エントリー - h.shiba

栃木県・日光地域の環境配慮型・観光MaaSが環境省のモデル事業に採択 他

7月12日 環境省では、令和2年度(第3次補正予算)二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業)に、福島県大熊町(おおくままち)、福島県大木町(おおきまち)の地域の再エネ自給率向上やレジリエンス強化を図る自立・分散型地域エネルギーシステム構築支援事業【計画策定】と、東武鉄道株式会社・株式会社JTB・栃木県・オリックス自動車株式会社・株式会社JTBコミュニケーションデザイン・株式会社トヨタレンタリース栃木が事業を行う「自動車CASE活用による脱炭素型地域交通モデル構築支援事業【設備等導入】」など、4案件(12団体)を採択した。環境省の同事業は、脱炭素型の先導的モデルの構築を目指すもので、地域の自立・分散型地域エネルギーシステムおよび「脱炭素型交通」をテーマに技術、制度のイノベーションを適宜取り入れ、また民間の資金を活用しながら継続的なモデル構築を実施していく事業を支援するもの。東武鉄道ら6事業者で構成するコンソーシアムは、栃木県の日光地域で国内初の環境配慮型・観光MaaS(仮称:日光MaaS)を2021年度内に開始する見通しだ。同支援事業は、2050年のカーボンニュートラル・脱炭素社会を実現するため、温室効果ガスの排出を実質ゼロとするもの。CASEを活用し、地域の「脱炭素交通モデル」の構築等を通じて、新たなビジネスモデルや技術等のイノベーションを取り入れつつ、新しい時代をリードする民間企業等の先進的な取り組みを支援する事業だ。日光MaaSでは、鉄道とバスをセットにしたお得なデジタルきっぷの他、EV(電気自動車)・PHV(プラグインハイブリッドカー/コンセントから給電、車上のバッテリーに直接充電できる)カーシェアリングやシェアサイクル、EVバス等のモビリティと歴史・文化施設等の拝観・入場チケット、ネイチャーアクティビティ(自然体験)などの観光コンテンツをワンストップで利用できるMaaSシステム構築と運用は、東武鉄道とJTBが行う。同時に、オリックス自動車とトヨタレンタリース栃木がEV・PHVカーシェアリングの車両設置や運用を行い、域内にEV用充電器を増設することで、利用する交通手段の電池切れを心配することなく、安心して利用できる環境を整備する。EV充電器の設置/運用は、栃木県とJTBコミュニケーションデザインが行う。事業の第一段階では、フリーパス、着地型コンテンツのデジタル化、観光客向けのEVカーシェア、EVオンデマンド交通、電動レンタルサイクルの導入、また観光客向けのEV充電インフラの導入が図られる。中長期的には、前述の事業拡大と住民向けEVオンデマンド交通導入、地域内の公共交通(バス・タクシー)のEV化、観光客/住民/観光客向けのオンデマンド交通を活用した貨客混載、前述のモビリティサービスと連動した観光事業者との相互送客など、宇都宮市など、域外でEVカーシェアを展開、地域間での連携も実現させたいとしている。手始めに、MaaSシステムの構築、中長期的には電動モビリティ・再生可能エネルギー融通システムの構築が求められるため、その機能配置や構築方針なども含めた事業計画が検討される予定だ。エネルギー源としては、栃木の再生可能エネルギー電力メニュー(「とちぎふるさと電気」)や、地産の卒FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度導入後、10年の買取期間が経過し、FIT適用が終了すること、一般的な市場価格より高い、一定価格での余剰電力の買取が終了すると、契約者の太陽光発電などの電気を売ることに拠る収入は激減するとされている)となる太陽光・風力発電などの再生可能エネルギーの活用が想定されている。

「Q-move」でキャンペーン支援機能を実現しました 他

7月9日 地域公共交通網に自動運転バスを取り込む動きが全国に広がる。自治体はこれまで、既存の路線バスへの補助や、コミュニティ・バス、デマンド型タクシーなど、市民の足を支える交通事業の負担を補助してきた。しかしながら交通事業者同様、これまで財源となって来た自治体の台所も疲弊が進むことは否めない。茨城県境町の自動運転バスの導入支援や運行管理システムを提供するBOLDRYの言を借りるなら、運賃だけで地域の交通ビジネスを支えられるのは、都市部に限られる。新たな交通網の維持には、地域ごとに新たな財源確保についての検討も求められると考えられる。バス運行に関わる安全と、運行に携わる人員を効率化するため、遠隔監視などのシステムを使い、人件費を抑える仕組みも並走するが、現段階では、まだコスト削減の決め手とは言い切れない段階だ。ならば、地域交通利用の目的の一つ(「受益者」)となる店舗からサポート料を得る、との論もある。過疎地に済む住民が、地域交通を利用し、街や町までの移動経路にある「道の駅」などで生活必需品を購入するため、受益者となる店舗にも財源のサポートを求めるという発想だ。一理あるが、交通手段の充実によって、過疎地の小売業が得る利益を蓄積する財政基盤がさほど余裕のあるものとは考えにくい。自動運転バスを市域に導入するためには、情報インフラへの投資・運用コストが必要となる。対馬市の自動運転バス導入の際の、情報通信基盤整備の件からも明らかなことだ。自動運転バスが運行される自治体における「受益者」には、通信事業者や関係サービス事業者と言えよう。自治体には小売事業者だけでなく広く遍く財源を確保する「目」が必要だ。QUADRAC株式会社は、決済及び認証におけるSaaS型プラットフォームとして「Q-Move」を交通事業者に提供、クレジットカードやMaaSアプリ(QRコード)による乗車を実現し、既に数社に採用されている。この度同社は、利用者の乗降履歴をベースにした特別運賃計算機能の一つとしてキャンペーン支援機能を開発した。利用者が交通機関を利用する際、乗降時にクレジットカードを改札のリーダなどにかざして決済を行うと同時に、キャンペーン仕様に則った割引運賃の計算とキャンペーン予算を管理できる「キャンペーン支援機能」が南海電鉄に採用され、7/8~と7/29~のそれぞれ1週間の期間でキャンペーン(Visaのタッチ決済キャンペーン)を行う。各方面から補助を受ける側となる交通事業者側の、キャンペーン展開を助ける一つの手立てとなる可能性がある。交通事業者は、自社の営業範囲となる複数の自治体の小売事業者や飲食店・宿泊業者と様々なアイデアを出し合い、収益改善・増収への道を生み出し、全国に横展開したいところだ。

バス、私鉄データ共有 茨城、7社「MaaS」構築へ 共通乗車券や電子看板 相互乗り換え容易に 他

7月8日 茨城県では「県DXイノベーション推進プロジェクト事業」が進む。5GやAIなど、最新のデジタル技術を活かし、企業等のの生産性向上による競争力の強化、医師不足、人口減少・少子高齢化社会における労働力不足やニューノーマルへの対応など、様々な地域課題の解決に取組む。同「研究開発プロジェクト」は、令和3年2月12日から3月18日まで産学官などからの提案を募った結果、110件の応募が寄せられた。県はうち10件(交通に関するテーマは2件)を採択し、新事業・新サービスの創出につなげたい考えだ。茨城交通(代表)は「茨城MaaS共通基盤の構築と公共交通運行データ利活用推進」として、県下の異なる公共交通事業者・業種間のデータ連携基盤(MaaS共通基盤)を構築し、シームレスで利便性の高い利用環境を目指すとの研究開発プロジェクトが採択された。利用者が鉄道やバス、タクシーなど多様な交通サービスを利用した際、生成されるデータを「茨城MaaS共通基盤」に集約、運行データやチケット発券や店舗情報に定量的な分析を加え、利用者や移動シーンに最適な移動手段を提案する仕組みを構築する、としている。集約されたデータはこれ以外にも広く一般利用できるよう環境を整えて行く。これにより、交通機関の利用者は、異なる事業者の運行情報を一元的に表示するデジタルサイネージによる共通案内や、アプリなどを通して購入・利用できるMaaSサービスを享受、交通事業者は運行データを分析し、慢性的に遅れの生じる区間などのダイヤ改善や交通空白地域・時間帯の改善などを、定量的に行い、サービスの改善に繋げることが出来る。今回の連携事業者は、関東鉄道、関鉄グリーンバス、関鉄パープルバス、関鉄観光バス、ひたちなか海浜鉄道、みちのりホールディングスとジョルダンだが、今後は参加事業者の拡大を目指すとしている。県内にはこの他、JR東日本、鹿島臨海鉄道、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)、真岡鐡道、筑波観光鉄道(筑波山ケーブルカー、筑波山ロープウェイ)、ジェイアールバス関東、茨城急行自動車、朝日自動車、大利根交通自動車、椎名観光バス、昭和観光自動車、商船三井フェリー、茨城空港、茨城港や鹿島港などの事業者も思い当たる。今後は「つちうらMaaS」(令和3年2~3月に実施)や「日立地域MaaS実証実験」、JR東日本が今年4月~9月末まで実施している「TOHOKU MaaS」などとの広域連携にも期待したい。

自動運転バス、社会受容への道筋(前編) 他

7月7日 自動運転サービスや各方面でのMaaS導入の足かせと言われがちな法律や様々なルールの改正だが、ここに来て各方面で改革の成果が現れ始めている。一つは茨城県境町のケースだ。自治体でいち早く自動運転バスの導入を果たしたこの街では、2021年2月に町内に12カ所のバス停を増設し、市民の足としての利便性を高めた。地元も協力的であり、新設したバス停はいずれも無償で設置されている。このうち病院前に設置されたバス停は、地元の交通事業者である昭和観光自動車の既存のバス停だ。実は道路交通法上、既存のバス停への駐停車は原則禁止だが、2021年1月、この規制が緩和され路線バス事業者と合意した場合は、自動運転バス側が既存のバス停を利用できることになった。また、7/2「glafit」は警察庁より、同社の「ハイブリッドバイクGFR」に「モビリティ・カテゴリー・チェンジャー」(モビチェン)機構を取り付けた場合、電動バイクと自転車の切替えを認める旨の通達を受けたと発表した(警察庁交通局交通企画課長及び警察庁交通局交通指導課長発、警視庁交通部長及び各道府県警察本部長宛て、令和3年6月28日付 警察庁丁交企発第2 7 0 号、警察庁丁交指発第6 0 号「「車両区分を変化させることができるモビリティ」について(通達)」)。これまでは「ペダル付き原動機付き自転車」は原動機を作動させず、ペダル走行させる場合であっても、原動機付自転車の属性は変化せず、原動機付自転車の通行区分や運転方法に従う決まりとなっていた。本改正により、モビチェン機構を取り付けたハイブリッドバイクGFRは、原動機を作動させず、ペダル走行させる場合は、道路交通法上、自転車扱いとなり、自転車の通行区分や運転方法に従うこととなる。*但し、道路運送車両法では原動機付自転車のまま。今のところ、この適用を受けることが出来るのは、同社のペダル付きの原動機付き自転車のみだ。この他、令和2年4月1日施行の道路交通法改正の「自動車の自動運転技術の実用化に対応するための規定の整備」においては、作動状態記録装置による記録等に関する規定の整備が行われており、自動運行装置を備えた自動車について、整備不良車両に該当するか否かを確認したり、交通事故等の原因究明を行ったりするため、作動状態記録装置が不備な状態での運転が禁止され、同装置に記録された記録の保存が義務付けられている。反則金の額に記載されている対象には、大型、普通、二輪、「原付」がある。技術の進化に拠る安全や利便性が損なわれることがない、機動的な法改正が今後も続くことを期待したい。

自動運転で小売りMaaS実現めざす…東広島市でスマートシティ化事業 ソフトバンクと広島大 他

7月6日 自動運転サービスが様々なかたちで、街中にフィットしようとしている。そもそも交通事業とは市民の足として日常生活の中で使われるサービスである以上、あるいは当然の作法といえるのかも知れない。はたして自動運転サービスでは、どのような動きがみられるのか?東広島市では、広島大学やイズミMonet Technorogiesなどと「自動運転・小売MaaS」の実証実験を進めている。同市は自動運転時代を見据えた国際学術研究都市の実現に向け、スーパーマーケット等と連携した「小売MaaS」を自動運転車で実現する「Autono-MaaS」(自動運転車と各種サービスの融合を示す造語)の実用化に向け実証中だ。小売MaaS「BOPIS(ボピス)」では、新たな小売形態であるBOPISとデマンドバスを掛け合わせた小売MaaSを展開。イズミのアプリで注文した商品を予約したデマンドバスに乗車し、「ゆめタウン学園店」の店頭ロッカーで受け取る仕組みだ(2021年2月から実証中)。また貨客混載サービスでは、予約した乗車指定場所から、オンデマンドバスで同店まで「送迎してもらう」か、電話などで注文した商品を利用者が指定した場所と時間に「配送してもらう」ことが出来る(今秋9月~実証予定)。同市では更に、7/2に広島大学や周辺地域とスマートシティーの実現を主な内容とする包括的な連携協定を締結した。これにより、車内ディスプレイに同市及び周辺地域の飲食店や商業施設のクーポンを配信、顧客属性ごとの送客効果を検証、地域経済の活性化に繋げる。また飲食だけでなく、ヘルスケア分野でも生活や医療、介護に関する様々なデータを活用し、予防医療や健康寿命の向上に役立てる。オンライン診療や、防災や行政観光分野でもデータの活用を検討している。また三越伊勢丹と三井物産は、7/5~三越伊勢丹の実店舗を移動ショップ化し、渋谷区にあるリアルゲイト本社ビル前で実証実験を行う。コロナ禍・テレワーク導入・ワークスタイルの変化・育児や介護で店舗に来店する時間的な余裕が持てない層に向け、移動ショップでオフィスやマンションに訪問・販売する新たな購買体験を提案する。フードトラックでランチを買うオフィスワーカーやマンション住民などの姿は、定着してきた感があるが、今回、三越伊勢丹はそこに「サステナブル」の概念を取り入れている。自社展開する「i’m green」(買取・引き取りサービス)と「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」を使ったコーディネート提案サービス「コンシェルジュサービス」の店舗をセットで現地に配車する。今回のコンシェルジュサービスには、SONYの映像技術とヤマハ発動機の自動運転技術を搭載した自動運転車両「Sociable Cart SC-1」も投入される。発展する自動運転周辺サービス。従来の目的あっての人の移動が大半という交通事業だったが、商品やサービス自身が人の身近に移動するというパラダイムシフトが起こっている。新しき移動需要は、フードトラック(移動+調理+店舗)は別だが、普及(移動需要の進展)に至れば、コンテンツホルダーとなる事業者が「移動」を抱えるのはナンセンスと言えよう。交通事業者や駐車場事業者の助けが必要となってくることも考えられる。

物体を認識して分類せずに直接意思決定を行うGhostの自動運転・衝突回避技術 他

7月5日 衝突回避の技術がまた一歩進展した。Ghost Locomotion(自動運転システム開発)は、シリーズDラウンドで111億円の資金調達を実施した。同社はユニバーサルな衝突回避技術の開発に取り組んでいる。開発されているシステムは、自動運転システムが衝突回避する前に、セオリーとされていた物体を認識(位置の特定、大きさ、距離などの把握)、分類する過程をスキップ、あらゆる物体あらゆる大きさを検知し、それに対する距離と相対速度を得る。分類を行う前にデータから直接意思決定(衝突の回避)を始めることが出来る。判断の複雑さが増すと言われる都市部で、本システムの有用性が証明されれば、衝突回避技術分野でのパラダイムシフトが起きたと言えよう。また、車載センサー分野においても、これまで主だった「レーダー(電波)」「カメラ(可視光)」「ソナー(音波)」「LiDAR(赤外線)」に、「4Dイメージングレーダー(電波)」が加わろうとしている。従来のレーダーは、距離や速度、水平方位角を識別していたが、コンチネンタルが開発した「4Dイメージングレーダー」は、ここに高度(上下方向)の概念が加わる。これにより、レーダーでも対象物の形を認識することが出来るようになった。レーダーの利点は天候に左右されにくい点であり遠距離までの識別が可能である点だ。反対に弱点は対象物の形状把握は苦手とされていた。レーダーの検知範囲は今のところ300mだという。LiDARに比べて低コストで導入できるといい、既にドイツの自動車メーカーの車両に搭載されることが決まっている。今後は、LiDARや、その他のセンサー類との共存が進み、自律走行車両の安全が高まり、低コスト化に貢献、何よりも事故低減に貢献することを期待したい。国内MaaSアプリにも新たな動きがあった。この6/17、JR東日本(JR東日本アプリ)とJR西日本(WESTER)のMaaSアプリ内に、それぞれ互いのアプリへのリンクボタンが設置された。また、例えば「JR東日本アプリ」で経路検索を行った際、検索結果画面にJR西日本の営業範囲にあたる「特定の駅」を着地とする検索が行われた場合、結果画面にJR西日本のMaaSアプリ「WESTER」へのリンクバナーが表示される。「WESTER」上で経路検索をした場合は、結果画面に「JR東日本アプリ」へのリンクバナーが表示される。今のところ特定駅とは、東京、品川、渋谷、新宿、池袋、上野、新横浜、仙台、長野、JR西日本側は、金沢、京都、新大阪、大阪、三ノ宮、岡山、広島、博多となる。今後両社は一部線区の走行列車位置を表示できる検討をしており、JR西日本では「WESTER」の「マイ駅機能」にJR東日本の主要駅を掲出できるよう検討中だ。UIに対する利用者の利便性の追求は、一朝一夕にという訳にはいかない部分もあるだろう。今後両社のアプリの普及率を上げるため、企業の総務や営業部、経理、出張の多いビジネスマン、一般旅行者、ホテルや代理店などの旅行業界、鉄道ファンなどの愛読紙だった「JR時刻表」や「JTB時刻表」が蓄積した利便性や、路線検索アプリ、フリーペーパー各社とのコラボレーションなどが生まれないか密かに期待したい。

2021年度東京臨海部実証実験の参加者を決定 他

7月2日 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が、管理法人を務め内閣府が実施する、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」において、①2021年度東京臨海部実証実験の参加者(22機関)を決定した。また、あわせて、②2019年10月~2020年度末まで実施した東京臨海部実証実験の成果を公表している。①については、交通環境情報の更なる広範囲での利用促進に向け、これまで整備したインフラ情報に加え、新たに公衆広域ネットワーク(V2N)を利用した「交通環境情報」を整備、実証実験を行う。本実証実験では、車両プローブ情報(実際に自動車が走行した位置や車速などの情報を用いて生成された道路交通情報のこと、その他ワイパーの使用頻度から天候情報、ブレーキングや燃費情報まで、様々な情報生成が期待される)を活用し、車線別の渋滞情報、交通規制情報、落下物情報、気象情報、緊急車両情報、事故車に関する情報などの「交通環境情報」を提供、本年秋以降に実証実験を行う。また、SIP自動運転では、自動運転システムの外界との接点となるカメラ、Radar、LiDAR等の各種センサーを同時に評価するシミュレーション評価基盤を構築するため、様々な交通環境を仮想空間で模擬できる実現象と一致性の高いシミュレーションモデルを開発しており、今後臨海副都心地域を中心に仮想的な安全性評価環境を構築し、参加者を募集し、本年度秋以降に実証実験を実施する。気になる②に成果報告ついては、3地域(A.臨海副都心、B.羽田空港、C.双方を結ぶ首都高)に分け、A.では、信号(ITS無線路側機)からの信号情報提供環境と信号情報とリンクした高精度電子3次元地図など、B.では、信号(ITS無線路側機)からの信号情報提供環境と磁気マーカー路線、仮設バス停、専用レーンなど、C.では、合流支援情報提供環境とETCゲート情報提供環境、車線別交通規制情報提供環境などのインフラが整備され、車載機器とともに実証された。A.では悪天候下や逆光などカメラや肉眼では認識が困難な状況でも信号灯火色の識別したり、信号が変わるタイミングを先読みし、急制動を防ぎ安全かつスムーズな車両停止に成功している。また、一般の自動車、自動運転車、歩行者等が混在する実交通環境下における影響評価を行っているが、交差点の右左折時の交通量や、歩行者の挙動に顕著な変化は観測されなかった。しかしながら、ジレンマゾーン(黄色信号切替え時点で、通常減速度では停止不可、かつ、現在速度維持で黄色信号中に交差点(停止線)通貨不可となる領域)の挙動では、自動運転車の判断とトライバーの判断に差が発生し、後続車が急制動を行う事象が観測されている。B.では、介助なしで車椅子の乗降を実現するバス停への正確な幅寄せの実現や、バス優先の信号制御により、平均所要時間の短縮及び運行の定時制などが検証された。C.では、高速道路上で視界を遮断する壁があるような合流地点でも、事前に本線を走行する車両を把握したり、ETCゲートを視認する前に開閉情報を取得し、安全かつスムーズな走行を可能とすることを検証した。今回の成果報告により、インフラ導入の効果の明確化、自動運転に必要なインフラ配置のあり方や、インフラおよび自動運転車が道路交通に与える正負両面の影響などについて整理を進め、更なる課題の抽出が出来たようだ。

MaaS Tech Japan、交通データ×人流データによる混雑予測情報提供を通じた行動変容効果の検証結果を公表 他

7月1日 MaaS Tech Japanは、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」の助成を受け、4/22には、移動情報統合データ基盤「TralSARE」(トレイザー)β版の開発を完了し、交通機関×人流データによる混雑情報ダッシュボード「PeopleFlow」を公開、ゴールデン・ウィーク明けの5/14には、「TralSARE」×LINE×Microsoft Azureとともに全国各地のMaaS普及拡大の支援を発表していた。5/24には「TralSARE」のサービスサイト(https://traisare.maas.co.jp)をオープンさせ、この6/29には混雑予測情報提供を通じた行動変容提案の可能性に関する評価検証を行い、その結果を公表した。「TralSARE」は、2019年から開発が進められ、各事業者などに多様な形式・フォーマットで保有されているモビリティデータを連携させ、様々な分析や予測を可能にするための「MaaSデータ基盤」だ。技術的にはその他、モビリティデータの「リアルタイム活用」(事業者のアクション策定に役立つ)、「解析の高度化」(シミュレーションに基づいて計画やオペレーションの改善・最適化に活用できる)などの特長を備える。その一つのユースケースに当たるのが、交通機関×人流データを掛け合わせた混雑ダッシュボード「PeopleFlow」だ。「PeopleFlow」を利用すると、交通機関の混雑を避けたいが従来は難しかった、ある期間中の、任意の時間の、鉄道駅周辺エリアや混雑多発エリアの混雑情報を、「人流データ」(どこからの流入が多いか?と言った人の移動経路を加味した分析)をもとに、事前に把握することが可能となる(平常時の混雑予測情報の提供)。そして遅延時の混雑参考情報(現在の鉄道等の遅延情報に類似した過去の日時の混雑情報)の取得が可能となる。4月のβ版で活用されたのは、鉄道駅・路線データ(公共交通オープンデータ協議会)や、混雑統計データ(ゼンリンおよびゼンリンデータコム)で、対象は首都圏エリア(東京、神奈川、千葉、埼玉)だった。「TralSARE」のユースケースとしては、東京メトロ(「my!東京MaaS」)、広島県(地域公共交通の維持確保を目的とした基盤づくりを推進する「広域MaaS推進事業」)などの名前が挙がる。東京都のモニタリング会議は、専門家が都内の新規陽性者数の増加比が上昇、感染再拡大が指摘され、現在の増加比が継続した場合、4週間後には1日に1000人を超える規模となると指摘、菅首相も東京オリンピックの観客の扱いについて「無観客もあり得る」と明言しており、来週にもその決定がなされる見通しだ。大会組織委員会は6/23に発表した観客の行動ルールを示したガイドラインで大声での応援の禁止の他、自宅と会場との「直行直帰」といった感染防止対策への協力を呼びかけている。