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物流MaaSの推進に向けて! 他

7月27日 物流分野を取り巻く背景を簡単に述べると、運輸・郵便業は日本のGDP第6位、約5%を占める。市場規模は25億円と言われる。トラックの輸配送は国内貨物輸送の9割を占め、同市場規模(15兆円)は旅客輸送市場に匹敵すると言われる。耳に痛い話だが、市場のMaaS化で課題となっているのは環境対応(積載率低下、トンキロ当たりのエネルギー消費は悪化)、人手不足(ドライバ減少、有効求人倍率は3倍)、デジタル化(SOHOのデジタル化、業界内外データ連携の遅れ)など。市場プレイヤーと言われるのは、商用車の完成車メーカー、荷主、一般貨物自動車運送事業者、特別積み合わせ貨物運送事業者、サードパーティーロジスティクス(個別物流サービスだけではなく、物流全体を一括して請負うことで、調達から生産、販売といった物流全体の最適化・効率化の実現サービスを提供する事業者/ 3PLとも)、物流事業者(流通加工・包装等含む)、テレマティクス・サービス・プロバイダー(運送事業者向けに同サービスやコンテンツを提供する事業者)、アフターマーケットプレイヤー(正規ディーラー以外のアフターパーツ製造・販売事業者、整備等事業者)だ。プレイヤーが一体となり、デジタル技術を活用して「共通の物流MaaS」(共同輸送/混載・ルート最適化)を図る必要がある。物流のMaaS化には欠かすことの出来ない「デジタル化」だが、国内では、ここにも深刻な問題がある。商用車に搭載される商用車メーカー製のテレマティクス機器(車両稼働管理・車両運行管理)、デジタコ(法定3要素である時間、距離、車速などの記録)、後付けテレマティクス機器(保険等)、スマホアプリ(ナビゲーション等)などのデータ連携が進んでいない。一方、欧州ではダイムラーグループやトレイトングループ、ボルボグループなどが標準規格に対応したテレマティクスサービスを構築、サービスの提供が進む。経済産業省ではこれらの課題解決のため、①日本版のFMS(Fleet Management System)標準とコネクタの確立、複数OEMのトラックデータを収集、運用管理(API標準規格化)確立、これに基づく統合運行管理、②見える化、混載による輸配送効率化、③電動商用車活用・エネマネ検証などの仕組みの確立を進めている。③については「支線配送における(幹線物流ではない)」電動商用車活用を見据えた(「物流分野におけるモビリティサービス(物流MaaS)勉強会取りまとめ」_経済産業省_製造産業局自動車課」)とあるが、幹線に当たる高速道路を走行するトラックの方が走行環境に著しい変動が生じる可能性が少なく、こちらから着手(電動化)する方が、必要な電力、充電拠点の配置やバッテリー交換などの計算もしやすいように思えるが、幹線輸送の主力となる大型車より、支線配送で使用する中型・小型車両の方が運用される車両数的に優位性があり、環境への貢献度が高く、荷主にとってはCO2削減による環境対応拡大・ESG投資などを呼び込む契機になると考えられているのだろうか。同勉強会参加者からは、幹線輸送についてはリードタイムが長い、もしくは柔軟に着荷主が対応できる業界をまずターゲットにすると良い(荷主事業者)、同業種の場合、需要波動が重なるため、異業種を検討する必要あり(荷主事業者)、支線配送については、過疎地域などの積載率の低いエリアを対象として実施するべき(荷主事業者)などの声も上がった。元来MaaSは異文化の業界同士が協力し利用者の利便性を向上させる仕組みであるが故、経産省の考える取り組みの順位と、事業者側の考える取り組みの優先順位の軸自体がそれぞれの立場が滲む。それを見越しての「勉強会」だと考えると会の果たす役割は大きいと思う。

全国初!バスの“サブスク”…MaaSに新風を吹き込む新潟県湯沢町の挑戦 他

7月26日 自治体職員(或いは自治体そのもの)は地域の課題解決という場面において、外部から受ける支援を差し引くとしても英知の塊だ。時にそう賞賛したくなる話題が手許に届く。2020年前から国交省や経産省主導のもと、各地で様々な組織で導入の試みが始まったMaaS。ここに来て、勢いがやや減速気味に見えるのはなぜだろう。理由は幾つかありそうだ。MaaSを推進・運営する組織体制が脆弱であり、担い手や専門家の不足や、サービス主体となる自治体や交通事業者などの財政基盤が豊かでない、また、域内に交通結節点の配置不十分(道の駅や廃校を活用する流れもあるようだが限定的)、スマホアプリやシステム導入に比重が置かれ過ぎたきらいがある事などが挙がる。これらの課題について、新潟県湯沢市の取り組みが、参考となる幾つかの答えを生み出している。この湯沢版MaaSは、住民や観光客の移動利便性向上のため、新潟県と湯沢町、湯沢町観光まちづくり機構が連携し、期間限定でバスとタクシーを組み合わせた実証実験となる。湯沢モビリティパス「yuumo」を購入(乗車券のサブスクリプション化)すると、越後湯沢駅と岩原エリア、中里エリア間でシャトルバスが乗り放題となる。タクシーは定額タクシーとして岩原エリアでシャトルバスとの乗り継ぎ(結節点)を可能にしている。また湯沢町内の一部の店舗や施設で「yuumo」提示すると、割引サービス(割引クーポン化)を受けられる。「yuumo」の価格は、バス乗車券が2日券/500円、5日券/1000円、1ヶ月券/3000円となり、シャトルバス(パープルラインとグリーンライン)と、路線バス(旭原線、土樽線)が乗り放題だ。また定額タクシー券は1週間券(岩原エリア)/3000円、1ヶ月券(岩原エリア)/8000円となり、ゆざわ魚沼タクシーとアサヒタクシーが利用出来る。*定額タクシー券の利用回数には上限があり、1週間券は4回、1ヶ月券は12回までとなる。また8/19~23の5日間は利用出来ないので、注意が必要だ。乗車前に「yuumo」の有効期限を運転手に提示して利用する。この湯沢版MaaSでは、MaaSアプリのデジタルアプリの代わりに紙のチケットを販売する。チケットの販売は、町内の広域観光情報センター、越後湯沢駅内NewDays、岩原トランジットセンター、湯沢町観光まちづくり機構事務局、エンゼルグランディア駅前案内所、エンゼルグランディア越後中里などで行われる。また、利用者の募集は特に行わなず、バス乗車券が、ホテル予約時に宿泊料金に「利用者特典」というかたちで宿泊者に購入(配布)されるため、利用者数は自然に宿泊者数に近いものとなる。観光利用以外の地域住民にも、求めやすい価格で提供される他、バス停はスーパーや観光スポットに最寄りの場所におかれるなど、細部にも工夫が行き届く。また、交通結節点については新たに岩原地区に「トランジットセンター」(乗換のための待合所)を設けるようにした。また「トランジットセンター」では、待ち時間を楽しんでもらえるよう、テラスや飲食店が出店され、地元の野菜販売なども行われる。シャトルバスの車両については、ホテルの送迎バス(貸切バス)を乗合化して活用した。この湯沢版MaaSを創出した「仕掛け人」に当たる組織を見てみる。推進主体である湯沢版MaaS推進委員会(湯沢町観光まちづくり機構と湯沢町、そして新潟県)は「MaaSプランナー/外部コンサルタント」から技術支援を受けている。県とこれらのコンサルタントは事業計画立案契約を締結している。またこれらとは別に「MaaSオペレーター」と販売委託契約を結んでいる。また、委員会は実際の運行事業者に当たる路線バス、ホテル送迎事業者、タクシー事業者各社と運行委託契約を、宿泊施設とはMaaS協力協定を結んでいる。特に路線バス会社とは企画乗車券販売委託契約を結び、利用者にサービスを提供している。「MaaSオペレーター」は別途チケット販売代行業者と販売委託契約を締結している。「MaaSプランナー/外部コンサルタント」は県への支援の他、運行事業者に対しても技術支援や運行計画支援を行っている。専門的なIT技術を必要とするMaaSだが、この陣形なら主催者も各事業者もIT技術に関する後ろ盾があるので安心して専門分野に取り組むことが出来る。日本版MaaSの発展には、主催者、関係事業者が専門外であるIT技術分野についての支援を得ること、地元の理解・協力、反対にアナログな仕組みであっても有効な仕組みであれば躊躇なくそれを取り込む裁量、MaaSの導入にあたり、地元で何が問題となるのかを子細に把握する能力が求められる。実証実験の次にすべきことは、問題整理と解決だ。国交省や経産省には、再度各地が生み出す英知の収集・整理・知の普及役を期待したい。

AirbiquityがCyngnと提携し、マテリアルハンドリング企業が車両を自動運転システムに進化させることを支援 他

7月23日 自動運転(自律運転)に関わる技術が自動車業界に関わらず、周辺産業に影響を及ぼすシーンが生まれてきている。また、先週の記事(構造物の点検用のドローンに搭載されたデプスカメラの撮影・解析技術が、地下鉄車両の混雑状況の解析に転用された例)のように、自動運転側から見た関連技術が、MaaSにおける様々な情報サービスに影響を与える例も出て来た。様々な革新的技術の往来が、新しい生活や働き方を形作って行く。コネクティッドサービスのAirBiquityは、7/22に、自動運転車両技術のCyngnとの提携を発表した。両社は、AirBiquityのOTA(Over the Air)ソフトウェアプラットフォームと、Cyngnの「DriveMod」自動運転システムを統合し、マテリアルハンドリング市場向けに展開を図る。産業向けの自動運転車両を抱える業界では、新技術の導入をはかる際、既存の車両群全体の交換に迫られる場合が多い。両社の技術は、そのようなマテリアルハンドリング(製造に用いる材料、部品、半製品などの物品の移動、搬送、取付け、取出し、仕分けなどの作業及びこれに伴う作業、「荷役」のこと)市場に一石を投じることになる。両社の技術を導入することで、同領域で営業する企業は、既存の車両群を自動運転車両システムへと安全に発展させることが出来る。このシステムは導入から時間経過とともに、次第にアップデートされ、車両群の効率的な稼働に貢献する。Airbiquityの「OTAmatic」はOTAのソフトウェア及びデータ管理ソリューションでクラウドから、コネクティッド車両のソフトウェアをアップデートするとともに安全に協調・自動化することが出来る。また、Cyngnの「DriveMod」は、自動運転車両から生成されるデータを分析し、より優れた知見を導き出し、運用の効率化を図る。「DriveMod」はフルスタックの自動運転車両ソリューションで、産業用車両向けにインテリジェント分析、人工知能、先進の安全機能や自動運転能力を提供する。「DriveMod」既存車両の簡単な改良や、OEM車両に、組み立て時に直接組み込むことが出来る。それゆえ、この技術は車両を選ばない。つまり「DriveMod」は車体年齢、車両の種類やメーカーに捉われず全ての種類の産業用車両で機能するように設計されている。日本国内で言えば、ZMPの「IZAC」あたりが近いだろうか?これらの技術の実装が進むことでより、マテリアルハンドリング業界では、プロセスの自動化、省力化、省人化が進み、市場が活性化して行くのは明らかなようだ。Global Market Insights Inc.によると、マテリアルハンドリング市場の規模は、2020年に1,400億米ドルを超えて、2021年から2027年にかけて約6%のCAGRを達成すると予測されている。

トヨタ社長「CASEで軽を進化」 商用車連合にスズキ 他

7月22日 軽自動車マーケットの2台巨頭、スズキとダイハツがトヨタの商用車連合(Commercial Japan Partnership)に合流する。日野、いすゞ勢と比較すると、一回り小型の軽商用車市場に連合が駒を進めたかたちだ。7/21の会見ではダイハツの奥平社長が会見を開き、「脱炭素」を主眼に置いた合流であることを説明した。会見に同席したトヨタ自動車の豊田社長は、「脱炭素」においての、国内の自動車保有台数の凡そ39.7%を軽自動車が占める量的なインパクトを挙げつつ、軽自動車の重要性と軽商用車市場に同社のCASE技術を共有していく意思を示すとともに、脱炭素の協調領域の役者(「インフラとセット」)と考えられる自治体や、インフラ事業者、運送事業者などとの方向性の調整も進み、概ね合意に至っている現状を示した。またスズキ株式会社の鈴木社長からは、物流経路のラストワンマイルを結ぶ軽商用車との観点から、地域の移動や、農林水産、建設、小売、物流等様々なユーザー領域においてもカーボンニュートラルの実現に向け活動が進む中、「お求めやすい価格」の達成は、一企業では困難であり、社会全体での取り組みが必要との考えが示された。新規参加側となるダイハツの奥平社長からは、商用及び個人がプライベートの足としても軽自動車を利用しているとの観点より、カーボンニュートラル対応やCASEの導入をメーカーの責務と捉えていると、積極的取組への「決意表明」があり、その上で現時点のLCA(ライフ・サイクル・アセスメント:ライフサイクルにおける環境負荷低減)の観点での軽自動車のCO2排出量は、登録コンパクト車と比較して約30%低く、小型のハイブリッド車に匹敵する現状から、更なるCO2低減に向けての、様々な意味における「困難さ(「並大抵のことではない」)」もあるとの認識も示された。利益幅の少ない商用車の価格を維持しながら、カーボンニュートラルやCASEといった革新要素を取り込んで行くには、これまで軽市場をけん引してきたスズキやダイハツならではのノウハウ(「シンプルな工場、簡素な設計素質、スリムな固定費」)の共有が必要となり、この合流により、大動脈から毛細血管までカバーする一気通貫の商用基盤や、先進技術と廉価なモノづくりの融合による軽自動車に相応しい電動化の実現など、大きなシナジーが期待できるとの見解が示された。今回の協業のキーワードは「コネクティッド」「ADAS」「電動化」となりそうだ。最後にスズキと、ダイハツの2社が、Commercial Japan Partnership Technologies株式会社の株式を株式譲渡により、それぞれ10%ずつ取得することが発表された。今回の発表では直接触れられなかったが、ウーブン・アルファ社が開発する自動地図生成プラットフォーム(AMP)の道路情報を収集できるパートナー車両数の増加や、プラットフォーム開発のスピードアップにも繋がる動きではないだろうか。

東京メトロ、銀座線・丸ノ内線の号車ごとのリアルタイム混雑状況を配信 他

7月16日 東京地下鉄(東京メトロ)のMaaSアプリ「東京メトロmy!アプリ」が、この7/13にアップデートされた。Googleストアにおけるインストール数は現在500,000+、レビューは3.6だ。新たな機能として列車の走行位置画面で、号車ごとの混雑状況をリアルタイムで表示出来るようになった(*銀座線、丸ノ内線のみ)。また、相互乗り入れする他社線内での到着時刻が表示される。また駅構内図を「アプリ内」で表示できるようになった。また先頃より利用可能となった個室型ワークスペース「CocoDesk」の予約サイトへのリンクが追加された。今回の目玉である号車ごと(列車ごとではなく、車両ごと)の混雑状況表示を可能にしたのは、駅ホームの天井に設置されたデプスカメラ(奥行きの情報を取得する深度センサーを内蔵したカメラ)とAIの組み合わせだ。デプスカメラで撮影した列車側面の画像(社内の混雑状況)は、クラウド上のAIで分析され、列車の発車後数秒で、車内の混雑状況をアプリ上に表示させることが出来る。ちなみに混雑状況は4段階で表示され「座席に座れる程度」「ゆったり立てる程度」「肩が触れ合う程度」「かなり混み合っています」で、混雑度合いが分かる仕組みだ。この列車混雑計測システムを開発したのは、東京メトロと上野グリーンソリューションズだ。上野グループは1869年(明治2年)に上野金次郎が横浜で創業した廻船問屋「丸井屋」に端を発する、石油製品、ケミカル製品の輸送・貯蔵・販売、ソーラー事業、海洋環境を事業領域とする。上野グリーンソリューションズは、石油製品の海上・陸上輸送事業の上野グループの中で太陽光発電事業や総合建築事業、防水・塗装工事、保守管理業務(駅設備等)などを守備範囲とする会社だ。本システムは、上野グループが新たな事業として、設備や検査時の撮影にドローンの活用を検討しており、画像鮮明化や物体認証、赤外線カメラによる画像解析を行うことで高精度化を目指す中、地下鉄の列車の混雑推測にホームから列車を撮影し、これらの解析技術が転用できないか?との話が持ち上がり、開発が始まったそうだ。また、このシステム開発にはエスキューブライフ株式会社、株式会社サイバーコアの両社も協力しているという。「東京メトロmy!アプリ」には、この他「駅構内ナビゲーション」、経路検索時に「混雑を避けるルート提案」、「シェアサイクルで気分転換!ルート提案」、「雨に濡れないルート検索」、「あるく保険」*アプリとのアプリ連携なども追加されており、MaaSアプリとしてサービスの充実度が向上してきている。検索できる路線(首都圏の私鉄や都営交通)やコミュニティバスや空港連絡バス、タクシー(GO/S.RIDE)、シェアサイクルまでもカバーするDBの多さや「ノー密」関係の感染防御度の高さも好評価の一因となっているものと思われる。*「あるく保険」は、東京海上日動あんしん生命保険株式会社が提供する健康増進型保険向けアプリ。「ひと駅歩く検索」でNTTドコモのヘルスケアアプリ「dヘルスケア」と連携している。

AZAPAエンジニアリング、愛知県西尾市と連携 自動運転試験も実施へ 他

7月15日 名古屋駅から、名鉄吉良吉田行きに乗り凡そ1時間、名鉄西尾駅下車。そこからバスで27分、一色さかな広場・佐久島行船乗り場へ。日に7便の佐久島渡船に乗れば、30分で佐久島に到達する。佐久島は愛知県西尾市の沖合、三河湾のほぼ中央部に浮かぶ島だ。三河湾国定公園に含まれ、日間賀島、篠島と合わせ三河湾三島と呼ばれる。島の人口は、平成25年で262人、2010年の調査によると、高齢者比は49.8%である。第7次西尾市総合計画(後期計画 2018▶2022)の公共交通の項目を拝見すると、佐久島への渡船事業は利用者増加に伴う運賃収入の増加で経営は安定している様子だ。しかし市域全体では、日常の生活で移動に不便を感じている市民の割合は39.9%(H25/目標指標策定時の実績値)、約4割の市民が生活の足に不便を感じているという。西尾市の施策(総合交通体系)では、地域の交通資源活用と連携による交通体系全体の活性化、コミュニティバスなどの運行による交通空白地の解消、路線バスの重複区間の見直しや接続利便性の見直しなどが挙がる。また鉄道関係では、鉄道事業者への支援による路線維持・存続・利便性の向上、パークアンドライド、名古屋駅や豊橋駅へのアクセス性の向上などが考えられている。路線バス関係では、路線維持のための財政支援、他の交通機関との乗継拠点整備などが挙がる。佐久島渡船については、生活・観光航路として維持のため、財政支援が行われ、他の交通との連携、増加する乗船者に対応できる輸送力確保、業務の効率化などが挙がっている。一方、同市の観光事業では佐久島は各種メディアに「アートの島 佐久島」として知名度が向上し、観光客の増加に繋がっている。年間佐久島渡船人数は、182,000人((H25/目標指標策定時の実績値)。これを、H22までに260,000人に引き上げる目標を立てている。西尾から佐久島行船乗り場までは、バスが運行されており、隣接する一色さかな市場には無料駐車場も完備されている。船乗り場から西港までは約20分、東港までは約25分と申し分ないようだ。しかし、これまで佐久島島内の交通はバスタクシーと言った交通手段はなく、徒歩や自転車が主な移動手段となっていた。7/14に西尾市とAZAPAエンジニアリング株式会社は、パワースクーター自動運転の実現化を図る連携協定を締結した。実証実験を経て、実現化を目指す。島民の新たな移動手段として、島の魅力向上や活性化、SDGs(持続可能な交通手段が主旨だと思われる)、その他本協定の目的を達成するために必要な事項に関することを協定内容とし、この取り組みが進められる。島内のお年寄りや交通弱者の移動手段として、渡船への乗船下船や観光利用、西尾市側の路線バスとも、バランスの取れた新たな移動体系が生まれることに、欲を言えば雨風を凌ぎつつ移動でき、島嶼部の自治体の懐に沿う、コスト効率の良い移動手段が実用化されることを期待したい。

【MaaS体験記】観光スポットをつなぐシームレスな交通手段とは…横須賀・三浦エリアの観光型MaaS 他

7月14日 話は少し遡るが、5月に発表された東急株式会社の中期3か年計画(2021年度-2023年度)について、の添付資料を見て見たい。理由は東急がJR東日本とともに、伊豆半島を中心に展開してきた「Izuko」のその後が気になるからだ。営業利益は2018年度の819から、2019年度の687、2020年度は最低の▲316を記録した。連結事業となる東急電鉄の輸送人員は、2018年度比で▲32.2%、東急バスは同じく▲29.7%、東急ホテルズの稼働率は▲51.2p、東急百貨店の売上は▲25.3%(既存店/1月決算)であった。他の交通事業者と同様、新型コロナ感染症の甚大な影響を受けた。経営の建て直しには、コロナ禍による移動・交流人口の減少、ワークスタイル・ライフスタイル変容の加速、人口減少と少子高齢化の地域格差、デジタルテクノロジーの急速な進展、グローバルレベルでの脱炭素社会へのシフトなどの外部環境への対応が必要だ。重点戦略として交通インフラ事業の事業構造の強靭化、不動産事業における新しい価値観への対応、新たなライフスタイルに対応した事業・サービスの進化、各事業における構造改革の推進などが挙がる。特に交通事業では、これまでの都市への通勤需要を中心とした事業推進を改め、コロナ収束後も輸送人員はコロナ禍前の水準に戻らないことを前提に、通勤・通学を中心とした収益構造から変革を図り「域内移動需要の創出」を推し進めていく考えだ。「交通インフラ事業における事業構造の強靭化」(戦略)を見ると、稼ぎ頭は東急新横浜線の開通(従来、東横線菊名駅経由で約30分を要した区間を、相鉄新横浜線に乗り入れる新ルートの設定により、渋谷と新横浜間を11分短縮)だ。利便性・速達性は向上するものの、時期的には2022年度下期となっており、どこまで「域内移動需要の創出」に貢献できるかは未知数とも言える。「域内」の言葉は「中期3か年計画」を見る限り、東急株式会社の不動産事業にとっては「新宿再開発プロジェクト(歌舞伎町一丁目地区開発計画)の推進」、「新綱島駅前地区第一種市街地再開発事業」、「ベトナムビンズン新都市」と言ったところか。そして忘れてならないのが城下町である「渋谷」の再開発だ。計画中である道玄坂二丁目(現:東急百貨店本店)、開発中である渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期、渋谷2丁目17地区第一種市街地再開発事業、渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業など、渋谷駅を中心に再開発事業がひしめく。交通事業にとっての「域」は、東急電鉄沿線はもちろんのこと、東急バス路線網・空港運営事業(仙台国際空港・富士山静岡空港・北海道の稚内、旭川、新千歳、函館、女満別、Kushiro、帯広)、そして地方交通事業(伊豆半島・北海道「THE ROYAL EXPRESS」:帯広・十勝、釧路・知床、北見、旭川・美瑛・富良野)だ。「中期3か年計画」を見る限り「MaaS」の概念は含まれるものの、「MaaS・Izuko」のアピール色は薄い。しかしながら「域」の示唆する範囲を、静岡~伊豆半島~北海道と捉えると、これらをシームレスに繋げることが出来る「移動情報のプラットホーム化」、「移動についてのチケット予約・販売や宿泊、観光情報」などの一元化は必須と言える。不幸にして終始コロナウイルスの影響を受けた実証データは、開発段階のデータだ。再度コロナ禍からの「回復需要」を以って、再評価する必要があるのではないだろうか。

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【オンライン公開】《必見!企業内フォレンジックが企業を救う!〜委員会調査が必要になる前に〜 》 オンラインセミナー

2021年7月14日 AOSデータ株式会社 【オンライン公開】《必見!企業内フォレンジックが企業を救う!〜委員会調査が必要になる前に〜》オンラインセミナー プログラム全体のご紹介 【ご視聴にあたってのお願い】 安定したネ […]

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AOSデータ社、森・濱田松本法律事務所 山内 洋嗣氏を講師に迎え、第18回オンラインセミナー 《必見!企業内フォレンジックが企業を救う!〜委員会調査が必要になる前に〜》 を配信

2021年7月14日AOSデータ株式会社 AOSデータ社、森・濱田松本法律事務所 山内 洋嗣氏を講師に迎え、第18回オンラインセミナー 《必見!企業内フォレンジックが企業を救う!〜委員会調査が必要になる前に〜》 を配信 […]

なぜ、みずほ銀行がMaaS支援?普及に欠かせない要素は何か 他

7月13日 長野県の千曲市で行われたワーケーション体験を高めるサービス「温泉MaaS」。5/22-5/29に行われた。株式会社ふろしきやが参加者と協働で、観光案内、タクシーの配車、レンタルサイクル、ワークスペース案内などを統合したMaaSだ。この企画を仕掛けた株式会社ふろしきやは、信州千曲観光局、千曲市、長野県と共に「千曲ワーケーション体験会」を開催してきた経緯がある。「温泉MaaS」により、市内に散らばるワークスペースと観光地や宿泊施設などへの移動手段の利便性を高めた。この企画にLINEが参画し、ワーケーションとモビリティサービスの橋渡しをした結果、ワーケーション参加者が、仕事に合った場所に、行きたい時に手間なく移動できる手段として「千曲市ワーケーションウェルカムデイズLINE公式アカウント」が生まれた。2021年5月22日~29日開催バージョンでは、Q&A AIエンジンと問い合わせチャットボット、信州千曲観光局Webサイト、ワークスペース観光スポット案内、タクシー配車Webアプリ、タクシー予約LIFFアプリ、レンタルサイクル管理Webアプリ、レンタルサイクル予約LIFFアプリを連携させた。利用者から見れば、市内の移動を希望するときに、地元タクシー会社2社と地元レンタルサイクル事業、ワークスペース・観光スポットの情報が、一元化され、問い合わせ対応(チャットボット)の利用が出来るようになった。舞台裏では、マイクロソフトやクリエイターズ・ラボ、市内在住のエンジニアとLINEが、システム構築で協働した。この実証実験の知見を集めた「ワーケーション実験ノート」(https://note.com/workation_lab)がある。全国の温泉資産を抱えた自治体関係者には、興味深い資料ではなかろうか。このワーケーション企画には、続きがあるらしい。8/7-8/13まで「CHIKUMA WORKATION WELCOME DAYS 2021」が開かれる。お申し込みと詳細はこちらだ。https://furoshiki-ya.co.jp/chikuma/wwd2108/ かなり、余計な心配かも知れませんが、楽しすぎて仕事にならないような。