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上小阿仁村 自動運転サービス開始2年も利用者数は低迷続 他

12月1日 気になるニュースがある。サービス開始以来、2021年度末で2年となる秋田県上小阿仁村で始まった自動運転サービスである。グリーンスローモビリティを用いた自動運転が村内の集落と役場、診療所などを結び、村民の移動を補助していたが、このところ振るわない。NHKのNEWS WEBによれば、サービスの利用者数を月別に集計したところ、一日平均15人を超えたのは、2019年11月のサービス開始以来2020年の3月だけで、今年に入ってからは一日平均8人を下回る。利用者が振るわない遠因として、国交省東北地方整備局には、コロナ禍の影響や運転手のいない自動運転車両が敬遠されていないのではないかとの考えがあり、サービス運営者となるNPO法人上小阿仁村移送サービス協会は「自動運転車を日常的に利用するユーザーと利用しないユーザーがおり、利用頻度に大きな差が生まれている現状を指摘、今後は日常的に利用のないユーザーにも利用してもらえるようにしたい」と述べている。上小阿仁村は、北秋田市、能代市、三種町(みたねちょう)、五城目町(ごじょうめまち)、秋田市と境界を接しており、北秋田市とは秋北バスの路線バスで繋がり、鉄道は秋田内陸縦貫鉄道の米内沢駅か阿仁前田駅が最寄り駅となり、高速道路は秋田自動車道の五城目I.Cが最寄りとなる。村と大館能代空港間、村と阿仁前田駅間には、デマンド型乗合タクシーが設定され、空港との連絡には地元などのタクシー会社が月替わりで上下合わせて4便/日、阿仁前田駅間との連絡には日に6便があり、住民の移動を支える。また、同村の社会福祉協議会は、電話予約により上小阿仁村有償運送(交通空白)こあに号を、上小阿仁~八郎潟駅間に運行している。MaaSは、地域で利用可能なすべての交通手段を網羅し、その情報を利用者に分かりやすく伝えるものだ。周辺地域との接続が、高齢者化率も高く、冬季には雪などの外乱要因の多いであろう同地で、同自治体内の結節点や高齢者の自宅内での閲覧も想定し、利用者が把握しやすい「情報表示」の仕組みが出来ているか気になる。また、高齢者化率の高さは健康上の理由などとあわせ、移動総数と直結する。ユニバーサルな移動環境が作られているかも、モビリティも含めた待合施設などのスロープや手すり、体調が悪くなった際の緊急連絡設備、食事や飲料の自動販売機、手洗、空調やベンチなど休息に必要な設備などを含めた使い勝手にも、再度目を配っていただきたい段階だ。上小阿仁村の昨今のニュースを見ていて、もう一点気になるのは、村が運営する移動販売車「こあにカー」の存在だ。同車両は高齢者化率の高い村内の20集落に向け、週1回(平日のみ)食料や日用雑貨などの移動販売、高齢者の見守り活動を行っている。村内において、食料品や日用品を扱う実店舗はコンビニを含め7軒あるが、それらを利用しづらい集落や移動弱者の買い物を支援している。「こあにカー」以外にも民間の移動販売車の存在がある。同時に「買い物」は、すべての交通利用者に共通する移動理由でもある。先ほど「こあにカー」は、村が運営すると書いたが、実際は道の駅「かみこあに」を運営するかみこあに観光物産に事業が委託されている。あくまで一案だが、移動と日常的な消費活動、どちらも両立するには、自動運転サービス運営者と観光物産を一つの台所にまとめたり、7軒の店舗への物流ルートを貨客混載方式にシフトしてもらう代わりに、自治体が近隣の市町も含めた施設・店舗利用のためのプレミアム付きの地域商品券などを発行する等の仕掛けをしてもよいのではないか。話は変わるが、林野庁(林政部木材利用課 https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/biomass/con_2.html)は、地球温暖化の問題や廃棄物問題への対応の一環として「木質バイオマス」の利用推進に注目し、これを推進している。「木質バイオマス」の利用メリットは「二酸化炭素の排出抑制」と「地球温暖化防止」の2点だと謳う。森林を構成する樹木等は、光合成により大気中の二酸化炭素の吸収と固着を行う。その根拠は、木材をエネルギーとして燃焼させる場合はCO2を排出するが、排出されるCO2は樹木の伐採後に森林が再生された場合、その成長過程で再び樹木に吸収されるとの計算にある。化石燃料の代替燃料として、前述の2つのメリットを生み出すという。同庁はこの「木質バイオマス」のライフサイクルを通じ山村地域の活性化も図る。資源の収集や運搬、バイオマスエネルギー供給施設や利用施設の管理・運営など新産業は雇用も創出し、地域経済を活性化させる可能性を持つ。上小阿仁村にこれらの施設を誘致する、との選択肢も有効だと思う。これらは、農林水産省出身である小林悦次(こばやし えつじ)町長を始めとする同町の第2期上小阿仁村まち・ひと・しごと創生総合戦略にも「本村は、森林面積が92.8%を占めるため、木質バイオマス等の再生可能エネルギーの有効活用や産業振興を図り、カーボンオフセットやグリーン購入等を推進します」といった言葉で表現されているように思う。

立って乗れる車椅子 筑波大発新興のQoloが開発 他

11月30日 筑波大学発のベンチャーQolo株式会社。代表取締役:江口洋丞(えぐち ようすけ)氏が率いる。事業内容は福祉、医療、介護支援、エンターテインメントに関わる機器やサービスの研究開発、製造およびリース、レンタル、販売及び保守、コンピュータおよび通信ネットワークを利用した情報の収集、分析、管理及び情報処理サービス、情報提供サービスならびに情報処理に関する研究開発業務。江口氏は学部時代にQoloの中核技術の研究を始め、起立姿勢で移動できるモビリティ4台の試作と実環境での検証、JIS準拠試験評価を経験。自動車メーカーでの制御系開発の担当者、筑波大学研究員を経て現職に就任。立ち上がる「能力回復の支援」と立ち上がる「機能」の支援、2つのアプローチを通して、誰もが社会の一員として働き、健康寿命が延びる世界の実現を目指している。今年7月30日にZoomで開催された文部科学省所轄のユニバーサル未来社会推進協議会が主催するロボットショーケースに筑波大学とともに出展、立ち上がりのサポート及び立ち上がっての移動を可能とするパーソナルモビリティ「Qolo」を出展、8月24日にはDEFTA Partnersと更なる技術開発・事業展開に向け提携を果たしたことにより、DEFTAを引受先とした第三者割当増資による総額6,000万円の資金調達をした。その後も9月23日に公益財団法人三菱UFJ技術育成財団が、技術志向型の中小企業の新技術、新製品等の研究開発を支援する事業「2021年度第1回研究開発助成金事業」において採択されている。また「茨城テックプランター2021」の最終選考会においては、ファイナリストに選出され、11月6日に開催された「茨城テックプラン グランプリ」において日立製作所賞を受賞している。チーム名でもある「Qolo」は「Quolity of Life Locomotion」からとった。立って乗ることが出来るモビリティー機器「Qolo」。Qoloは、ユーザーの体を足の下、膝まわり、腰まわりを支え、同時にユーザーと一体化する。立ち上がるときや座るときに、Qoloが膝関節の動きを助ける。ユーザーはこの3点でQoloに体を預ける。「チーム」におけるアドバイザーである、筑波大学医学医療系リハビリテーション医学準教授/筑波大学附属病院リハビリテーション部医師でもある清水 如代氏は「立ち上がり運動はとても良いリハビリになる」という。同チームの同じくアドバイザーである木戸俊介氏(NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクト代表)は約5年前に交通事故で車いすユーザーとなった。氏は「ユーザー視点でQoloの開発にアドバイスしている」といい、「車いすの生活もめちゃめちゃ幸せで最高、立つことが出来ないから幸せになれないとはまったく思わない、たてるかもしれないという選択肢があるだけで、気持ちがすごく前向きになるという経験を日々している」という。Toyota Mobility FoundationがYouTubeにアップした動画「The Qolo by Team Qolo of the University of Tsukuba」*のナレーションは語り掛ける。「人々がお互いの顔を見ながらコミュニケーション出来ることは、かけがえのないほど大切なもの。私たちが作るシステムは、人に寄り添って、人と会い、会話をして、同じ目線でのコミュニケーションを支えます、それはリハビリテーションにもつながるのです」。そしてナレーションは続く「Qoloはユーザーだけでなく、すべての人たちに必要だという。人々は、心の中では、みんなと同じように行動したいと願うのではないでしょうか。立ち上がることは、欠かすことができないもの、立ち上がることは生活の一部です」。社会一般の目に彼らは、開発者と医者と患者なのかも知れないが、Qoloの開発はチーム全員が同等であり、世にこれを送り出そうとする願いにおいて一つに繋がっているように見える。様々な受賞や評価は、その技術の将来性や優秀さもさることながら、ユニバーサル(普遍的、万人に共通)という開発チームの精神に敬意を表し贈られたものだと思う。*https://www.youtube.com/watch?v=yxKV41hNMKE

MaaS発展はオンデマンド交通の理解にあり!概要から事業開発まで一気に解説 他

11月29日 自宅の給湯管からお湯が漏れ、階下に。建物の管理会社経由、工事屋さんによる施工まで一週間を要した。朝晩の気温が10度を切ろうかという今日この頃、蛇口をひねるとほとばしる水の冷たさは身に染みた。身の上を相談したところ、親切にも賃貸会社のサポート窓口は「お風呂代は持ちますので」と言ってくれた。そそくさとGoogleマップで近所の銭湯を検索し、数年ぶりの銭湯へ。その日から一週間のご近所銭湯巡りで(それぞれの休業日もあり、3軒回った)得た感想は「銭湯は、地域の宝」である。同じような銭湯への「愛」を抱く御仁がいる。東京都の銭湯浴場組合の銭湯大使として、メディア上でも活躍するステファニー・コロイン氏だ。氏は南フランスのプロバンス地方の出身で、2008年に交換留学で来日し、立教大学にて日本文学を学んだ。2012年に再度来日し、日本の銭湯文化や、後継者不足に悩む銭湯業界の抱える課題を知り、多くの人に銭湯文化を伝播したいという想いから、日本国内で約2600軒ある銭湯のうち、800軒以上の銭湯を巡り、その魅力をWebサイト(https://dokodemosento.com/ja/)やSNSで発信し、テレビやラジオにも出演、書籍なども執筆している。巷のニュースを見ていると、以前にも当欄で言及したMaaS事業「事業の持続性」が、いよいよ現実のものとして問われてきた感がある。最近では、交通系のICカードと地域通貨を結び、地域商店街などの活性化を図ったり、オンデマンド交通などを走らせる場合、企業の協賛を得たり、医療など生活サービスや貨客混載(利用者の少ない場合、荷物の配送便として利用)などで収益を得る方法など様々な仕組みが提案されて来ており、持続化のためのアイデアも出揃ってきたのではないかと思う。地域交通を走らせるための収入源の一つとして「銭湯」もいい(「マンションには、お風呂があるから」という台詞は、実はいまや死語だ)。地域の銭湯の客筋をよく見てみると、近隣の住人でいっぱいだ。ちなみに「東京都内の公衆浴場利用者数の推移」を拝見すると、平成20年における延利用者都総数(単位:千人)は33,815、一浴場一日当たりの平均入浴人員(単位:人)は124であり、自家風呂保有率(%)は97.6%である。皆、たまには広い浴槽でのびのび湯に浸かりたいのだ。もし、小職が自治体の交通課にいたら、迷わずMaaSアプリに銭湯のデジタルチケットを仕込み、銭湯前にバス停を置きたいところだ。収益アイデアに話は戻るが、もうひと捻りするならば、地域の中で永続的に人流を生み出す可能性(食であれ、モノであれ、コトであれ)を、掘り出したり創出したりできる感性を持つ人材(ヒト)を、MaaS導入チームに招き入れたい。皆様がお住いの地域にも銭湯ばかりでなく、中高年やシニア世代にとって新鮮さは失われているとしても、若い感性や海外旅行者には「いいね」と映る、彼らにとって新鮮な地域の宝が、眠っている筈だ。地域交通の維持は、都市鉱脈から再利用可能な「宝」を掘り出す総力戦でもある。

レベル3の自動運転を可能にする第3世代LiDAR発表、2024年車載化へ…ヴァレオ 他

11月26日 Valeo(ヴァレオ)が11/23に第3世代の「スキャンニングLiDAR」を発表した。手許に経済産業省の「平成30年度高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業(CASE時代における次世代技術動向調査)」(平成31年3月29日)*がある。自動車新時代戦略会議中間整理で示したゴールを目指すにあたって、CASEに関わる現在及び次世代の世界の技術開発動向・関連企業動向についての情報収集・分析・評価を調査内容とした資料だ。対象となる技術領域にLiDARも含まれる。参考まで、自動走行システムにおける技術領域には、大きく①センサ②自動運転用地図③AI(機械学習~行動計画までを一つの項目として扱う)④パワートレイン⑤エネマネ⑥軽量化⑦デジタルエンジニアリングなどが挙がる。①を細分化すると、LiDAR、カメラ、超音波センサ、ミリ波レーダ、GNSS(GPS等)となる。自動運転システムにおいて、知覚を構成するセンサ類、地図情報、それらを認識・判断するAIは、重要な構成要素と言われる。センサ類は自動運転システムにおいて周辺環境認識のために使われる。知覚となるセンサ類から収集された情報は、センサーフュージョン(情報の統合)を経て、SLAM(自己位置推定と環境地図作成の同時実行)やリスク予測、経路走行計画として、AI半導体とAIアルゴリズムにより、認識・判断され、最終的な車両の行動段階(運動制御=ステアリング・アクセル・ブレーキなど)へと引き継がれる。システムを構成するセンサにはそれぞれ優劣があるため、個々の特性を踏まえ、冗長性を担保した組合せ設計が肝要とされている(要は一長一短)。同資料は、LiDAR及びカメラ、超音波センサ、ミリ波レーダの長所短所を◎、○、△、×で4段階評価している。LiDARの基本性能となる、物体認識性能は○、測距性能は◎、検知距離は○、視野角は◎、ロバスト性*2は×(自然光の影響を受ける)、量産性のサイズは×(当時は大型と評価された)、コストも×であった。当時から見た今後の競争ポイントは、量産化に向けたサイズおよびコストダウンだ。LiDARの当時の技術・状況は、モーターで本体を回転させる方式と、モータ駆動ミラーにより光を走査する方式の2種類のメカ方式が主流で、非常に高価であり、メカ式での豊富な実績を誇るVelodyne製で、単価は4,000ドル(およそ48万)~。技術進化のトレンドは小型・低価格化に向けメカレス方式が進展する見通しだが、これが主流を占めるとは言い切れない状況だった。MEMS方式、受光素子分割方式、光フェーズドアレイ方式などのメカレス方式による小型化・低価格化が進展していた。日本及び海外のプレイヤー動向としては、メカ式ではVelodyne(Waymo等が採用)が独占的であったが、Continentalや「Valeo」などの欧米系メガサプライヤがメカレス方式で参入中とある。また、米国系中心にベンチャーの参入が進んでいた。国内においてはパイオニアが参入していたが、OEMによる採用計画は限定的と記されている。今日、世界中のLiDARスキャナ搭載車の99%はValeo製と言われる。同社の第3世代「スキャンニングLiDAR」は、検知範囲、解像度、フレームレートの点で比類のない性能を備えていると同社は発表しており、具体的には、車両周囲の3Dリアルタイム画像を450万ピクセルと、25フレーム/秒の速度で生成するという。前世代と比較して、解像度が12倍、検知範囲が3倍、視野角は2.5倍になり、最大時速130kmの速度での高速道路においても、緊急事態を完全に自律的に管理できるとしている。*ご参考 https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H30FY/000704.pdf *2 ある系が応力や環境の変化といった外乱の影響によって変化することを阻止する内的な仕組み・性質のこと。

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AOSデータ社、iCraft法律事務所 内田 誠氏を講師に迎え、第23回オンラインセミナー 《システム開発契約のリスクを解決する3つのポイントと電子契約マネジメント》 を配信

2021年11月26日AOSデータ株式会社 AOSデータ社、iCraft法律事務所 内田 誠氏を講師に迎え、第23回オンラインセミナー《システム開発契約のリスクを解決する3つのポイントと電子契約マネジメント》 を配信 ク […]

収穫と同時にコメの味が分かる、クボタが描くスマート農業 他

11月25日 Kubota(株式会社クボタ)の創業は1890年。鋳物の製造と販売から会社を興した。創業以降131年間、水道用鉄管、農工用エンジン、工作用機械などのメーカーとして、近代国家の形成と戦後復興、高度経済成長を技術革新と製品追求で支えて来た。トラクタ全世界総生産数約480万台以上、国内高度浄水処理施設における処理装置の採用率は約80%、エンジン世界総生産台数は3,000万基、エンジンのラインナップは約2,000種類で、そのビジネスは世界120か国以上に広まる。2020年の12月期の売上は約1.9兆円。現在、千葉県北部に位置する香取郡神崎町(こうざきまち)では、農林水産省のスマート農業技術の開発・実証プロジェクトによる「神崎町スマート農業実証プロジェクト研究会」(生産者:農事組合法人神崎東部)を発足させている。関東最大ともいわれる酒蔵まつりで有名な「発酵の里こうざき」では、平成4年に「低コスト化水田農業大区画ほ場整備事業」が採択・着工され、平成12年に竣工、大規模ほ場を整備している。同法人は平成24年2月に法人化され、社員6名、臨時雇用4名、平均年齢51歳で構成された。現在、農地中間管理事業により、69haの面積を集積、全体の耕地面積83haで設立当初より転換畑として水田をフル活用、コメ・麦・大豆の二毛作のブロックローテーションに取組み、作業の分散化を図り、経営の安定化を目指している。農水省の上記プロジェクトでの課題名は「千葉県香取地域における大規模水田輪作体系のスマート農業実証」だ。目標はコメ生産コストを(農)神崎東部平均(1万879円/60kg)から約1割の削減(9,600円/60kg)の実証だ。具体的には、水稲の収量向上(農)神崎東部平均515kg/10a→563kg/10a、各データの集積、分析を行い、気象や育成に合った適期管理を実施、同時に作業時間の削減、水稲・麦・大豆を合わせた総労働時間を9%削減する(1,350時間)としている。研究会には、同法人及び神崎町役場、香取農業事務所、農研機構、JAかとり、JA全農ちば、県立下総高等学校、NPO法人ちば農業支援ネットワーク、一社)全国農業改良普及支援協会、㈱クボタ、クボタアグリサービス㈱、㈱関東甲信クボタなどが参画する。クボタはこの神崎町東部のほ場に、最新の「農機×ICT」を投入し超省力・大規模生産の実現を試みている。背景には、国内の就農者の高齢化(平均年齢およそ67歳)や、販売農家の減少(2000年:230万戸→2015年:130万戸、今後10年で半減する見通し)や、これらに伴い離農農家から委託される農地や休耕地解消問題のため、若い担い手や営農集団の占める農地の割合は大きく増加している事実がある。㈱クボタは、大規模で点在するほ場の適切な管理や、収量、品質の向上、コストと労働負荷の低減、生産品の高付加価値化など、多様な課題を抱える農業従事者の支援に取組んでいる。各自治体で導入の進むMaaSや自動運転等への対応に追われる公共交通事業者とならび、農業従事者も、まさに今「100年に一度の変革期」に直面しているということが出来る。130年以上、食料や水、環境の分野において事業を通じ、社会課題の解決に向き合ってきた老舗企業は、この世界的・時代的な課題を敏感に察知し、解決に向けて既に邁進しているようだ。

なんば駅前を“歩行者天国”にする社会実験開始 荷物運搬への影響や歩行者空間を検証 他

11月24日 大阪・ミナミのなんば駅周辺で11/23(火・祝)~12/2(木)まで「道路空間再編(歩行者空間拡大)の社会実験」が行われる。大阪市建設局は南海電鉄のなんば駅と高島屋大阪店の周辺道路において交通荷捌きの運用や安全性、歩行者空間の利活用の検証を行う。実験期間中、周辺道路は主に①乗用車24時間通行止め、貨物車両は時間により通行止めの区画や、②交通荷捌きやバス・タクシー乗場などの検証を行う区画に分けられ、歩行者天国、タクシープールの移設などが行われる。交通規制と・荷捌きについては、該当エリアを駅前広場と③なんさん通り(北)、④なんさん通り(南)に区分、駅前広場は24時間歩行者天国となり、③は午前1~9時のみ貨物車両が通行可能となり、以降は歩行者天国となる(一部許可車両のみ通行可能)。④は24時間貨物車両通行可能、24時間歩車分離だ。大阪市は、なんば広場を大阪のおもてなし玄関口と位置付け、世界をひきつける観光拠点づくりを目指し、大阪万博も見据え、駅前広場を中心とする該当エリアを人中心の空間に再編し「世界的繁華街ミナミ」の新たなシンボル空間を生み出したいと意気込む。この事業は2017年3月に官民合同でとりまとめた「なんば駅周辺道路空間の再編に係る基本計画」に基づき、南海電鉄自身も、町会・商店会・企業27団体で構成する「なんば安全安心にぎわいのまちづくり協議会」に参画している。協議会は大阪ミナミの中心に位置するなんば駅前は多くの国内外の来街者の往来があるが、いままでは駅前空間の大半を車両が占め、東側のなんさん通りも歩道が狭く放置自転車が多いなどの課題があったとしており、環境を改善すべく結成され、まちづくり構想を策定した経緯がある。大都市のターミナル駅前での社会実験だけに関わる団体も多く、調整や実際のルール策定は一筋縄ではいかない。相当の労力が必要と思われるが、各団体が実験に協力的なのは、4年後に控える大阪万博にかける期待もあるからだろう。この社会実験には、2011年の協議会設立から民間サイドのコンサルタントとして有限会社ハートビートプランが携わっている。同社は「都市大阪創生研究会リバーカフェ」プロジェクトで「2003年関西まちづくり賞」を受賞したのを皮切りに、北浜テラス、高井田・住工共生のまちづくり、水都大阪プロジェクト、豊田市・豊田市駅西口ペデストリアンデッキ広場、岡崎乙川かわまちづくり、豊田市・新とよパーク、長門湯本温泉観光まちづくりプロジェクト、北条まちづくりプロジェクトなどで、様々な団体から受賞を重ねる「都市デザイン事務所」だ。「つくる側」となる行政や開発者が描いたビジョンやマスタープランによる事業実施から脱却し、事業実施後に実際に街を運営する「つかう側」のビジョンや社会実験の検証を奨め、官民のビジョンの共有や市民のニーズとの合致、事業継続に繋ぐ手法(同社のHPでは「プランニングの民主化」としている)が、すべての関係者から前述のような協力や評価を導き出すのかも知れない。「世界的繁華街ミナミ」の変貌を楽しみに待ちたい。

アップルが自動車開発を加速、完全自律運転モデル目指す-関係者

11月22日 東京都港区と群馬県高崎市、そして愛知県春日井市の「縁」といったら、読者の皆様は何を連想されるだろうか。戦前の1919年に新橋の帝国ホテルの設計施工のため、建築家フランク・ロイド・ライトの助手として来日したチェコ生まれのアントニン・レーモンドは、その後独立して築地の聖路加病院や東京女子大学礼拝堂など著名な建築物を残した。彼は国際情勢の悪化に伴い帰国するも、第二次大戦後の1947年にダム建設予定地調査のために再来日、パシフィックコンサルタンツを共同設立し、日本住宅公団のアドバイザーなども務めている。自宅は霊南坂(現・赤坂1丁目付近)、戦後は麻布笄町(こうがいちょう)4番地(現・西麻布3-3付近)にあり、そこに自邸と事務所を構えた。港区内にもアメリカ大使館公邸、カナダ大使館、聖心女学院初等科校舎、聖オルバン教会、カニングハム・メモリアル・ハウスなどの作品が残る。この事務所(「レーモンド設計事務所」)の若手設計者の中に、戦後の小規模木造住宅の基礎を築いたと言われる前川國男、吉村順三、ジョージ・ナカシマなどの建築家や、増沢洵や津端修一などが集い、師からモダニズムの理念を学んだという。麻布笄町にあったレーモンドの自宅兼事務所は、現在は移転して取り壊されてしまったが、高崎市にある群馬音楽センターの建築でも協力関係にあった高崎市の実業家井上房一郎(井上工業)は、自宅が火事で消失してしまった際、笄町にあったレーモンドの自邸を気に入り、これをコピーさせて欲しいとレーモンドに頼んだところ、レーモンドの快諾を受けこれを高崎市に建築したという経緯があり、現在高崎市にレーモンドの自邸の複製が残ることとなった。これが港区と高崎市の「縁」だ。また、1951年にレーモンド設計事務所に入所した津端修一は、その後、板倉準三の設計事務所を経て、1955年に日本住宅公団の発足とともに入社し、戦後の大規模ニュータウンの計画や設計を手がけ、中層集合住宅の基本設計や設計基準を作成、1961年に愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの計画・設計に携わった。津端はその後、広島大学、名城大学、三重大学などで教鞭を取った後、自らも高蔵寺ニュータウンに住まい、自給自足の生活を実践した。この時の自宅リビングは、あのレーモンドの自宅に倣ってデザインされている。津端の想いを綴ったドキュメンタリー映画『人生フルーツ』(制作:東海テレビ放送)は2017年に公開されている。これが、港区と春日井市の「縁」だ。現在、坂の多い港区ではグリーンスローモビリティを使った公共交通サービスの実証実験が、春日井市の高蔵寺では、高齢化率が高いニュータウンの自動運転実証実験を含めた交通整備が、高崎市内でも日立製作所が市内の在宅介護支援などの事業を手掛けるエムダブルエス日高(MWS日高)と共同で福祉・介護型MaaSの実証実験が行われている。これら1区2市は「MaaS」や「自動運転」という新たなトランスポーテーション・モダニズムという「縁」で繋がろうとしている。