2020年1月10日 MaaSと密接にかかわる不動産業界の動向。三井不動産はMaaSグローバル社(フィンランド)と柏の葉(柏市)でWhimのサービスを開始した。住友不動産はオリンピック選手村として活用後に分譲される「HARUMI FLAG」にて、特定建築者11社(同社含む)と日立と連携、エネルギーマネジメントシステム(HARUMI AI-AEMS)を介し、電力需要の予測等に取り組む。東急不動産はMONET社など7社(同社含む)と東京都港区の竹芝エリアにおいて、通勤者、観光客を対象としたオンデマンドモビリティサービス(配車アプリ)、マルチモーダルサービスの実証実験を実施。米国では交通手段の最適化、土地や不動産の有効活用と合わせ、医療や福祉、介護問題までも視野に入れた街づくりが進行中だ。ここでも、各地の様々な都市問題(人口減少、少子高齢化、インフラの老朽化、災害など)に対する新たなソリューションが芽吹く土壌を醸成していただきたい。
業界人必見!CES 2020で発表された自動運転トピックス10選 他
2020年1月9日 米国ネバダ州ラスベガスにて1/7~1/10までCESが開催された。MaaS・CASEの日本勢の出展はTOYOTA、SONY、Panasonic、京セラ、パイオニアなど。出展企業の中にUCHIDAの名がある。国立障害者リハビリテーションセンターと炭素繊維強化プラスチックの試作開発製造会社(UCHIDA)と共同開発した、脊髄損傷者用二足歩行アシスト機器「C-FREX(シーフレックス)」を発表した。動力を使わずカーボンプレートの弾性を利用し、ばねの力で歩行をアシストする。現在は車椅子とCompatible、一体型を開発。同社は1968年に埼玉県入間郡にて設立、当初は2輪レースや車両のエアロパーツの開発・製造からスタートした。交通事故や転落などでケガをした脊髄障害者(国内10万人以上)の「歩きたい」思いを支えて前進する。
ソニー、自動運転車をCESで披露 20年度に公道実験 他
2020年1月8日 SONYは1/6にラスベガスで行った記者会見で、自動運転システムを搭載した試作車を発表し、高度な自動運転社会の実現への貢献と新たな感動体験をもたらすモビリティの世界を提示するとした。「Safety Cocoon(セーフティコクーン)」と呼ばれるセンシング技術や、モビリティにおける安心・安全、快適さやエンタテインメントなども追及する「VISION-S(ビジョン エス)」と呼ばれる取り組みを紹介した。モバイルから、モビリティへ。ウォークマン時代からの「人が移動するときに楽しめるツール」の延長線の方向は上々だ。
トヨタ、スマートシティー開発に参入、静岡の工場跡地に 他
2020年1月7日 トヨタ自動車は、CES2020において裾野市にあらゆるモノやサービスがつながる実証都市「コネクティッド・シティ(Woven Cityと命名)」のプロジェクトを発表した。今後、様々なパートナー企業や研究者と連携しながら建設を進めて行く。Woven City の参画企業募集ページのアイコンには、コミュニティ形成、パーソナルモビリティ―、MaaS、自動化、ロボット、スマートホーム、AI通信、多世代生活支援、自然の最適化と健康の促進(サスティナビリティ)、水素駆動インフラ(燃料電池発電など)、学術研究とインキュベーション、コラボレーション、スマートな建設と製造(モノづくり)などが並ぶ。自動織機から始まった会社は、クルマづくりを経てモビリティー・カンパニーへ移行、そのビジネスモデルを「コネクティッド・シティ」へと進めた。
2020年、トヨタは「自動運転レベル3」発売のホンダを静観する? 他
2020年1月8日 あけましておめでとうございます。本年も FSS.jp をよろしくお願い致します。東京オリンピック直前となる2020年夏にホンダから自動運転「レベル3」の車両が発売される。ユーザー視点から「レベル4」搭載車両への期待も膨らむ。レベル4では、限定された領域でシステムによる自動運転が可能となるが、安全面において社会から信頼を得るには興味の喚起だけでは足りない。公共・商用車両などで、その安全性や利便性、実用性が十分証明されてこそ社会からの信頼が醸成される。無題-レベル4(MADE in JAPAN)をはじめよう。
WHILL、国内外の5つの空港で自動運転パーソナルモビリティの実証実験を実施 他
2019年12月27日 WHILL株式会社(パーソナルモビリティ生産・販売)が12月までに国内外の5つの空港で「WHILL自動運転システム」の実証実験を実施した。同社の自動運転システム(自動運転システムを搭載する電動車いす)は歩道領域に特化されたものだ。同社は2018年9月に約50億円の資金調達を実現し、2019年1月にCES 2019においてプロトタイプを発表している。同年2月には三菱電機と建物内のセキュリティエリアを跨ぎ、エレベーターに自動で乗降、建物内の他フロアの移動を可能にする実証実験を行い、これに成功している。同社のホームページでは2020年以降に自治体などの特定エリアにおいてシェアリング事業を行うことが想定されている。
MaaSの商機、身近な課題発見から PwCコンサルティング パートナー 早瀬慶氏に聞く 他
2019年12月26日 フィンランドのMaaS Global社。WhimというMaaSアプリで一躍世界の有名企業になった。2017年の暫定運用段階から今日まで、地元ヘルシンキの社会にはどのような変化が起きているのか?「WEDGE Infinity(JR東海グループのWebマガジン)」にデンマークのコンサル会社Rambolが発表した「WHIMPACT」の話題がある。レポートを読むとWhimユーザーは公共交通機関の利用率が高いとの印象を受けるようだ。「WEDGE Infinity」はこの報告書にWhim利用を開始した前後のユーザーの分析がない為、元々公共交通機関を利用していた人々がWhimを利用するようになったのではないか(実はあまり変化していない?)との疑問を呈している。三菱総研(MRI)によれば、Whim(プラットフォーマー)のビジネスモデルは、第一段階:複数の交通事業者を統合し、検索・予約・決済の1サービス化。モビリティサービス(各交通媒体事業者)とコンテンツ(小売、観光、エンタメ、飲食)を融合すること。第二段階:コンテンツ事業者を巻き込むBtoBのビジネスモデルづくりが「不可欠」とのこと。MaaSに参画する各所が自身でしっかり算盤をはじいてこそ、持続可能なMaaS社会が成り立つ。レポートに対しサンポ・ヒエタネン氏(MaaS GlobalのCEO)は、Whimの導入効果について、まだ確定的に言える段階にはないとコメントしている。地方自治体におけるMaaSの導入効果測定に於いては、各交通機関の現状データが貴重となる。
自動運転レベル3、20年に公道へ 国交省が保安基準 他
2019年12月25日 最近、自動運転の記事を読んでいると、ちょいちょい気になることがある。そのうちのひとつが、自動運転車の意思表示である。実証実験などで使用される車両には、PRも含め、企業のロゴなど派手なマーキングが施されるが、市販される車両にマーキングはされない。歩行者や付近を走行する車、場合によっては対向車に自動運転中であるや次の動作を示す何らかのサインが必要な筈だ。2020年夏に発売を決めたレベル3の自動運転車は、システムから運転者に運転の引継ぎを行う際、人間が運転態勢に入らなければ最終的にハザードで外部に警告し車両を路肩に寄せる仕様のようだ。米国のCerenceは音声AIを「e.GO Mover」に搭載。車内外の乗客との対話を可能にした。1ユーザーとして安心して自動運転車を受け入れるには、自動運転システムからドライバー、付近のドライバー、歩行者、道路インフラ、遠隔監視者などへの意思表示と対話能力を一つの受け入れ基準と考えたい。
安全運転で割引されるテレマティクス保険の今 他
2019年12月24日 テレマティクス、電気通信(Telecommunication)と情報工学(Infomatics)の造語である。近年、自動車保険などでその存在が注目されている。情報提供者から車上端末に、車上端末から情報取得者へ双方向通信を行う仕組みのこと。利用例としては、エアバッグの自動緊急通報、車両追跡、交通情報、メール、気象情報配信など。CASEの内のConnectedに相当する。この仕組みが保険分野に応用され、運転者への保険料算定に利用されている。また建機や航空機などではエンジン状態を監視、メンテナンスなどに利用されている。車に搭載される様々な機器が生成する情報はインシデント発生時の検証にも利用されている。運輸安全委員会や一昔前のブラックボックス(FDR/CVR)といった言葉を思い起こさせる。
課題は「ODD設定」や「事業採算性」——自動運転領域、第9回官民協議会の議事要旨から 他
2019年12月23日 去る6月24日に霞が関の中央合同庁舎において「自動走行に係る官民協議会(第9回)」が開催された。審議会ではODD(自動運転システムが正常に作動する前提となる走行環境条件に係る特有の条件、道路条件、地理条件、環境条件、速度制限、信号情報等のインフラ協調の要否、特定された経路のみに限定すること、保安要員の乗車要否など)に関する意見や事業化に関する実現性などに関する意見が出された。ODD関係で課題となったのは駐車車両の回避、追い越し等。事業化面では、政府は永続的支援は厳しく、自治体においても予算獲得が難しいのではとの意見が既に出ている。表出したコストとしてはインフラ整備、車両代、その後の運用コスト(データ整備費、車両や設備の維持管理費や、自動走行の保安員の人件費など)、財源としては補助金、交通事業者が獲得する運賃などが挙がった(違法駐車の罰金、自治体保険の導入なども?)。地域のニーズは自動運転よりも移動サービスにある。地域の取り組みとしては、事業会社創設、宿泊事業者が宿代から運行費を確保、人口の多さでカバ―、ふるさと納税の活用、移動需要の喚起による増収分、小売業の協力を得るなど。自動運転の収益とコストの(地域性を除いた)相場感の把握、財源はニーズの出所から得、社会実装のコストは「割り勘」が基本か。ODD、負担割合について議論をさらに深まるのを期待し、第10回の議事要旨の発表を待ちたい。