NTT「信号機のない交通社会での自動運転」などAI使った最新の技術公開 他
5月31日 昨日は経団連が発表した「グリーントランスフォーメーション(GX)に向けて<概要>」についてから、昨今話題となる「グリーントランスフォーメーション」(GX)とは何かを探って来た。本日はその第3回目となる。2050年CNを実現するために必要な方策(GX政策パッケージ)には産業構造の変化への対応も想定されている。政府の「成長戦略実行計画」では、グリーン成長に向けた新たな投資の柱として、CNに伴う産業構造転換・産業構造転換に伴う失業なき労働移動(公正な移行)の支援について、2050年CNの影響を受ける産業の労働者は約250万人(エネルギー多消費産業および化石燃料に携わるエネルギー産業の常時従業者数の合計)とされ、これらの層に対し求められる施策としては、円滑な事業転換等に向けた支援(CNに伴う円滑な事業転換等を促す時限立法、CNへの国際競争力の観点から、国内の企業・組織再編を促す環境整備等)と、円滑な労働移動の推進(リカレント教育やリスキリングの充実・強化、企業・グループ内における労働移動、社会全体での労働移動)とされる。2つの施策は企業や団体などの事業向け支援策と、内部で労働に従事する人材向けの支援と見られる。また、現在政府が推進する意図への投資の抜本的強化のための4000億円施策パッケージに、GXの担い手となる労働力の量と質を確保するための様々な措置を盛り込むべきとしている。資料中の参考(30頁)GXを通じた業態転換・労働移動のイメージとしては、既存のCO2多排出事業は転換を迫られる一方、CNに大きな役割を果たす新事業が生まれ雇用が創出される見通しが示され、同時にCNへの挑戦を経済成長に繋げるため、新事業への転換・労働移動(社内・社外)を円滑に進める必要があるとしている。また「カーボンプライシング」については、炭素排出に価格を付け、経済的インセンティブにより、民間活力を活かしながら排出主体の削減を促す政策手法と定義、抜本的なイノベーションに繋がる制度設計を行い、産業競争力への影響を検証した上で、適切なタイミングで導入できれば、CNを実現する手段となり得ると評価、カーボンプライシングの類型は多様であるが、これらの中で成長に資する仕組みを導入すべきとしている。例としては、炭素税、キャップ&トレード型の排出量取引制度、エネルギー関係諸税、FIT賦課金、クレジット取引、インターナショナル・カーボンプライシング、自主的な取組等が挙がる。カーボンプライシングの類型選択にあたっては、排出削減効果やマクロ経済・産業競争力への影響(国際競争に晒され、かつ削減手段のない産業への時間軸を踏まえた配慮)、国民負担の在り方(負担の受容性、価格転嫁のあり方、公平性)、社会全体として効率的な削減の実現、我が国の他の制度・仕組みとの関係(補完関係や相乗効果があるか、スクラップ&ビルドが必要か)、国際的整合性を考慮すべきとしている。続く、考慮事項を踏まえたカーボンプライシングにおいて(経団連は)現状のCN行動計画とGXリーグは「経団連 カーボンニュートラル行動計画」(各業界のCO2削減に向けた主体的な取組み)は、前述した考慮事項を概ね満たすものとし、これまで着実な取り組みが進み、国の地球温暖化対策計画の柱にも位置付けられており、政府は「GXリーグ」(クレジット市場を通じた企業による自主的な排出量取引等)に関する基本構想を提案している。政府が掲げる目標達成に向け、かような主体的取り組みや、省エネ法等の規制とともに、カーボンプライシングを含め様々なポリシーミックスのあり方を絶え間なく検討して行く必要があるとしている。脱炭素税については排出量を固定できない上、排出削減効果は限定的であり、気候の厳しい地域をはじめとする国民生活の負担になるのみならず、国際的に既に高いエネルギー・コストを負担している産業の国際競争力を損なう恐れが高いと評価している。キャップ&トレード型の排出量取引制度*については、削減の確実性を担保しつつ、産業競争力への影響など前述の考慮事項について柔軟に対応できるカーボンプライシングとして、キャップ&トレード型の排出量取引制度は、タイミングも含め日本の実情に即した適切な制度設計ができれば、有力な選択肢となるとしている。*「国内排出量取引制度」とも。温室効果ガスの排出量取引制度の一つ。企業に排出枠(限度)を設け、その排出枠(余剰排出量/不足排出量)を取引する制度。今後の対応としては、CN行動計画等の着実な実施、「GXリーグ」の推進を行うとともに、「きめ細かな配慮」が必要となる「キャップ&トレード型の排出量取引制度についての検討」、この3つの対応を同時に実施すべきとする。これらの対応の中で「キャップ&トレード型の排出量取引制度についての検討」については、少なくとも当初はすべての対象排出主体について、目標達成していれば排出対価を負担しなくても良い仕組み、いわゆる「無償割当」*1により制度を開始すべきとしている。また「きめ細かな配慮」については、業種・企業ごとのBAT(削減技術と時間軸)を考慮した削減目標の適切な設定(透明性・公平性を確保)、産業競争力維持、とりわけ国際競争に晒されるHard-to-abate産業*2等への特別な対応のあり方(「無償割当」の取扱い等)、政府による民間の事業活動への過度な介入への懸念払拭、エネルギーの安価安定供給、対象となる事業所の範囲などが挙げられている。*1:いわゆる「無償割当」であっても、排出目標を超過して排出した企業には、その超過排出量に見合うだけの排出枠を他企業から購入する義務が課される。そのため、企業は排出目標を超過しないよう、削減ための投資を自らの負担で行うこととなる。*2:現段階において、脱炭素化が困難な産業部門・エネルギー転換部門。GXリーグの積極的な推進と排出量取引制度の知見の蓄積については、「GXリーグ」は、経済社会システム全体の変革のための議論と「新たな市場の創造」のための実践を行う場として極めて有意義とし、政府はMRV(排出量の測定・報告・検証)に関するルール整備を含め、この取組みを全力で推進すべきとする。資料では、経済界としても「GXリーグ」に積極的に参加する意思を表明するとともに、「GXリーグ」における実践を行う中で、政府においてキャップ&トレード型の排出量取引制度に関する知見・ノウハウの蓄積を図り、排出量取引制度に発展させることが可能かどうかの検討を行って欲しいとの要望も出している。(続く)
