6月2日 埼玉工業大学の自動運転バスが話題となっている。2020年度の自動運転バスの研究開発における走行距離が2,970kmを超えた。昨年度計652kmの凡そ4.55倍を走行したことになる。米Cruiseが2019年12月~2020年11月までカリフォルニア州で行った走行試験は123万kmだから、その0.24%に当たる距離だ。走行の内訳を見ると、大学キャンパス内(41.3km)、深谷市内(大学周辺の公道/784.3km)、羽田空港地域(SIP自動運転/1008.5km)、塩尻市内(「塩尻型次世代モビリティサービス実証プロジェクト」/234.8km)、深谷市内(路線バス「渋沢栄一 論語の里 循環バス」/900.7km)である。埼玉工業大学の発表の中で走行距離の多い、羽田空港周辺で行われた内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」の参加機関として、リエッセⅡを投入、2020年度2回目の実証実験を10/21~計9日間行っている。実験の内容は、ITS無線路側機を活用した公共車両優先システム(PTPS)および信号情報提供、バス専用レーンなどのインフラ協調機能の有効性の検証であった。この実験への参加は、自動運転関連のスタートアップや国立大、サプライヤ、完成車メーカー、損保など計28機関にのぼる。*同大学は、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)(第1期)2017年10月~にも参加しており、私立大学としては唯一2期連続参加を果たしている。第1期では、埼工大のプリウス「SAIKOカー」を投入、静的高精度3D地図データの仕様・精度の検証、データの生成・更新・配信システムの検証、インフラ等により提供される動的情報の車載機器上での紐付け検証の実証に参加している。また「塩尻MaaS」においては、(株)ティアフォー、KDDI等の事業者と連携し、Autowareと事前に作成した高精度3次元地図をベースにした自己位置推定、障害物認識等の機能を実装した車両を走行させている。「渋沢栄一 論語の里 循環バス」では日野レインボーⅡを使用、路線バスとして営業運行させるため緑ナンバーを取得した。Autoware(AutowareをベースにしたAIソフト)を利用し、AIに拠る障害物検知(識別・分類)機能を強化、複数のLiDARやカメラの画像情報をディープラーニングにより、周囲環境をAIで認識させ、障害物の回避をさせることも可能。同大学がこれまで様々な実証実証に参画して得た経験やノウハウを集大成した取り組みだ。同大学の自動運転バスは「Autoware」をベースに独自開発した「SAIKOカーWare」により、AIを採用、自動運転レベル3を目指して開発されたものだ。一般公道を法定速度で走行できる。システムによる自動運転とドライバーによる運転を即時にスムーズに切替え、交通状況に応じて安全に走行出来る。運行は付加や観光バスが担う。ちなみにこの街には文久三年から(創業158年)銘酒「菊泉」を醸造する酒蔵、滝澤酒造株式会社がある。「菊泉 大吟醸」はインターナショナルワインチャレンジ(IWC:ロンドンで開催される世界最大規模のワインコンペ、2007年に「SAKE」部門設立)で2013年、2014年、2017年にゴールドメダル賞を受賞している。*同社の「蔵見学」はコロナウイルス感染症蔓延防止のため、当面の間休止の措置が取られているが「渋沢栄一 論語の里 循環バス」のコース上にある「道の駅 おかべ」でも地元酒蔵の地酒として販売されている。*『画像提供 深谷市』、『©深谷市』。
【期間限定:月額固定費用割引キャンペーン】AOSデータ社、電子契約もできる契約マネジメントソリューション「Keiyaku.Ai」バージョンアップ記念キャンペーンを実施
2021年6月2日AOSデータ株式会社 【期間限定:月額固定費用割引キャンペーン】AOSデータ社、電子契約もできる契約マネジメントソリューション「Keiyaku.Ai」バージョンアップ記念キャンペーンを実施 クラウドデー・・・
AI活用、バス事業者向けに事故削減コンサル 他
6月1日 新型コロナウイルスに対抗するワクチンの接種が世界各国で進む。Bloombergの記事によると、6月1日現在176ヵ国で19億1000万回以上の投与が行われている(3350万回/日)。この投与ペースをもとに(あくまで投与が順調に各国で進んだ場合)世界が高いレベルの免疫力を達成するには、更に1年を要すると「見込まれる」。同社の以前の記事から、世界が正常に戻るためにはワクチン一人当たり2回接種で、接種率75%が必要としている。また、第一生命経済研究所は、日本経済の見通し(2021・2022年)~ワクチン接種の進展で、22年の景気は上振れへ~を発表、実質GDP成長率の見通しは、21年度が+3.3%(21年3月9日時点予測:+3.3%)、22年度が+3.1%(同+2.6%)としている(ワクチン接種ペースの想定を上方修正したことから、22年度の成長率見通しを上方修正)。年内には日本の人口の約半分が接種を行うと想定、接種が進むと感染リスクは徐々に低下、抑制されて来たサービス消費が活発化することで、21年度後半から22年度にかけて景気は回復感を強めるとの読みだ。西鉄の"修正"第15次中期経営計画(2019年度~2022年度)を拝見した。2020~2021年のコロナショックを経て、2022年には事業利益が再び成長軌道に乗るポストコロナ期へ入るとグラフが目に入る。ウィズコロナ・ポストコロナで、想定される変化に対する認識については、外部環境認識として、海外情勢・経済はサプライチェーンが多元化・国内回帰し、国内経済では日常移動の減少・分散、フィジカルディスタンス確保、内需深耕+外需へ、ITCの進展とマーケットについては、デジタル化・省人化の加速、安全・安心や社会課題への関心については、サスティナビリティ重視へ向かうと分析されている。しかし、内部環境の認識においては、新たに「日常移動の減少・分散により人が集まることを前提とする多くの事業でコロナ前のお客様の水準に戻らない」との件も追加されている。西鉄の「筋肉質でサスティナブルな企業グループへの変革"ニューノーマルにおける西鉄ブランドの価値追求"」をテーマに掲げた戦略とは?多角経営ゆえ、交通事業関連の施策に的を絞り拝見してみると、①構造改革・事業モデル変革とポートフォリオ見直しでは、鉄道事業では、運賃施策・ICポイント施策の見直し、終電繰り上げを含む減便。バス事業では、同様に運賃施策・ICポイント施策の見直し、利用状況に応じた減便などが挙がる。②グループ経営体制・組織体制見直しでは、沿線自治体との連携・協業として、久留米市、太宰府市、大野城市、春日市との連携、他社連携ではJR九州、LINE Fukuokaとの連携が挙がる。③持続可能で活力ある街づくりの推進では、福岡国際空港との取り組みでは、将来的旅客需要の回復を見据え、国内線・国際線連絡バスに連接バスを導入し、ポストコロナを見据えた観光客誘致や二次交通の整備等での連携推進が挙がる。また、雑餉隈(ざっしょのくま)~下大利駅エリアまでの連続立体交差事業、西鉄柳川駅周辺開発事業、MaaSなど次世代モビリティの取り組み強化、AI活用型オンデマンドバス「のるーと」の展開、自動運転バス実証実験(朽網~北九州空港線)への参画なども挙がる。他交通事業者(JR九州等)と連携した観光客の利便性向上、QR乗車券など観光客向けの利便性の高い決済システムの構築も進む。⑤デジタル化・新技術の活用による生産性・顧客体験の向上では、デジタル技術を活用した顧客視点での商品・サービス再構築として、鉄道・バス事業では、定期券販売所におけるLINEを用いた順番待ち解消にも取組む。キャッシュレス・チケットレス化も進む(IC乗車券・定期券の事前決済型システム構築)。⑥ESG・SDGs視点での取り組み強化では、省エネ鉄道車両の導入による回生電力の駅施設への活用検討、中古バスを廉価に電動化する「レトロフィットバス」の導入拡大に向けた実証も進む。⑦安全・リスクマネジメントの強靭化では、バス車内安全監視AIカメラの導入拡大(2021年度~/BOLDRY「DaiLY BY DISPATCHER」の開発に協力)、駅ホーム安全監視AIカメラの実証実験、ICTを用いた効率的な鉄道施設点検の実証実験など、多彩な施策が進行中だ。前述の記事よれば「ポストコロナ」は1年後に到来している筈だ。各社残り一年の取組み次第で「ポストコロナ」でのスタート位置が変わると解釈すれば、この一年は重要な1年だ。
トヨタのアプリでJR九州と西鉄が協業 背景を運輸総研のセミナーから読み解く 他
5月31日 岡山県倉敷市に鷲羽山下電ホテル(わしゅうざんしもでんほてる)*というホテルがある。グループの祖、下津井軽便鉄道は1911年に開業、1925年に路線バス開業、1952年に貸切バスを、1954年にはタクシー事業に着手。瀬戸大橋開業後の1991年に鉄道事業からは撤退している。ホテルは1932年に「鷲麓園」として創業、来年創業90年を迎える。この老舗ホテルが、JR西日本、JR西日本コミュニケーションズとともにプライベートビーチを利用して「SETOUCHI GLAMPING(せとうちグランピング)」(Glamorous+campingの造語)を開始する予定だ。2020年9月から2021年1月までコロナ感染拡大防止対策も含め実証実験を行い、GWのプレオープンを経て、この7月にグランドオープンとなる。その準備に余念がない。JR西日本は「JR西日本グループ中期経営計画2022 見直し_継続と進化で目指す未来へ」の中で北陸新幹線敦賀開業やせとうちエリア等、地方への注目の高まりを成長機会と捉え、コロナ禍での人と人とのつながりの「制約によるひずみ」は、むしろ「つながりの大切さへの再認識になる」と考えているようだ。その中で、地域共生の深耕 西日本各エリアの魅力創出と題して、鉄道事業と創造事業、地域が一体となったコンテンツ整備・プロモーション展開による広域観光エリアの磨き上げ、地方中核都市を中心としたまちづくりにより、西日本各エリアの魅力を創出、交流・関係人口拡大を図る。JR西日本の「せとうちパレットプロジェクト」はその一環だ。このプロジェクトの一角をなすのが「SETOUCHI GLAMPING(せとうちグランピング)」だ。良くも悪くも、1988年の瀬戸大橋の開業が地元経済に与えた影響は計り知れない。下電グループや瀬戸大橋下の櫃石島(ひついしじま)、岩黒島、与島、坂出市、宇多津町、丸亀市など地元自治体や公共交通事業者も、その荒波を幾度も受けてきたことは想像に難くない。グループは地元の足となる移動サービスを維持しながら、関係者が様々な経営努力をして来た様子はホームページからもみて取れる。しかし、同観光ホテルとJRの地元駅となる児島駅間を結ぶ下電バスの「とこはい号」は倉敷市のバス路線維持費補助金の交付を受け、一日10便に限られる。関連会社の移動サービスと言えども状況は厳しい。JR西日本も、地域を知り尽くした老舗グループも生まれたばかりの「グランピング」と「MaaS」に期待をかけ、その舵を切ったばかりだ。ちなみに、2020年10月1日よりJR西日本「setowa」アプリでは「ジーンズのまち児島1日乗車券」「鷲羽山夕景鑑賞バス」をスマホでお得に決済、チケットレス乗車が利用できるようになったそうだ。「鷲羽山夕景鑑賞バス」のコースには同ホテルが組み込まれ、夕方の夕日の時間に合わせたダイヤで+1便となっている。老舗ホテルのお眼鏡にかなったMaaSの可能性に期待したい。*下津井電鉄の関連会社である株式会社下電ホテルが経営。下津井電鉄から分社化、下電の呼称を使用しているが現経営主体は異なる。下電ホテルグループの代表は永山久徳氏。岡山県倉敷市出身。
KDDI登壇、IoTによる企業や社会の変革事例を紹介…モビリティトランスフォーメーション2021 他
5月28日 6/29-30に、株式会社スマートドライブが主催する「モビリティトランスフォーメーション 2021 移動の進化への挑戦」(オンライン開催)が開催される。移動サービスに関わろうとするさまざまな業界の雄が集い、MaaSやCASEを基軸に据えながら、カーボンニュートラルへの取り組み、DX(デジタルトランス・フォーメーション)、新型コロナウイルスへの対応など、様々な「進化」のための環境への答えを模索し、その未来を語る。前日の6/28には、業界を代表する3社とスマートドライブによるスペシャルセッションなども配信される。その中に東京ガス株式会社の参加がある。同社が基軸としてきた既存事業を考えると異色に映るが、東京ガスのホームページで、セグメント利益構成比(2019年度)を拝見すると、ガス1,024億円、電力101億円、海外132億円、エネルギー関連169億円、不動産96億円、その他が57億円とある。電力事業は、2016年の電力小売全面自由化を契機に端を発し、小売の顧客数は240万件(2020年4月時点)、電力販売量は206kWh(2020年3月期)と順調だ。東京ガスは、2019年11月に策定した経営ビジョン「Compass2030」により2030年に向け、CO2ネット・ゼロをリード、価値共創のエコシステム構築、LNGバリューチェーンの変革を図ろうとしている。脱炭素の潮流(パリ協定・IPCC第6次報告書公表など、また再エネ普及、脱化石燃料、アジア圏での天然ガスの需要拡大)、デジタル化(5G商用化、デジタルとリアルの融合)、顧客の価値観の変化や多様化(スマートシティ、サステナビリティ、レジリエンス強化、生産活動を伴う消費者の増加、エネルギーの使い方の変化)、エネルギーの自由化(公営ガス事業の民営化、競争激化、LNGの供給過剰、電力・ガスの法的分離による業界の再編、再生エネルギーや分散型エネルギーシステム導入へのシフト)といった経営環境の変化を捉えての動きとみられる。取り分け「LNG(液化天然ガス)」は、ガスコージェネレーションシステムを介して、発電で発生した廃熱を別の電力源として使用出来、火力発電と比較し高効率の発電が可能だ。またCO2や公害物質(窒素酸化物や硫黄化合物)発生を抑制できる上(ただし天然ガス採掘時にメタンガスの抑制が必要で、この領域は現状、一長一短がある)、石炭やガスに比べ、より多くの地域から産出可能で供給安定性も高い。つまり、EVやLRT、スマートシティー(公共施設や一般家庭やオフィス、避難所の蓄電池)などが、これらのエネルギーの将来的な有力顧客・消費先となるということだ。東京ガスは新たな電力供給システムのプラットフォーマー(低CO2電力の供給・最適融通・最適運用)を目指し、その体制を構築している。宇都宮市のスマートシティー構想(芳賀・宇都宮LRT事業LRT)などが、これらの取り組み例と言える。また練馬、浦和、千住に続き、江東区豊洲にも水素ステーション(シェルグループから購入したカーボンニュートラルLNGを活用、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生するCO2が、CO2クレジットで相殺される)を開設しており、燃料電池バス(FCバス)系へのエネルギー(水素)供給もカバーする目論見だ。国連開発計画(UNDP)のホームページには、SDGsについてこうある。3 すべての人に健康と福祉を、7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに、10 人や国の不平等をなくそう、12 つくる責任、つかう責任、13 気候変動に具体的な対策を。17 パートナーシップで目標を達成しよう(一部抜粋)。この国がLNGを利用するにあたり、産出国で公害を起こしてはならない。産出国側に現段階で問題解決の余力がない場合は、購買国側が採掘時のメタンガス抑制の技術なり、無公害化のシステム提供なりの道筋や資金を与えるべきだ。その意味でも東京ガスの脱炭素化の進展に期待したい。
小田急の飲食・物販サブスク「EMotパスポート」10店舗追加 「ロマンスカーカフェ」も 他
5月27日 本記事でも何度か話題にさせて頂いた小田急のMaaSアプリ「EMot」で販売されている飲食と物販のサブスクリプションチケット「EMotパスポート」。5/26に利用可能な店舗尾が追加され、メニューが増えることになった。パスポートは、1回500円相当のサービスがスマホの画面提示だけで利用可能だ。お得な回数券(1回券500円・10回券3,500円)と対象となる飲食サービスが30日間で90回利用できるパスポート券(自動更新・課金)から、利用者のスタイルに合わせて選択できる。①チケット購入後、②対象となる飲食店などで商品を選び、③レジ付近に添付されているQRコードを「EMot」で読み込み、店員に表示されたアニメーション画像を提示し、商品を受け取る仕組みだ。*「箱根そば」(サブスク対象店)では、店頭の専用端末に表示されるQRコードを「EMot」で読み込み、利用者のスマホ上でメニューの選択(発券)すると、専用端末から食券が出てくるので、食券を受付カウンターに渡す。今のところ、このお得なパスポートの新規購入は毎月先着100枚の限定販売となっている。老婆心ながら「箱根そば」と「箱根そば本陣」とでは、利用できるメニューに違いがある。その他に利用可能な飲食店は「おだむすび」「HOKUO」「FORESTY COFFEE/FORESTY cafe」「ベーカリー&デリカテッセン箱根カフェ」「小田急百貨店新宿店ブティック・トロワグロ(地下2階食料品売り場)」「同町田店(地下1階食料品売り場)」「同ふじさわ(地下1階食料品売り場)」「HIBIYA KADAN Hibiya-Kadan Styleルコネル」、そして小田急新宿駅改札内にあり、フライト前のひとときを演出する空港内の有料ラウンジを思い起こさせる「ロマンスカーカフェ」が加わった。店内からは、特急「ロマンスカー」の発着するプラットフォームを見渡すことが出来、一緒に旅行する仲間との待ち合わせなどにもよさそうだ。惜しくも、2021年3月のダイヤ改正を機に「ロマンスカー」のワゴンサービスが終了してしまった。1949年から始まった伝統あるサービスを載せた名門特急は、当時「走る喫茶室」とも呼ばれた。和倉温泉の老舗旅館「加賀屋」は1989年に料理搬送システムを導入し、それまで30人で配膳していたが、導入後は7人での配膳を可能にした。小田禎彦氏(現・相談役)は「客室係採用のために、従業員を重労働から解放、労働環境を整え、能力のある人たちを迎え入れたかった、削減された労力を全てお客様のサービスに振り分ける」との言を残している。海外旅行客にとって、箱根観光のゲートウェーの役割を担い続ける特急「ロマンスカー」のワゴンサービスにも、近い将来AIを搭載したロボットが登場する時代が到来するのかも知れない。
AOSデータ社、シニア向け動画チャンネル「Husime TV」の新動画、『70代のスマホ挑戦「病院検索アプリ」デジタルって人生より難しいもんか 笑』
2021年5月27日AOSデータ株式会社 AOSデータ社、シニア向け動画チャンネル「Husime TV」の新動画、『70代のスマホ挑戦「病院検索アプリ」デジタルって人生より難しいもんか 笑』 クラウドデータ、システムデー・・・
日本の「自動運転」普及を阻む道路事情とは? 一歩先を行く米国との差は何か 他
5月26日 少し前の話題となるが、国土交通省に「電動バスガイドライン概要」(平成30年12月)がある。同省は地域交通のグリーン化に向け、電動バス導入費用の一部を補助する「地域交通グリーン化事業」により、同年まで計30台の導入支援を行い、次年度以降も普及加速を狙った。同ガイドラインは、地域交通のグリーン化を促すため、電動バスに関する評価や普及に必要な取組について検討、「地域交通グリーン化事業効果検証・ベストプラクティス委員会」の議論を踏まえ、バス事業者の手引きとなるよう、導入の検討から運用開始までの手順、効果評価等をまとめたものだ。資料は電動バスの性能や特長、計画的に導入を進めるための手順、電動バスのCO2排出削減量の算定方法、導入効果、現状(当時の)課題、導入事例を掲載している。電動バスは、ゼロエミッション(CO2削減)、低騒音・低振動、快適な乗り心地、災害時の電力供給減などの特長を持つ。導入効果の最たるものはCO2削減(ディーゼル比:最大4割程度の削減効果)、その経済性は運行費用(ディーゼル比:最大4割程度の削減効果)、整備費用(ディーゼル比:最大5割程度の削減効果)という。電動バスの導入課題は、車両価格が高価、航続距離が短い、保守体制の構築などがあり、各車両メーカーの特性を把握の上、車両メーカーや充電メーカー等と協議の上、導入とある。ちなみに①電動バスの価格は約6,000万円~1億円程度、②プラグインハイブリッドバスの場合は、約6,500万円程度、③燃料電池バス(トヨタのSORA)は約1億円と言われる。この他、インフラとして①は普通充電、急速充電施設、②は給油所+①、③は水素ステーションが必要となる。導入検討から運行開始までは、およそ1年半。運行路線に見合うスペックの割り出しと、導入後の運用及び保守体制含め、メーカー等(車両販売会社、地方自治体などの車両導入事業者、電力会社・燃料メーカー、蓄電池メーカー、車両メーカー及び車両改造メーカー、充電器メーカーなど)との協議が必要とされる。一方、2021年4月16日に(株)みちのりホールディングスが「みちのりグループの電動化に向けた取り組みについて」をまとめている。同資料の15頁ある「電動バスの本格導入に向けた課題と対応の方向性」によると、電動化はCASEの一角でありバス事業者の持続可能性の視点からも重要な取組との認識が示されつつ(深圳市:市内路線バス:18,000台を転換済、ロンドン市:2035年に市内全ての路線バス8,800台の電動化を目指すなどの事例が併記されている)、投資余力に限りのある「地方部における導入モデルの構築」が必要とされる。2018年度の民間バス事業者の経常収支率(収入/支出)は東北エリアで75.2%、京浜エリアで109.9%である。都市部と地方の投資余力の「格差」などが導入障壁となっている様子も垣間見える。またこれらに加え、運転士の教育や運行オペレーションや車両整備体制の構築等、これまでのディーゼル車中心のものとは異なる組織能力の獲得、運行中の車両のガス欠ならぬ電欠を防ぐ「エネルギー管理」などの必要もあり、運行状況を監視する「エネルギーマネジメントシステム」導入など、新たな投資が必要とされ事業者にとって頭の痛い問題だ。ちなみに東京交通局では、2017年の市場投入以降、水素を燃料とする燃料電池バス(FCバス/路線バス)の運行を開始している。2019年3月からは東急バスなども導入を果たしている。
損保ジャパンら、「自動運転向けデジタルリスクアセスメント」を開発 他
5月25日 国交省の資料に奈良県三郷町の提案した『5Gを軸とした全世代全員活躍のまち「スマートシティSANGO」』がある。地域BWA(ブロードバンド・ワイヤレス・アクセス/2008年より「地域WiMAX」としてデジタル・ディバイドの解消、地域の公共の福祉の増進に寄与することを目的として導入された2.5GHz帯の周波数の電波を用いた電気通信業務の無線システムのこと)とローカル5Gを軸に公共交通の充実と安心安全なまちづくりを進める。同町の高齢化率は奈良県の平均よりも高く、また坂道が多い地形のため高齢者の移動手段の確保の重要性が高まるとともに公共交通の人手不足や将来的な路線維持、あわせて人口減少に伴い、地域の見守り(子供や徘徊老人などの安全確保)が地域的課題とされている。この状況を鑑みて三郷町は、路線バスの自動運転化、AI・ローカル5Gを活用した顔認証・画像認識による見守りや防犯システムを構築している。三郷町のスマートシティ構想(令和2年~6年)を見ると、町は「奈良県三郷町SDGs未来都市計画」により、地域BWAを活用した自営ネットワーク網を町内全域に構築し、ICT・IoT技術を活用し、多様な課題解決を図ることとなっている。課題の中の一角には、住民や、信貴山など著名な観光スポットへの観光客の移動手段の確保、公共交通の利便性向上・運用効率化がある。移動・交通分野における施策は、過去の乗降履歴データを用いた「予約制乗合タクシーの需要予測による運行効率化」や「公共交通への自動運転車両の導入」、更に「三郷町版 MaaSの導入」などが検討されている。5/18に損保ジャパンはアイサンテクノロジー、ティアフォーと共同でインシュアテックソリューション(「Level Ⅳ Discovery」)として「①自動運転向けデジタルリスクアセスメント」を開発し、この5月から提供を開始すると発表した。その初の提供先が奈良県三郷町となる予定だ。同町のこれまでの地域BWAへの取り組みと、3社の技術が相まって、リスク評価の定量化や提供の迅速化、自動運転走行の安全性と効率性を高め、社会実装を急ぐ自治体などへの礎となることを期待したい。ちなみに①の主なメニューは、モービルマッピングシステムによる走行ルート調査、自動運転システムによる自社位置推定の精度調査、通信環境調査、走行シミュレータによる危険回避調査、走行ルートにおける過去の事故データを活用したリスク調査、ガイドライン等の適合確認、報告書等作成支援となっている。3社は、今後もNEDOの支援を受けつつ、名古屋大学や株式会社Human Dataware Lab.と共に、2025年度を目途に公道での自動運転走行を目指し「AI技術を取り込んだ自動運転向けデジタルリスクアセスメント」の研究開発を進めるとしている。
ユーザーの趣味趣向に合わせた観光地を提示できる観光型MaaS「札Navi」を札幌で実証事業 他
5月24日 2/1から札幌型観光MaaS推進官民協議会、TIS株式会社により札幌市内で行われていた「札Navi(サツナビ)」の実証が終了し(実験終了:2/21)、5/20に実証結果が公表された。本実証は国交省の「令和2年度日本版MaaS推進・支援事業」に選定されたもので、札幌市内における公共交通と観光施設をつなぎ、市内の周遊促進を目指したもの。「札Navi」を利用する観光客の趣味・趣向データから潜在ニーズを導き出し、市内の公共交通機関の検索等の情報を連携させ、最適な観光地や旅程を提示することで観光の促進を図るもの。実験では、ユーザーの①札幌市内の観光スポットの観光属性データベースと②利用者が端末から入力する趣味・趣向データ(旅行スタイルや今の気分)を、③AIでマッチング。④オススメ観光地を提示、⑤タクシー配車や施設チケットの購入サイトへ誘導、⑥周遊後のユーザーのログ(履歴など)やアンケートを分析、結果を②にフィードバックし、精度向上を図る仕組みを構築した。「旅ナカ」の潜在ニーズは可視化し、「観光スポット間の移動距離が長く、交通機関の乗継ぎが不便で分かりにくい」との観光客の声に答えることは出来たのだろうか。本実証は、COVID-19の影響により、一般観光客が激減した中で行われたため、学生モニターを募った上で実施されている。関係者のご苦労が伺われる。故に潜在ニーズの掘り起こし(新たな発見・体験があったとの回答数)や最適な移動手段の提供(タクシー配車機能の利用数)などの目標を達成することができなかった。しかしながら、利用者のWebアンケートでは「目的の観光地への移動手段を知ることが出来た」との回答が最も多く、回答者の約7割は「札Naviの利便性が向上すれば、今後も利用して観光をしたい」と回答している。また「今後のさらなる利便性向上を見据え改善した方が良い点、追加した方が良い機能等」についての設問においては、本ツールと観光地などが連携したサービス(クーポン発行等)の提供(64%)、操作性改善(56%)、提案する観光地や移動手段の多様性向上(51%)などの声も上がったようだ。アンケートに基づいた今後の改善点として、多様な移動手段の確保、機能改善(「提案された移動手段よりも適切な移動手段がある」との回答が約7割)、レコメンド(オススメ)・旅程提案機能の改善(滞在時間の設定機能、旅程の編集機能など柔軟性を持たせる機能)、お得なサービス・決済手段の導入などを検討していくとのこと。案外、今回COVID-19の影響で加勢を依頼した地元の「学生モニター」の感性・生活・遊びのノウハウを可視化することが、観光客にとっての「札Navi」を面白くしてゆく宝の山かも知れない。