8月31日 待ちに待った東京メトロの「東京メトロmy! アプリ」が公開された。思い起こせば今年の4月に「東京メトロアプリ」にMaaS機能の追加が発表された。アプリの機能中、最も期待した同社以外の交通事業者と連携した経路検索(既報を集約すると、都営地下鉄、都電荒川線、日暮里舎人ライナー、相互運転を行う鉄道会社を始めとする首都圏鉄道各線、東京BRT[予定]、都営バス、コミュニティバス、空港連絡バス、docomo bike share、HELLO CYCLING、JapanTaxi、S.RIDE、台東区循環バスめぐりん、ANA等が検索対象とされている)。MaaSアプリの主要機能と言えば、検索、予約、決済だが、version1.0.0では、基礎となる検索機能に開発の軸を置いたとみて良いだろう。本検索機能はナビタイムジャパンのマルチモーダル(性質の異なる移動手段の組み合わせ)ルート検索機能をベースに新規開発している。当面の間は既存の「東京メトロアプリ」と双方の利用可能だが、時機を見て両アプリは統合される予定だ。なお、移動ルートにTAXIが含まれる場合は、タクシーを呼ぶボタンを押すと、予約アプリのJapanTaxiアプリか、S.RIDEを選択できる。今後は自治体が運営するコミュニティバスのカバー率が上がることを期待したい。
MONET、商談や物販に使えるMaaS車両の受注を開始–換気にも配慮 他
8月28日 「MONET Technologies」がMaaS向けの架装車両やキットを提供する「MONET MaaSコンバージョン(第一弾)」を発表した。ユーザーのニーズにより車内のシートやテーブルレイアウトを柔軟に変更できる「マルチタスク車両」、乗員のパーソナルスペースと喚起にフォーカスした「パーソナルベンチレーションキット」の2種類を開発、企業や自治体を対象に受注を開始した。*ベース車両はトヨタ・ハイエース グランドキャビン。「マルチタスク車両」については、航空機のシートと床レールの固定システムのような装備、電源や照明、机や増設モニターを搭載する(一部オプション)。「パーソナルベンチレーションキット」はコロナ感染防止対策としてパーソナルスペースの確保と強制換気を行う装置などを装備できる。ウィズコロナの環境への対応、オンデマンドバスや、通院・通勤用のシャトルバス、旅館の送迎車などへの架装を想定している。トヨタはこの他「JPN TAXI」などシャトルバス以外の車種も複数販売している。今回の発表された装備や用途は限定的だが、感染対策とシェアリングなどの課題に積極的に対応したシステムの商品化を歓迎するのと同時に、第二弾以降のアイデアに注目していきたい。航空機・鉄道・バス・船舶などのモビリティーメーカーや装備品メーカーに於いてもアフタ―コロナに対応した商品開発を期待したい。
「乗換案内」アプリでフリーきっぷを購入 本格的なMaaSが四国に登場 伊予鉄×ジョルダン 他
8月27日 8月25日より伊予鉄グループがフリー乗車券2種とリムジンバス乗車券をモバイルチケット化し、販売を始めた(「伊予鉄MaaS」)。経路検索の利便性が上がるとともに、電車・バスのフリー乗車券、リムジンバス乗車券のキャッシュレス購入が可能になる。傘下のタクシー会社、旅行会社、百貨店、ホテル等との本格的な連携を期待したい。一方、沖縄に於いては沖縄MaaS事業連携体(沖縄都市モノレール、ゼンリン、TIS、琉球銀行、および県内の複数自治体で構成)が沖縄全域における観光型MaaSの実証実験を開始する(2021年1月~2月)。コロナ禍による、公共交通への経済的な影響の大きさは言うまでもない。各地での交通課題改善の取り組みと同時に、MaaS導入を起爆剤とした利用回復にも期待がかかる。同時にJR西日本が推進する「Setowa」との関係性も気になるところだ。Setowaは広島県東部を中心とするエリア(呉市(大崎下島)、竹原市、三原市、尾道市、福山市、大崎上島町および愛媛県今治市(大三島))、伊予鉄MaaSはその対岸(四国側)を領域とする。伊予鉄MaaSとSetowaの連携が実現すれば、観光客にとって魅力的でもあり、初めての利用に戸惑いがちな船の旅を気軽に楽しめ、瀬戸内観光圏をより効率的に、また好みの移動手段で行き来できる環境を提供できるようになる。今後、同様に全国で「MaaSの重複・隣接」が起こることが予想される。MaaS運営事業者の腕の見せ所だ。
百度、市街地で自動運転タクシー実験 河北省 他
8月26日 中国の河北省滄州市(そうしゅうし)において、百度(baidu.com/中国のGoogleとも言われる)の自動運転タクシーの試験サービスが始まっている。そもそもバイドゥは昨年10月に「2019中国国際デジタル経済博覧会」で滄州市よりインテリジェント・コネクテッド・ビークルの路上テスト用にナンバープレート30枚の発行(有人テスト用ライセンスの取得した)を受けた経緯がある。滄州市の戦略的な目標は、自動運転技術の開発、テスト、検証、および適用を通じて人工知能産業エコロジーを創出し、人工知能の研究開発と製造業、ハイエンド産業クラスターの形成、滄州の将来の自動車産業の活性化と構築などにあるようだ。自動運転の試験サービスを行うのは、湖南省長沙市に続き2都市目となる。百度(バイドゥ)は交通量の多い市街地での走行データを収集し、今後の全国展開に繋げたい。バイドゥは自動運転開発プロジェクト「アポロ計画」推進しており、これに参画するトヨタ自動車やフォルクスワーゲン、インテルやエヌビディア、ダイムラー、Boschなどの各社にとっても興味深い試験サービスとなりそうだ。
AOSデータ社、オンラインセミナー8回目、田辺総合法律事務所 吉峯 耕平氏との《緊急経済対策と不正会計~会計不正対策とフォレンジック調査~》を配信
2020年8月26日 AOSデータ株式会社 AOSデータ社、オンラインセミナー8回目、田辺総合法律事務所 吉峯 耕平氏との《緊急経済対策と不正会計~会計不正対策とフォレンジック調査~》を配信 クラウドデータ、システムデー・・・
日産の戦略と戦術、日本発の技術を世界市場へ展開…電動化 他
8月24日 ゴーン・ショックから立ち直るか?日産は8月20日に「ALL NISSAN MEETING」を開催、日産の執行役副社長 星野朝子氏が進行役を務め「電動化、自動運転化の領域に全精力を傾ける」方針を確認した。同イベント後半には星野氏から、日産がなぜEVシフトを改めて打ち出したのかについて、説明が織り込まれている。「今後10年、世界は再生可能エネルギーの社会に突入、エネルギーマネジメントが大きなテーマになる。エネルギーをどのように効率的に社会で使ってゆくのか?について、その知恵や情報を社会で最も蓄積しているのが、電気自動車の先駆者である日産だ」との説明があった。日産はEVの普及を通じて社会変革、地域課題の解決を試みる日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」という活動で、防災、温暖化対策、過疎、観光、エネルギーマネジメント活動にも取り組んでいる。今回のイベントでは自治体や企業と連携協定が間もなく100件に至る旨が発表された。日産は同活動を通じて、ESG投資(従来の財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンス要素も考慮した投資)への対応も進めている。ビヨンドモビリティ~移動のその先へ、日産インテリジェントモビリティ(移動の為だけの先進技術でなく、社会でなくてはならない存在になる)を掲げた日産、今後の活躍に期待したい。
横浜のトヨタ系ディーラー2社が共同でMaaS開始、公共交通を推す理由 他
8月21日 トヨタの「My route」(マイルート)の横浜版「@YOKOHAMA」(アットヨコハマ)がリリースされた。神奈川県内のトヨタ系の販売店と、横浜市交通局、港湾局、京浜急行電鉄、ドコモ・バイクシェア、日産自動車などが協業している。加えて日産レンタカー、日産カーレンタルソリューションも参画する。マイカーと公共交通、或いは異なる自動車メーカーの販売店が協業するオール神奈川とも言える体制だ。MaaS市場において事業を軌道に乗せるためには、旧来のビジネスフィールドの概念を刷新し取り組む必要がある。その好例だ。既にサービスが本格的に実施されている福岡市・北九州の「My route」においても、公共交通を担う西鉄とトヨタ自動車が協業、JR九州も参画している。協業の理由は、都市圏や観光地だから商業性が高いという理由だけでなく、メーカーや公共交通関係者、自治体の人手不足による減便や、利用者減少などの危機感の表れとも捉えられる。地方自治体においても幅広い分野での協業体制づくりが加速することを願いたい。
羽田空港に開業した大型複合施設「羽田イノベーションシティ」が自動運転開発の一大拠点に 他
8月20日 ものづくりのまち、大田区は東京23区において工場数、従業者数は第一位、製造品出荷額は第二位を誇る。平成26年の工業統計調査結果では、工場数は平成25年に対し6%減少、従業者数は4.5%減少、製造品出荷額等は3.6%減少している。他方、川崎市は平成30年の工業統計調査結果で、事業所数は平成29年に対し、4.1%減少、従業者数は1.1%減少、製造品出荷額等は13.9%増であった。第二次安倍内閣が経済政策「アベノミクス」として打ち出した成長戦略に「国家戦略特区」があるが、羽田イノベーションシティは、そのうち、民間都市再生事業計画 国土交通大臣認定 2018年/特定都市再生緊急整備地域内、国交省スマートシティモデル事業「重点事業化促進プロジェクト」選定(2019年)などの活用を図った。結果、同事業は羽田空港の空のネットワークを活かし各国からの多様な来訪者の交流、医療先端産業と地元中小企業のビジネスマッチングの場を「羽田イノベーションシティ」で結実させている(結果として自動運転関係の存在感も増した)。同様に川崎市でも「特定都市再生緊急整備地域」「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」「国家戦略特区」などを活用、多摩川沿いの「殿町キングスカイフロント」に健康・医療分野の研究機関を集結させ、臨海部の鉄鋼、石油、エネルギーや物流施設などと併せ、持続的な成長を目指す。多摩川両岸、羽田と殿町では、既存産業と新規産業が混然一体となり、スマートシティーという新たな街の姿を創出し始めている。一見の価値がある場所だ。
ノキア、「つながる車」特許訴訟で勝訴 ダイムラーは控訴へ 他
8月19日 フィンランドの通信機器大手ノキアが独ダイムラーを特許侵害で訴え、ドイツ地裁は侵害を認め差し止めを命じた。ノキアが侵害を訴えたのはLTE(4G)に関する特許だ。コロナ禍により多大な影響を受けた自動車メーカーへ影響が憂慮される。CASEの核、通信技術に特許使用料が発生する流れが広まった場合「5G」においても特許料という頭痛のタネが増えることは確実だ。気になるのは「特許連合」アバンシ(AVANCI)の存在だ。同連合にはNTTドコモ、パナソニック、ソニー、シャープ、クアルコム、エリクソン、そしてノキアなどが参画する。AVANCIは無線通信に関わる多数の特許をまとめ、ワンストップで供給、その見返りとして使用料(ライセンス料)を徴収、これを参画企業に分配する。特許連合は、特許防衛であり、利用者における「ワンストップ」の利便性は大きいと説明。一方、自動車メーカー陣営では、自ら無線通信技術の研究・開発の動きもあるようだ。通信・電機メーカーに中核技術の特許を握られても、自陣が対抗しうる特許を保持できれば、クロスライセンスに持ち込める可能性が出てくる。さらに研究・開発を支援する無線通信メーカーなどが現れれば、相手の陣形は崩れる。「垣根を超えた協力」か「隣の畑を自陣に取り込む」の岐路だが、商いは先ずお客様に受け入れられてこそ。現段階でどちらを選ぶかは自明の理と言えなくもない。
西新宿と東池袋で自動運転の実証実験へ 東京都支援のプロジェクト 他
8月18日 ちょうど1カ月ほど前、7月11日に東京都の豊島区に「としまみどりの防災公園(愛称:IKE・SUNPARK)」が誕生した。普段は広場の少ない都会っ子の貴重な憩いの場に、災害時には防災拠点となる。一方東京都の戦略事業推進課が自動運転技術実用化のため、日本工営に事業を委託した「自動運転技術を活用したビジネスモデル構築に関するプロジェクト」では、2020年度の支援プロジェクト2件が選定された。早期実用化部門にはWILLERが実施する「地域公共交通・サービスと連携した自動運転の実用化」が選定プロジェクトととなった。その実施場所となるのが「としまみどりの防災公園」とサンシャインシティ周辺だ。既に運用段階にある「IKEBAS」の他、地域交通との連携、飲食や物販のネット注文・宅配サービス、大学向けサービスなどの実証を行う。実験内容は都市型MaaSの定番とも言えるが、これまでの全国の実証実験をなぞらえるだけでは物足りない。ロケーションを踏まえるなら、有事における自動運転技術の在り方、平時の災害リスクに対する備えなどを事業として実現するプロジェクトなどが立ち上がらないものか?