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「5G」などの環境整備 ロードマップ策定へ 経産省 他

1月11日 経済産業省は1/6に岸田首相が提唱する「デジタル田園都市国家構想」(IT×地方創生による国家成長戦略)*の実現に向け、高速・大容量の通信規格「5G」などの環境整備について中長期的なロードマップを作成するとして有識者会議を開いた。会議に参加した萩生田経済産業大臣は、日本のデジタル化の遅れを直視し、日本全体に「5G・次世代の通信規格」「再生エネルギーを有効活用した送電網」「自動運転・自動配送のための物流インフラ」実現のための環境整備、即ち大規模なデジタル改革の必要性を説いた。同省の経済産業政策局・商務情報政策局の「事務局説明資料(デジタル社会の実現について)」という資料に、この構想の背景がまとめられている。最も危惧されているのは「失われた30年」、デジタル化の遅れによる産業全体の国際競争力の低下である。自動車産業による「一本足打法」で経済が回る中、渦中となる自動車業界はCASEによる変革の波を受け、産業の土台が揺らいでいると分析している。また、経済成長のドライバーとなる筈のデジタル投資は、この30年間長期的に低迷した経緯がある。資料では更に付加価値を生み出すビジネス変革を実現する中小企業における「本物のDX」が必要としている。その他にもデジタル人材の不足や、デジタル敗戦、それらに加え、国を取り巻くデジタル社会の環境もデータの爆発的増加により大きく変化している。地方においてSociety5.0のサービス実装には、データセンタの地方立地が必要としている。理由は、今後10年でインターネット上のデータ流通量は30倍以上となることが見込まれ、自動運転・ドローンの飛行などでは0.01秒以内の処理が求められるものの、地方で発生したデータの処理をデータセンターの集中する東京や大阪近辺で行った場合、0.05秒程度の遅延が発生することなどが上げられている。また、コロナ禍において行政サービスを中心に多くの課題や教訓が明らかになったと認めている。今後は国と地方(自治体)のシステムの不整合やオンライン手続きの不具合等にメスが入ることになる。またこれら全体を動かす産業用の電力コストの抑制や、カーボンフリーエネルギーの調達などが今後の競争力を左右する鍵としている。発表はこれらの課題を段階的に解決していくため、①政府全体(省庁の壁を越え)で、地域におけるデジタルの利活用とデジタルインフラの整備、②再エネ供給を最適化するエネルギーインフラや交通・物流インフラのデジタル化、③それらを制御するプラットフォーム整備も含めた全体像について、技術の現在地と進展速度も見据えた統合的計画として「デジタル日本改造ロードマップ」作成に着手した、ということを「デジタル田園都市国家構想」と表現している。「大改革」は民間の意識改革も含め、スピード勝負となるに違いない。*参考 https://stageweb.fss.jp/garden-city-state-concept/

クルマの自動運転技術を応用。視覚障害者をナビするAIウェアラブル・デバイス「biped」 #CES2022 他

1月10日 観光庁の令和2年度3次補正予算事業に「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」がある。地域等が作成した「観光拠点再生計画」に基づいて、全国100箇所を目安に観光拠点を再生、地域全体で(地域観光の)魅力と収益を高める事業について、短期集中で支援を行うものだ。メニューには大きく3つに区分され、自治体・DMO(観光地域マーケティング・マネジメント)型、事業者連携型、交通連携型に分かれる。このうち交通連携型は、観光拠点の再生に向け観光分野の事業者と交通事業者が連携し、交通を軸とした観光における地域への誘客促進・付加価値向上を目指す取り組みを支援する事業だ。補助の対象は交通事業者など、公募期間は昨年6/18-9/17までで、既に終了している。事業者は事業計画・資金計画を作成し、国土交通省により目標や実現性、資金調達の具体性などの確認や査定を受けた後、同署による確認・査定結果の通知を受け事業者が交付申請し、令和4年2月末までに事業を完了するものとしている。昨年末から、岐阜県の下呂温泉を中心とし、各地を結ぶシャトルバスや高速バスの運行開始が続いている。南飛騨観光バス、岐阜乗合自動車(岐阜バス)、濃飛乗合自動車(濃飛バス)、白鳥交通(郡上市)などが、そのプレイヤーだ。ポストコロナを見据えた新たな需要の掘り起こしやニーズの調査、下呂温泉の誘客促進を目的として濃飛バス(高山市)は、昨年末12/26~2/13まで、毎日上下2便ずつを設定し、下呂温泉と岐阜駅(名鉄岐阜バスターミナル)間に「下呂~岐阜線」の実証を開始、岐阜バス(岐阜市)と共同運行を実施している(*岐阜バスの直行バスの名称は「岐阜下呂線」)。大人は片道2,000円(小人半額)だ。予約は各社の予約センターか、ハイウェイバスドットコム(https://www.highwaybus.com/gp/reservation/rsvPlanList?lineId=674)で行う。郡上市の白鳥交通は、昨年11/5~2/27まで、郡上(美濃白鳥駅)~下呂(JR下呂駅)間に、無料シャトルバスを運行している。途中、郡上八幡駅を経由させる。便数は一日2往復、予約は不要だが、各回27名までが定員となる。なお運行日については、https://www.shirotori-kotsu.com/郡上-下呂無料シャトルバス/ のカレンダーで確認が必要だ。南飛騨観光バス(下呂市)では、昨年11/22-2/20まで「GEROぐるライナー」を名古屋駅(名古屋駅西口Bバース)から、中津川(中津川市にぎわい広場)経由で下呂温泉(JR下呂駅前)まで毎日運行している。利用者全員に下呂温泉合掌村10%OFF特別割引券が進呈される。運賃は名古屋発が片道3,000円/中津川発が片道2,500円、往復の場合は名古屋駅発が5,000円、中津川発が4,000円(小人半額)となる。予約は、前日まで同社 Tel:0576-26-1005 まで。なお、下呂温泉の公式サイトでは、下呂温泉直行バス(下呂~名古屋)が紹介されている(*上記の事業外)。予約制(乗車の2ヶ月前より受付)だが毎日運行だ。運賃は往復3,700円(片道のみ:2,800円/おとな・こども(3歳以上)共・税込)となる。募集人数は45名、最小催行人数は2名、利用対象者は下呂温泉旅館協同組合加盟旅館の宿泊者となる。予約は(https://secure-site.in/ASP/gero/)から行う。一社)下呂温泉観光協会が主催する、下呂温泉郷公式アプリ(「ご当地なび」アプリ)をダウンロードして、下呂温泉QRコード(https://gero.ooedoonsen.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/43326/img2.jpg)を読み取り、下呂温泉郷の会員証を取得すると、毎月開催されているスタンプラリーに参加できる。ラリー参加者には毎月抽選でポイントがプレゼントされ、加盟店で会員証を提示して買い物をするとさらにスタンプ1つ(500円分ポイント/毎月10名、1ヶ月5,000円以上のお買い物をすると、毎月1名5,000円分のポイントがプレゼントされる)が貰える。下呂温泉では「下呂温泉花火物語」が、1月の毎週土曜日、2月~3月の毎週土日(2/11、3/21を含む)に開催される。お出かけになる方は、新型コロナウイルス感染症オミクロン株の感染防止対策(マスク着用、手指消毒など)にご協力いただき、湯めぐりもイベントもお楽しみ下さい。

自動運転車両、実証実験中の事故は全国で14件 警察庁 他

1月7日 茨城県、つくば市と大手電機、公共交通、地銀、筑波大学、CYBERDYNE、産総研などの研究機関、茨城県科学技術振興財団、大手通信、IT、大手損保、日本政策投資銀行、大手製薬会社、自動車メーカー、大手物流会社など、一自治体としては些か豪華な布陣とも言えるつくばスマートシティ協議会が、1/17(月)~2/14(木)まで(*日・祝はお休み)、市民の通院を含めた移動の利便性向上を目的として「つくば医療MaaS」(AI乗合いタクシー)の実証実験を始めると発表した。市内の各所から、医療機関6ヶ所への移動を担う。対象エリア(つくばスーパーサイエンスシティ構想の対象エリア)に居住し、参加登録した市民は無料で利用できる。目的地となる医療機関は、筑波大付属病院、筑波学園病院、筑波メディカルセンター病院、つくば総合健診センター、筑波記念病院、筑波総合クリニックだ。今回の実証では、ルート最適化AIを活用したタクシー2台を巡回させ、利用者の送迎を行う。利用の際は「App Store」か「Google Play」から、「つくばスマート医療送迎アプリ」をダウンロードし、アプリ上で初回登録を行う。タクシー利用時には、同アプリで乗車予約し、目印のステッカーが添付された車両に乗車、乗合となる場合(他に利用者がいる場合)、目的地までは各お迎え地点を経由しながら移動する。降車後にアンケートに協力する。本実証実験は、国土交通省 令和3年度スマートシティモデルプロジェクトに選定されている。*詳しくは、つくば市の実証実験案内チラシ(*URL:記事ページに掲載)。茨城県では、赤字ローカル線の廃線跡の移動を活性化させる、ひたち圏域MaaS(ひたち圏域新モビリティー協議会)や、国内有数の湖沼、霞ケ浦や筑波山の周辺の周遊を観光やスポーツ的な要素も織り交ぜながら活性化させる観光MaaS、「つちうらMaaS(土浦市新モビリティサービス)推進協議会」なども立ち上がっており、県内各地でMaaSへの取り組みが盛んに行われている。今後の進展に注目して行きたい。

選手村の自動運転事故、バス操作のトヨタ社員を書類送検へ…回避義務あったと判断 他

1月6日 警視庁は昨年8月に東京オリンピック・パラリンピックの選手村で、トヨタの「e-Palette」が視覚障害のある選手に接触した件で、車両を操作していたトヨタ社員を自動車運転処罰法違反の疑いで、近く書類送検する方針を固めた。接触事故の当時「e-Palette」には「レベル4」相当の機能が搭載されていたが、実際の運行は「レベル2」で行われていた。現在、車両が「レベル2」で運行する場合、運行の責任主体はドライバーと定められている。事故当時、車両がT字路に右折進入する際「e-Palette」は交差点内の人を感知し、一旦停止した。その後オペレーター(前述の社員)は、車両周囲の安全を確認した上で車両を発進させ、交差点周辺状況を確認し、手動で減速を始めた。その際、さらに道路を横断してきた視覚障害のある歩行者(選手)を、センサーが再び検知して、自動ブレーキが作動、重ねてオペレーターも緊急ブレーキを作動させたが、車両停止前に歩行者と接触が起きている。車両周辺の状況は、信号機のない交差点内に二人の誘導員が配置されていたが、複数方向からの歩行者、車両の動向を確認出来なかったとのことだ。これに加えて、誘導員と車上オペレーターの連携も十分でなかった点も指摘されたようだ。あらためて、今回の接触事故を見直してみると「e-Palette」のセンサー類は正常に動作している様子が伺える一方、運行に携わる「ヒューマンエラー」が大きな要因となっていることが浮き彫りとなる。自動運転車両の社会実装が進んだ段階では、今回のように自動運転車以外の要因で発生する事故が増えるであろうことは容易に予想できる。今回の事故は数多ある事故の一例とも言える。本件については、予め人間の確認不足や同時処理能力の限界を織り込んだ、車両周辺の警戒システムの進化につながることを期待したい。今回の事故でもう一つ注目したい点は、視覚障害者であった選手が事故に遭っている点だ。オリンピック選手村や高速道路区間、工場の敷地など、限定された空間における自動運転車両の運用は(そのまま限定空間で利用される場合もあるが)、社会実装までの過渡期の運用に過ぎない。完全な社会実装に至るまでのロードマップを進めば進むほど、混在空間での運用は増える。自動運転車両を公共交通機関の一角として据えることを目的とする以上、システム開発や実証実験の段階から、常に社会の多様性を考慮したソフト・ハード設計が大前提とならなければならない。今後は、開発初期段階から、最終的な完成品の利用段階に至るまで、自動運転に関わる一人一人に、広く自動運転(車)の特性を啓蒙していく必要がある。警察や教習所、メーカーの社員教育機関、学校、自治体や安全関係の団体などの一層の連携や、安全教育メニューの進化・充実が期待される。彼らに必要となるのは、運輸安全委員会をはじめ、警察機関や保険会社などが持つ、自動運転関係を含む膨大な事故データだ。可能な限り自動運転に関する事故の低減を図るため、各所のデータを連携させ・活用できるプラットフォーム化が急がれることになるのではないか。

トヨタが自動運転対応の車載OS「プラットフォーム化」を検討 他

1月5日 ソニーグループ株式会社は、1/5に米国のラスベガスで開催された「CES 2022」にて、再び「VISION-S」を発表し、試作モデルとなる2モデルを展示した。発表されたのは既報のVISION-S 01(以下、01)と呼ばれるクーペと、VISION-S 02と呼ばれるSUVだ。同車は2020年1月のCESで初公開され、車上における新たなエンタテインメント、AIや通信、クラウドを活用した車載ソフトウェア制御、イメージ・センシングなどの技術の表現媒体として位置付けられ、展示されていた。その後、オーストリアのグラーツ(試作車の製作を担ったマグナ・シュタイア社の拠点が存在する)や東京などで開発が進められていたものだ。2020年12月からは、欧州で公道走行テストを開始、2021年4月からは5G走行試験などを行ってきた。同社のWebサイト(https://www.sony.com/ja/SonyInfo/vision-s/news.html#entry13)に拠ると、VISION-S 02(以下、02)のコンセプトムービーが視聴できる。02は、プロトタイプとなる01と共通のEV/クラウドプラットフォームを採用した7人乗りのSUVであることが分かっている。VISION-Sは、CMOSイメージセンサーやLiDARなどを搭載するとともに、緊急車両の走行など周辺環境の把握・判断を助ける車内の音響システムやHMIシステムと連動したドライバーインタラクションを持つ。またADAS(運転支援機能)Level2+の検証を欧州で行っているようだ。車内では、ToF方式の距離画像センサーを用いてドライバー認証や同乗者のモニタリングを提供するとともに、ジェスチャーコマンドや音声コマンド技術で「直感的なクルマのインターフェイス」の開発も続ける。また、車両のコクピット・パネル(パノラミックスクリーン)などにおいては、ディスプレイテーマや加減速音の設定機能を付加するなど、テクノロジーを咀嚼し「ソニーらしさ」を織り込むことも忘れない様だ。コネクティビティの面では、5Gを含むモバイル通信で車両とグラウ度を連携、車両設定、キー施錠、ユーザー設定などが同期され、アップデートはOTAで反映させ、セキュリティやサービス機能などを継続して提供して行く、としている。また、同グループとVordafone Germanyは、5G環境下における「リモート運転」の開発をドイツのアルデンホーフェン(ドイツのFEV*のテストコースがある)で実施してきた。東京と同地をVISION-Sのテレマティクスシステムを用いて、映像・制御信号を伝送、車両の操作に成功している。(https://www.sony.com/ja/SonyInfo/vision-s/news.html#entry15)また、車両には立体的な音場を実現するシートスピーカーが搭載され、「360 Reality Audio」に対応したストリーミングサービスなども楽しめるようだ。同社は今回のCESにおいて、2020年春に新事業会社「ソニーモビリティ株式会社」を設立し、「VISION-S」のEV市場投入を本格的に検討して行くとしている。新会社では、AI・ロボティクス技術を活用し、人とロボットの共生や社会貢献を目指すとしている。「VISION-S」には、今まで同社の培ってきた様々な技術と、市場の期待、ソニーを愛する人々の夢が詰まっている。SONYの進む「新たなフェーズ」に期待したい。*FEV(独)は、エンジンの設計・開発、従来型、電気式及びそれに代わる自動車運転方式の設計と開発、エネルギー技術などのサプライヤ。自動車メーカーに試験設備や計測装置などの提供も行う。1978年、アーヘン工科大学応用熱力学研究所所長を務めたフランツ・ピッシンガー教授の非公開会社として設立されている。

米中独、自動運転「レベル4」後押し 公道試験や法整備 他

1月4日 昨年度、自動運転「レベル3」で高速道路を走行するホンダレジェンドの、試験的とは言え、一般消費者へのリース販売を経て、今年度から業界が挑むステージは、いよいよ自動運転「レベル4」ということになった。国土交通省自動車局が発表した「自動運転車の安全技術ガイドライン」(平成30年9月)によれば、レベル4の定義概要は「システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を限定領域において実行」とあり、安全運転に係る監視、対応主体においては、レベル3の場合の「システム(作動継続が困難な場合は運転者)」と大きく異なり、レベル4においては、シンプルに「システム」とされている。世界に目を向けると、物流トラック(FedEx、Aurora・Paccar、ダラス-ヒューストン間、試験プログラム)やレベル4による自動運転は、走行地域こそ限定されるものの営業走行(サービスカー)に向けた動きは、既に米国(Cruise・Waymo、カリフォルニア州自動車局、有償自動運転サービス認可*)や中国(百度、北京、ライドシェア)などで始まっている。*カリフォルニア州で有償ロボタクシーサービスを行うには、この後、更に公益事業委員会の許可が必要となる。国内においては、2021年2月に新東名高速道路において、後続車無人隊列走行技術が実現されている(車速80km/h、車間距離:9m)。「高速道路における隊列走行を含む高性能トラックの実用化に向けた取組」では、2025年以降に高速道路でのレベル4自動運転トラックやそれを活用した隊列走行を実現し、次段階として「混在空間でレベル4を展開するためのインフラ協調や車車間・歩車間連携などの取組」が、2025年頃までに協調型システムにより、様々な地域の混在交通下において、レベル4自動運転サービスを展開する。「レベル4」におけるサービスカーの現状はどうかというと、2022年度(本年度)を目途に限定エリア・車両での遠隔監視のみ(レベル4)で自動運転サービスを実現しようとしている(福井県吉田郡永平寺町、ラストマイル、レベル3:2021年3月認可)。この次段階として、対象エリアや車両が拡大され、事業性を向上するための取り組みがなされ、2025年度まで多様なエリアで、多様な車両を用いたレベル4無人運転サービスを40カ所以上実現する、としている(経産省「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」)。様々な資料の情報の軸が一様ではないので、整合性が取れた情報とは言い難い部分もあるが、おおよそ2025年頃、国内においてもMade in Japanで、高速道路や廃線跡、といった限定空間から離れ、移動サービスの提供が可能な水準にある「レベル4」が社会実装されそうだ。報道される「自動運転技術」の周辺において、同時に進展が求められるニッチな分野が幾つかある。評価面では、AIが運転する自動車の安全規格や、評価・認証方法、製造面では、AIが運転する自動車を評価するために必要な、製造データの収集方法、保険においてはAIが運転する自動車が事故を起こした場合の補償の方法などの進化などが待たれる。公的機関による事故調査や保険調査などの面では、近年、事実究明のため「フォレンジック」技術が用いられる場面(参考:https://www.fss.jp/case_ncs/)も増えている。これらの分野に基づくサービスも「レベル4」の社会実装により、需要は高まって行くものと思われる。

最先端を行く伊那市のDX、Maasで診察する「モバイルクリニック」 他

12月28日 長野県伊那市で進むデジタルトランスフォーメーション(DX)の主な取組みには、「モバイルクリニック」「ぐるっとタクシー」「ゆうあいマーケット」がある。このうち「モバイルクリニック」は、移動する診療室として、遠隔診療と服薬指導などを、自宅付近まで移動して来る診療車に同乗する看護師のサポートで、移動が困難な高齢者などが安心して医療を受けられる仕組みだ。日本のMaaS実証実験期の比較的早い時期から行われたため、先進事例としてメディアにも頻繁に取り挙げられている事例だ。異なる組織である自治体と医療が、鉄道で言うところの上下分離方式(インフラは自治体持ち、モビリティ運行は公共交通事業者が担う方式)により進められており、伊那市はモバイルクリニックを運営し、医療機関が実際の在宅医療部分を担う。医師は保険診療と、自由診療(自費診療)を問わず、自由に活用できる。モビリティ運行部分に関しては、自治体予算でバス事業者に委託して運行する。サービス内容は、看護師による医師と患者双方のスケジュール予約、サービスの核である「Zoomを用いたオンライン診療」、車載される診察機器(血圧計、パルスオキシメーター、血糖値計、心電図モニター、AEDなど)の利用、医療・健康情報共有クラウドシステムの利用などだ。最近では、検体検査なども採用されていると聞く。クラウドシステムは、車内PCで患者のカルテの共有(医師や看護師、薬剤師などが利用)、受信履歴の入力や管理が出来る(IIJ電子@連絡帳サービス)。この仕組みは厚労省や総務省、経産省などの「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(厚労省)や「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」(経済産業省・総務省)に準拠している。同事業は実証で終わらず、今後も範囲を拡大しながら継続して市民に提供される。新たな取り組みで特筆すべきは、看護師の他、介護を必要とする患者のため、ケアマネージャーの同乗が追加されたことだ。「ぐるっとタクシー」は、この10月から同市の竜東・美篶・手良地区及び高遠町地区で運行する、AIで配車手配を行う乗り合いタクシー事業だ。65歳以上の方、運転免許返納者、障害者手帳所持者、特定医療費(指定難病)受給者証をお持ちの方、持病により運転が出来ないなど、移動が困難な事情がある方が対象で、利用するには同乗者も含め、事前に登録が必要となる。利用料金は今のところ現金払いとなる。「ゆうあいマーケット」は、中山間地域(対象は長谷地域の非持・溝口・黒河内・中尾の4地区)の移動困難者のいわゆる買い物弱者の支援サービスとして、伊那ケーブルテレビの「ライフ・サポート・チャンネル」で、利用者が注文した商品をドローンによる空輸(配送)で近隣の公民館まで届ける。慣れ親しんだテレビリモコンを使い、日用品などを注文できるので、高齢者にも使いやすいサービスだ。サービスは今年の8月から本格運用されている。こちらの利用料金は、テレビ受信料とサービス料金を口座振替する方式だ。伊那市の医療を基軸としたMaaSは、地域交通の運転手を地域訪問医療車両の運転手に転換、新たに雇用を生み出し、全国の公共交通事業者に新たな収入の道を提供している。また、同市は従来クリニックに所属する看護師を、専任看護師として採用することも検討している。また、新たなケアマネージャーの活躍の場も創出している。全国の自治体には伊那市のDXが生む医療効果だけでなく、同時に創出される「雇用」にも目を向けていただきたい。伊那市には、今後とも事業継続に頭を悩ませるMaaS事業者を意識し、情報発信していただくことをお願いしたい。以下はご参考まで。AOSデータでは AOS iDX.jp(https://www.aosidx.jp/)において、医療DXを進める医療従事者、医療機関システム関係者、外部の行政・医療提携機関に必要とされる「紙のデジタル化」「異なる組織における業務データの共有・保管」「病院のバックオフィスデータ共有・管理の効率化」を支援する「AOS MedDX」というソリューションを提供している。

実はテスラより上!? 国産メーカーの自動運転 どう違う? 「運転手主体」の裏にある安全と哲学

12月27日 カーナビやドライブレコーダー、カーオーディオのメーカーであるデンソーテン(旧:富士通テン)は、新領域として人・クルマなどモビリティのデータを集約・活用し、移動におけるお困りごとを解決する「モビリティソリューションパートナー」を謳い、将来のモビリティ社会に必要不可欠な製品や・サービス提供の道を模索している。これまで培った車載機器を通じた「車の価値向上」に加え、移動課題の解決を通じて人々の生活を豊かにする「生活の価値向上」に貢献すべく、MaaS事業化に向け、機能開発やブラッシュアップに取り組む。デンソーテンは、地域の交通事業者と連携し、バス事業者向けの顔認証技術を活用した属性別の乗降分析・マスク着用啓蒙、車内混雑の見える化に取り組む。また、最近よくメディアで聞かれる「観光MaaS」分野においても、レンタカー事業者と連携し、レンタカーの無人受付化と交通事故低減を目指した実証実験を行っている。レンタカーの予約者にスマホを活用した顔認証技術による受付および、車両の解錠・施錠、ドライブレコーダーを活用し、運転マナー動画の配布、走行中の安全運転支援のための音声ガイダンス、旅行者の行動分析、危険運転多発エリア抽出、渋滞分析、訪問先分析なども行っている。その他の地域では、ドライブレコーダーを高齢者に貸与して、安全運転の支援システムを提供しつつ、運転する車の挙動レポートを提示し、免許返納をするか否かの判断に役立ててもらうなどの取り組みも検討している。そのような流れの中で、同社は今本社のある 神戸市兵庫区にあるヴィッセル神戸の拠点ノエビアスタジアム神戸近辺で「地域活性化MaaS」に取り組む。同スタジアムはこれまで多くの大規模イベントやJリーグの試合を開催してきたが、イベント修了時に観客が帰路につく際など、周辺の交通網に一時的に大規模な混雑を引き起こすことが課題となっている。この課題に対して同社と神戸大学、楽天モバイルが連携、MaaSアプリを利用し、ポイント付与に拠る「混雑緩和・移動需要の平準化」を試みている。帰宅者の「時間」と「場所」を分散させ、混雑の緩和を促しつつ、地元経済の活性化も図る試みだ。同社はこの試みを「困ってMaaS」と命名、スマホアプリをして、利用者への提供を始めた。アプリでは移動需要の平準化を目的とし、①付近の交通状況を可視化し、②クーポンによる施設内・周辺店舗への誘導、③効率的な移動手段の提供機能を用意した。スタジアムではユーザーに分散退場を促すとともに周辺交通の混雑情報を配信、予測待ち時間なども提供、ユーザに待機を促す。また会場敷地内では、スマホを利用し映像で混雑状況を確認できる仕組みも用意した。試合終了後、利用者は指定エリアに待機することでポイントが付与される。待機時間が長ければその分、余計にポイントが付与され、貯まったポイントは施設内や周辺の飲食店でクーポンとして利用してもらうことで、地元飲食店約150店舗の利用も促進する。効率的な移動の面では、従来会場周辺では、禁止されていたタクシー乗車をスタジアムから少し離れた場所に仮設したタクシー乗り場まで誘導するとともに、アプリ上での配車手配を可能にしている。周辺地域には赤外線センサーを設置し、人流データ(5分ごと通過人数の計測)を蓄積している。2020年後半から蓄積された本データを活用し、混雑状況のシミュレーションモデルを構築し試合当日の交通情報や観客数、勝敗などの情報を組合せリアルタイムで混雑状況を予測するなどしている。同社では2022年より「困ってMaaS」の実践投入し、2023年からは様々なイベントで「混雑する」地域に横展開を図るとしている。会場周辺に流れる「兵庫運河」はかつて船舶の航行に難のあった和田岬の水上迂回路として、また兵庫港周辺の経済活動を活性化させる目的で、1874年(明治7年)に神戸の商人、神田兵右衛門により計画され開削された。その恩恵で周辺は大正から昭和初期にかけ、一大商工業地域として栄えたという。現代の「運河」はアプリ上を流れるデータに姿を変えたが、再び神戸や各地の経済を繁栄させられるだろうか。成功を祈りたい。

自動運転レベル4、法制化で独に並ぶ 22年度にも実用化 他

12月24日 国土交通省は12/20に、無人航空機(ドローン、マルチコプター、ラジコン機など)の登録制度の創設(航空法の一部改正/令和2年6月24日 公布/令和4年6月20日 施行)に基づき、本制度の手続きの詳細を規定、事前登録の受付を開始した。所有者等の把握、危険性を有する期待の排除等を通じ、無人航空機の飛行の安全の更なる向上を図るとした。実際の義務化は、令和4年6月20日となる。手続きは、登録申請所有者が「対象となる100kg以上の機体」の機体情報(種類、製造者、形式、製造番号等)と所有者・使用者情報(氏名・名称、住所等)をオンライン(https://www.mlit.go.jp/koku/drone/)か郵送で、国土交通大臣宛に申請する。同省で申請内容をチェック後、登録申請所有者に「登録記号通知」が送られる。登録申請所有者は、登録記号を対象となる機体に表示(機体に直接記載または貼付け、登録記号を含む機体識別情報を発信(リモートID機能))するの3ステップとなる。新設されるのは①登録義務関係、②表示義務関係、③その他。本制度により無人航空機は、登録を受けなければ「航空の用」に供してはならないとされ、安全上問題のある無人航空機の登録は拒否され、また3年ごとの更新登録/変更届出/抹消登録が必要となる。不正が発覚した場合は、登録が取り消される。また、無人航空機は、登録記号の表示等の措置を講じなければ、同じく「航空の用」に供してはならないとされた。安全上問題がある機体や表示義務違反に対しては、国土交通大臣の是正命令が出される。同省が取りまとめた「令和3年度 無人航空機に係る事故トラブル等の一覧(国土交通省に報告のあったもの)」を見ると、令和3年に起きた事故は86件。飛行させたのは、個人を含め事業者、農業関連事業者、行政機関、研究機関など。事故の概要を見ると、インフラ点検、空撮、農薬散布、飛行訓練など、業務上と思われるシチュエーションが多い。特に電線、電話線、鉄塔などに接触したり、風でコントロールが出来なくなる、GPSなど通信の途絶などが目立つ。このような状況を鑑み、無人航空機メーカーも手を拱いているわけではない。無人航空機の内、ドローンについてとはなるが、事故を未然に防ぐため様々な警報や緊急時対策が施されている。操縦者にバッテリー残量を知らせる警告は、残量10%以下になると強制的に機体を着陸させる。ジオフェンスは、仮想的な境界線で囲まれた空域を逸脱しないための機能だ。フライト中、飛行制御装置が太陽光などで熱暴走するのを避けるため、警告を行う。GO HOME(ゴーホーム/自動帰還装置)機能は、記憶した離着陸点まで期待を誘導し、自動で着陸させ、モーターを停止させる。本機能は、まだ障害物回避を伴わない場合があるので注意が必要だ。障害物センサーは航路上の障害物との接触・衝突を避ける機能。GPSが届きにくい空間においても、安定した飛行を期待できる。電波障害などにより、機体との通信が途絶した際には、安全装置が働き、自動帰還モードか自動着陸モードに入る。また、飛行中、操作不能となる場合は緊急停止操作を行うが、その際でも機体の損傷を軽減させるため、パラシュートが装備されている機体もある。国交省では、現在、今後の無人航空機に関する制度の検討を行う上の参考として、無人航空機による事故等の情報提供を呼び掛けている。*弊社サービスの宣伝となり恐縮ですが、万が一、事故時の原因究明についてはドローンフォレンジック(https://www.fss.jp/drone/)と呼ばれる専門的な事故調査サービスがあります。あわせて、ご記憶いただければ幸いです。

「第14回 オートモーティブワールド」に車のAIシステム用シンセティックデータサービス、AIデータアノテーションサービス、自動車フォレジックを出展

2021年12月23日AOSデータ株式会社 「第14回 オートモーティブワールド」に車のAIシステム用シンセティックデータサービス、AIデータアノテーションサービス、自動車フォレジックを出展 クラウドデータ、システムデー […]