日産、福島・浪江町でオンデマンド配車サービス「なみえスマートモビリティ」実証実験開始 他
11月5日 緊急事態宣言の解除後より、各地で観光需要復興を兼ねたMaaSの実証実験の動きが続く。ほぼ、ひと月前となる10月14日、第100代内閣総理大臣として衆議院及び参議院の本会議で指名された岸田首相のエネルギー政策は、原子力規制委員会の新基準を満たした原子力発電所は再開すべき、だ。就任早々10月16~17日にかけて岩手県、宮城県、福島県の3件を視察した。福島入りしたのは17日だ。同日のTwitter、@kishida230を拝見すると「この週末は、東日本大震災の被災地を訪問してまいりました。#車座対話では、大変貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。東北の復興なくして日本の再生はありません。これからも被災地の皆さんの心に寄り添い、そして現場の声をお聞きしながら、復興にしっかり取り組んでいきます。」とあり、首相官邸(@kantei)は「福島県を訪問しました。福島第一原発の着実な廃炉やアルプス処理水に対する風評被害対策に、引き続き万全を期します。また、ふるさとに帰還された方や新たに移住された方の情熱に触れ、福島に新たな魅力や雇用が生まれていることを体感しました。今後も生業の再生、新たな事業創出を支援します。」としている。福島民報によると、首相は福島第一原発を視察し放射性トリチウムを含んだ処理水について「多くのタンクが並んでいる姿を見て、先送りできない重要な課題だと痛感した」とコメントしている。処理水の海洋放出について、県民や地元水産業、周辺国、諸機関との調整に配慮する政府の様子が伺える。また、エネルギー政策に関しては「再エネ一本足打法では価格や安定供給の観点で十分ではない。複数の選択肢が求められる」として原子力発電の必要性についても言及、原発事故に伴う帰還困難区域のうち特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域については「2020年代に希望者の期間を目指す政府方針に基づき、帰還に必要な箇所の除染、地域コミュニティーの再生に取り組む」考えを表明している。日産自動車は11月1日より、浪江町において、オンデマンド配車サービスの実証実験「なみえスマートモビリティ」を実施する。同社は本年2月に浪江町、双葉町、南相馬市と同社を含めた全国8企業で「福島県浜通り地域における新しいモビリティを活用したまちづくり連携協定」を締結、新たな移動手段の構築、再エネ利活用による低炭素化の取り組み、コミュニティの活性化と強靭化の領域において協業する。今回の実証期間はおよそ2ヶ月、アプリ上に約120箇所の乗降ポイントを設け(2020年度の実験では8箇所)、アプリも迷わず目的地の選択が出来るよう検索機能を改善して臨む。移動サービスの利用時間は、木曜、金曜は21時まで延長、長時間・夜間運行を行うことで地元飲食店をサポートする(前回は19時までだった)。またAIを本格的に活用、固定ルートでなく、出発地から目的地への効率の良い移動を目指す。参加費は無料。利用登録は、(https://www.smamobi.jp)から行う。浪江町のホームページによると、現在も「帰還困難区域」として13区域が残る(*避難指示解除準備区域および居住制限区域は、平成29年3月31日に避難指示が解除されている)、観光MaaSと言える至るまでは、今しばらく時間が必要と言えるのかも知れない。浪江町ガイドブック「浪江町 0からの挑戦」には、「道の駅なみえ」を始めとするいまの町の人々の姿が生き生きと紹介されている。浪江町に息づく伝統・文化の灯は消えていない。移動サービスの本格化と主に帰還困難区域の早期縮小の進展を願う。
