観光型MaaSサービス「STLOCAL(ストローカル)」長崎創生プロジェクト事業に認定 他

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3月25日 株式会社ゼンリンは、3/23に長崎市によりゼンリンが主体で行っている観光型MaaS実証実験で「STLOCAL」(ストローカル)が、第71号「長崎創生プロジェクト事業」に認定されたと発表した。長崎市の「長崎創生プロジェクト事業認定制度」は、同市の「第2期長崎市まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、基本目標や特定目標(総合戦略の推進、人口減少や地域経済の縮小を克服することで、将来に亘り活力のある長崎市を維持するなど)に適合した事業者の取組みを認定する仕組みだ。実施期間は令和2年度~令和6年度までとされており、認定の対象となる事業は、以下に示す総合戦略の施策のいずれかに該当する必要がある。総合戦略の施策となっているのは、【基本目標1】経済を強くし、新しい人の流れをつくる。【同2】子どもをみんなで育てる、子育てしやすいまちをつくる。【同3】「まちの形」「まちを支えるしくみ」をつくる。【特定目標】交流の産業化の4つだ。ゼンリンの「STLOCAL」は、この内の交流の産業化に適合する事業として採用されたものだ。ちなみに「STLOCAL」は、Stroll(散歩)、Street(道)、Station(駅)、Stay(滞在)、Story(旅物語)など、まち歩きからはじまる楽しみを、そのまちの魅力と合わせて、あなただけの旅物語に繋げたいとの思いを「ST」とし、地元の人とともに「その場所ならでは」(Local)を、あなたに届けたいとの思いを重ねた名称だ。ゼンリンは、昭和23年(1948年4月)に創業した住宅地図最大手。カーナビ向け電子地図データ販売が主力の会社だ。同社の表現を借りると「知・時空間情報」の基盤となる各種情報を収集、管理し、住宅地図帳などの各種地図、地図データベース、コンテンツとして提供、また「知・時空間情報」に付帯・関連するソフトウェアの開発・サービスの提供ということになる。国内に15社、海外に4社の関係会社を持つまでに発展した地図会社だ。事業としてはプロダクト事業、公共ソリューション事業、マップデザイン事業、オートモティブ事業、IoT事業、マーケティングソリューション事業などを行う。創業者である大迫正冨氏は、戦後に大分県別府市で観光案内の小冊子『年刊別府』、『観光別府』を発行し、善隣出版社を設立した。「善隣」とは、隣国や隣近所と親しくすることを意味する。これには「平和でなければ地図作りは出来ない」との思いが込められているそうだ。「STLOCAL」は、同社のMaaS事業にあたる「マイクロMaaS」の取組みの第一弾でもある。長崎市の持つ地形・歴史・文化をつなぎ、ストーリー化する周遊ルートの整備や、まち歩きのための公共交通を便利に利用するための機能を開発し、観光情報Webサイト、スマートフォンアプリで提供する。「STLOCAL」は、2021年12月より実証実験をはじめ、2022年3月に観光情報Webサイトと連携、同名のアプリの提供を開始している。アプリはiOS、Androidの双方に対応している。同社における「マイクロMaaS」ソリューションとは、どのようなものか?日本全国の狭域な地域(=マイクロエリア)が抱える様々な課題を「移動情報」と「地図情報」を活用して解決、あらゆる地域の活性化に貢献するというものだ。例えば、地域の駅周辺や目的地までのラストワンマイルに当たる地域など、狭域な地域が抱える人々の課題に着目し、人の「移動情報」を「地図情報」に重ね合わせて分析することにより、これらの課題の解決に貢献するとしている。住宅地図会社ならではの視点と言えよう。具体的には、一つの空間上であらゆるモビリティを可視化する「Mobility based Network」は、ベースとなる地域の地図情報に「自動車用ネットワーク」、「鉄道路線」、「駅構内通路」、「歩行者用ネットワーク」、「バリアフリー情報」など移動に必要な「モビリティを基準」に分類されたマイクロエリアのネットワーク(階層)を重ね、各ネットワークが交通結節点で接続することにより、MaaSに最適化された基盤データベースを提供するものだ。ここに収集した「人流データ」を加え正しい位置に補正し、交通モードと紐づけて管理することで、分析に最適化させたソリューションを提供する。これらの技術は、自治体の地域観光を支えるソリューションとなる。近年、注目される「マイクロツーリズム」など、地元における体験や学習を通じた「地域発見型」のツーリズムを支える一方、地域交通の利便性向上や、地域コンテンツの掘り起こしなどにも資する手立てとなるようだ。同社の視点が優れているのは、これらの階層の上に更に(有機的とも言える)地域における体験や学習スポット情報を収集・管理し、観光客(地域への訪問者)の知的好奇心を満たす最適ルートを提案することで、周遊を促すことが出来る点にある。同社は、マイクロエリアの体験や学習スポット情報を地域「経済」活性化に繋げる手立てを「マイクロMaaS」ソリューションという言葉で表現している。また「STLOCAL」が持つ経路検索は、様々な交通手段を利用した一人ひとりのニーズに合わせた「移動」を公共空間における人流・混雑情報を可視化することで、感染拡大防止に資する「混雑回避ルート」の提案も可能としている。観光地や市中の周遊を促進する一方、感染拡大防止を推進しなければならない自治体のニーズをよく理解した機能と言える。また、高齢者やベビーカー、車いすユーザーに配慮した安全・安心・快適な移動のために「マイクロMaaS」ソリューションが提供する、「歩道」や「駅構内」「地下街」などの地理空間情報も非常に有効だ。商圏や観光地などの中心(交通結節点)となる巨大なターミナル駅において、ハンディキャップを持つ利用者が効率的に目的地に移動できるよう、動的情報(エレベータの工事情報や運行時間などの情報)や、バリアフリー情報が、狭域となる駅の構内図と紐づけられている。長崎市やゼンリンには、観光面だけでなく地域経済への貢献や、ユニバーサルMaaSまで俯瞰・包括した「STLOCAL」を駆使した「長崎創生プロジェクト事業」の仕上がりを期待するとともに、同事業を多くの人にアピールし利用してもらうことで優れた「視点」を生かした、より多くの課題の抽出や結果の公表も期待したい。*アイコン画像提供:「© Nagasaki Prefecture Convention and Tourism Association」The permission of the Archdiocese has been obtained for posting the photos.

グーグル兄弟会社のWaymo、運転者なし自動運転タクシーの商用運行が可能なレベルに 他

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3月24日 ENEOS株式会社、トヨタ自動車株式会社は、3/23に静岡県裾野市でトヨタが建設するウーブン・シティでCO2フリー水素の製造と利用を共同で推進するため、共同開発契約を締結した。両社はトヨタの子会社であるウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社とウーブン・シティにおける水素利活用の取組みをさらに加速する、とした。ENEOS及びトヨタは2021年の基本合意に基づいて検討を進め、水素ステーションの建設・運営、水素ステーションにおけるCO2フリー水素の製造、並びに水素ステーションからウーブン・シティとFCEV(燃料電池車)への水素供給に着手するとしていた。さらに水素の需給管理システムについても具体的な検討を進めることに合意している。2024年~2025年のウーブン・シティの開所前に水素ステーションの運営開始を目指す。水素ステーション内には、再生可能エネルギーでCO2フリー水素を製造する水電解装置を水素ステーション内に設置し、製造したCO2フリー水素を乗用車や商用車など様々なFCEVに供給するとともに、パイプラインを敷設し、ウーブン・シティ内にも水素の供給を図る。ENEOSが建設・運営する水素ステーションに設置される水電解装置により、再生可能エネルギー由来の水素(グリーン水素)を製造し、ウーブン・シティに供給される水素は、同敷地内にトヨタが設置する定置式の燃料電池発電機(FC発電機)で使用される。また、水素ステーション内には、停電時用のFC発電機が設置される。FC発電機は、貯めておいた水素を用いてFC発電機で水素充填装置を稼働させることで、停電時でも水素をFCEVに供給することが出来るようにするための装置で、これによりFCEVの外部給電機能を活用し、電力が必要な場所で電力サポートを行うことが出来る。基本合意時の検討項目では、ウーブン・シティや近隣における物流車両のFC化の推進とFCEVを中心とした水素需要の原単位の検証、その需給管理システムの構築、同敷地内に設置予定の実証拠点においては、水素供給に関する先端技術研究を行うとしていたが、今般の共同開発契約においての決定事項で、この部分については、ウーブン・シティのコミュニティエネルギーマネジメントシステム(CEMS)とENEOSの水素製造を最適化する水素EMSの連携を検討とした。構図としては、水素をつくるENEOSと、水素を使うトヨタFCEV、ウーブン・シティとのかたちになる。これらの取り組みにより、3者はカーボンニュートラルの実現に向け、ウーブン・シティを起点に誰もが気軽にクリーンなエネルギーを使える社会の実現を目指すとしている。そもそもトヨタは「水素の活用」にどれくらい本気なのか?その疑問について、一つの解となりそうな話題が「トヨタイムズ」にある。トヨタの豊田章男社長は、昨年4月に水素エンジン車(FCEVではない)でレースに出場すると発表している。参戦するレースはガソリン車でも完走が難しいとされる24時間耐久レースである。しかも、水素には爆発のイメージが伴うため、安全の証明のため、自身がドライバーとして参加するとした。このレース車両に使われたのは「GRヤリスのエンジンを転用したもの」だった。水素エンジンは、エンジンそのものは従来のエンジンと変わらない。課題は「既存の内燃機関技術をなるべき活用し、水素エンジン化する」というものだった。これが達成されれば、既存の車のエンジンを水素化し、カーボンニュートラルに貢献できるからだ。水素はガソリンよりも発火温度が高い。この特性を踏まえ、水素エンジンには、3つの技術革新が必要とされた。一つはインジェクター(燃料噴射装置)。二つ目は水素の搭載技術。3つ目は高温、高圧、高回転に強いエンジン(=GRヤリスのエンジン)である。(参考:トヨタイムズ「富士24Hへの予備知識 第1回 水素エンジンとガソリンエンジンの違い」)。水素エンジン車が24時間耐久レースを走り抜くために必須となるのが「水素充填作業」。ガソリン車で言うところの給油作業だ。通常レースで車両がピットに入る際に行われるのは、ドライバー交代、タイヤ交換、給油等。通常はピットに給油塔が設置されているが、もちろん既存のピットには水素充填設備はない。それでは、ピットにおいて水素充填はどのように行われたのか?ちなみにトヨタの「MIRAI」は、全国で144個所(2021年5月現在)ある街中の水素ステーションで、この水素を充填するシステムだ。水素ステーションは「定置式」と「移動式」の二つがある。ステーションなどに設置されたタンクに水素を貯めて置くのが定置式、移動式は水素を積載したトレーラーを指す。今回のレースでは、この移動式(トレーラー)を富士スピードウェイに配備する必要があった。水素はステーションに貯蔵される場合も、車両に積載する場合も同様に、高圧タンクに貯蔵されるのが基本だ。この高圧水素をステーション(トレーラー側)のタンクから、レース車両の燃料タンクに安全に移すため、「高圧ガス保安法」を始めとする諸規則にしたがって作業を行う必要がある。24時間レース決勝では水素ボンベを積んだトレーラー4台が待機する計算となり、その合計貯蔵量が一定量を超えるため「貯蔵所」として予め静岡県から認可を受ける必要があったそうだ。加えて、充填中のトレーラーからレース車両のタンクに水素を充填し続けると、トレーラー側のタンクの圧力が徐々に落ち、その結果充填まで速度(時間)が遅くなるため、充填作業はトレーラー2台を駆使、供給側のタンクの圧力が高い状態を保った上で充填を行う必要があり、1回の充填で2台のトレーラー間をレース車両が移動し充填を行うこととなった。また充填用のホースを外す際にも、ステーション側を減圧しホースを外す必要があるなど、ガソリン車にはない工程も加わることとなった。これらは皆、24時間耐久レース、かつ水素エンジン車両の話だが、この中のいくつかの要素はENEOSが建設・運営する水素ステーションでも必要とされ、今後洗練されたフローを構築し、商用サービスステーションのサービス品質に応えられる段階に持っていく必要がある。ちなみに、ENEOSの水素ステーションに設置される水電解装置により、再生可能エネルギー由来の水素は「グリーン水素」とあるが、これは水素の製造過程で排出されるCO2との関係で呼び分けされている。水素の種類には①「グリーン水素」②「ブルー水素」③「グレー水素」がある。③は化石燃料由来の副生製品を指す。②は③の製造過程で排出されるCO2を回収したりして、CO2が出ないように配慮したもの。①は水を再生可能エネルギー(太陽光や風力発電)で電気分解し、発生させたものとの区分がある。①のグリーン水素は、製造過程でもCO2を排出しないものだ。この24時間耐久レースでは福島県浪江町(「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」?)でつくられたグリーン水素が使用されたとのこと(参考:トヨタイムズ「富士24Hへの予備知識 第3回 もう一つの見どころ"給水素"」)。これらの24時間耐久レースなどの側面を見ても「水素の活用」や「ウーブン・シティ」がもたらす、近未来のスマートシティーやFCEVなどの新たなエネルギー需要は、既にトヨタを本気にさせていると考えて間違いないだろう。

AOSデータ社、弁護士法人中央総合法律事務所 高橋 瑛輝氏を講師に迎え、第27回オンラインセミナー《公益通報者保護法の改正~内部通報と内部監査の新たな対策~》 を配信

セミナー情報 ニュース

2022年3月24日AOSデータ株式会社 AOSデータ社、弁護士法人中央総合法律事務所 高橋 瑛輝氏を講師に迎え、第27回オンラインセミナー《公益通報者保護法の改正~内部通報と内部監査の新たな対策~》 を配信 クラウドデ・・・

MotionalとVia、ラスベガスでオンデマンド自動運転タクシーのサービス開始 他

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3月23日 広島県福山市で実証実験後のバスが、実験後に同市の沖野上町の県道を走行中、右側の車線を走行していたトラックと接触する事故が起きた。実証実験は実施主体である福山市が、日本モビリティ株式会社に委託して実施していた。福山市によると、事故は3/22の13時20分ごろ発生したという。事故の影響で3/23、24に予定されていた実験は中止となった。実験は来るべき自動運転社会を見据え、高齢者の移動手段の確保や公共交通の維持を目的にバス車両を用いて行われていた。実験車両は、①市内中心部における運転席有人での自動運転(レベル3相当)で、福山市総合体育館出発後、駅前大通を北上、福山駅前バスロータリーでの乗降車のデモを実施後、ロータリーで折り返し、同体育館に戻る往復5.4kmの区間で走行する実験内容と、②遠隔監視による運転席無人での自動運転(レベル4相当)を計画しており、レベル4相当の実験については、みらい創造ゾーン内のフェンスで囲まれた閉鎖空間(一周約0.7km)において、遠隔監視による運転席無人の自動運転を行うものとしていた。NHKの報道を見ると「福山市総合体育館近くの多目的広場に設けられた1周700mのコースで、15人乗りのバス車両を使って行われたとあり、運転席には誰も座らず、車両の屋根に設置されたレーザーセンサーとGPSアンテナを通じて車内に搭載されたコンピュータが車両の位置を把握する」とあるので、②の実験を終えた後、バスがJR福山駅南口までの県道を走行していたところ、バスのミラーと右側の車線を走行トラックの側面が接触したとの状況のようだ。読売新聞の報道では、事故発生時には運転手がハンドルに手を添えて走っていたという。関係者によると、ドライブレコーダー及び車載カメラの映像を照らし合わせたところ、バスが右に寄ったためトラックに接触した疑いがあるとのこと。事故時にバスに乗車していた関係者は9人で、同市の枝広直幹市長や職員が報道関係者らと同乗していたが、幸い接触した2台の乗員にケガはなかった模様だ。福山市のデジタル化推進室では「システムに不具合があったかどうかも含め、原因を詳しく調査する」と話しているとのこと。群馬県前橋市に本社所在地を置く日本モビリティ株式会社は、次世代モビリティ導入街づくり計画コンサルタント、同システム導入事業、同関連商品の販売、架装及び仲介、次世代モビリティサービス提供、次世代モビリティに関する技術開発、設計、機器製造、販売、運営、保守管理及び各種情報提供サービス、損害保険代理業などを主な事業内容としている。同社はこれまでも渋川市、西武バス(飯能市)、前橋市、中部国際空港セントレア第2ターミナル制限区域、大分市、沼津市、岐阜市、熊谷市、埼玉高速鉄道(浦和美園エリア)、愛知県自動運転社会実装プロジェクト推進事業(常滑市/中部国際空港)、関市、桑名市などとも実証実験を行い、豊富な自動運転の実証実験の経験を有する企業だ。同社は自動運転の社会実装を目指した研究開発・実証実験を実施してきた群馬大学の小木津准教授(同社代表取締役会長)を中心に設立されたスタートアップ企業で、業界初の無人移動サービス導入プログラムを構築、自動運転の社会実装および無人移動サービスの導入などを支援している。過去に遡ると、2019年8月に愛知県豊田市で試験走行中の自動運転車が、後方から追い越してきた車両と接触した事故がある。実験は名古屋大学が所有する自動運転車両に(4人乗りのヤマハのゴルフカート)自動運転システムが搭載されていた。走行中に後方の一般車両が自動運転車両の右側から追い越し、その際自動運転車両が急に右側に寄ったことで接触事故が起きたケースもあった。この際の事故検証委員会によれば、自動運転車両の位置・方位検知機能が進行すべき方位を誤検知したことが直接の原因となっている。また、2020年12月14日に茨城県日立市で行われていた中型自動運転バスの実証実験中に発生した自動運転バスのガードレールへの接触事案では、走路の特性により二つの位置推定手法が使い分けられていたが、事故発生地点はそれらの位置推定手法(GNSS方式/磁気マーカー方式)が切り替わる地点であった。この際、車両開発事業者が走行前に自動運転システムを設定をしたが、位置推定を行うための情報を取得するGNSS受信機/磁気マーカー受信機の再起動が必要であるところ、一つの機器の再起動を行っていなかったため、再起動が行われていなかった機器で車両の位置や方向に関する情報を取得できず、情報が更新されなかった。その結果、事案発生地点で位置推定手法の切替えが生じた際、更新される前の車両の位置や方向に関する情報が使用され、それに基づき車両制御が行われ、ハンドルの誤った急旋回に繋がっている。引き続き、福山市と福山東署、日本モビリティなどによる事故原因の究明に注目したい。*アイコン画像はコミュニティバスのイメージです。

日産の自動運転戦略(2022年最新版) プロパイロットの強みは? 他

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3月22日 三重県四日市市で19日から「まちなかの次世代モビリティ実証実験2nd in 四日市」が開催された。2回目となる実証実験の開催期間は3/19(土)~3/21(月)までとなった。*3/19は自動運転導入検討会議委員のみ。投入された実験車両は多彩で、自動運転バスを含む、超小型電気自動車、電動バイク、電動自転車、連接バスとなった。実証実験においてこれだけの車両が投入されることは珍しい。同市が今回の実証実験において、自動運転車両の走行に加え、環境配慮型の様々なモビリティを同時に走行させ、それぞれの走行位置を一体的に把握する実験を行ったためだ。自動運転バスとしては、NAVYA社の「ARMA」、超小型電気自動車には中国JIAYUAN社の超小型電気自動車「e-Apple」(アップルオートネットワーク株式会社)が、電動バイクにはFUTURE社の「GOGO!カーゴ」が投入されている。今回の実験における乗車申込みは、四日市市内在住者か、通勤・通学者に絞った。スマホでORコードを読み(https://www.city.yokkaichi.lg.jp/www/contents/1644835970643/files/mobility.pdf)画面に従い予約。その後スマホ決済(乗車は無料)し、乗車時は二次元コードをかざして乗車する仕組みとした。実験に参画するのは、マクニカ、三重交通、三岐鉄道、アップル、FUTUREとなる。「ARMA」はJR四日市駅と近鉄四日市駅間を、10:00-15:00まで片道6本、計12本が設定され、「レベル2」(保安要員同乗)で運行、連接バスは20日は三重交通が、21日は三岐鉄道が運行させた。ダイヤは時間帯としては、自動運転バスと同じ、10:00-15:00だが、こちらはJR四日市駅発は10時台、12時台、14時台は2本ずつ(その他の時間は各1本ずつ)、折り返しとなる、近鉄四日市駅発は11時台、13時台、15時台が2本ずつの設定となった。今回の実証実験は、四日市市の「自動運転導入検討会議」が、自動運転バスを走行させて、自動運転技術等、新たな交通手段の実装に向けた課題を探る目的で実施された。同会議は令和元年7月に第1回目の会議を開催し、令和2年度には自動運転車両を含む様々な次世代モビリティによる実証実験とパネルディスカッションなどを開催している。今回の実証実験は、通算5回目となる。また本会議は「四日市スマートリージョン・コア」*と連携し、スマートシティ創出に向けた自動運転の導入という形で検討が進められている。*「四日市スマートリージョン・コア」は、公民学が一体となり、地域の抱える様々な課題を解決するため、IoTやAIを含むICT等の先端技術を活用し、都市の機能と魅力を高め、活力あふれる都市(スマートシティ)を実現することを目的として、令和3年度に設立された協議会。マクニカは、自動運転移動サービスの実証実験運営の実績を生かし、中央通りを周遊する自動運転バスの運行と、自動運転走行に必要なデータ取得・セットアップ、技術的資料、取得データを提供するとともに、効果検証を行う。車両の走行データはマクニカ製の「マクニカモビリティデータプラットフォーム」*2に連携させることで、自動運転バスの走行情報を沿革のコントロールセンター側で確認することが可能になる。さらに遠隔監視システムを活用することにより、将来的に一人のドライバーで複数車両の管理を実現させることにより、社会課題である働き手不足の解消を目指す。同実験にて、芙蓉リースは自動運転バスを提供、将来的には新技術の導入後の運行主体となるであろう三重交通と三岐鉄道は、今回、自動運転車両内で運行中の車内外における安全を確保するための保安要員を担う。実際の自動運転車両導入を目指すに当たり、ノウハウを蓄積する貴重な機会となるに違いない。*2「マクニカモビリティデータプラットフォーム」は、車両に取り付けられたセンサー(GPS、カメラ等)と車両のCAN情報(車速、回転数、ステアリング操舵角等)を収集し、高品質な伝送方式を用いてクラウドへデータを保存することで、1人の監視者が複数台の車両を遠隔からクラウド越しにアクセス、リアルタイムでモビリティの状況が確認できる遠隔監視システム。その他、蓄積されたデータから過去の状況確認、データ分析、AI活用にも応用が可能。三重交通は三重県内を中心に、広域の公共交通として乗合バスと貸切バス事業を展開。また、名古屋、東京、大阪、京都への都市間高速バスや、中部国際空港行きのリムジンバスも運行している。その他名古屋市交通局の市バスの運行委託事業や自家用車両の運行管理を行う受託管理事業、運輸に付帯する貨物自動車事業、自動車整備事業、旅行業、保険業、広告業、観光コンサルティング事業、賃貸事業などを行う。次世代交通については、地域や関係団体と連携しつつ、研究を重ね、三重県内実施のAIオンデマンドバスや、自動運転の実証実験などに参画、伊勢市内においてはBRTシステム(連節バス)も運行している。三岐鉄道は、北勢地方を中心として、鉄道による旅客輸送及び貨物輸送事業を中心に、乗合バス、貸切バス、旅行業、サービスエリア店舗営業、ガソリンスタンド経営等を展開。地方経済の一翼を担うとともに、地方交通を支える公共輸送機関として、地域社会の発展に貢献している。四日市市の第一回目の「自動運転導入検討会議」議事録を拝見すると、舘副市長はあいさつの中で、同市が自動運転を検討するに至ったきっかけとして、近鉄四日市駅とJR四日市駅間が離れており、両駅をどのように繋げるか?という地域課題に対する解決手段の一つとして、自動運転技術が挙げられるとしており、またもう一つの課題として「物流におけるドライバー不足」の解決手段についても言及し、四日市市は、同市内の港湾においてコンテナターミナル新設に向け、経済界と国土交通省に要望していると発言、このターミナルに自動運転技術を活用したAIターミナルの導入することを関係者と研究しているとしている。貨物自動車事業や貨物輸送事業を抱える三重交通や三岐鉄道にとって、都市交通機能の刷新も含め、物流方面への自動運転技術導入という未来は非常に興味深いものであると思う。四日市市における物流経済とのセットも視野に入れた自動運転事業の導入事業は、全国の工業地帯や港湾を抱える自治体にとっても公共交通事業者と同様、興味深い事業となるのではないか。今後も、四日市市の実証実験の進展に注目していきたい。

しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト 他

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3月18日 静岡県は3/14に「令和3年度 第2回未来創造まちづくり構想会議」を開催した。本会意義では、実証実験中である令和3年11月15日に発生した歩行者との接触事案の「原因究明および再発防止策」が報告され、2024年度までに自動運転技術を公共交通に導入するため、有識者などからの意見も聴取した。会議には、国立大学法人 名古屋大学未来社会創造機構の森川 高行教授をはじめ、学校法人日本大学理工学部の藤井 敬宏教授、学校法人静岡理工科大学総合技術研究所 高橋 久客員教授、一財)静岡経済研究所の大石 人士シニアチーフアドバイザー、国土交通省中部運輸局交通政策部 伊藤 政信次長が出席した。令和3年11月18日~24日に予定されていた「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」実証実験は、伊東市内での実証実験前の公道審査時に歩行者と自動運転車両が接触する事案が発生したため、当面の間見合わせることとされており、この関係から同年12月に県内の沼津市と掛川市で実施される予定だった実証実験も原因が究明されるまで、見合わせることになっていた(松崎町の実証実験は10月に実施済み)。今回発表された「歩行者との接触事案の原因究明及び再発防止対策について」によると、事案は11月15日の午後に伊東市八幡野地内で発生しており、11月18日から始める実証実験に向け、遠隔操作の公道審査を実施していた下り坂に差し掛かった際、遠隔監視の電波状況が悪化、映像が乱れたため、遠隔操作者がブレーキを踏んだがブレーキ制御が効かず、左ミラーが歩行者と接触、異常に気付いた保安要員(*運転席は無人・助手席に乗車)が車両ブレーキを踏んだため、接触直前に車両は減速したとの状況だったようだ。被害状況としては、接触した歩行者への怪我や周辺構造物への物損、車両の破損等の被害は発生しなかった。事故後、11月18日から予定していた伊東市での実証実験については中止され、自動運転車のログやカメラ映像等を確認するなど事案の検証が始まった。けが人を出さずに済んだことは不幸中の幸いであった。さらに詳しく、「事案発生の時系列及び要因」のページを拝見すると、時系列に従った操作内容とその結果の機器側作動状況が克明に分かる。「自動運転車両のブレーキの仕組み」は、遠隔運転システム(遠隔操作者の命令)は、自動運転システムを通し、VCU(車両のシステム)に伝達され命令を受けた各機器を動作させるもの。今回、命令はアクチュエーターまで伝達されたものの、アクチュエーターと車両ブレーキの間で命令は伝達されていなかったとしている。その後、今回の車両に取り付けられていたアクチュエーターについて正常な車両のアクチュエーターと耐久性テストが行われた結果、30分程度連続稼働させると、動作不良が生じることが確認されている(温度が上昇し、保護装置が作動する。結果ブレーキの動作不良が生じた)。今後については、より耐久性の高い部品への更新が必要ととされている。システム面では、現在のシステムでは画像が乱れた際、遠隔側ではブレーキを踏むが、車両の動きを把握できない、車両側では、映像の乱れや遠隔運転手の操作を把握できないことが浮き彫りとなり、これらにより、遠隔・車両双方で正確な判断が出来ず、操作判断に遅れが生じたことが要因とされた。運用面では、正しい停止の手順は緊急ボタンを操作した後、その他の停止措置をとることになっていたが、今回は緊急停止ボタンを操作せず、とっさにフットブレーキを踏んだため、緊急時の正しい停止手順を徹底できなかったとされたが、これについては反射(操作)上、避けがたい要因とも考えられる。マニュアルの検討も必要となるのかも知れない。長年の経験や蓄積のある自動車メーカーなどの助言が必要とされる部分かも知れない。今回の再発防止策として、部品については、アクチュエーターメーカー立合いのもと、用途に適した耐久性の高い部品に換装(Futaba製→ヴィッテンシュタイン・ターナリ―製)されている。システム面では、不動作が起きた場合、車両が安全に停止できるよう、アクチュエーターの温度上昇の検知を行い不動作の兆候となる高温が確認された場合や、システムの速度指示と車両速度がずれた場合には、自動的に緊急停止指令が発され、同時にブザー及び表示装置で車両の運転手にも、不具合が発生していることを通知する仕組みに変更されている。運用面では、一般乗客を乗せた公道での実証実験は、二種免許を保有する運転手を乗車させることや、緊急時の運転手の対応を明確化するよう、手順書に緊急時の取り扱いを追記し、運転手への再教育及び訓練を徹底するとしている。また「実証実験の再開に向けて(再発防止策)」の結びには、当面、遠隔走行を行わず、運転手有での自動走行を行いつつ、遠隔型自動運転の再開は、自動走行と併せて映像の安定性等を検証した後、改めて検討としている。今回の報告内容には、CASEのC(コネクテッド)に当たる「通信面の原因」は記載されていない。引き続き、通信部分についても究明がなされることと共にプロジェクトの成功を祈りたい。

自動運転車、身代金要求型サイバー攻撃をどう防ぐ? 他

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3月17日 前回は、3/16に国交省で開催された「令和3年度第2回都市交通における自動運転技術の活用方策に関する検討会」の原点について、検討会の第1回(平成29年11月2日)の資料を主に検討会の視点から振り返った。今回は分科会の視点からも、自動運転技術導入の分析を試みる。ニュータウン分科会では、昭和40~50年代に全国で大量に造成されたニュータウンには、現在も人口が集積、そのため短距離の移動が高頻度で発生、またニュータウン開発当初に入居した世代の急速な高齢化により、今後さらに短距離移動のニーズが増加することから「自動運転サービス」への潜在的な需要は高い。これまでも各地のニュータウンで有人によるグリーンスローモビリティーなどの実証が行われている。またニュータウン内は道路インフラの整備が進んでおり一部道路の活用がし易く、一般車両(通過交通を含む)が、ニュータウン外の道路と比較して少ない等、実証実験を行うにあたり比較的制約の少ない環境を得られる。ニュータウンが持つ課題に目を向けると、丘陵地という立地における急勾配が自動運転の支障となっていたり、設置された階段などの上下移動は高齢化した住民の移動に制約を加えている。またマイカー利用を前提とした生活拠点の立地、生活圏の店舗や施設の減少、住民の高齢化に伴い徒歩やマイカー移動の減少、公共交通や近隣拠点施設の必要性は増加したものの、これまでのマイカー依存の結果、地域の公共交通のサービスは縮退している。ゆえに拠点施設へのアクセス性を維持するため、公共交通強化のニーズは高まるものの、財源不足や担い手不足が障壁となり、これらの課題を解決する方策が求められている状況だ。基幹的なバスについては、新交通(LRT・BRTなど)や路面電車とともにコンパクト+ネットワークを形成する都市の軸となる交通機関であり、バリアフリー対応や輸送容量の強化などの高度化がさらに求められている。バス事業者においても、担い手不足などが顕在化、自動運転技術を活用した課題対応の可能性も見込まれる。政府のロードマップでは、まず高速道路、限定地域での実現を目指す中、専用走行路や専用車線などを有する基幹的なバスは技術的にも導入しやすい。また先導的に実用化が進むことで、他のバスサービスの更なる高度化にも期待できるとされる。このため、分科会の検討対象として想定される「基幹的なバス」とは、都心の拠点・駅~郊外の拠点や駅を結ぶ「郊外アクセス線」や、都市拠点~都市フリンジ(周縁)拠点を結ぶ「都市フリンジ線」、「都心循環線」、都心の拠点~郊外居住地や郊外拠点・駅を結ぶ「郊外アクセス線」が想定されており、郊外の拠点・駅~郊外のニュータウンや工業団地を結ぶ地区アクセス線、都心の拠点~近隣都市を結ぶ「都市間高速線」は、分科会の検討対象になっていない。今回の直前「令和3年度第1回都市交通における自動運転技術の活用方策に関する検討会」(令和3年11月29日)における、バス分科会からの報告資料では、これまでの検討経緯(まとめ)とR3年度の検討の方向性が示されている。それによると「全国各地で実施されている基幹的なバス交通における自動運転技術の実証実験結果等から、社会実装に向けた課題の整理を行う」、「自動運転技術の社会実装を実現するための与条件の整理を行い早期実現するフィールドを検討するとともに、実証実験の課題等も踏まえて、自動運転技術の導入を想定した都市施設のあり方の整理を行う」など、実証実験を踏まえ、見えて来た現実に即した方策の取りまとめの段階に入った様子が伺える。検討会側では、当初は有識者へのヒアリングなどから始まり、自動運転の都市への影響に関する調査、都市交通・都市交通施設の在り方の検討、交通結節点(駅前広場)に焦点を当てた検討、交通結節点の段階的な整備方策、QOLを高める自動運転とICTを活用したサービスの組み合わせ・高度化などの検討を継続、令和3年度には限定空間内外の接続機能のあり方、自動運転技術を活用したサービスの持続的な提供、最新動向についての有識者ヒアリング等を行って来た。これと並行してバス分科会は、毎年今後の都市交通に関する課題を踏まえた自動運転技術の活用についての検討を続け、検証事項の検討、実証実験の実施、機運醸成会議の実施などを行い、検証結果についてのフィードバックを行って来た。令和3年度には自動運転バスに関する技術動向の調査、自動運転技術の社会実装を想定したウォーカブル空間等の都市施設の在り方の検討、新技術の導入機運醸成に向けた取り組みなどを行い、中間取りまとめに繋ぐ。中間とりまとめでは、自動運転技術の動向と公共交通分野における取組状況の説明、基幹的なバス交通への①自動運転技術導入の目的、②自動運転技術活用の動向、③自動運転技術の社会実装のあり方などを報告する。①については地方公共団体、バス事業者、②については①と同様、地方公共団体、バス事業者へヒアリングを行い、③については自動車メーカー等にヒアリングを行うとしていた。今回「令和3年度第2回都市交通における自動運転技術の活用方策に関する検討会」では、この中間とりまとめ(基幹的なバス交通への自動運転技術の導入の展望、自動運転技術活用の動向、自動運転技術の社会実装時の都市施設のあり方)が公表されることになる。成果に期待したい。

自動運転が可能な車種一覧(2022年最新版) 他

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3月16日 国土交通省では、本日「令和3年度第2回都市交通における自動運転技術の活用方策に関する検討会」がWebにより開催された。第2回の議題は、1)自動運転技術の導入を見据えた都市施設等のあり方、2)自動運転技術を活用したサービスの展開に向けた都市施設等のあり方、3)基幹的なバス分科会からの報告となる。検討会は第1回(平成29年11月2日)から数え、通算9回目の開催となる。第1回当時の資料を読み返すと、検討会の設置については「開発が進む自動運転技術は人口が集積する都市の拠点地区を中心とした、公共交通基軸のバランスの取れた都市交通サービスの向上に貢献することが期待される一方、①自動運転の普及が都市構造・都市交通や交通施設にどのような影響を及ぼすか抽出・整理し、②都市にとって望ましい自動運転技術の活用のあり方を検討する」としている。①は具体的には都市施策取の関係について、都市交通との関係について、交通施設との関係についてを指し、②はニュータウンにおける高齢者の円滑移動、公共交通(基幹的なバス、BRT等)や末端交通等におけるサービス向上を指す。「検討会」においては上記の抽出・整理、課題整理と対応方針のロードマップの整理、自動運転を活用した施策、推進方策の検討を行い、「分科会」においてはニュータウン・基幹的なバスの課題の整理、課題解決に向けた自動運転の活用方策の検討、実証実験の実施に向けた検討がなされる。このため、分科会としては、ニュータウン分科会と基幹的なバス分科会が設置された。自動運転技術という黒船を受け入れるため、当時の国やステークスホルダの関心(社会受容への懸念)はどこにあったのか。一点目は、自動運転と都市施策についてだ。具体的にはコンパクトなまちづくり推進への影響だ。かつての「市街地」は中心部に基幹的な市街地があり、郊外では、自治体関連施設、人家や商業施設などが低密度で分散していた。昨今ではモータリゼーションの進展等の影響もあり、市域全体において都市化が進行する過程にある。国やステークスホルダとしては「市街地」を維持したまま、基幹的な公共交通沿いに集約拠点の形成を促進したい。社会的側面からこれを表すなら、意図的な集約(コンパクト化)をせず、現状を放置すれば「市街地」が全体的に希薄化(地域活力の低下、居住者の生活サービス提供が確保しづらくなる)する懸念がある、ということになる。これを避けるため、自動運転技術の導入により、コミュニティバスによる支線輸送、乗り換え拠点の整備、循環型の公共交通ネットワークの形成、拠点間を結ぶ交通サービスの充実、デマンド型乗合タクシーの導入など「地域交通再編」を行う際は、市民の居住の誘導施策や、生活サービス(福祉・医療・商業)の誘導などとの「一本化」(意思統一)を図った上で導入を進めて欲しいというのが、ステークスホルダーの関心と言える。二点目は、自動運転と都市交通についてだ。自治体は自動運転技術が生まれる以前から、総合的な都市の交通連携(様々な交通モードの役割分担や交通モード間の連携など)の青図を描いて来た。市内の鉄道駅などを交通結節点として整備し、都市機能の集約を図って来た。また駅から市内の各拠点までは路線バスなどによる幹線(路線バス・LRT・BRT)を設け、幹線沿線の居住推進地区を形成、駅周辺には歩行者区間を置き、幹線沿線には市役所や大学などを置き、交通の収入確保と共にパークアンドライド、サイクルアンドライド、トランジットセンターなどを採り入れて、同時に環境整備などの投資を行ってきた。自動運転技術を活用し、これらの「資産」の価値の最大化を図る必要があるが(まちのコンパクト化を図る上でも必要となる過程)、このため「バス路線再編」は必須条件とも言える。その他にもコンパクト化を推進する交通体系への影響、公共交通の役割の変化、(各地域の)インフラ供給量の充足、影響がある施設、公的・民間の空間・施設の役割の変化や対応、どのような路線、地域が対象となるか?過渡期における既存車両との混合交通時に必要とされる対応、優先順位等々、課題は山積する。(続く)

自動運転レベル4、いつから解禁? 他

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3月15日 北米では、モビリティ業界とエネルギー業界で脱炭素化に向けた社会的な潮流を背景として、相互に新規参入する動きがあるという。昨今、技術ベースではまだ時間を要するものの、以前に比べると道筋が明確化してきたモビリティ業界、しかし、市場への落とし込みを確実なものとする収益化に、一筋の光明が差すかもしれない。国内での動きについては、LiB CONSULTINGが2021年に発表した「EVXカオスマップ2021(EVトランスフォーメーション)」を参考にしていただきたい。マップ上の事業分野は大別すると、EV+電力小売り、充電インフラ、EMS(電子機器の生産/Electronics Manufacturing Service)などの「エネルギー系事業」と、BCP(事業継続計画/Business Continuity Plan)、EV MaaS、VPP(仮想発電所/Virtual Power Plant)、VtoH(EVやPVHなどの車両に蓄電した電力を家庭用の電力に用いる技術/Vehicle to home)、EV導入サービス、EVフリートなどの「モビリティ系事業」に分かれる。菅前首相時代(2020年10月)に発表された「2050年カーボンニュートラル宣言」(国と地方の協働・共創による地域における2050年脱炭素社会の実現に向け、特に地域の取り組みと密接にかかわる「暮らし」「社会」分野を中心に、国民・生活者目線で2050年脱炭素社会に向けたロードマップ及びそれを実現するための関係府省・自治体等の連携のあり方等について検討し、議論の取りまとめを行うため「国・地方脱炭素実現会議」などが開催されている)は、政府が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言している経緯がある。国内においては、これが脱炭素化社会へ潮流のの起点となった。その中でキーワードとされた「カーボンニュートラル」とは、(温室効果ガスの)「排出を全体としてゼロ)というのは、二酸化炭素を始めとする温室効果ガスの「排出量」から、植林や森林管理等による「吸収量」を差し引き、合計を実質的にゼロとすることを意味している。これらの動きは遡ると、地球規模の課題である気候変動問題の解決に向け、2015年にパリ協定が採択され、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること」「今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること」が世界の共通目標とされ、合意されたことによる。企業はなぜ、脱炭素に取り組むのか?一つは「持続可能な社会を実現するため」。もう一点は「ビジネスチャンスがあるから」だ。カーボンニュートラルは、世界が持続可能性を維持するために必要とされ、ある意味約束された達成目標(≒市場)だ。その為、各国はカーボンニュートラルを成長戦略に組み入れている。2020年~の約30年間で、122兆ドル(約1.3京円)の関連投資が必要と試算されている(ボストンコンサルティング・グループ)。国内では、新日本エネルギー・産業技術総合開発機構が2兆円の「グリーンイノベーション基金」を創設している。カーボンニュートラルの実現にあたり、企業等は従来のビジネスモデルや戦略を抜本的に変更し、対応することが求められるが、そのハードルは高い。これを乗り越えるため「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、今後成長が期待される14分野を示し、各分野での目標を設定すると同時に、予算、税、規制・標準化、民間の資金誘導など、「政策ツール」を総動員して取り組みを後押しする。こうした取組みにより、2030年で年額約140兆円、2050年で年額290兆円の経済効果を見込んでいる。国が実行計画を策定している重点14分野は、①エネルギー関連産業(洋上風力、太陽光、地熱産業、水素・燃料アンモニア産業、次世代熱エネルギー産業、原子力産業)、②輸送・製造関連産業、③家庭・オフィス関連産業(住宅・建築物産業・次世代電力マネジメント産業、資源循環関連産業、ライフスタイル関連産業)に分かれ、特に②では、自動車・蓄電池産業、船舶産業、食料・農林水産業、半導体・情報通信産業、物流・人流・土木インフラ産業、航空機産業、カーボンリサイクル・マテリアル産業などがある。つまり、いま企業には脱炭素化に取り組むことで、ビジネスモデルや戦略の組み換え、設備投資などは必要だが、国の「政策ツール」群を利用し、大きな成長機会が与えられていると言える。これはエネルギー・モビリティ業界においても、然りとなる。そしてもう一つ、日本の部門別二酸化炭素排出量の割合(2019年度)を見直してみると、間接排出量は約11億794万トン、一位は産業部門(34.7%)、次いで運輸部門(18.6%)となる。運輸部門のEV化(EV化だけではないが)がいかに大きな影響を及ぼすかは、自明の理と言える。EVシフトが進む中、なぜエネルギーとモビリティ領域が融合していくのかを考えるなら、それはまさに「EVのエネルギー源が電気である」ことに他ならない。これらの領域を融合し、事業化するには、サービス提供領域とマネジメント領域が必要となり、それぞれにモビリティ系事業とエネルギー系事業を当て嵌め整理して考える必要がある。極めて単純化して説明すると、①EV販売やMaaS事業を成り立たせるには、②エネルギーの供給とエネルギー商材(PV、LiB、IH、EQ)が必要となる。また②を販売するためには、③バックヤードにVPP(仮想発電所)が必要となり、①には④EVバッテリーマネジメントなどのフリート管理が必要となり、反面バックヤードでマネジメンント領域を補う③④からすれば、仕組みを利用してくれる①や②などの事業体が必要という図式だ。エネルギーとモビリティーの二者は、極めて密接な相互補完関係にある存在と表現できる。これらのプレイヤーとなる各社、(特に)モビリティ事業者は、先ずは前述した「事業化の図式」の中で、自社の事業ドメインを特定し、自社に不足するアセット(資産)を補うアライアンス先を見つけ、事業を軌道に乗せることが第一だ。カーボンニュートラルの潮流の中で、上手く足場を築くことが出来れば、中長期的には隣接する事業分野を取り込んでいくことも自社の「成長戦略」となるのではないだろうか。

米政府、ハンドルない自動運転車認可へ 安全基準修正 他

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3月14日 先日、日本では警察庁交通局より策定された「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」が発表になったばかりだが、海の向こう米国では、10日に運輸省がハンドルやブレーキのない自動運転車の公道走行を認める規制緩和(「自動運転システム(ADS)を搭載した車両」を加えること)を発表した。今回の修正で、NHTSA(米国運輸省の幹線道路交通安全局)は、ハンドルやその他の手動制御機能を伴わない車両に義務付けられる安全基準を明らかにし、自動運転化レベル4、5に当たる自動運転車の開発と実用化や、自動運転分野における国際的な開発競争をリードする目的だ。NHTSAは、2021年には自動運転車の運用会社およびメーカーに事故報告書の提出を義務付ける命令を発令し、2020年には、州や企業が自動運転車試験に関する情報を提出し、市民が閲覧できる仕組みなどを立ち上げている。今回の決定は、FMVSS(連邦自動車安全基準/連邦行政命令集 タイトル49 パート571に記載)の用語を修正した。FMVSSは、基準の内容により101-500番の小項目に分かれるが、今回の修正はそのうち、200番台に記載されている「乗員の衝突安全基準」に関する項目で、従来型の車両では想定されていなかったADS搭載車両の内装設計を説明するため、関連する用語を修正し、現行基準への読み替えが行われた模様だ。具体的には、エアバックの設置要件や性能テスト手順の説明で必要とされる車内空間における装備の取付位置に関する表現は、これまでなら「運転席(driver's seat)」が「前列または前部ドア側座席(front row or the front outboard seating position)」に変更され、従来車とADS搭載車双方に適用される表現となった。自動運転車の室内空間を表すのに、運転席、ハンドル、助手席といった概念は既に過去のものとなり、不要な語ということになるようだ。ブティジェッジ運輸長官は、10日に出した声明で「2020年代を通じて自動運転や運転支援システムの開発に安全基準が追いつくようにすることが米国運輸省の安全に関する重要な任務の一つだ」と述べている。GMの傘下で自動運転車のメーカーとなるCruiseは「自動運転対応の電気自動車の商用ライドシェアサービス」を提供するため、NHTSAに安全性を確認するよう求めている。本サービスで利用される自動運転EVは「Cruise Origin」だ。車両は、ADS搭載車両となるため、ハンドルやアクセルペダル、ルームミラー、ワイパーなど自動運転に必要ない装備は搭載されていない(*一般向け乗用車としては販売せず、配車サービス専用に提供する車両だ)。GMとCruiseは同車両の安全性を、NHTSAから認めてもらった上で米国国内における自動運転ライドシェアサービスを実現させる考えで、同車両の量産を2020年後半に開始し、2023年には配備可能な状況にして行きたい。NHTSAの承認時期が重要となる。ブティジェッジ運輸長官の発言からすると、NHTSA自身も自動運転車両や自動運転支援システムの「安全基準の確立」や、今後各メーカーから要求されるであろう自動運転車両に対する「安全性の承認」について、開発側であるメーカーの水準や理解度を上回り、様々なシチュエーションへの対応事例を積むには、今しばらくの時間を要すると考えているようだ。同じことは、日本の警察庁や様々な関係機関(特に承認機関)にも言えると思われる。日本国内では、レベル4における公道実証実験のガイドラインが整った段階だ。法や規制の整備、安全基準整備の進捗についても日々メディア上で様々な意見が交わされているところだ。仮に既存車両がADS搭載車両に置き換わっても、乗員や車両周辺に存在する人の「安全性確保が最優先」であることは間違いない。またルールの整備後も、実際にADS搭載車両を公道で走行させた際に、噴出した課題が山積することも想像に難くない。市場への投入順位ばかりが、将来の自動運転車の売れ行きを決める訳ではないから一刻も早くとは言わない。「世界に通じる安全基準」や「より安全性に優れたADS搭載車両」を世界の道に走行させるため、いまは、より一層官民の連携密度を高め、じっくりこのステージに取組んでいただきたい。

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