自動運転「レベル4」実現へ 警察庁、許可制度を創設 他
12月23日 警視庁は12/23に、公共交通事業者が、乗客を運ぶ「自動運転サービス」において、自動運転「レベル4」で実施する場合、都道府県公安委員会で許可制とする方針を明らかにした。この発表は庁内の有識者検討会議により、12/23報告書としてまとめられた内容に基づく。続く道路交通法改正案は2022年の通常国会に提出される予定のようだ。「レベル4」による移動サービスが想定されるのは、公共交通の担い手不足や高齢化でサービスの維持が難しくなって来ている地域だ。鉄道の廃線跡、過疎地での地域巡回バスなどだ。レベル4は、レベル3(特定条件下で自動運転、継続困難な場合はドライバーに運転を引き継ぐ)と異なり、システムによる運転継続が困難となる場合(天候の悪化、緊急車両の接近時の一連の退避動作など)でも、自動運転システムが車を安全に停止させることが求められる(参考YouTube「Car Watch Channel」:https://youtu.be/TzHfJ-yDz0c)。警視庁の「令和3年度 自動運転御実現に向けた調査研究について」によると、官民ITS構想・ロードマップ(2020.7.17 ITS総合戦略本部)では、2022年度頃、限定地域での遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスの実現と、2025年を目途に限定地域での同サービスの全国普及が目標とされている。このための実行計画(2020.12.1 成長戦略会議)では、1人の遠隔監視者が3台以上の車両を同時に走行させる形態(参考:YouTube「毎日新聞」https://youtu.be/1oR2z_usvuQ)を可能とするため、引き続き技術開発・実証を行うとともに、必要な制度整備についての検討を加速するとされている。令和2年度調査検討委員会における検討結果の概要を拝見すると、①レベル4の自動運転に関する交通ルールの履行の在り方、②自動運転システムが故障等により作動継続困難となった時の在り方、③自動運行に関与する者の在り方、④運行主体の適格性の審査等の在り方について検討され、①では主に自動運転車の運行を支配し、管理するものに対し、不適格な自動運転システムを使用しない義務、技術開発の状況や交通環境が個別のケースによって異なることを踏まえ、ルールを柔軟に定める、②では、交差点等の駐停車禁止場所で作動継続困難となった場合には、自動運転システムの性能に応じて、安全な場所に停車するために必要な限度で走行の継続を許容、③では、個別のケース毎の技術開発の状況や交通環境等によって関与者の役割は異なり得るため、道路交通法上、関与者に一律の義務を負わせることとする必要はなく、存在を一律に定める必要もない、安全確認や運転操作は基本的に自動運転システムが行うため、関与者は運転免許を受けている必要はない、④では個別のケースごとに異なる技術開発の状況、交通環境、地域との連携、関与者の役割等を組み合わせて従来と同等以上の道路交通の安全と円滑を図ることを目的として、運行主体の適格性について事前に審査し、適格性に問題が生じた場合に排除するための枠組みが必要。また、自動運転による新たな安全リスク等を踏まえ、地域の理解と協力を得ておくことが不可欠となっている。この適格性の審査については、前述の通り都道府県公安委員会で許可制とした。警察庁の今回の発表は、自動運転レベル4における技術的要件、システムによる運転継続が困難となる場合、自動運転システムが車を安全に停止させることや、1人の遠隔監視者が3台以上の車両を同時に走行させる(遠隔運行監視)形態という技術的な土台の上に、許可制度などを整備し、道路交通法の詳細ルールを定めることで、自動運転「レベル4」の実用化を加速させることとなった。来年行われる道路交通法改正案が無事に通常国会で成立し、全国に「自動運転サービス」の恩恵が広まることを期待したい。
