ヒューマナイジング・オートノミー、自動運転向け画像認識プラットフォームで日本企業に攻勢 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
bus-Blind-spot_w150

9月27日 英国のロンドンのテムズ川を望むストランドにサマセット・ハウスという新古典主義建築の建物がある。現在は政府の関連機関や芸術・教育関連機関が入居する。クリスマスの時期になればアイススケートリンクとなるその中庭も長年市民に愛されているようだ。同地にあるHUMANISING AUTONOMY社は、自らを人間と機械の間の直感的な相互作用のグローバルスタンダードを構築する「behaviour AI(行動AI)」企業だと表現する。人間の「行動」は自動化されたシステムの背後にあるユニバーサルデザインの原則であり、コンテキスト(前後の脈絡)と文化を説明する必要があると説明する。彼らは機械(自動運転車には「認知、予測、判断、操作」が必要とされる)と協力し、(現実世界の)視覚信号の読み方や都市の交通環境(それぞれの現場や瞬間)に、それらが何を意味するのかを(自動運転システムに)学習させている。一般にシステムにとって得意分野は「認知のうちの検知(センサー作用)」と操作、苦手分野は、認知と予測、そして判断とされる。運転を行うには、目やセンサーで「見えた」だけでは意味がなく、見えたものが何なのかを(機械が)判別(認知)する必要がある。HUMANISING AUTONOMY社は「機械」が人間の行動や意図を理解し、それに応じて対応する(適切なリアクションをさせる)ために、先の行動AIを追求している。同社は自動車メーカーと連携し、ADASシステムでの運転体験の革新を図るとともに、スマートシティープランナーと協力しシステムの効率、環境と経済の持続性、そして市民の安全のバランスを創出したいとしている。同社の予測AIはカメラ映像に基づいた技術だが、彼らは(自動走行車両が運行される際、カメラに映り込む沿道の歩行者などの)プライバシーへの配慮を重んじ、行動心理学、統計AI、新しい深層学習アルゴリズムを融合して自動化されたシステムが、人間中心の意思決定を可能にするとしている。彼らのシステムは、機能安全とSOTIF(ISO/PAS 21448で規定、「意図した機能における安全性」、つまり機能的な不足またはユーザーの予見可能な誤使用によるハザードがないこと)を考慮し、個人データが合法的に収集されることを保証したものだ。これらは意図しない悪影響を防ぐための適切なデータ管理と保護対策がアプリケーションに組み込まれていることを示している。同社のプロダクトは、先進運転支援システム、カメラデバイス、自動運転車、CCTVインフラストラクチャ、クラウドベースのビデオ分析など。同社の製品ページ(https://www.humanisingautonomy.com/product)には、渋谷の公園通りで、予測AIの動作状況を録画したと思われる動画がある。実験車両が低速で左側に停車中のバスの側方を抜けようとする際、右側に駐車場に入ろうとする乗用車がいる為、横断歩道のない道路を横断する複数の歩行者とともに、バス前方の死角から自転車に乗った女性のよる飛び出すが、実験車両はバス横を通り抜ける前に停止、これらとの衝突を回避し再び走り始める。同社は世界経済フォーラムのグローバルニューモビリティ連合のメンバーであり、自動化および測定システムの標準化協会(ASAM)、英国規格協会などの標準化団体でもある。自動運転が社会実装されるための普遍的な課題でもあるが、先日オリンピック選手村でトヨタの「e-Palette」が選手との接触事故が起きたことで、日本の自動運転バスや商用トラックなど、実用化の迫る車両カテゴリーにおける「認知、予測、判断」に関係する技術や安全性がクローズアップされている。車両メーカーや部品サプライヤー、損害保険会社などにHUMANISING AUTONOMY社のラブコールが届くことを願いたい。

2021年10月 箱根エリアで『観光型MaaS』が本格スタート~スマートフォンひとつで、便利・快適・安全な箱根旅行を実現~ 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
Hakone-Tozan-Railway_w150

9月24日 先日(9/21)に小田急電鉄は、MaaSアプリ「EMot」内において新たに「ロマンスカー特急券」の予約・購入・決済が出来るようになったと発表していた。これまでは、経路検索から「e-Romancecar」という別サイトに遷移して購入をする仕組みだった。9/22には続けて、小田急箱根ホールディングス(小田急グループの主要事業エリアである「箱根エリア」において、グループの箱根登山鉄道、箱根登山バス、箱根観光船・箱根プレザント、箱根ロープウェイ、箱根施設開発、箱根登山ハイヤ―、箱根登山トータルサービスが再編され、2004年に発足)が、箱根での新しい旅行体験の提供を目指し「観光型MaaS」を開始、10/1から観光情報サイト「箱根ナビ」を箱根観光プラットフォームに大幅リニューアルし、「デジタル箱根フリーパス」を含めた全13種類のデジタルチケットを順次発売する旨を、発表している。今回、最も水上である小田急電鉄がアピールしたかった情報の中心は「EMot」の利便性向上、「箱根ナビ」のリニューアルと「デジタル箱根フリーパス」だと思う。小田急が発信したのは、箱根にたどり着くまでの「足」の確保が便利になる事と、現地での「観光コンテンツ(のラインナップ)」の豊富さだ。2021年3月期の説明会資料において、経営ビジョン UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~(2021年5月24日)を拝見すると「長期ビジョン2020」の計画期間6ヵ年が終了し、長期ビジョン2020スタート時に、2020年度目標 営業収益6,000億円、EBITDA 1,000億円、有/E倍率7.0倍を掲げ、コロナ感染拡大の影響を受ける前までは、営業収益はグループ事業の譲渡などで目標を取り下げたが、EBITDA は、概ね計画通りに推移したとしている。新たな経営ビジョン「UPDATE 小田急」では、「社会・地域」「経済」「環境」の3つの軸を経営判断に取り入れ事業を峻別し、次の100年に向け地域価値創造型企業へと事業モデルの更新を進めるとしている。同社は中期経営計画においては、2027年の開業100周年に向け「UPDATE 小田急」を通じて収益性と財務健全性の回復を優先しつつ、リアルビジネスをデジタルで変革するなど、未来の小田急の持続的な成長につながる取り組みとの両立を追求するとした。「具体的な取り組みとして」モビリティ×安心・快適、まちづくり×愛着、くらし×楽しさ、観光×経験、わくわく×イノベーションを掲げる。観光分野においては、インバウンド蒸発、国内旅行の増加、マイクロツーリズム、交流人口、体験消費などのキーワードを経営環境の変化と捉え、(コロナ禍後の)旺盛な国内需要を取込むため、地域独自の価値を創造し、多様化する観光ニーズに応える必要があるとする。同社が注目する「地域」とは箱根エリア、江の島・鎌倉エリアと「観光資源発掘」としている。また同時にホテル事業の環境適合としながら、箱根エリアにおけるホテル施設のリニューアル、新宿エリア等のホテル宿泊に比重を置いた業態に変換させ宿泊客の獲得にも注力する模様だ。観光のDXを推進し、顧客の利便性向上とインバウンドの回復期を見据えた需要創出策を推進するとの姿勢も見せる。今回のニュースリリース目的である「箱根ナビ」や「デジタル箱根フリーパス」などは、まさに「観光のDXの推進」に沿った施策と言えよう。コロナ禍の影響を強く受けたここ数年、同グループが打ち出した出口戦略に期待するとともに、私鉄各社が打ち出した施策にも注目して行きたい。

鉄道のJR東がバス自動運転に取り組むワケ 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
brt_sakari_w150

9月23日 当記事でも何度か話題となったが、JR東日本が中心となり、宮城県の「気仙沼線BRT」の柳津駅と陸前横山駅間4.8kmにおいて、BRT(バス・ラピッド・トランジット/バスによる大量輸送システム)の実証が進んでいる。また、茨城県日立市においては「ひたちBRT」のJR常陸多賀駅とおさかなセンター間約6.0kmで、実証実験が進んでいる。「気仙沼線BRT」は、JR気仙沼線が東日本大震災により、鉄路からBRTに転換を図り、鉄道路線を専用道に再整備して復旧させたものであり、「ひたちBRT」は赤字ローカル線として廃線となった日立電鉄の路線跡地を転用しているが、19年3月に「ひたちBRT」の第二期延伸工事の完了により、総延長6kmの運行区間と、おさかなセンターから先の3km程の一般道を回送区間として取り込んでいる。ちなみに一期は、手前のJR大甕駅とおさかなセンターを結ぶ3.2kmで実証実験を行っていた。「気仙沼線BRT」では、専用道内における、時速60km走行、トンネル内走行(磁気マーカ使用)、障害物検知による自動停止、対向バスとの行き違い(LTE+ITS無線を使用)、車内モニタリングなどが行われている。「ひたちBRT」は、令和2年12月14日に大甕駅付近でガードレールとの接触事故を起こしている。原因は走行前の自動運転システム設定時に位置推定を行うための情報を取得するGNSS受信機と、磁気マーカーの受信機の再起動が必要であったが、うち一つの機器の再起動がなされていなかったため、位置推定手法の切替え地点で、更新前の車両の位置や方向に関する情報が使用され、これに基づいて車両制御が行われ、ハンドルの急旋回につながったとされている。対策として、前述した二つの機器については、一つの機器の再起動時にもう一方の機器の再起動を確認する要求を表示させる、走行速度が早い場合や、走路が直進である場合には、自動運転システムによるハンドルの操舵量が大きなものとならない様、走行速度や走路に応じた操舵量の指示や制御を行うこととした。2021年1月20日付けで茨城交通とみちのりホールディングスは、http://www.ibako.co.jp/contents/newsrelease/2021/01/23084.html において、同事故に対して安全確認が取れた旨のお知らせを掲出している。同時に当面は関係事業者による技術検証を目的とした運行に限るとの方向性を打ち出した。その後、茨城県のホームページでは、ひたちBRTにおける中型自動運転バスの走行実証実験(令和2(2020)年度)(https://www.pref.ibaraki.jp/kikaku/kotsuseisaku/chiikikoutsu/hitachi-jidouunnten.html)に、ひたちBRTにおける中型自動運転バスの走行実証実験は終了しました。(2021年3月5日)のお知らせが出ている。一般の乗客を載せた実証運行の再開時期や運行方法については、改めて茨城交通のウェブページでお知らせがある予定だ。「ひたちBRT」については、市内の幹線バス路線を担う運行ルートとなるため、たバス路線の再編や地域公共交通(乗合いタクシー)との連携や地域住民との協働による利用促進を含めた公共交通ネットワークの構築など(令和3年度~令和5年度)の事業も計画されている。「気仙沼線BRT」と「ひたちBRT」は、国内自動運転バス実証事業の中でも注目度の高い事業だ。双方が成果も共有しつつ、独自の技術進化やサービス展開、地域連携などを進め、全国にその成果を横展開して欲しいと望む。「ひたちBRT」の復活の報が待ち遠しい。

自動運転フォークリフトとトラックが連携して待機時間を短縮 豊田自動織機など実証へ 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
forklift_w150

9月22日 資源エネルギー庁には「AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金」なる補助金がある。ちなみに令和3年度の予算案額は、62億円(新規)とのこと。事業は運輸部門の最終エネルギー消費量が産業部門に次いで多いため、省エネの実施が急務である背景があり、急ピッチで進む。物流業界でのトラックドライバーやフォークリフトの運転者等の労働力不足も課題となっており、物流施設内での省人化、発着荷主間で連携した輸送の効率化が必要となっている。物流施設間の輸配送においては、物流施設の「入荷」と「出荷」のタイミングにトラック運行を連携させることで、待機時間の削減等の更なる効率化が求められている。物流施設内においては、荷物のピッキングや無人搬送車(AGV)など、工程の一部の自動化はなされているが、物流施設の「入荷」と「出荷」においては作業が複雑なため、未だ人手で作業が行われるのが現状だ。「AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業」の目標は、令和3年度~令和5年度までの3年間の事業により、令和12年度までに本事業及び波及効果により、運輸部門におけるエネルギー消費量を原油換算で年間、約156万Kl削減すること等。同事業の取り組みの内容としては、①新技術を用いたサプライチェーン全体の輸送効率化推進事業、②トラック輸送の省エネ化推進事業、③内航船の運航効率化実証事業、④ビッグデータを活用した使用過程車の省エネ性能維持推進事業の4つだ。トヨタ自動車織機、日立物流は9月17日から、物流施設におけるトラックの積み卸し自動化と待機時間削減へAIを搭載した自動運転フォークリフトを活用し、トラック運行と連携させる共同実証事業を開始した。実証には、大和ハウス工業、イオングローバルSCM、花王の3社も参加する。本実証では、物流施設内でAIを搭載したフォークリフト(豊田自動織機)等を活用、トラックと連携させ、荷役・物流の効率化と、省エネ化を狙う。本年度(~2022年3月)は核となるトラックの積卸しの自動化技術の確立を目指す。令和4年度(~2023年3月)には、共通システム(大和ハウス工業がシステム開発)との連携・荷卸しにおけるスワップボディコンテナ(車体と荷台が分離でき、分離中に荷役作業が実施できるトラックのこと)の有効活用、AIを搭載した自動運転フォークリフトの前後の工程にパレタイジングロボット(荷積み:パレタイズ/荷卸し:デパレタイズを行うロボット)を活用し、自動化の範囲を広げ、令和5年度には、AIを搭載した自動運転フォークリフトを活用した効率化、省エネ技術が広く普及するよう実証や検討を進める予定だ。花王は発荷主を、イオングローバルSCMは着荷主を務める。本実証が実用化されれば、現場の荷役作業が軽減され、またサプライチェーン全体での効率化と省エネ化が達成される。実証では、製品メーカーと小売り間の物流が実証モデルになっているが、本取組みの効果が明らかになれば、導入・応用したい業界、国は数多(あまた)あるのではないか。

「2021年 保険モニタリングレポート」の公表について 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
Muddy-stream_w150

9月21日 9/10に金融庁から「2021年 保険モニタリングレポート」が公表された。同レポートは、保険会社や少額短期保険業者を取り巻く「諸課題」のうち、特に金融庁として課題と認識している主な事項について、昨事務年度のモニタリングによって、把握した実態や課題などを取りまとめて整理した事項を踏まえ、本事務年度の保険会社や少額短期保険業者へのモニタリングの方針を公表するものだ。レポート中では、①保険会社を取り巻く環境変化と②諸課題、更には③金融庁の今後の取り組みなどの方向性が示される。①としては、人口減少や、技術革新(例えば自動運転技術などの発達による自動車関連保険市場の縮小)、低金利の継続、デジタル化の進展、自然災害の多発・激甚化などの気候変動リスクの増大といった中長期的な環境変化、ポストコロナ対応が保険会社にも求められるなか、保険会社には、持続可能なビジネスのモデル構築、グループガバナンスの高度化、自然災害の多発・激甚化への対応、財務健全性の確保、顧客本位の業務運営、少額短期保険業者の体制整備といった課題が生じている。これら諸課題を抱える保険会社に対し、金融庁は「保険会社が社会的意義を将来にわたって果たしていくためには、環境変化へのフォワードルッキングな対応が不可欠であることから、金融庁としても諸課題を的確に把握した上で各社と深度ある対話・モニタリングを実施し、その取り組みを促していく」、事務年度ごとにモニタリング、レポート公表、PDCAサイクルを回すといった取り組みを実施している。ちなみに昨年度(2020年度)の損害保険会社の実績は、凡そ元受収入保険料が、90,000(単位:億円)、元受支払保険金が、50,000(単位:億円)弱である。自動車に関係する自動車保険の元受収入保険料は、2019年度と比べ、凡そ40,000(単位:億円)で横這い、自賠責は減少傾向にある。また、自動車保険の元受支払保険金は、2019年度と比べ、凡そ20,000(単位:億円)弱となり減少傾向、自賠責保険についても減少傾向だ。(*東京海上日動、三井住友海上、あいおいニッセイ同和などの11社合計を金融庁が取りまとめ)。各社では、コロナの足元の業績の影響については、大手・中堅とも国内事業では、海外旅行・物流棟の減少により、傷害保険や海上保険といった一部の保険種目の収入保険料は一定程度減少したものの、収入保険料全体としては、前年度比横這い、また「コロナの感染拡大に伴う外出自粛により自動車事故が減少し支払保険金も減少した」。一方、大手損害保険グループの海外事業では、興行中止保険、利益保険等においてコロナに起因する多額の保険金支払いが生じ、各グループとも昨年度は減益となったものの、こうした商品についてはその後に感染症を免責化しており、各社とも今後の影響は限定的と見込んでいるようだ。各社は前述の中長期的な事業環境の変化にポストコロナを追加、顧客ニーズに対応するため、以下のような取り組みを行っている。一つはデジタル化による経営効率化、デジタル化による非対面募集(販売チャネル戦略)、商品戦略としては、各社ともウィズコロナにおける顧客ニーズに対応するため、個人向け保険にはコロナを医療保険や傷害保険の補償対象に追加などし、企業向け保険には一契約当たりの支払限度額を設定するなどの保険引受リスク管理を行いつつ、ホテル・旅館、飲食店、介護事業者や医療機関等の業態ごとのニーズを踏まえ、コロナに起因する様々な費用や利益損失を補償する保険商品を新設する等、創意工夫を凝らしている模様だ。また大手及び外資系中堅を中心にポストコロナを見据えた商品開発を、既に進めており「テレワーク」に関連する情報漏えいや従業員の副業に関連する労務管理リスクを補償する保険商品等の働き方の変化を踏まえた商品の開発を行うとともに、サイバー保険の補償の拡充等、社会全体のデジタル化、オンライン化を見据えた商品開発を行っている。自動運転やMaaSに取り組む企業等の事業についても、保険の見直しを図る時期が訪れているものと推察する。**出典:金融庁ウェブサイト(https://www.fsa.go.jp/news/r3/hoken/20210910/summary.pdf)

ANA、ゼンリンら4社、車いす走行ルート等を表示する機能を運用開始 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
Traffic-jam_w150

9月17日 DX(デジタル・トランスフォーメーション)が叫ばれて久しい。「データの力」はビジネス領域に限らず、私たちの日常生活の中で既知の課題であっても、抜本的な改善が難しかった分野においても日々少しずつ改善が進む。その一例として「バリアフリー情報」の発達がある。9/15にANAは「ANA空港アクセスナビ」の徒歩区間における「バリアフリー地図/ナビ」機能の運用を開始すると発表した(同社の取り組む「Universal MaaS」の一環)。一財)Wheelog、ゼンリン、ゼンリンデータコムが参画する。Wheelog(https://wheelog.com/hp/)は、東京都千代田区に本部を置く障害者や高齢者、ベビーカー利用者など移動に支援を必要とする方向けにバリアフリー情報を発信、社会全体のバリアフリーに関する理解の普及を目的とする一般社団法人だ。ナノコネクト社と共同開発する同社の「Wheelog!アプリ」は、車いす利用者が実際に走行したルートやユーザー自身が実際に利用したスポット(街中のバリアフリー施設やトイレなど)など、ユーザー体験に基づいた「バリアフリー情報」を共有できるバリアフリーマップのプラットフォームだ。2021年8月現在のユーザーは42,358人。アプリ上では、ユーザーが車いすで通った道の共有、車いすユーザーが利用できる施設や設備の共有、つぶやき(評価)、ユーザーが知りたいスポットのバリアフリー状況をリクエストしたりすることも出来る。今後の情報充実が期待される。また、二つ目の例として、観光地を持つ街中における、車による来訪者への「渋滞情報」の発達もこれに挙げられる。来訪者にとっては、データによる移動時間の改善、住民にとっては、生活移動への影響低減に繋がる。本田技研工業は、この8月から「旅行時間表示サービス」の有償提供を開始した。ホンダ車(370万台)のリアルタイム走行データを活用し、渋滞路・迂回路通過の所要時間を計算、道路上の表示器に渋滞路・迂回路通過の所要時間を表示、観光地などに向かう複数ルートの分岐点でドライバーに迂回を促し、交通量の分散、渋滞の低減を目指す。このサービスの提供を行うHonda ドライブデータサービスは、約370万台のホンダ車から走行データ・車両挙動データなどを活用し、渋滞対策や都市計画、防災、交通事故防止など社会課題解決を目指すデータサービス事業(https://www.honda.co.jp/HDDS/)だ。栃木県の日光市内の119号線の渋滞緩和を目的として行われた実証実験では、日光宇都宮道路の今市ICを下り、日光方面へと向かう車が頻繁に通行、渋滞が発生し易い春日町交差点付近の複数個所に前述した表示器を設置、日光山内入口までの最長所要時間を171分(2019年)から85分(2020年)の短縮に成功している。これにより最大渋滞長も3.7kmから、2.3kmまで短縮され、渋滞が解消する時刻も平均で2時間以上早まっている。ビッグデータが持つ可能性や影響力は、計り知れない。いかに収集し、いかに活用するか?メーカーや自治体、利用者である我々自身も各々の立場からアプリやWebサイトの「評価」や「コメント」機能を利用し、アイデアや開発者やサービス運営者に「なるほど!」と肯かせる気付きを発信出来るなら、その先により豊かな社会が生まれるのではないか。

JR東日本がNFCタグ乗車実験、MaaS事業強化とSuica等よりも低コスト導入を見込む 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
Rainbow-Bridge_w150

9月16日 JR東日本は 9/16(木)~11/30(火)まで、東京の品川・田町~お台場エリアを走るお台場レインボーバス(運行:kmモビリティサービス)で、NFC(近距離無線通信)タグを用いた料金の収受の実証実験を行い、MaaS事業の強化、現行のSuicaよりコスト削減を狙う。NFCは、SuicaやPASMOなどのICカードに用いられている技術で、元はソニーの「FeliCa」(非接触ICカード技術)だ。1枚のカードにICチップとアンテナを搭載し、対応するリーダー/ライターにかざすことで、カード内のデータの読み書きが出来る。カード内には、フォルダとファイルに相当する機能があり、1枚のカードに複数のサービスを盛り込むことが出来る。社員証の例を挙げるなら、入退室ID、PCログイン、電子マネーなどのサービス、公共交通などの乗車券や、飲食店や小売店などでは、ポイント・クーポンなどのサービスも付加できる。ISO/IEC 15408 EAL5+以上を取得。カード内のバリューや電子マネー、個人情報などの資産を悪質な攻撃から守る高いセキュリティーを備える。また「FeliCa」技術は、携帯電話やコイン型トークンなど、カード以外にも搭載可能でキーホルダーや腕時計などにも組み込むことが出来る。今回の実証実験では、JR東日本のMaaSアプリ「Ringo Pass」(をインストールしたスマートフォン)のNFCリーダーモードで、バスの運賃支払い箱上部に設置された「Ringo Pass」(s-Touch)マークにタッチすることで乗車が可能になる。「Ringo Pass」のアプリ地図上のバス停を選び、「タッチで乗車する」ボタンを押す。その後、乗車人数を選び、「タッチする」ボタンを押すと、前述のNFCリーダーモードが起動する。従来の交通系ICカードでは、1枚(1台)で複数人の乗車は難しかったが、本実証では1タッチ化され、乗車時間の短縮・バス運行ダイヤの定時制の確保にも貢献する。運賃の支払いは月2回、「Ringo Pass」に登録したクレジットカードから行う。NFC(近距離無線通信)技術は、6/22~1ヶ月間行われた京浜急行、京急バス、NTTドコモが横須賀・三浦エリアを訪れる観光客らを対象に行ったMaaS実証実験の「みうらよこすかMaaS」アプリ内で、デジタルチケット(「デジタルみさきまぐろきっぷ」)を購入すると、京急品川~三崎口間の全駅の改札や地域の参加店などで、非接触のキャッシュレス決済手段として採用されていた。NFCを利用したキャッシュレス化が広く、交通分野を含めた地域経済に普及してきていることを実感する。交通事業者にとっても、従来の決済システムより導入コストが削減でき、工夫次第では、地域経済との連携も視野に入れた様々なサービス付加し、自社のMaaSアプリの普及や、利用者の利用状況データなどの蓄積にも利用できる便利なツールとなるのではないだろうか。

「日本版MaaS支援事業」に見る、日本のモビリティにおける課題 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
escalator-haneda_w150

9月15日 昨日の記事で宮城県登米市でJR東日本が行う自動運転バスの実証実験について触れた。記事の終段で車椅子での利用者への対応を念頭に、MaaSにおけるバリアフリー設備の自動化について書かせていただいたが、概念を少し広めて、設備(ハード面)だけでなくソフト面(サービス面)も包含する「ユニバーサルMaaS」についてお話したいと思う。現在、MaaS普及のため、ここ数年全国において様々な実証実験が展開されている。その中で印象深いのが、ANA、京浜急行電鉄、横須賀市、横浜国立大学が取り組む「Universal MaaS」だ。ちなみに東京都交通局の都営バスのバリアフリー情報ページを拝見すると、平成11年度から更新する全ての車両をノンステップバス化し、平成24年度末(2012年)までに全ての車両のノンステップバス化が完了している。*ノンステップバスとは幼児、妊婦、高齢者、障害者をお持ちになる方、傷病者などの乗降がしやすいようバスの床面高さを30cmとし、乗降口の階段をなくした車両を言う。車両設備としては、優先席を含め、車いす用スロープや車いすスペース、ニーリング機能(車高調整装置)、AED装置(自動体外式除細動器)の設置、筆談具の設置などの紹介がある。京浜急行電鉄では、上記の3者と連携し「ユニバーサルマース」の社会実装に取り組む。障害者や高齢者、訪日外国人など、様々な理由で移動にためらいのあるお客様(利用者)が快適にストレスなく移動を楽しめる「移動サービス」を構築中だ。(同社のポジションからは)鉄道に繋がる公共交通機関の運賃、運行状況、バリアフリー乗り継ぎルート(車いすなどの利用者が空港や駅構内で、安全に最短で移動できる経路ナビゲーション)などの情報を利用者に提供するとともに、利用者のリアルタイムな位置情報や個人が移動中に必要とする介助の内容を交通事業者側が共有し、移動中の介助サービスで連携することにより、利用者にスムーズな移動体験を提供する。この4者は、2019年6月から羽田空港第2ターミナルから、横須賀美術館(神奈川県横須賀市、馬堀海岸駅や浦賀駅が最寄駅)までの移動について実証実験を繰り返し「Universal MaaS」のアプリを構築した実績がある。2021年5月に発表された「京急グループ総合経営計画」において、MaaS(事業)推進は鉄道会社にとって、2次交通需要の拡大と捉えられ、沿線の活性化や交通渋滞の解消といった社会的な効果をもたらす取り組みと捉えられている。その中に移動弱者をサポートする「Universal MaaS」の推進が位置付けられている。「ユニバーサルMaaS」の「情報の価値」は、移動にためらいのあるお客様(利用者)と言われる方々や鉄道会社だけが享受するものではなく、目には見えにくい部分だが、そこにつながる交通事業者や地域経済全体にとっても変わらず、経済だけに止まらない「価値」だと言える。今後も、MaaSが国内に展開される上で本実験で培われたサービス体系が、全国津々浦々に遍く実装されるよう願いたい。

【オンライン公開】 《「企業訴訟」「労働訴訟」から企業を守る!!実例に基づく事前対策・初期調査の勧め》 オンラインセミナー

セミナー情報 ニュース

2021年9月15日 AOSデータ株式会社 【オンライン公開】《「企業訴訟」「労働訴訟」から企業を守る!!実例に基づく事前対策・初期調査の勧め》オンラインセミナー プログラム全体のご紹介 【ご視聴にあたってのお願い】 安・・・

ページの先頭へ