2月19日 JR西日本のせとうち観光ナビ(Webサービス/スマホアプリ)「setowa」のエリアが拡大される計画がある。2021年以降に現行エリアである広島県全域、岡山県(岡山市や倉敷市)、山口県(岩国市など)、愛媛県(松山市や今治市)から、エリア周辺で行われる観光キャンペーンにあわせ、順次エリアを拡大して行く。北陸新幹線の敦賀延伸を見込み、西日本エリア全域をカバーする観光型MaaSの位置を築いていく計画だ。「JR西日本グループ中期経営計画2022」見直し(2020年10月30日)を見ると、JR西は自社・周辺エリアを6つに分け(北陸、北近畿、山陰、瀬戸内、南紀、九州)、新幹線を基軸とする広域鉄道ネットワークを敷いている。計画では、お客様とのデジタル接点を充実させ、利便性や魅力の向上を図るとある。このデジタル接点となるのが、既存のMaaSアプリ「WESTER」と観光MaaS「setowa」である。JR西はデジタル領域においては、「WESTER」と「setowa」を連携しエリア拡大を図るとともに、これらのデジタル接点をホワイトレーベル化(一般的には、ある企業が生産した製品を、他の企業が自社のブランドを使って販売すること)することで、同社が単独ではカバーしきれない観光地などにネットワークを持つ、私鉄各社にもラブコールを送る計画だ。「WESTER」の主な機能としては、鉄道情報提供、経路検索、駅混雑度傾向情報提供、お出かけスポット情報提供、クーポン配信など。「setowa」は話題の観光スポットやエリアガイド、モデルコース、おすすめチケット情報などの提供と、旅行前の予約・決済機能、旅ナカでもスケジュールの修正などが出来る。2つの機能が整理統合され、西日本エリアや周辺エリアでの利用範囲が拡大すれば、普段使いとなる通勤や通学の利便性も増し、旅の楽しさも倍増しそうだ。
いわき市の新たなフードデリバリー「おつかいタクシーMaaSプロジェクト」 他
2月18日 いわき市とMONET Technorogies、福島県タクシー協会いわき支部は「いわき版MaaS推進事業」を実施、その一環である「いわきのグルメをお届けしMaaS」を2/15~スタートした。専用のWebサイト(https://iwaki.anycarry.jp/)で会員登録の後、お届け先の指定を行い、希望する店舗の料理を希望時間と併せて指定する。料理の配送は地元のタクシー会社の「おつかいタクシー」が担う。受付時間は、9:00-18:00、配達料は3km以内で1000円、以遠は2kmごとに200円が加算される。商品の決済は受取時となる。もちろん電話注文も可能で、高齢者に配慮した仕組みとなっている。配達管理システムは(株)エニキャリが提供する。コロナ不況に苦しむ飲食店の活性化を目指す。飲食店は自前で注文受付や配達状況の管理などの必要がなくなり、配達スタッフも不要だ。また、いわき市では 1/23~3/31まで、MONET Technorogiesの、レイアウト変更し、様々な用途に活用できる「マルチタスク車両」に遠隔相談システムを載せ、市内を巡回させる「行政MaaSプロジェクト」を実施している。利用者は各課への行政手続きや税務、労働相談等を車内で受けることができる。利用は相談日の2日前までにふるさと再生課に電話で予約、当日は最寄りの支所の駐車場に駐車した車両内で手続等を行う。同プロジェクトの内容は上記の他、市の総合防災訓練で災害時の活用を想定した実証、市民ニーズ等の把握や車両を活用して提供可能な行政サービスの調査・分析等を進めながら将来のスマートシティーなどの取組みに繋げるなどの項目も見られる。この度の、令和3年2月13日福島県沖地震の対応策として早速活用されるのだろうか。生まれたばかりのサービスが担う市民の期待は大きい。
半導体ショック トヨタが生かした「3.11の教訓」 他
2月17日 コロナ禍の影響で自動車産業界は半導体不足という後遺症に悩まされている。CASE対応した車両を組み立てるにはLiDARなどのセンサー類や、プラットフォームの共通化、バッテリーなど、多岐に亘る構成部品をこれまで以上に緻密・周到に管理してゆくことが求められている。車両の自動運転化やハイブリッド化、EV化などにより、サプライチェーン全体も大きな変革の波を受け続けていることも事実だが、変化し続ける部品供給網を環境の異なる様々な世界に拡大する以上、サプライチェーン全体の統合管理や手法のアップデートも避けて通れない。今回の半導体騒ぎの中でも、その概念が部品供給体制に浸透していたか否かで、国内の完成車メーカーにおいても明暗が分かれた。日経によれば、ホンダは半導体不足の影響を受け、2020年度の通期販売台数の見通しを10万台引き下げ、SUBARUは21年度3月期の売上収益を前年同期比12%減の2兆9500億円から、同15%減の2兆8500億円に引き下げた。日産自動車は通期の販売台数の見通しを半期決算時点から3.6%引き下げる結果となった。しかし、トヨタ自動車は21年3月期通期の連結営業利益の見通しを期初の予想の5000億円から、2兆円に上方修正した。通期の世界販売台数の見込みは中間決算時点の予想から30万台以上引き上げた。明暗はどこで分かれたか?トヨタは、およそ10年前となる東日本大震災の教訓を生かし、2013年にサプライチェーン情報システム「RESCUE(REinforce Supply Chain Under Emergency)システム」を稼働、部材ごとに2次、3次の調達先を設け、サプライチェーンの供給リスクを可視化させた。更に取引先とのコミュニケーションを密にし、さらに数ヶ月から3年先までの確度の高い生産計画を示し、発注することを繰り返し、信頼関係を築いたという。一躍世界で有名になった「カンバン方式」に関わる「調達」にも、独自のノウハウが光る。トヨタの「持続的成長を支える取り組み」という資料がある。調達項目の取り組み事例に「災害に強いサプライチェーンの構築」があり、その中では「1.人道支援」「2.被災地の復旧」「3.自社の生産復旧」の優先順位を基礎に据えてある。東日本大震災以降は、初動の迅速化、復旧の早期化を目指し、各国/各地域でサプライヤーと一体となった「災害に強いサプライチェーンの構築」に努め、平時からの「サプライチェーン情報の見える化」と「災害に備えた対策」を推進してきた。「サプライチェーン情報の見える化」では「日本のものづくりを守る」という想いと、長年の信頼関係のもとサプライヤーから情報をご提供データベースを構築したとある。これが「RESCUEシステム」である。また「災害に備えた対策」では上記データベースに基づきサプライチェーン上の課題を洗い出し、減災や生産拠点の分散等の対策実行にサプライヤーと連携して取り組んでいる。この取り組みにより、2016年4月の熊本地震での初動の迅速化、復旧の早期化を果たした実績がある。この時こそ、鑑とし実践すべき内容に富む資料だ。
前橋市など、市内で自動運転バスを実用化 22年度めど 他
2月16日 昨年12/21~前橋市で「MaeMaaS」の実証実験が進む。市内の交通再編を目指し、JR東日本の「ググっとぐんMaaS」内で、前橋市民向けサービス提供を行っている。今回は「MaeMaaS」の実験の一環として、NTTデータがオンライン本人確認サービス「Polarify eKYC」(顔認証技術)の株式会社ポラリファイとともに実証を行う。eKYCとは「electronic Know Your Customer」の略。従来はオンライン上だけでは本人確認を完結出来なかったが、犯罪収益移転防止法(犯収法)改正によりオンライン完結のeKYCが可能になった。本実験では、事前に利用者がマイナンバーカードを用い顔情報を登録(サーバに顔写真は保管せず、特徴点のみを保管)、以降はどのバスでも「顔パス乗降」が可能となる。つまり本人確認情報と運賃決済の連携が可能になる。話は変わるが、全国銀行協会が主要銀行を対象に行った面白い調査がある。個人の給与口座の出金の「キャッシュレスによる払い出し比率の調査」(2019年)では、ATMなどの現金引き出しは全体出金額の48.9%、キャッシュレスによる出金額は51.1%であり、既にキャッシュレス出金が現金の引き出しを上回っている。本実験には三井住友銀行が群馬大学との産学連携協定(2018年2月に自動運転分野に特化した同協定を締結)に基づき参画している。「通勤・通学・通院」や「商業施設利用」はMaaSに組み込まれた公共交通機関にとって、主要な収入源(有力な移動動機)となる。前橋市は交通ネットワークの軸にJR上越線、両毛線、上毛電鉄、そして広域幹線バス、都心幹線バス、地域間交通(バス)、オンデマンドバス等を組み込み、マイカーに偏重したネットワークの再構築(役割分担の再構築)を試みる。今回の実証実験の舞台となるのは都心幹線バスだ。金融機関としても興味深い実験となるのではないだろうか。
AIバス、自動運転1人乗りロボ 「つちうらMaaS」 15日から実証実験 他
2月15日 2/15-3/12まで、土浦市で「乗換案内」アプリを利用したキャッシュレス化、電動キックボード「kintone」、AIコミュニティバス、ZMPの自動運転モビリティ「ラクロ」を組み合わせた「つちうらMaaS実証実験」が実施される。実験は「観光客の市内周遊」と「市民の移動手段確保」の二つの要素を含む。本実験の「市民の移動~」は、交通不便地域である新治地区(かつて関東鉄道筑波線の坂田駅、常陸藤沢駅、田土部駅を擁した)で行われる。同地区では以前コミュニティバス「新治バス」の試験運行を実施したが「地元負担3割り」の壁が厚く、2年半で廃止(2014年3月)した経緯がある。某茨城県議のHPを拝見すると、「新治バス」新設の前年には、同地区付近(土浦駅-亀城公園前-土浦一高前-土浦工業高校前-中並木-中都公民館-常陸寺前)を循環していたJRバス関東の山ノ荘線が2008年3月に廃止されたことも分かる。「新治バス」は新治地区と土浦駅の往復需要(朝晩は通勤・昼は高齢者の新治地内の3ルートを循環)を見込みルートを設定していた。料金は朝夕ルートが350円、昼ルートが200円、月・水・金・日の営業で一日14便が設定されていた。今回の実験(2/22-3/11)で運行される「新治コミュニティーバス(無料、8人乗り)」は、高岡・田土部ルートと沢辺・田宮ルートを設定、それぞれの地区から125号線を走る関東鉄道の既存路線(土浦駅西口~下妻駅間)に接続させる。既存路線側の本数は、一日33便・土日祝27便だ。実験アプリは、ジョルダンの「乗換案内」、タクシーを含めたマルチモーダル経路検索、キャッシュレスで「つちうらMaaSモバイルチケット」を購入すれば、スマホでバス乗車や市内飲食店や物販店(計59店)でのお買い物や観光施設の利用が出来る。また(2/26-27)には、コミュニティーバスのバス停となる新治地区公民館付近の歩道で自動運転1人乗りロボ「ラクロ」の走行実験が行われる。「ラクロ」バス停から自宅までのラストワンマイルを担う。一方で新治地区の高岡・田土部ルートには「つくば霞ケ浦りんりんロード」における電動キックボードの走行実験が、2/16-2/20まで行われる。現在、電動キックボードは所定の要件を満たすことで原動機付自転車として公道走行が可能だが、自転車道の走行は認められていない。実験ではその活用可能性を探ることを目的とし、すれ違い、追い抜き、並走等様々な条件下での安全性を確認する。余談だが「つくば霞ケ浦りんりんロード」は、筑波山方面と霞ケ浦・北浦方面に分かれ、旧つくば鉄道コース(40km)、ヒルクライムコース(25km)、霞ケ浦1週コース(125km)、完全走破コース(180km)など変化に富んだ景観を持つ「ナショナルサイクルルート(令和元年11月指定)」だ。(2019年度の利用者は9万3千人)。MaaSは地元の観光収入と自治体の抱える公共交通の運賃負担問題を結び、解決に導くツールとなり得るか?鍵は電動キックボードの自転車道利用の解禁だ。
経済産業省“地域新MaaS創出推進事業”「塩尻型地域新MaaS×自動運転実証プロジェクト」におけるタクシー型乗用車を用いた「自動運転」公道モデル実証を実施しました 他
2月12日 塩尻市振興公社と塩尻市、アイサンテクノロジー、ティアフォー、損害保険ジャパン、KDDIは、1/12~1/20まで、経済産業省の地域新MaaS創出推進事業「塩尻型地域新MaaS×自動運転実証プロジェクト」に採択された自動運転公道モデルの実証実験を実施する。地域に散在する市街地や既存集落、工業地、一般住宅地住工複合地域などの拠点間を拠点内においてはオンデマンドで、拠点間(中心的商業地域と各拠点)は自動運転を使い分けて結ぶ構想だ。実証概要には一人対複数車両における遠隔監視技術の実用性や、自動運転の安全性向上に必要なICTインフラと歩行者等に対する安全方策の効果の検証も含まれる。実験では、タクシー型乗用車3台が市内の公道を走行するが、安全面には特に力が入れられており、損保ジャパンやアイサンテクノロジーが共同開発したインシュアテックソリューション「Level IV Discovery」の各種サービスの導入、興味深いのは、5G及びITSスマートポールと連携したインフラ協調技術との連携を進めている点だ。市内ワイナリーまでの実験ルート中見通しの悪い交差点に既存電柱にセンサーなど実験用機材を共架、自動運転車両や一般の自家用車、歩行者、自転車などの接近情報を感知させ、交差点進入時の安全性を高めるスマートポールの必要性を検討する。スマートポールの協力事業者の多さには目を見張るものがある。(株)シマノ、(株)ソニックス、京セラ(株)、(株)IHI、パイオニアスマートセンシングイノベーションズ(株)、パナソニックサイクルテック(株)、(株)アシックス、積水樹脂(株)など関連事業者の熱い視線が注がれる。スマートポールとは、IoT化されたストリートファニチャー(路側に設置される街路灯などの構造物)だ。ネットワークに接続されたこれらの構造物(ポール)は街路灯の節電をはじめ、カメラやセンサー類による情報発信と同時に歩行者の属性情報(年齢や性別など)などの収集、防犯や避難誘導、また5G基地局やV2X(路車間通信機器)対応できる機器として幅広い使い方が出来る。今回としては交差点進入時の安全性向上の為に用いられるものと思われる。
ウィズコロナ時代の自動運転サービス…高齢者向けと在宅勤務者向け WILLERが実証実験を予定 他
2月10日 2/13(土)~6日間、京都市の精華町にある関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)で、WILLAR、ST Engineering、(株)けいはんな、ピノスけいはんな(リラクゼーションフィットネスクラブ)が自動運転サービスの公道実証実験を開始する。実験は、公益財団法人 関西文化学術研究都市推進機構の「公道走行実証実験プラットフォーム K-PEP」(けいはんなR&Dイノベーションコンソーシアム会員向けに提供されている)を利用して行われる。実証実験にはその他、京都府と精華町も加わる。本実験は、自動運転バスの運行ルート上にあるフィットネスクラブを活用したり、シェアサイクル「PIPPA」での移動をルートに織り込み、コロナ禍によるリモートワークや外出自粛などで運動不足の在宅通勤者や、健康づくりに意欲的なアクティブシニア層向けに、フィットネスプログラムを提供しつつ、自動運転バスに試乗してもらう。「シニアフィットネスプラン」では、プロトレーナーによるフィットネスプログラムを用意、同時にフィットネスアプリを使った継続的な健康づくりを企画、「快適テレワーク&フィットネスプラン」では自動運転バスを下車、シェアサイクルで移動後、フィットネスプログラムを受講、さらにホテルの一室にて在宅勤務を体験、最後に(希望者のみ)「けいはんなコラボマルシェ」でヘルシーメニューの調達も出来る。*ここでは地元味噌の豚汁が無償で振舞われるようだ。応募期間は、1/22(金)~2/7(日)まで。QRコード(https://www.town.seika.kyoto.jp/material/files/group/2/20210114.pdf)か、https://www.kri.or.jp/rdmm/maas_keihanna 、またはお問い合わせ先となるWILLER株式会社のマースモビリティサービス TEL:050-1744-9669 から行う。参加費は無料。感染防止対策として、人数制限、手指の消毒、検温、マスク着用、自動運転バス車内の換気・消毒等を行う。公道実験への参加を促す「動機づくり」としては、満点レベルのプログラムだ。各地で進む実証実験の企画運営者の参考となるのではないだろうか(*本コラムはプログラムの参加推奨する主旨ではありません)。
AOSデータ社、西村あさひ法律事務所 石川 智也氏を講師に迎え、第15回オンラインセミナー《 DX対応と急増し、巧妙化しているサイバー攻撃のリスク対策 》 を配信
2021年2月10日AOSデータ株式会社 AOSデータ社、西村あさひ法律事務所 石川 智也氏を講師に迎え、第15回オンラインセミナー《 DX対応と急増し、巧妙化しているサイバー攻撃のリスク対策 》 を配信 クラウドデータ・・・
「新たな車室空間体験を伴う移動」自動運転の実証実験に損害保険ジャパンが協力へ 他
2月9日 2/12(金)~2/19(金)まで愛・地球博記念公園でXR(仮想・拡張・複合現実)が体験出来る自動運転車両を用いた「次世代のモビリティ空間提供/テーマパークにおけるエンタメ体験型の移動」の実証実験が始まる。昨年、万博記念公園(吹田市)では「EXPOオートライド&ガイド」が開催され「NAVYA ARMA」にパナソニックが開発中だった透明ディスプレイを搭載、バス内のコミュニケーション実験を行っている。今回、参画するのは、NTTドコモ、トヨタ自動車、トヨタ紡織、JTBなど。実験ではトヨタ紡織の自動運転コンセプト車両「MOOX(ムークス)」に公園内の大芝生広場を周回させ、車内で走行位置に合わせた拡張現実によるゲームやライブ配信を体験する。透明ディスプレイとなる車窓に映し出される映像に合わせ座席が振動したり、フレグランスを楽しむことも出来る。映像は乗客のジェスチャーに合わせて変化する。もう一方の実験、トヨタ自動車のコンセプト車両「SQUAL(スクウォール)」では、移動時間の価値向上の他、移動中や降車後の周辺スポットへの送客や回遊促進を試みる。車内ディスプレイを利用し、ドコモのコンテンツ配信技術と拡張・仮想現実を掛け合わせ、愛知県内の観光スポットなどを投影、乗客に施設予約やクーポンの取得などを疑似体験してもらう。また車内から注文したドリンクを小型の搬送用自動運転モビリティから受け取ったり、降車後は手元のタブレット端末から位置情報に連動した周辺スポット情報を入手する体験をしてもらう。このコンセプト車両はデイスプレイの操作を非接触によるジェスチャ方式とし、乗員の状態もモニタリングする。また天井に設置した深紫外線除菌システムより、車両の非稼働時にシートやテーブルの除菌を試みる。車内で乗員の手が触れる可能性のある箇所には、豊田中央研究所が開発した可視光応答型光触媒にて、抗菌加工も施した。トヨタ紡織は、2025年中期経営計画の中で自社の目指す姿を「内装システムサプライヤーとして”ホーム(「現地現物」で、自分たちで付加価値をつけることができ、競合と比較しても競争力で勝っている事業者地域の意味)”となり、グローバルサプライヤーを凌駕する」としている。先頃のCESに登場したSONY「VISION-S」は、自社コンテンツと融合させ洗練された次世代の車内エクスペリエンスを提示した。本実験のテーマ一つでもある「XR」は試乗者の車内体験を、車外での実体験につなぐ橋渡しの役割を担う。視点を変えれば、オーナーカーかサービスカーかの違いこそあれ、観光コンテンツホルダ―や、エンターテインメント・コンテンツホルダ―として参画する、JTBやSONYの「体験演出力」のコンペやコラボの時代の幕が開けたとも考えられる。
全て自動運転のバス、中部空港で実証実験 愛知製鋼など 他
愛知製鋼は、1/28(木)~1/29(金)にかけて常滑市の中部国際空港第二ターミナルにおいて、到着ゲートからGSE制限区域を周回する800mを走行ルートとする自動運転レベル4相当の実証実験を行った。実験で使われた磁気マーカは、同社製の「GMPS Technorogy」と呼ばれる技術(製品)だ。車両底部に取り付けたMIセンサ(超高感度磁気センサ)ユニットにより走行ルートに沿って敷設した磁気マーカ(低コストなフェライトプラマグのマーカ、RF-ID搭載)の微弱な磁力から自車位置を推定(精度は+/-5mm)することが出来る「自動運転支援システム」だ。車両が常にマーカ上を走行するようにステアリングを制御する。現在政府や民間で行われる各種の実証実験で広く利用されている。同社は、磁気マーカの発する微弱な信号を周辺の磁気ノイズから分離するため、磁気マーカの作る特徴的な磁場パターンのみに反応する独自のノイズ処理技術の開発に成功している。自動運転車両の自車位置の認知に使われるLiDARや高性能カメラは、悪天候下(雪・霧・豪雨)や逆光で検知能力が低下、またGPSはトンネルや地下、陸橋・高速・高架下、高層ビル街、山間等での受信に難がある場合があるため「GMPS Technorogy」はそれらを補完する役割を担う。磁器マーカにフェライト樹脂磁石を用いることでコストダウンに成功、また無線周波数識別タグ「RF-ID」が内包されており、道路上の情報や車両の絶対位置を取得することが出来る。同技術を使った実証実験は東近江市(山間部)、宜野湾市(正着制御)、北海道大樹町(積雪下)、伊那市(トンネルや狭隘路)、北九州市(最高速度40km/h安定走行、交差点左折制御調整)、日立市(廃線跡の専用道と公道)、陸前高田市(対抗車両との交互通行など)、大田区(GPSの届かないボードブリッジ下)、多摩市(陸橋下・街路樹)、牡鹿郡女川町(超小型電気自動車を無人でステーションに返却)、渋川市(路車間通信)、気仙沼市(最高速度60km/h安定走行)、大田区(正着、車線変更、左右折他)、三田市(6kmに2800個の磁器マーカ敷設)など全国で実施され、その実用性や信頼性を高めている。ちなみにフェライト(ハード・フェライトとソフト・フェライト)自体も1930年に東京工業大学の加藤与五郎と武井武により発明されている。