福岡市地下鉄で非接触決済…ジョルダン、MaaSプロジェクトを開始 他

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4月19日 ジョルダンが4/15、福岡市の「福岡市実証実験フルサポート事業」の2019年10月~2020年3月受付分「観光・交通テック」として採択された「福岡市地下鉄MaaS推進実証プロジェクト」をついに開始した。福岡市営地下鉄のホームページでは、さっそく「ジョルダン乗換案内」アプリとタッチ決済対応のVisaカードを活用した特定エリア1日乗り放題企画きっぷ「天神・博多間1日フリーきっぷ」(大人500円、小児250円)※一乗車券で大人8枚、小児8枚まで購入可能(小児のみの購入可能)がお知らせされている。発売期間及び利用期間は、4/16(金)~8/15(日)までとなっている。福岡市の実証実験フルサポート事業とは、同市と福岡地域戦略推進協議会(FCD)では、AIやIoT等の先端技術を活用した社会課題の解決等に繋がる実証実験プロジェクトを全国から募集し、優秀なプロジェクトの福岡市での実証実験をサポートする試みだ。2019年当初福岡市は同プロジェクトの「観光・交通テック」の地下鉄の特定エリア1日乗り放題企画きっぷのモバイル乗車券や非接触決済を活用した、新たな乗車券販売方法の検討に資するプロジェクトを募集、福岡市地下鉄の5駅を実証フィールドとして設定していた。ジョルダンのプロジェクトの内容は、経路検索、ジョルダン乗換案内アプリのモバイルチケット販売機能による企画切符の販売だ。改札では目検または、QRコード読み取りを行い、乗車する。経路検索数やモバイルチケットのニーズ、処理時間などについて検証を行うとの内容だ。ジョルダンは同社の「ジョルダン ビジネスレポート 2019.10.1~2020.9.30」において、時トピックスとしてモバイルチケットの販売開始をアピールしている。レポートによると、電車・バス等公共交通機関のフリー乗車券等をモバイルチケット化し「乗換案内」アプリでの販売を行う、各モバイルチケットには同社が日本総代理店となる Masabi社のモバイルチケッティングサービス「Just ride」の技術を採用、「観光型MaaS」への取り組みとしている。2020年9月までに採用下事業者は9事業者29券種だ(大分バス、北九州市営バス、日光交通、鹿児島市交通局、八丈島町営バス、伊予鉄グループ、新江ノ島水族館、ムーミンバレーパーク、飯能市など)。なお、福岡市の「観光・交通テック」には、ジョルダン以外にLINE Fukuoka、LINE、LINE TICKETの3社も1グループとして採用され、実験のために開設する専用アカウント上で、モバイルきっぷの購入・表示を行うとともに、目的地に応じて地下鉄沿線スポットのレコメンド(オススメ機能)を実施するなどの観光型MaaSサービスの実証を行う模様だ。(写真提供:福岡市)

MONETら、医療MaaSに特化した「MONET LABO(モネラボ)『医療』」始動 他

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4月16日 4/15にMONET Technologiesとシミックホールディングス株式会社が、医療MaaSに特化した「MONET LABO『医療』」をこの6月から開始すると発表した。医療MaaS領域での事業創出の場に参画したい企業を募る。Mobility as a Serviceの名の通り、MONETの領域のキーワードを掻い摘むと自治体連携、MONETコンソーシアムの運営、次世代「モビリティー」サービスの創出に向けた企業連携の推進、また国内を走る車両や各モビリティーサービスから得たデータを取得可能なAPIやオンデマンド配車システムなど「サービスパッケージ」を提供するプラットフォームの構築、またこれらを通した移動の利便性の向上、新サービス、新産業の創出、ライフスタイルや街づくりの推進とある。同社の医療MaaSとして記憶に新しいのは、長野県伊那市でフィリップスジャパンと協業して「ヘルスケアモビリティ」を開発した時の取り組みだ。定期的な通院を必要とする高齢者を中心に移動困難な状況や環境下にある利用者、そして医師不足が叫ばれる中、訪問診療を行う医療側の負担を大幅に軽減出来るサービスを提供した。遠隔からの診察となるとは言え、移動が困難な地域の人々にとって「移動診察車」が出向いてくれるサービスは生活の「安心」に繋がり、医療を提供する病院側にも、医師を移動時間から開放し、緊急性の高い患者に対応可能な体制を構築できるなどのメリットを生み出した。取り組みの現状は2/13にYoutubeにアップされた「長野県伊那市の最先端医療 前編_羽田土曜会」でも視聴できる。また伊那市では、3/30に伊那市が取り組む「モバイルクリニック事業」の実装開始に伴う記者会見を市役所で開いた模様だ。会見には市長始め伊那中央病院長や医師会代表、協力医師、薬剤師会代表などが集った。一方、今大阪府では新型コロナウイルスの感染症対策の一環として、近隣となる滋賀県に「患者受け入れ」や「看護師派遣」を要請しているようだ。患者の受入には、様々な段階が考えられるが、自宅や宿泊先、或いは入院先からの移送などの想定ができる。緊急時の高い搬送については、救急車と併せた医療モビリティの運用などを考慮し、医療現場の負荷を下げることは出来ないか。大阪だけでなく、今後全国の各都市で病床がひっ迫することも想定される。医療MaaSに関わる氷山の一角だが、他にも様々な分野で機動的・効率的にモビリティを運用することで解決に向かう課題は多いと考えられる。シミックホールディングスとの連携による医療MaaS領域の深化に期待したいと思う。

自動運転技術でクルマが真のパートナーになる? 他

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4月15日「CASE」の言葉を作ったダイムラーのディーター・ツェッチェCEO。1998年12月にダイムラーの取締役に就任、2006年に現ダイムラーAGの取締役会長に就任した。トルコ・イスタンブール生まれ。フランクフルトで学んだ後、大学入学資格を取得。1971-1976年までカールスルーエ工科大学(Karlsruher Institut für Technologie)で電子工学を専攻、工学博士取得。同じ1976年ダイムラー・ベンツAGに入社。初めはリサーチ部門に配属された。2019年5月に同社を勇退し、はや2年が過ぎようとしている。退任時に作成された動画は多くの人の共感を呼んだ(Youtubeの BMWチャンネル:Retirement is about exploring your wide open future. )。在任中、ディーター・ツェッチェ氏が自動運転車のHMI(ヒューマンマシンインターフェイス)の重要性について言及したことがあるが、はやくもこの2月にMercedes-Benz Japanが新型SクラスのYoutube動画で、MBUX(同社のHMI)について開発者コメントをアップしている。ドライバーが運転席に座り、メインパネル横のスタートボタンを押すと、自動的に顔認証などの方法によりログインするこのMBUXは、開発チームがデザイン部門と緊密にコラボレーションして開発を行ってきたものだ。運転席のセンター置かれたスクリーンは、視覚的に分かりやすく、ユーザーの直感的な操作を可能にし、インタラクティブで簡単に素早く動くシステムにまとめられた。メイン画面には、現在地を示すマップと共にメディアやApps、コンフォート、設定、車両情報などのボタンが見やすく配置されている。一階層下の設定画面では、車両のインテリア俯瞰図なども示され、車両のどの機能に関する設定なのかも一目瞭然だ。メニューにはアシスト、車両、照明、システム、情報等の項目が見られる。エアコンの操作ボタンは画面下部の左右、運転席側と助手席側の双方に配置され、操作しやすい範囲に配置されている。搭乗者の好みや光線の加減などにより、車内のアンビエントライトの色や明るさ、エフェクトなども状況や好みに応じて設定出来るようになっており、ユーザーへの細かな配慮も伺うことができる。ヘッドアップディスプレイ(以下、HUD)に投影されるAR(拡張現実)ナビゲーションは、メーカー純正オプションとしては世界初とのこと。フロントガラス上のHUD領域には、前方10m先の道路上にナビゲーション情報が矢印で表示されるなど、MBUXの必要最小限のナビ情報が表示される。ドライバーがアシスタンス情報を得るため、スクリーン(ナビ画面)と前方との間で視線を往復させる必要がないため、安全性が高い。夜間においても見やすい配色設計となっている。このMBUXは、現行Sクラスの車内では、ドライバー席の前にあるメーターパネルとコンソールのセンターパネルが独立していたが、更にメルセデスのSクラスのEV「EQS」の車内では、ダッシュボード全面が「ハイパースクリーン」として一体化したデザインになり発表されている。いくつかのコンセプトキーワードを読み取ると「アナログとデジタルのデザインの調和のとれた融合」、「最も大きく、自由な表現が出来るグラスサーフェイス(ガラスのスクリーン)」、「(室内)インテリアの全体に亘る」、「非常に鮮やかなグラフィックスのためのOLED技術」、「特徴的なデジタルメルセデス-EQデザイン」、「直感的に使用できるミニマリスト(シンプルな)デザイン」、「シンプルで美しいデザイン」、「車内接続システムの中心になることはありません」、「バッテリー容量、エンターテインメント、通話、ナビ、メッセージ、そしてもっと多様に」、「人工知能とスーパーコンピューターのパワー」、「ユーザーのニーズを予測する」、「パッセンジャー中心のユーザーインターフェース」、「他に類を見ないスクリーン」、「アナログデザインとデジタルデザインの新たな融合」、「メルセデスのプロダクションで最も大きく知的なスクリーン」、「Gorilla Glass(米コーニング社の強化ガラス採用)」、「有機EL」、「スーパーコンピューティング・パワー」、「8コアCPU」、「24GB RAM」、「memory bandwidth 46.6GB/s」、「あなたの指先ですべて」。自動運転車におけるHMIの重要性の一端を伺うことができる。

「MaaS関連データ連携のガイドライン」を一部改訂…画像を適切に管理 国交省 他

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4/9に国土交通省は「MaaS関連データの連携に関するガイドライン」の改訂を発表した。同ガイドラインのVer1.0は、令和2の年3月に策定されている。日々進化し、多様化するMaaS関連データに定期的な見直しをかけ、現状に即したガイドラインとする趣旨だ。今回の改定は、3/23に国交省が開催した「令和2年度 MaaS 関連データ検討会」にに基づいたもの。Ver1.0策定後に同省において「公共交通機関のリアルタイム混雑情報提供システムの導入・普及に向けたあり方検討会」や「ユニバーサル社会におけるMaaSの活用方策についての検討会」などを経て議論された内容が取りまとめられた模様だ。構成名簿のオブザーバは、JR東日本、JR東海、JR西日本、小田急電鉄、東急電鉄。公社)日本バス協会、一社)全国ハイヤー・タクシー連合会、一社)全国レンタカー協会、一社)日本旅客船協会、ANA、JAL、ヴァル研究所、駅探、ジョルダン、ナビタイムジャパン。一般的に一つのMaaSプラットフォームの利用者となるのは、MaaS事業者(サービス運営主体)、MaaSに参加する交通事業者、そして関連分野事業者と一般利用者などだ。オブザーバの各団体は一般利用者以外の何れかに該当する。今回の「連携」とは、このMaaSプラットフォーム同士の連携の意味だ。関連する各社が取得・生成などするデータが円滑かつ安全に連携されることが重要で、連携するプラットフォーム同士がAPIなどで各社のアプリから「相互乗り入れ」できるようになるのが望ましい。ガイドラインはデータの連携を円滑かつ安全に行うため、留意が必要な事項をまとめ、MaaS提供の促進・相互の連携を出来るようにするための手引きの役割を果たす。環境変化や技術の進展などを踏まえ、随時見直しを行う。国交省のガイドラインは、円滑なデータ連携のため、予め「MaaSに必要となるデータ」と「データ連携を行う上でのルール」を策定、事業者が判断しやすいようデータを、その性質により分類して提示してきた出典:国土交通省ホームページ(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001399517.pdf)。参加事業者が提供するデータを大別すると、MaaS運営のため必要最低限とされる「協調的データ」と契約等により個別に共有が行われる「競争的データ」に分かれる。ガイドラインは、一般利用者がMaaSを享受する上で重要となる「MaaS基盤データ」は協調的データとして、利便性が高いMaaSを享受する上で重要なデータは、これも「可能な限り」協調的データとして扱うことを促している。それ以外のデータは各提供主体が協調的・競争的かを判断、提供を行うことを勧めている。ちなみにMaaSに必要とされるデータとは、公共交通等関連データ、MaaS予約・決済データ、移動関連データ、関連分野データである。これらがプラットフォーム間で円滑にやり取りされることにより、初めて一般利用者が利用する各MaaSアプリ同士の連携が可能となる。今回の改定の主な変更点は、①データの仲介方式に関する記載を追加:これによるとデータ仲介に際し、想定されるデータ蓄積方式とデータ分散方式に関してMaaSにおける方向性が追記された。②カメラ画像等の利用に係る個人情報保護対応を追記(リアルタイム混雑情報関連):公共交通機関の車両内などの込み具合の把握に利用されるカメラ画像・映像等について適切な管理を行う必要がある旨が追記された。③ニーズが高いと考えられるデータ項目の具体化・追加:車椅子での利用者や視覚障害者、聴覚障害者等を含む幅広い利用者を想定し、ニーズが高いデータ項目について具体化、項目追加が行われる。また「公共交通機関のリアルタイム混雑情報提供システムの導入・普及に向けたガイドライン(バス編)」を含む、国交省内における議論の動向を踏まえ、データ項目の具体化を行うなどとなる。*本文書のアイコンは「MaaS関連データの連携に関するガイドライン Ver.2.0」(国土交通省) (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001399517.pdf)を加工して作成。

MaaS アプリ「EMot」内の伊豆の「リアルタイム情報提供」サービスの開始日の遅れについて 他

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4月13日 伊豆半島の雄、東海バス。4/12~指定エリアの路線バスが乗り放題になるフリーパスを、小田急電鉄の「EMot」で電子チケットとして販売を始める(伊東観光フリーパス、みしまるきっぷ、湯~遊~バスフリー切符、同きっぷワイド)。電子チケットは「EMot」アプリ上のチケットストアにてクレジットカード決済で購入、バスの運転士に画面を提示するかたちで利用する。同アプリ上で東海バスの運行状況(発着予定時刻の確認・バス停通過情報が確認できる)や路線検索が可能となる、と3/31に報じられたばかりだが、システム作業の都合で楽しみが少しだけ(1週間程度)伸びることになった。東海バスでは、3/31にホームページを全面リニューアルし、この4/17~は伊東駅と小室山リフト行の路線バスの運行を再開させる。便数は一日7便となる予定だ(4/23~5/5は増発し、一日13便体制)。また4/23からは、小室山の山頂に新しいビュースポットとして「小室山リッジウォーク"MISORA"」と「Café●321」を開業させる。標高321mの小室山山頂のスコリア丘の稜線沿いに全長166.3mの木製の遊歩道(ボードウォーク)と専用展望デッキを備えたカフェが登場する。富士山、相模灘、房総半島、伊豆七島、天城連山などを一望できる。さらに2016年8月から伊東市を舞台にしたアニメ「あまんちゅ!」のラッピングバスを運行しているが、同作品のファンから「ラッピングバスにかかる費用を負担するので新しいラッピングバスを運行して欲しい」との要望に応え、4/18からラッピングバスの2号車を運行させる。2号車は4/18当日はラッピングの施工に協力した同作品のファンの方々の貸切バスとして運行される。翌日以降の運行時刻については東海バスのホームページにて案内される予定だ。

埼玉県秩父市、山間地域の物流や移動にドローンやMaaSを使う事業を構築へ 他

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4月12日 令和2年10月に秩父市で「山間地域におけるスマートモビリティによる生活交通・物流融合事業調査・設計業務委託」の公募が行われた。同市のホーページにおける趣旨は「物流、生活交通、観光交通、医療等の多様な分野のサービスについて、先端技術を活用してヒトとモノの移動を最適化・効率化し、持続性の高い事業モデルを構築すること」とある。また取組みは5年間、2024年には社会実装を目指す旨も併記されている。2020年11月には「秩父市生活交通・物流融合推進協議会」が発足している。3/18から秩父市とゼンリン、三菱総合研究所、楽天、西武ホールディングス、西武鉄道、西武観光バス、アズコムデータセキュリティ、早稲田大学は、秩父市の特に「山間地域」の少子高齢化によるヒトとモノの移動の困難さに着目した物流・公共交通ネットワーク「秩父モデル」の構築への取り組みを始めた。上記分野のサービスにおいてドローン物流、遠隔医療、MaaS(貨客混載、EVカーシェアリング)などの先端技術を活用し、山間地域のヒトやモノの移動の困難さを改善、地域住民と来訪者の利便性を向上させるとともに新たな産業の誘致による雇用創出や人口減少・流出に繋げたい。荒川支流と秩父盆地を中心とした山々に囲まれる秩父市。熊谷~三峰口間を走る秩父鉄道「SLパレオエクスプレス」や、建築家妹島和世氏のデザインで話題をさらった西武鉄道の観光特急「ラビュー」など、私鉄各社も首都圏からの観光客の誘致に注力している。市内には、様々な旧跡や歴史的な文化財、春には羊山公園・芝桜の丘やしだれ桜、夏は清流での川遊び、秋には紅葉、冬には氷柱などが楽しめる観光スポットも多く擁している。市内各所に湧く温泉・温泉宿へのアクセスなども確保したい。平時は、買い物支援などに用いられる想定の「ドローン物流」。荷渡しや給電に必要なドローンポートを設け、EVとの結節点とすること、また有事の物流支援のための配送ルートの設定なども検討される。山間地域では、持続可能な医療システム構築のため、ICTを活用した「遠隔医療(オンライン診断)」の実施、ドローンによる薬の配送なども盛り込まれている。またMaaS(Mobility as a service)としては、上記の住民交通インフラの維持と観光客向けの二次交通の改善を目指し、公共交通とカーシェアリング、小型電動モビリティの網をめぐらし、同時に貨客混載についての検証も行う。「秩父モデル」では、これらのサービスの情報をクラウド環境で統合的に集約・分析し、各サービスへ的確に情報を提供する「秩父版ダッシュボードシステム」の開発にも力を入れる。システムの設計はゼンリンが担当する。

モビリティの変革は不動産にも影響が!? 「MaaS×三井不動産」の実証実験の中身を聞いた 他

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4月9日 MaaSは街を変えるか?大手不動産会社の三井不動産は、公共交通事業部門を持たない総合不動産会社だが、MaaSによる不動産のイノベーションに取り組む。そもそも同社はMaaS以前に「テクノロジーを活用した不動産業そのものをイノベーション」を掲げる。新型コロナウィルス感染症の拡大(国内では2020年初め~)を機に、人々の生活の有り様は大きく変わった。感染拡大防止の観点であった非接触やソーシャルディスタンスは、技術的革新の波と相まって、いつしか人々の生活をDX(デジタル・トランスフォーメーション)という大きな波に呑み込んできた。人々の暮らしや働き方の変化は、不動産商品であるオフィス、住宅や商業といった境目をなくした。働く場所はオフィスから、街のカフェやシェアオフィス、自宅へと広がりを見せたのも、その一例だろう。同社は従来の箱モノというセグメントから視点を移し、人々の暮らし方(行動)をベースとした顧客ニーズや成長戦略を考える。一見、畑違いともいえるMaaSの可能性を三井不動産がフロントランナーとなり開拓するのは、そのように人々の行動変容の捉え方について、同社が独自の視点を持つところが大きいのではないだろうか。三井不動産は、これまで評価を受けづらかった地域の特徴として、アクセスのし辛さがあるのではないかと考えたようだ。バスや自転車など複数の交通手段がないと辿り着けない場所や、鉄道が通っておらず、高い運賃を必要とするタクシーや行く先や料金が分かりづらく、長い待ち時間を要する路線バスなどが、それである。MaaSはこれらの問題を掌の上で可視化し、移動者の希望に近い移動手段を選択可能で見やすい情報にして提供してくれる。MaaSにより、目的地までの経路検索や、宿泊先などの予約、料金の決済が容易になった結果、人々の行動はどのように変容して行くのか?人々は、住環境や好みにあった交通手段(カーシェア・バス・タクシー・シェアサイクルなどのモビリティ)とルートを選び、好みの移動スタイルで行動・活動範囲を拡大し始めた。三井は不動産ユーザー起点で移動の先に置くべき提供価値(地域個別サービス提供・ライフスタイルの創出・個人にとって最適な移動の実現)を「魅力的な」ものに昇華、あわせて多様な移動手段を提供し「顧客」の満足度を高めて行く。「寛げる場所」や自由で選択可能な「移動」、「魅力的な移動目的」が備わる街づくり、さすがは街をつくる会社、見事に住まう人の心のツボを押さえている。MaaSの導入事業に悩める自治体へのヒントにはならないか。

トヨタ系部品4社の自動運転ソフト会社、NTTデータグループと資本提携 他

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4月8日 4/5に株式会社J-QuAD DYNAMICSが、次世代自動運転・先進安全支援領域におけるソフトウェア開発を強化するため、車両ソフトウェア開発環境技術を持つ、株式会社NTTデータオートモビリジェンス研究所(以下ARC)に資本参加した。J-QuAD DYNAMICSは、デンソー、アイシン精機、アドヴィックス、ジェイテクトが出資する自動運転・車両運動制御(走る・曲がる・止まる)のための統合制御ソフトウェア開発、エンジニアリングサービスなどの事業を展開する。J-QuAD DYNAMICSは、これまでも4社が持つ自動運転・車両運動制御等の技術知見を結集し、ソフトウェア開発を効率化、開発のスピードアップを図るとともに、完成車メーカーなどのニーズに合わせた開発を行うことで、付加価値の高い車両統合制御ソフトウェアを提供してきた。ARCは自動運転ソフトウェアの安全評価・検証に必要なシナリオ自動生成(交通状況・危険シーンの想定)及び模擬実験環境構築の技術に秀でる。熟練ドライバーのインテリジェンスに着目、完全自動運転の実現に向けたハイブリッドAIの研究開発"GARDENプロジェクト(ARCの自動運転ハイブリッドAI研究開発の総称)"に取り組んできた。自動車関連部品・工作機械メーカーの集合体であるJ-QuAD DYNAMICSが、完成車メーカーのニーズに応じるべく新たな戦略へと舵を切ったとの見方も出来る。J-QuAD DYNAMICSが欲するのは、次世代自動運転・先進安全支援の開発をスピーディーに行うことができるソフトウェア開発環境(管理ツール・開発ツール・仮想シミュレーション・シナリオ生成技術)だけではないと思われる。ソフトウェアの開発環境の整理・統合や効率化だけであれば、ARC以外にも選択肢はあると思われるからだ。ARCのホームページにある「ハイブリットAI」とは、「データ駆動型AI」と「理論知識型AI」のハイブリッドの意味だ。データ駆動型AIとは言うなれば、脊髄反射。「反射」の神経回路を指す。これは第一世代の自動運転が用いてきたデータに基づく統計・確率的なAIだ。ARCは、ここに「大脳」を必要とする次のステージを見ている。反射神経と大脳をつなぐ「ハイブリッドAI」は、産総研人工知能センターなどでも研究されている。「人に寄り添うしなやかな」人工知能とは、大量データ処理に基づく「人間を超える」人工知能と、人間の知能をモデルとする「人間に迫る」人工知能の技術を融合させることにより、人間と協働できる、人間に理解でき、人間が協働出来る人工知能を実現で来ると言われる。人工知能が、渋滞をかわし黄色信号をすり抜け、街の話題に通じ、人懐こく目的地をお客に尋ねながら、巧みにクルマを操るタクシードライバーに代わる日はそう遠くないのかも知れない。

グーグル兄弟会社の自動運転部門Waymo、クラフシックCEOが退任を発表 他

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4月7日 SIP(内閣府戦略的イノベーション創造プログラム)が「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動運転(システムとサービスの拡張)研究開発計画」(令和2年5月14日)において、自動運転に関する安全性技術評価について言及している。これまでの公道による実車を用いた実証実験を中心とした評価方法を、仮想空間における安全性評価環境のデータプラットフォームを継続的に構築・運用出来るよう2022年度末時点までに事業化する。またインターフェイスの標準化を図りつつ「第3者評価機関での活用に向けた業界内のコンセンサスを確立」する。仮想空間での安全性評価環境の構築には、神奈川工科大学、立命館大学、三菱プレシジョン、SOKEN、日立オートモティブシステムズ、デンソー、パイオニア、日本ユニシス、SOLIZE Engineering、ソニーセミコンダクタソリューションズが参画する。これまでの評価方法では、必要な走行環境条件を恣意的に設定し、自動運転車が必要な安全性を満たしているのかどうかの判断が困難だった。現状の自動運転車の開発において膨大な時間を要する実車による安全性評価を効率化できる。仮想環境における安全性評価環境を構築するため、産学が連携して車載センサーで認識される外界を模した「環境モデル」、評価シナリオに基づきテストデータを生成するツール、車載センサーとして用いられるカメラ、ミリ波レーダー、LiDARの実センサーの検知機能を模した「センサーモデル」、センサーによる検知結果に基づく自動運転車の運動制御を模擬するための自動運転モデルの開発等を実施する。開発したモデル及びツールをモジュール化して拡張的な機能として利活用を可能とするため、各モジュール間のインターフェイスを定義し、インターフェイスの標準化を進め、仮想空間における安全性評価環境を構築する、としている。ちなみに、三菱プレシジョンの研究開発用ドライビングシミュレーションシステム「D3sim」の研究開発用途向けの製品における研究開発テーマは、4つのテーマ(①安全/安心、②快適、③環境/インフラ、④ご要望に合わせて)で開発・評価などが進む。①については、レーンキープアシスト機能、ACC(Adaptive Cruise Control)、AFS(Adaptive Front-Lighting System)、衝突被害軽減ブレーキ、横滑り防止機能、車車間及び路車間通信システム、センサ、レーダ、カメラ等、警報システム、HILS(Hardware in the Loop Simulation)を用いたECUの開発、車両性能・走行安全の評価、ドライバーの運転特性/挙動研究の開発・評価。②については、窓外司会の視認性の評価、インパネ部機器、ステアリング、ミッション、車内IT、シートの乗り心地/疲労の検証・評価、ドライバーズポジションの検証・評価。③では、燃費性能研究/エコドライブ支援システム、交通流改善/渋滞解消の研究、道路設計の評価、④では、低予算対応/廉価版システム、短期間貸し出し/レンタル、移動デモンストレーションや展示に最適なシステム、D3sim複数台導入のメリットが用意されている。(2021年4月7日時点)

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