(「GTFSデータリポジトリ」の構築により)県や事業者等のデータ作成者はダイヤ改正時などに伴い、更新されるデータを「GTFSデータリポジトリ」に登録することが出来るようになる。「GTFSデータリポジトリ」は登録されたデータの提供情報を解析し、現在日時から相対的に、現在ダイヤ、次期ダイヤ、過去ダイヤを自動的に判定する。APIでデータを検索及び取得する際、現在有効なGTFSデータ、もしくは過去及び将来有効なデータを指定して、単一のURLでデータ取得が可能となる。①これにより、データ利活用者は、現在及び過去・将来の交通情報をデータ分析に活用することが可能となる。②また、乗換案内サービスなどのコンテンツプロバイダーは、ダイヤ改正後に有効となる交通情報を事前にシステムに取り込み、遅延なくサービス等に反映するといった利活用を見込むことが出来るようになる。「GTFSデータリポジトリ」のAPIを活用した事例として、GIS*を用いた交通分析システムが挙げられる。㈱MIERUNEは、GISオープンソフトウェアである「QGIS」のプラグイン(拡張機能)として、GTFSデータを可視化する「GTFS-GO」を開発・公開しているが、同プラグインは、GTFSデータを地図上に可視化し、バス停の表示や路線の色分けが出来、非常に便利である反面、利用者がPCに「あらかじめ保存したファイル」を選択してGIS上に取り込む必要があるなどの手間があった。そこで、この度「GTFSデータリポジトリ」のAPIを用いた連携機能を、同プラグインに追加した。これにより、GIS分析を行う利用者は、事前にデータを収集し、PCに保存することなく、「GTFS-GO」上の画面で「GTFSデータリポジトリ」に登録されたデータから、必要なデータを選択し、可視化することが出来るようになった。*地理情報システム(Geographic Information System)は、地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術。今回「「国土交通データプラットフォーム」」と「GTFSデータリポジトリ」のAPI連携を実装したことにより、「GTFSデータリポジトリ」に登録された、現在有効なGTFSデータ(バス停、経路、バスの動き)を、国土交通プラットフォーム上で、検索、表示、ダウンロードを可能となった。「国土交通データプラットフォーム」では、その他様々なインフラデータ(国土に関するデータ、経済活動に関するデータ、自然現象に関するデータ)を横断的に検索や可視化を行うことができる。今後も、各種データとAPI連携し、データ連携を順次拡大していく予定としている(*国土交通データプラットフォーム:https://www.mlit-data.jp/platform/index.html)。前述の東京大学生産技術研究所の伊藤昌毅氏は、この度発足した一社)「日本バス情報協会」の代表理事に就任した。協会設立の狙いは、世界的に見ても信頼性が高い日本の公共交通機関のデータの整備や活用を進めるためとしている。いまや公共交通機関の利用者の多くが、米グーグルなどの地図アプリで経路検査kサービスを使っているが、データの用途は経路検索に限らない」とし、信頼性の高いオープンデータとして様々な用途に活用する「ワンソース・マルチユース」を実現するとしている。現状は、同じ公共交通事業者の運賃データでも、運輸局への届け出や、運賃収受システム、運賃案内向けで内容が異なるため、効率性に課題がある。公共交通事業者のデータをオープンデータとして活用するためには、ダイヤ改正ごとのデータ作成など、公共交通事業者がバス情報のフォーマットデータを継続して作成するのは難しい実態もある。バス事業者はダイヤ改正の前日の深夜にすべてのバス停の時刻表を人海戦術で貼り替えるなどの対応をしており、経路検索サービスへのダイヤ改正データの反映は大幅に遅れるケースなども見受けられる。このため、公共交通事業者や経路検索サービスなどの企業が協会に加わるメリットは、信頼性の高いデータを迅速に提供するノウハウを共有できる点にあるとした。その上で、日本の公共交通機関は運行時刻の正確さや柔軟な運行形態など、世界に誇れる特徴があるにも関わらず、(データが未整備のため)経路検索サービスに表示されなければ、地方の公共交通機関は(外国人の旅行客などに)その存在すら知られにくい。世界に情報を発信するためには、GTFSの国際組織がつくるデータ仕様に日本の交通機関のノウハウやアイデアを反映させる必要があると指摘、国際標準への参画が今後の課題だとしている。また、同協会の西沢明専務理事は、国内においては、現在、公共交通事業者が基本的に「紙」で提出している、国交省の許認可手続きにバス情報フォーマットのデータを流用できる必要性を説いている。今後、国交省の「国土交通データプラットフォーム」のデータ連携の進展や「日本バス情報協会」の活動に期待したい。

公共交通データの活用広げる 「経路検索超える価値を」 他

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4月27日 遡れば、2018年10月にヴァル研究所が公共交通機関情報のオープンデータ化事業を、㈱ビーグル―(愛知県名古屋市、コンピュータシステム及びモバイルソリューション企画・開発・販売等)と業務提携し、始めている。2社は同事業で「標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)」および「GTFSリアルタイム」のデータ作成、作成支援、活用方法の提案、「えきすぱあと」製品への取り込みなどを行うものとしている。「GTFS」は、公共交通機関の停車場所(駅やバス停)の名称や位置情報、路線名称、時刻、運賃等の情報を記述する世界標準フォーマット。2022年3月現在、全国のバスを中心に船、私鉄・路面電車を含め、473の自治体及び交通事業者が自治体オープンデータカタログサイト等を通してデータを公開している。公共交通の静的データの標準化については、「Google乗換案内」で採用されていた公共交通機関の時刻表と地理的情報に関するオープンフォーマット「GTFS」に準拠した「標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)」がある。同フォーマット(GTFS-JP)は、2017年3月に国土交通省がインターネットの経路検索におけるバス情報拡充のために定めたデータ形式を指す。また「GTFSリアルタイム」は、公共交通機関が、運行車両に関するリアルタイムの最新情報をデベロッパーに提供するためのフィード仕様とされる。「GTFSリアルタイム」のデータ作成は、ヴァル研究所グループのVISH(ヴィッシュ)株式会社*が提供するクラウド型のバスロケーションシステム「BUS CATCH(バスキャッチ)」や、ヴァル研究所が提供する位置情報の活用範囲を広げるロケーションサービス「SkyBrain(スカイブレイン)」を軸に展開された。*同社は現在も「BUS CATCH(バスキャッチ)」(バス位置情報サービス+施設の業務支援システム)の開発、販売、運用を行っている。その後も、バスの位置情報をリアルタイムに配信する「バスロケーションシステム」は全国のバス路線で提供されつつ、利用者の使い勝手の向上、様々な経路情報サービスへのデータ提供、ビッグデータを基に公共交通の改善が行われて来た。2018年当時、バスコンサルティング事業などを手掛ける㈱トラフィックブレイン(代表:太田恒平氏)が「日本モビリティ・マネジメント会議(JCOMM)」開催に合わせ、愛知県豊田市で「バスロケ世直し隊」を開催、全国のバス事業者やバスロケシステムの提供会社、経路検索サービスを提供するコンテンツプロバイダーや公共交通に関わる技術者や学術研究者が参加している。同社はこの場で、動的データの標準化・オープンデータ化について発表している。こうした動きに伴い、岡山市や神戸市、富山県、大分県など全国26カ所でこれらのフォーマットに準拠したオープンデータが公開され、「Google乗換案内」ではこれらの運行情報に基づいた経路検索が可能になった。「標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)」に「GTFSリアルタイム」を用いることで、バスロケとも連携が可能になり、この形式でバスの動的情報をオープンデータとして公開することにより、「遅延情報」を加味した経路検索や複数のバス会社の情報を一覧できるバスロケマップの構築が可能となった。前述の太田氏は、バス情報の動的データを、GTFSリアルタイムをベースに標準化し、標準フォーマットとして公開されたオープンデータを既存サービスで取り込む仕組みを、自治体やバス事業者が負担するのでなく、バスロケシステムの提供会社が標準で提供していく流れの必要性を説き、こうした機能を備えていることを補助金の要件にすれば、バスロケシステム提供会社の(開発の)動機付けになるとしていた。「バスロケ世直し隊」の太田氏は、㈱トラフィックブレインの代表を務めながら、同時に国交省が設置した「バス情報の効率的な収集・共有に向けた検討会」の座長も務め、東京大学生産技術研究所の伊藤昌毅氏とともに、データに基づくバス事業の近代化に向けて、国交省に提言なども行い、動的データの標準化やオープンデータ化の推進と、バスロケ補助金要件に標準的オープンデータの提供を追加するよう働きかけを行ってきた。当時「バスロケ世直し隊」の決起集会に参加したのは、バスロケシステム提供会社となる㈱リオス、バス会社でもある国際興行㈱(*ジョルダンと連携)、経路検索サービス提供会社となる㈱ヴァル研究所など。その後も「GTFS」は、2021年1月には岐阜乗合自動車が、YE DIGITALと西鉄エム・テックが共同開発したスマートバス停(クラウドサービス:「MMsmartBusStop」)などにも活用が広がっている。「MMsmartBusStop」にGTFSを取り込むことで、時刻表を自動生成することが出来るようになり、ダイヤ改正日にも自動的に改正後の時刻表がスマートバス停に表示されるようになっている。また、2021年4月には、新潟県燕市が燕市のコミュニティバスの実証運行において、運行事業者となる新潟交通観光バス㈱との間でデータの受け渡しを行うために、「標準的なバス情報フォーマット」を定めたり、広島県のバス協会が県内のバス事業者12社の「GTFS-JP」「GTFSリアルタイム」とを公開するなどの動きがあった。これらの流れの中、今回2022年3月には、一社)社会基盤情報流通推進協議会(AIGID)が、国交省のデータプラットフォームにバス情報等のGTFSフォーマットによる公共交通データを連携するため、県や事業者等と実証実験、検討会を実施したと発表、GTFSデータを一元的に管理する「GTFSデータリポジトリ」を構築し、試験運用を開始している(*2022年3月現在、「GTFSデータリポジトリ」は、試験運用中となるが、「API仕様検討やその試験利用を行う検討会」に参加する山形県は28件、富山県は26件、兵庫県は27件のGTFSデータを登録しており、またその他の自治体や事業者からオープンデータとして公開されているデータを約370件取り込んでいる)。(続く)

独アウディ、「自動運転時はハンドル格納」の方針変わらず 他

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4月26日 福岡県直方市において、新たなMaaS及びオンデマンド交通の実証実験が始まった。実施主体は直方市と伊藤忠テクノソリューションズ㈱となる。直方市は福岡県の北部に位置し、遠賀川に沿って開ける筑豊平野のほぼ中央に位置する。市の東側は、福智山山系で北九州市小倉南区と接し、西は宮若市、鞍手郡鞍手町と接している。南は田川郡福智町、飯塚市、鞍手郡小竹町と、北は北九州市八幡西区などに隣接している。東部には福智山とその支脈が、西武には六ヶ岳の丘陵が広がり、市域の中央は比較的平らな地域になっている。地域の中央には、彦山川、犬鳴川を集めた遠賀川が流れ、さらに下流となる遠賀郡芦屋町で玄界灘に注ぐ。市街地は遠賀川と筑豊本線に挟まれた地域にとなり、東部と西部は住宅地、南部は工業地帯、北部は農村地帯と言える。北九州都市圏に属し、市民全体の15%は北九州市に通勤・通学している。筑豊炭田に位置し、明治から昭和30年代までは石炭産業で栄え、筑豊地方の石炭集積地と問屋的役割を担う。エネルギー革命により、石炭産業は衰えるも、市内には大規模な炭鉱が少なく、鉱山労働者の比率が多くなかったこともあり、筑豊の他の市町村に比べると、閉山等の影響は少なかった。炭鉱閉山後は、市内に工業団地が造成され、鉄鋼業や機械工業が主力となり、近年は直方周辺に自動車産業の集積が進む。市内の公共交通機関は、JR九州の筑豊本線、筑豊電気鉄道、平成筑豊鉄道が走る。路線バスは西鉄バスとJR九州バス、直方市のコミュニティバス「なのはな君」が担う。コミュニティバスは、市から市民に向け、ホームページ上で「公共交通は乗らなければ、路線の維持が困難になり、路線の廃止や減便となってしまいます。環境保全のためだけでなく大切な公共交通機関維持のためにも、公共交通の「かしこい使い分け」への転換を家族や地域のみなさんで一緒に考えていきましょう。」と呼びかけたり、「状況によりジャンボタクシー車両ではなく、タクシー車両で運行することがある」との注意書きを添えるなど、運営側の苦しい台所事情も垣間見える。一方で、上頓野地区との直方駅を結ぶ、上頓野線などは「令和2年10月のダイヤ改正より、買い物時間を長くとることができるようになりました。」など、利用者を増やすため、関係者が手を尽くしている様子も伺える。高速バスは福岡市の天神と、特急バスは北九州市の砂津バスセンターと同市の直方バス停(旧直方バスセンター)を結ぶ。直方パーキングエリアには福岡市(天神)、北九州市(小倉*)、長崎市など、各方面へのバスが発着している。*西鉄バスの直方(特急)小倉線は2022年4月1日のダイヤ改正にて路線廃止となっている。この直方市で、2022/5/9~8/5まで「のおがたMaaS」実証実験が行われる。予約受付時間は、スマホ(24時間)/電話は8:00-17:00まで。電話予約とスマホアプリを利用した予約とが利用出来、さらに鉄道・バス・オンデマンド交通を含めた経路検索ができる。また、オンデマンド交通(予約制乗合タクシー)は、同市内の上頓野(かみとんの)、畑(はた)・永満寺(えいまんじ)の2エリアとの移動で利用できる。運行時間は、平日(土日祝日は除く)午前8時~午後5時まで、予約受付時間は前述の通りである。運賃は、大人1回300円(*小学生以下と障害を持つ方は150円)/人となるが、2022年5月9日~5月13日は「無料でお試し利用」ができる。この実験で運行されるタクシーは3台(車体には「のおがたMaaS」のステッカーが貼られる!)。運行協力は、MGタクシー株式会社、有限会社スタータクシー、直方タクシー有限会社の3社、サービス協力は、イオンモール直方、ゆめマート頓野店、ハローデイ直方店となる。オンデマンド交通については、対象エリアとなる上頓野(かみとんの)、畑(はた)・永満寺(えいまんじ)のエリア内での自由乗降が出来る規則だが、(おそらく移動の需要が見込まれる)「特別乗降地」としてエリア外となるイオンモール直方と道目木バス停(西鉄バス路線)付近、頓野郵便局前付近でも乗降可能とした。*但し、予約された方以外の利用は出来ないのと、乗降場所の双方を「特別乗降地」に設定することは出来ない点には注意が必要だ。アプリの経路検索の対象は、福岡県を通る鉄道各路線、直方市を通るバス路線とオンデマンド交通(*上記の対象エリアのみ)となる。この他、市民の利用を喚起するため作成されたチラシには、聞きなれない「オンデマンド交通とは?」が設けられており、「みなさまからの予約内容に応じて随時経路を変えながら運行する、予約制乗合いタクシーです!サービス提供エリア内であれば、(一部の例外を除き)ご指定の場所が乗降場所になります!まずは、「のおがたMaaS(マース)」で生き方を調べてみてください!!」などの、市民、とりわけシニアの方々にも分かりやすい説明が設けられている。また、同チラシの「オンデマンド交通ご利用についての注意事項」には、特別乗降地点から特別乗降地点への移動は出来ない、特別乗降場所でも停留所は設置されていないので、迎えの車を利用者自らが見つける必要がある点、自宅前でも呼び鈴と腕の呼出しはしないので、必ず屋外で待って欲しい、時間が来たら、利用者が乗車していない場合も出発する、原則、予約した場所以外での乗り降りは出来ない、交通事情等により、予定時刻より遅れることがある点、これにより乗り継ぎなどが出来ないケースも生じる場合がある点、上記の運賃説明、遅延による返金はない点、キャンセルは電話、もしくはスマーフォンアプリから実施して欲しい点など、未然に運営者と利用者間のトラブルを回避できるよう、予めオンデマンド交通を利用する上で起こりがちな注意点がまとめられており、さながらMaaS利用初心者、オンデマンド交通利用初心者向けに、よく練られた「便利手帳」的な機能を持たせている。伊藤忠テクノソリューションズ㈱は、川崎市とともに同市多摩区生田エリアで令和4年2月28日~4月28日まで、地元のタクシー会社となる生田交通㈱の車両を活用、生田山の手自治会(交通問題推進協議会)の協力を得て、オンデマンド交通の実証実験「トライアル shotl 生田山の手」を行っている。ちなみに本実証実験については、運行時間を平日8:30~15:30とし、運賃は、大人、乳児、小人一律で1回300円/人(現金のみ利用可)とし、2月21日~25日(8:30~15:30)は、お試し利用期間(無料)とし*、2月28日よりご乗車先着1,000名様に生田駅周辺のお店で利用出来る100円割引券をプレゼントした。*予約開始は、2月21日としているため。今回、伊藤忠テクノソリューションズ㈱は、直方市と情報システム開発を手掛ける連携協定に基づいて実証実験を行っている。二つの実証実験を機会に、今後地方創生におけるMaaSの現場においても、同社が存在感を表す機会は増えるのだろうか。同社は「明日を変えるITの可能性に挑み、夢のある豊かな社会の実現に貢献する。」という使命のもと、先進のITソリューションを組み合せ、お客様のデータ活用や施策を追求していくとともに、社会課題の特定や解決に努める」とした上で、「本実証実験を通じて、地域交通の活性化につながるアイデアや施策を追求して行くとともに、全国にある同様の課題を持つ地域の解決につながるサービス展開を図って行く」としている。株式会社ダイヤモンド社のデジタルメディア「ダイヤモンド ZAi」(https://diamond.jp/zai/)によると、国土交通省の「国土交通白書 2020」では、2030年には、MaaSの国内市場は約6兆円に、2050年までには、世界市場が約900兆円にまで拡大するとの調査結果もあると記載されている。伊藤忠テクノソリューションズ㈱は、タクシーを活用した「オンデマンド交通」に関する実証実験を行いつつ、DX(デジタルトランスフォーメーション)やクラウド、5Gなどの事業を展開している、などとも解説されている。「のおがたMaaS」の進展とともに、同社の今後の動向も見守って行きたい。

日産、30年までに全新車に自動運転 事故回避へ新技術 他

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4月25日 自動車、産業車両のダイハツ工業は、4月22日に福祉介護・共同送迎サービス「ゴイッショ」の販売を開始した。同社の「ゴイッショ」は、主に地方自治体を対象に、通所介護施設の送迎業務の共同化をベースに開発した地域の高齢者の移動や暮らしを支援する移動サービスを言う。日々の送り迎えや、お出かけ、お届けものなど、人とモノの移動をもっと気軽に、そうすることで新しいつながりや体験が生まれ、一人一人の毎日がいっそう輝き出す。人が集うことで、地域全体がさらに輝いていく。「地域の想い」が「チカラ」となり、そこにある「資産」を活かし、「助け合う」ことで、今よりもっと豊かな地域になるという、この新モビリティサービスは、どのようなサービスなのだろうか。同社のホームページをひも解くと、「ゴイッショ」の仕組みは、現在、通所介護事務所が単独で行っている送迎業務を「外部の団体」に集約し、地域一帯で運行する共同送迎サービスだと説明されている。さらに「地域の課題に合わせたサービス」を追加することにより、地域移動を支援する仕組みを目指すとしている。各地域における通所介護事業所における現行の送迎スタイルは、各事業者が送迎用車両を保有し、施設の職員が送迎を行う形態が多いようだ。現場への負担やトライバーの人材不足に加え、地域全体で見ると「送迎ルートの重複」が起きていることがあるという。「ゴイッショ」を導入した場合、これらをどのように変化させて行くことができるのだろうか。サービスの導入をした場合、デフォルトで提案される送迎スタイルは、介護現場から一部の送迎業務を切り離し、外部の団体に集約してもらうことで、各事業所の送迎を地域で助け合いながら運行していくかたちになるようだ。その上で「地域の課題に合わせたサービス」とは、このような共同送迎に止まらず、送迎の空き時間を活用して、例えば、利用者のスーパーマーケットへの買い物や、子供が学習塾に通うための送迎、給食サービスを必要とする方への食事の配達、または食料品・生活用品の配達など、それぞれの「地域ニーズ」にあった人の移動や、モノの配送サービスを組み合わせることが出来、柔軟なサービス提供ができるシステムを表している。この共同送迎サービスを成り立たせるには、地域の通所介護事業所、その利用者、自治体などの連携や協調が必要だ。今まである意味、同じ地域・経済圏において、競合であった事業者同士が、利用者や地域のために「ひと肌脱ぐ」必要が出てくる。しかし、この三者が個々に持つ「チカラ」を集めることで、通所介護事業所は、職員の負担を軽減し、人材不足を補いつつ、利用者に今まで以上に高品質なサービスの提供が可能となる魅力は大きい。また、自治体としても市民の暮らしが、より良いものに変化していくことで、住みよい街づくりにつなげることができ、地域に人が集まるキッカケ作りとともに地域の活性化も期待できる。利用者である高齢者やハンディキャップを持つ方々に加え、子育て中の家庭も、この移動サービスの恩恵を受けることができるようになる点は見逃せない。そして、この三方良しの仕組みを成り立たせる核に「ゴイッショ」が必要となる。このような新しいサービスを住民に届けるため、同サービスは自治体向けの導入メニューも提案している。「ゴイッショ」の導入サポートメニューとして、初年度は主に調査や検討が行われる。初年度以降は、社会実装に向けた準備や、本番となる実装のサポートなどがある。調査・検討については、①介護施設送迎における人手不足や送迎に由来する課題を把握、先ずは共同送迎サービスの需要を調査し、②次には送迎の共同化による効果のシミュレーションを行い、自治体などが実証実験を検討する場合は、実験の企画や推進、検証、報告までを一貫してサポートする。③そして、本共同送迎サービスを基盤に、地域に住む高齢者の移動課題の解決に向けた「ゴイッショ」の活用方法の検討をサポートする。初年度に行われる調査・検討の後、社会実装に向け前準備や社会実装が必要との判断になった場合も、初年度以降に、④運営フロー、マニュアルの構築支援、ドライバーへの介助・接遇研修など、運営に必要なノウハウを提供、サービス体制を構築する支援を行う。⑤また、自治体などと介護施設との送迎に関する諸条件の調整・交渉や、運行開始に向けた地域交通事業者との調整・交渉についても支援を行うとする。多大な工数が掛かる段階に、第三者による「合意形成のための支援」は、実装を促進する貴重な助けとなるに違いない。ダイハツとしても、腕の見せ所だ。⑥社会実装前の準備としては、「共同送迎運行管理システム」の提供、「福祉有償運送資格」取得に関する業務支援など本番運行が適正に実施できる環境を整えて行く。⑦自治体に「ゴイッショ」が導入された後も、参加施設や運行区域の拡大に向けた取組みや、他のサービスとの掛け合わせなど、発展的な取組みの検討もサポートされるので、導入する団体の安心感は高い。ちなみに「共同送迎運行管理システム」は、複雑な送迎計画の作成や運行管理を支援するクラウドシステムのことを指す。複数の施設、複数の利用者からの予約受付や、介護領域に特化した独自のアルゴリズムによる最適なルーティング、運行団体、介護施設、ドライバー端末の情報連携などを行うシステムのことを言う。https://www.daihatsu.co.jp/goissho/ の香川県三豊市での取組み事例(2020年11月から実証事業を開始)を見てみよう。実証は同市において、令和3年11月~令和4年1月まで実施されている。実証の運行地域は三豊市内の市街地および山間エリアであり、参加したのは通所介護事業所5施設と、利用者62名だ。実証前の調査結果では、市内の75%の施設が共同送迎に賛同していたようだ。令和3年度の実証結果によると、実際に実証によるサービスを行ったところ、参加した職員の93%が業務負担低減を実感したという。また、同実証においては、デイサービス利用者となるご本人やそのご家族の方々の9割が本格参加を受容したという。送迎業務としては、平均で75分/日が削減され、車両台数は共同送迎により、約20%削減(*令和2年度実証結果)されている。山下昭史市長は、「地方に行けば行くほど自動車に対する依存度は高い。結局、人は日々の生活の中で移動しないと豊かさを実感することが出来ないと思い、MaaSに着目。介護施設の業務はどこかで限界が来る。共同送迎することで、大きく時代が動く。地域の困りごとを嬉しさに変えていく。」との声を残している。同市の社会福祉協議会の事務局長である滝口氏は「三豊市全体で少子高齢化・介護職員の人手不足が顕在化する中、地域を持続させる手段として共同送迎に着目。車両やドライバーの空き時間を活用した移動支援・生活支援は、社協として取組む大きな意義がある。」としている。施設の管理職や職員の方からは、「共同送迎があることで、職員が施設に残ることが出来る。受け入れ準備や掃除が効率よく出来た。施設送迎の計画作成も簡単になった。受入対応が手厚く出来た。夕方は事務作業に時間をあてられた。レクリエーションを考える時間を作れたのもよかった。運転が苦手な職員もいる。車のメンテナンスも含めてお願いできて良い。介護人材の確保に課題を感じている。職員の採用コスト、送迎車両の維持コストの負担は非常に大きい。共同送迎は、これらのコスト削減に加えて、地域の移動に貢献できるということで参加を決めた。」など、好評・支持が得られているようだ。ダイハツ工業は「少子高齢化」や「地域活性化」といった社会課題の解決に向け、「いくつになっても自由に移動ができ、快適に暮らせる社会」を、地域と連携して実現することを目指し、「コトづくり」の一環として福祉介護領域における新たなモビリティサービスの取組みを進めている。その一つが通所介護施設における送迎業務の効率化をサポートする「らくぴた送迎」である。2018年からサービス開始し、既に全国200個所の介護施設で活用されているという。同社は「らくぴた送迎」で培った知見をもとに、地域内の複数の介護施設における送迎業務を外部に委託することで、負担軽減を図り、共同化することで効率の良い送迎を実現する新たなモビリティサービスを開発した。この香川県三豊市の実証実験から、送迎車両を2割削減するなど、顕著な効果が確認できたことから、全国の地方自治体を対象に、この福祉介護・共同送迎サービス「ゴイッショ」の販売に踏み切ったという。昨今、施設内でのクラスタ発生など、日頃の業務に輪をかけて複雑化し・危険度の高い業務をこなさなくてはならなくなった地域の介護施設。加えて、高齢者において緊急度の高い病院間の移送などにも、余力を温存しておく必要があろう。本サービス、一見の価値ありと見るがいかがだろうか。

電動キックボード免許不要、自動運転「レベル4」解禁へ 改正道交法のポイントまとめ 他

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4月22日 今年2月に北海道の函館エリアで、内閣府が推進する「戦略的イノベーションプログラム」の一環として、セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンの3社は各社の物流センター、店舗への横断的な共同物流の実証をしたことは記憶に新しい。昨年度は同じ実証を東京都の湾岸エリアで行っている。実証実験の内容は、配送センター間の物流の共同化、買物困難地域の配送の共同化であった。物流の共同・効率化により、買物困難者への対策、フードマイレージの削減、運行トラック数の減少、温暖化効果ガス排出量の削減を目的としていた。ファミリーマートは2020年2月に「ファミマecoビジョン2050」を策定、「CO2排出量の削減」「プラスチック対策」「食品ロスの削減」の3つの分野で数値目標を設定している。「プラスチック対策」の観点では、プラ製のカトラリー(お弁当などを購入する際に提供されるスプーンやフォーク)の取り扱いを集約する実証実験を始めるなど、環境への取り組みを強化している。また同社は、昨年6月から「大盛 明太子スパゲティ」など4品のパスタ商品の容器をバイオPP(ポリプロピレン)*に変更し、関東地域から順次導入している。*バイオPPは農作や、食品業界における廃棄物や残留物、廃食用油など再生可能な原料を利用した、バイオマス資源を原料とするポリプロピレンのことを言う。同社は、同じく昨年11月に長崎県対馬市に漂着した海洋プラゴミを原材料の一部にした買い物かごを東京都や埼玉県、千葉県、新潟県、三重県などの店舗に順次導入し、既に導入済みの長崎県と福岡県と合わせ、計28店舗で展開を始めた。そのファミリーマートが、4月19日に「LUUP」と資本業務提携契約を締結した。これにより両社はファミリーマート店舗への電動キックボードのポート設置を加速させるとともに、マーケティング面などでも全面的に協業を開始、地域の利便性向上、活性化を目指すとしている。ちなみにファミリーマートの国内店舗数は、16,571店舗(海外店舗数は、8,200店舗)。これらがポート化されることとなれば、環境目標に沿いつつ、ラストワンマイルを網羅可能な、一大交通インフラ網が築かれることとなる。「LUUP」は、「街じゅうを「駅前化」するインフラをつくる」をミッションに、電動・小型・1人乗りのマイクロモビリティの短距離移動のためのシェアリング事業を営み、現在は、東京や大阪、横浜・京都において小型電動アシスト自転車と、電動キックボードのシェアリングサービスを提供している(*電動キックボードのシェアリングサービスは、新事業活動計画が、規制所轄大臣の同意を得て主務大臣に認定されることを条件に実証実験として実施している)。モビリティの発着点となるポート数は、2022年3月現在、850個所とされる(同社集計による)。これまで、基本料金50円+1分あたり15円(税込)で予約や決済はアプリ一つで行って来た。同社のポートのオーナー(マンション、オフィスビル、宿泊施設など)となる場合も、空きスペースを収入源に転じることができることや、入居者の満足度アップにも効果があり、自動販売機2台程度のスペースがあれば工事不要で設置が可能と、非常に手軽であり、かつ導入費用や維持コストがかからない。モビリティへの充電・保守などは同社が行うため、ポートのオーナーの手間はないと好条件だ。ベーシックなポートの導入ステップは、同社ホームページからの申し込み、その後同社による現地確認がある。設置作業は20分ほどで行われ、通常作業後1週間以内に運用が開始される。*同社ホームページによると、エリアによってはすぐ設置できない場合があるとの注意書きがある。4月19日に電動キックボードの公道での走行ルールなどを盛り込んだ道路交通法の改正案が衆議院で可決され、成立した。改正道路交通法施行後の電動キックボードは、最高時速が20km/h以下等、一定要件を満たす電動キックボードが「特定小型原動機付自転車」という新しい車両区分に位置づけられることとなり、16歳以上であれば、免許不要で乗車が可能となる。ヘルメットの着用は任意とされた。走行可能な範囲については車道に加え、普通自転車専用通行帯、自転車道の走行が可能となる。「LUUP」は今後の事業展開について、①新しく整備されるルールに則り、車両とサービスの開発・改善を継続、②新たなルールが整備されるまでの期間、ルールの周知に向けた啓蒙活動に注力する、③これまでの安全性の検証のための実証実験から、今後は地域の課題を解決するための実証実験とし、「日本全国の地方都市や観光地へ」展開エリアを拡大する、④現行のシェアリングに加え、新しい保安基準に適合する電動キックボードの販売事業への参入の検討を行う、⑤代表の岡井氏は「マイクロモビリティ推進協議会」の会長として、関係省庁や自治体との連携を引き続き行っていくことを表明している。今のところ、EVほど深刻な給電スポットの普及・展開にさらされることはないのかも知れないが、ポート普及速度や保守・回収、多様な決済方法など、新たな課題が出てくることは否めない。しかしながら、これまでも様々な実証や関係省庁との交渉をコツコツと重ねて来た、同社や「マイクロモビリティ推進協議会」の努力は大いに賞賛を受けて良い。今回、全国展開するコンビニチェーンという、よき旅の道づれを得たことは、様々な意味で大きな進展だと感じる。「地域の公共交通を担う移動サービス」として、今後も続けて利用者の安全や、決済バリエーション等のサービス改善、公共交通との連携等の議論を先導し、深化させていただきたいと願う。*アイコン画像は電動キックボードのイメージです。

自動運転中のテレビ視聴はOK イギリスが交通規則を変更へ 他

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4月21日 全国各地の自治体や公共交通事業者においてMaaSの導入が進む。この動きに追随し異業種からの参入も相次ぐ。この度「沖縄MaaS」に参画した、マーケティング・ソリューション事業を営む、CCCマーケティンンググループもそのような企業の一つだ。一般に「TSUTAYA」や「T-POINT/T-CARD」の印象が強い同社が、「公共交通」にどのように携わろうとしているのか、その動きを追ってみた。今回はその2回目となる。CCCマーケティンググループのホームページを拝見すると、「地域共生」の言葉が掲げられている。同社は「地域・市民価値」の高い豊かな暮らしの創造を目指し、地域の課題を最先端の技術を駆使、これらの解決を図ろうとしている。現在自治体で進むスーパーシティ、スマートシティの取組みについて、同社の持つ「Tポイント」で獲得・蓄積した膨大な「ユニークデータ」をオープン化し、地域や市民の価値を高め、豊かな暮らしを創造して行くとしている。その実証の場として「会津若松スーパーシティ」に参画し、オプトイン方式で官民データの連携を図る。会津若松のモデルケースを地域共生につながる日本のモデルに昇華、「Society5.0」の達成に貢献するとしている。平たく言えば「民間プラットフォームサービス」と「マイナンバー」を掛け合わせる共通基盤を築き、その上で都市OSを動かす構想だ。この共通基盤上で動く都市OSにより提供されるサービスは「共通サービス」と「地域サービス」だ。共通基盤サービスは、前述の会津若松以外のどの街でも利用が可能な共通サービスであり、市民から自治体への多様な申請や、納税などに用いることが想定されている。また、地域サービスは、反対にその地域独自のサービスとなり、この領域には医療や「交通」が含まれる。利用者(市民)はどの地域でも同じ操作性(UI/UX)を享受することができる。会津若松のスーパーシティ構想は、令和3年4月16日に同市が国の「スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する公募」に応募したことに始まる。会津市の資料「スーパーシティ型国家戦略特別区画の指定に関する提案内容 オプトインによる共助型分散社会の実現」を掻い摘んでみると、課題としては人口減少、少子高齢化による、医療費や介護費の支出の増大、高齢化率の上昇に伴う要介護・要支援指定者の増加などがあり、生産年齢人口の減少と相俟って地域行政の継続が危ぶまれている点にある。同市はICTの活用により市民生活の利便性向上、企業誘致などの手を打ち、一定の効果が上がっているとする。しかし、全国の地方の共通課題を根本的に解決にあたっては、首都圏一極集中の限界を認識し、構造改革が必要であるとする。具体的には自助・共助・公助の考え方を地域で共通認識とし、地域産業基盤の強化のための地域産業DXとWell-bing(幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態)を実現する市民生活のDXを市民や企業、地域の三者が手を組んで実現する必要があるとする。同市はスーパーシティ化を通じた「オプトインによる共助型分散社会」を実現し、で維持たる時代における地方創生のモデル都市となり、全国の地方創生に寄与することを目指すとしている。会津若松市の提唱するスーパーシティ構想の概要は、過去10年間取り組んできた「スマートシティ会津若松」の取り組みの踏襲し、伝統・歴史・文化・景観などを生かしながら、オプトイン&パーソナライズによる人間中心かつ市民同士が信頼関係でつながるデジタル共助社会を構築するとともに、分野横断型の地域経済基盤を強化する地域産業DXとWell-beingを向上させる市民生活DXを地域プラットフォーム上に実現する地域全体のDXにより、様々な分野や多様な利用者を意識した包括的かつ包摂的なデジタル化を図り、利便性・持続性等を向上させるブラウンフィールドでのスーパーシティを推進することで真の地域創生を実現する、というものだ。この取組みにより、市民は、モビリティ、フィンテック、教育、ヘルスケア、エネルギー、食・農業、観光(インバウンド)、ものづくり(Industry4.0)、防災、行政などの分野で具体的なサービスを享受することになる。「私どもは、データ中心でどれだけ社会に貢献できるのかということを定めるために、「UNIQUE DATA, SMALL HAPPY.」というミッションを作りました。会津若松スーパーシティ構想では、会津若松の市民の皆様が、自分のデータが自分のためにちゃんと利活用されて、便利さや便益を直接得ることが出来る社会が実現されます」CCCマーケティング株式会社 代表取締役社長の北村和彦氏の言葉だ。会津若松市では市民の9割の支持を得たという「会津若松スーパーシティ構想」で大事にされたのは、自分のデータを社会に役立てる「オプトイン」という考え方だ。市民自らが住まう会津若松という街がよくなって行くため、市民自らが自分のデータ(UNIQUE DATA)を使い、そして個人にパーソナライズされてフィードバック(SMALL HAPPY)されていかない限り、個々人の行動変容は起きない。データ活用の本当の意味は、行動変容にあるという。(アクセンチュア・イノベーションセンター福島 センター共同統括マネジング・ディレクター 中村 彰二朗氏)だ。参考までに「会津若松スーパーシティ構想」の推進体制を紹介すると、プロジェクトの責任者には、市長である室井氏が立ち、アーキテクトとして全体を統括したのが、アクセンチュアの中村氏だ。アドバイザーとして参画したのは、会津大学の岩瀬 次郎氏(ICT・デジタル)、JTQ㈱の谷川 じゅんじ氏(都市空間デザイン)、慶應義塾大学の宮田 裕章氏(ヘルスデータサイエンス)、北欧研究所の安岡 美佳氏(Well-being/海外知見)。事業推進・実施主体には、市と会津大学、一社)スーパーシティAiCTコンソーシアムと関係団体、企業としてはアクセンチュア(観光・ヘルスケア・行政)、凸版印刷(教育・食/農業)、ソフトバンク(防災)、バンブージャパン(廃棄物)、SAP(ものづくり)、その他TIS(決済)、三菱商事(モビリティ)、パナソニック(地域活性化)他が参画している。前述のCCCマーケティング株式会社の北村氏は、行動変容を促すためには、具体的なデータというファクトに基づいて「生活提案」につながる良いレコメンドを(サービス提供側が)して行くことが大切とし、加えて良い提案を市民に提供して行くためには「官民のデータ連携」が必然となるとしている。現在いろいろなサービスのプラットフォームを国や地域が作っているが、そこに参画するかどうかは市民の皆さん次第です。国や地域は共生することは出来ない。市民自身がデータ連携やオプトインに対する、また家族や街の未来への意識を変えてゆくことで、子供や孫の時代を変えることができる。CCCマーケティンググループが会津の地で培ったこれらのノウハウをもとに、同社は「沖縄MaaS」という新しいステージに取組む。スーパーシティ構想における会津若松モデルで磨かれたお仕着せやお任せでない、優れた知見が日本各地で進む「スーパーシティ構想」を深化させ、加速させることを願いたい。

AOSデータ社、弁護士法人大江橋法律事務所 上原 拓也氏を講師に迎え、第28回オンラインセミナー《デジタル革命時代における営業秘密の保護と活用方法》 を配信

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2022年4月21日AOSデータ株式会社 AOSデータ社、弁護士法人大江橋法律事務所 上原 拓也氏を講師に迎え、第28回オンラインセミナー《デジタル革命時代における営業秘密の保護と活用方法》 を配信 クラウドデータ、シス・・・

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