電動スクーターの歩道走行といった危険運転を自動で禁じるテクノロジーをSuperpedestrianがまもなく実装 他
2月3日 2013年に創業者がMIT(マサチューセッツ工科大学)からスピンアウトして創業した米国のSuperpedestrianは、次世代のマイクロモビリティを構築する。チームには、エンジニア以外に都市計画家、デザイナー、会計士、作家や機械工を擁する。Webサイトにも「安全第一」を掲げる通り、安全を最優先事項として扱う(掲げるスローガンとしては、極めてオーソドックスな?)先端企業だ。同社は、すべての人(最も脆弱な道路利用者)、つまり歩行者と障害者の安全を確保するため、すべての車両やサービスを構築している。特に注目したいのは、同社のスクーター(電動キックボード)には、歩道の自社以外の乗り物や駐車ミスなどの行為を検出し、防止する「歩行者防衛(Pedestrian Defence)」を備えている点だ。「ビークルインテリジェンス(VI)」と呼ばれるアクティブセーフティシステムは、常時勤務の機内整備士(オンボード・メカニック)のように、車両を安全に動作する状態を維持し続ける働きをする。車両の自己検知システムは、問題発生の予兆を熱的、電気的、機械的異常として検出し、修正する。これにより、コンポーネントの故障を防止、車両寿命を延ばすとともに、各スクーターは、ユーザーの走行前に安全に乗車できるようサポートする。これらの車両電子システムは、エンドツーエンド暗号化を使用し通信を行う。この通信手段により、ハッキングを防止し、ユーザーのプライバシーを保護するとともに、バックヤードで走行を支えるエンジニアリングチームが、グローバルなフリートから詳細なライブデータに安全にアクセス出来る環境を持つ。前述の「VI」のおかげで、各車両のOSは定期的な更新が可能だ。OSの更新毎にバッテリー・レンジやパワートレインの効率を改善出来る。同社の技術の核となるのは「プラットフォームテクノロジー」だ。電動自転車や電動スクーター、EV(電気自動車)、エレクトリック・エアクラフト(ドローンetc)など、様々な電動ビークルに適用でき汎用性が高いと言える。同社のスクーター(電動キックボード)、LINK E-SCOOTER V2.0(以下、LINK)は、走る技術だけではなく、歩道上の歩行者の安全確保という設計思想を併せ持つ。具体的には、車両が歩行者ゾーンに侵入すると、スクーターは安全に停止するまで積極的に減速する。車両はユーザーの万が一の危険走行にも、受動的にアラートを上げるだけでなく、歩道には乗り入れないなどの抑制機能を、スクーターが自律的に働かせることができる点が評価されよう(特許取得済み)。「歩行者防衛(Pedestrian Defence)」は歩道への乗り入れや、逆走、駐車ミス、急ハンドルなどの危険運転をリアルタイムで検出し「修正」するという。LINKは、車両自体にマップやジオフェンスゾーン(地図データ上に仮想的に設定された任意の領域のこと、予め設定した「領域への出入り」をGPSの位置データを使い判断できる)、施行コマンドを格納している。データはクラウド上にあるため通常「遅延」が起こるが、同社の方式では0.7秒以内にコマンドが実行されるという。この歩行者防衛の概念を、自動車メーカ―を始め、電動キックボード、配送ロボット、電動自転車、次世代電動車いす等に導入すれば、歩道における接触事故や、コンビニ駐車場で起こる車両の後退時の店内突入事故を低減できる可能性がある。国内においては、規制官庁にあたる警察庁や国交省では、ジオフェンスを小型無人機等飛行禁止法などを裏付ける技術として考えているものと思われる。*ドローン等の小型無人機の飛行は、「航空法」および「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」により規制されている。㈱富士経済が1/22に発表した「MaaS関連のサービス、機器・システムの国内市場を調査」によれば、電動キックボードのシェアだけでも(2030年の市場予測)において30億円クラスとなる。近い将来、歩道周辺を行き交う車両等に「歩行者防衛(Pedestrian Defence)」の概念と、車両管理者から安全で能動的に発動できる「セーフティシステム」が必要となることは明らかだろう。*日本では現在、経産省の「新事業特例 電動キックボード」により、電動キックボードは道路交通法上の原付き自転車となりヘルメットの着用義務とともに車道(車両通行帯の設けられた道路では、最も左側の車両通行帯。車両通行帯の設けられていない道路では道路の左側)を通行すること等とされているが、事業者により「新事業特例制度」を活用し、令和3年1月25日付けで、普通自転車専用通行帯の走行、自転車道の走行、自転車が交通規制対象から除かれている一方通行路の双方向走行を認めることなどが認められているが(事業者の要望を踏まえ特例措置が整備された)歩道上の通行は認められていない。
