「5G」などの環境整備 ロードマップ策定へ 経産省 他
1月11日 経済産業省は1/6に岸田首相が提唱する「デジタル田園都市国家構想」(IT×地方創生による国家成長戦略)*の実現に向け、高速・大容量の通信規格「5G」などの環境整備について中長期的なロードマップを作成するとして有識者会議を開いた。会議に参加した萩生田経済産業大臣は、日本のデジタル化の遅れを直視し、日本全体に「5G・次世代の通信規格」「再生エネルギーを有効活用した送電網」「自動運転・自動配送のための物流インフラ」実現のための環境整備、即ち大規模なデジタル改革の必要性を説いた。同省の経済産業政策局・商務情報政策局の「事務局説明資料(デジタル社会の実現について)」という資料に、この構想の背景がまとめられている。最も危惧されているのは「失われた30年」、デジタル化の遅れによる産業全体の国際競争力の低下である。自動車産業による「一本足打法」で経済が回る中、渦中となる自動車業界はCASEによる変革の波を受け、産業の土台が揺らいでいると分析している。また、経済成長のドライバーとなる筈のデジタル投資は、この30年間長期的に低迷した経緯がある。資料では更に付加価値を生み出すビジネス変革を実現する中小企業における「本物のDX」が必要としている。その他にもデジタル人材の不足や、デジタル敗戦、それらに加え、国を取り巻くデジタル社会の環境もデータの爆発的増加により大きく変化している。地方においてSociety5.0のサービス実装には、データセンタの地方立地が必要としている。理由は、今後10年でインターネット上のデータ流通量は30倍以上となることが見込まれ、自動運転・ドローンの飛行などでは0.01秒以内の処理が求められるものの、地方で発生したデータの処理をデータセンターの集中する東京や大阪近辺で行った場合、0.05秒程度の遅延が発生することなどが上げられている。また、コロナ禍において行政サービスを中心に多くの課題や教訓が明らかになったと認めている。今後は国と地方(自治体)のシステムの不整合やオンライン手続きの不具合等にメスが入ることになる。またこれら全体を動かす産業用の電力コストの抑制や、カーボンフリーエネルギーの調達などが今後の競争力を左右する鍵としている。発表はこれらの課題を段階的に解決していくため、①政府全体(省庁の壁を越え)で、地域におけるデジタルの利活用とデジタルインフラの整備、②再エネ供給を最適化するエネルギーインフラや交通・物流インフラのデジタル化、③それらを制御するプラットフォーム整備も含めた全体像について、技術の現在地と進展速度も見据えた統合的計画として「デジタル日本改造ロードマップ」作成に着手した、ということを「デジタル田園都市国家構想」と表現している。「大改革」は民間の意識改革も含め、スピード勝負となるに違いない。*参考 https://stageweb.fss.jp/garden-city-state-concept/
