自動運転バス、社会受容への道筋(前編) 他

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7月7日 自動運転サービスや各方面でのMaaS導入の足かせと言われがちな法律や様々なルールの改正だが、ここに来て各方面で改革の成果が現れ始めている。一つは茨城県境町のケースだ。自治体でいち早く自動運転バスの導入を果たしたこの街では、2021年2月に町内に12カ所のバス停を増設し、市民の足としての利便性を高めた。地元も協力的であり、新設したバス停はいずれも無償で設置されている。このうち病院前に設置されたバス停は、地元の交通事業者である昭和観光自動車の既存のバス停だ。実は道路交通法上、既存のバス停への駐停車は原則禁止だが、2021年1月、この規制が緩和され路線バス事業者と合意した場合は、自動運転バス側が既存のバス停を利用できることになった。また、7/2「glafit」は警察庁より、同社の「ハイブリッドバイクGFR」に「モビリティ・カテゴリー・チェンジャー」(モビチェン)機構を取り付けた場合、電動バイクと自転車の切替えを認める旨の通達を受けたと発表した(警察庁交通局交通企画課長及び警察庁交通局交通指導課長発、警視庁交通部長及び各道府県警察本部長宛て、令和3年6月28日付 警察庁丁交企発第2 7 0 号、警察庁丁交指発第6 0 号「「車両区分を変化させることができるモビリティ」について(通達)」)。これまでは「ペダル付き原動機付き自転車」は原動機を作動させず、ペダル走行させる場合であっても、原動機付自転車の属性は変化せず、原動機付自転車の通行区分や運転方法に従う決まりとなっていた。本改正により、モビチェン機構を取り付けたハイブリッドバイクGFRは、原動機を作動させず、ペダル走行させる場合は、道路交通法上、自転車扱いとなり、自転車の通行区分や運転方法に従うこととなる。*但し、道路運送車両法では原動機付自転車のまま。今のところ、この適用を受けることが出来るのは、同社のペダル付きの原動機付き自転車のみだ。この他、令和2年4月1日施行の道路交通法改正の「自動車の自動運転技術の実用化に対応するための規定の整備」においては、作動状態記録装置による記録等に関する規定の整備が行われており、自動運行装置を備えた自動車について、整備不良車両に該当するか否かを確認したり、交通事故等の原因究明を行ったりするため、作動状態記録装置が不備な状態での運転が禁止され、同装置に記録された記録の保存が義務付けられている。反則金の額に記載されている対象には、大型、普通、二輪、「原付」がある。技術の進化に拠る安全や利便性が損なわれることがない、機動的な法改正が今後も続くことを期待したい。

自動運転で小売りMaaS実現めざす…東広島市でスマートシティ化事業 ソフトバンクと広島大 他

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7月6日 自動運転サービスが様々なかたちで、街中にフィットしようとしている。そもそも交通事業とは市民の足として日常生活の中で使われるサービスである以上、あるいは当然の作法といえるのかも知れない。はたして自動運転サービスでは、どのような動きがみられるのか?東広島市では、広島大学やイズミMonet Technorogiesなどと「自動運転・小売MaaS」の実証実験を進めている。同市は自動運転時代を見据えた国際学術研究都市の実現に向け、スーパーマーケット等と連携した「小売MaaS」を自動運転車で実現する「Autono-MaaS」(自動運転車と各種サービスの融合を示す造語)の実用化に向け実証中だ。小売MaaS「BOPIS(ボピス)」では、新たな小売形態であるBOPISとデマンドバスを掛け合わせた小売MaaSを展開。イズミのアプリで注文した商品を予約したデマンドバスに乗車し、「ゆめタウン学園店」の店頭ロッカーで受け取る仕組みだ(2021年2月から実証中)。また貨客混載サービスでは、予約した乗車指定場所から、オンデマンドバスで同店まで「送迎してもらう」か、電話などで注文した商品を利用者が指定した場所と時間に「配送してもらう」ことが出来る(今秋9月~実証予定)。同市では更に、7/2に広島大学や周辺地域とスマートシティーの実現を主な内容とする包括的な連携協定を締結した。これにより、車内ディスプレイに同市及び周辺地域の飲食店や商業施設のクーポンを配信、顧客属性ごとの送客効果を検証、地域経済の活性化に繋げる。また飲食だけでなく、ヘルスケア分野でも生活や医療、介護に関する様々なデータを活用し、予防医療や健康寿命の向上に役立てる。オンライン診療や、防災や行政観光分野でもデータの活用を検討している。また三越伊勢丹と三井物産は、7/5~三越伊勢丹の実店舗を移動ショップ化し、渋谷区にあるリアルゲイト本社ビル前で実証実験を行う。コロナ禍・テレワーク導入・ワークスタイルの変化・育児や介護で店舗に来店する時間的な余裕が持てない層に向け、移動ショップでオフィスやマンションに訪問・販売する新たな購買体験を提案する。フードトラックでランチを買うオフィスワーカーやマンション住民などの姿は、定着してきた感があるが、今回、三越伊勢丹はそこに「サステナブル」の概念を取り入れている。自社展開する「i'm green」(買取・引き取りサービス)と「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」を使ったコーディネート提案サービス「コンシェルジュサービス」の店舗をセットで現地に配車する。今回のコンシェルジュサービスには、SONYの映像技術とヤマハ発動機の自動運転技術を搭載した自動運転車両「Sociable Cart SC-1」も投入される。発展する自動運転周辺サービス。従来の目的あっての人の移動が大半という交通事業だったが、商品やサービス自身が人の身近に移動するというパラダイムシフトが起こっている。新しき移動需要は、フードトラック(移動+調理+店舗)は別だが、普及(移動需要の進展)に至れば、コンテンツホルダーとなる事業者が「移動」を抱えるのはナンセンスと言えよう。交通事業者や駐車場事業者の助けが必要となってくることも考えられる。

物体を認識して分類せずに直接意思決定を行うGhostの自動運転・衝突回避技術 他

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7月5日 衝突回避の技術がまた一歩進展した。Ghost Locomotion(自動運転システム開発)は、シリーズDラウンドで111億円の資金調達を実施した。同社はユニバーサルな衝突回避技術の開発に取り組んでいる。開発されているシステムは、自動運転システムが衝突回避する前に、セオリーとされていた物体を認識(位置の特定、大きさ、距離などの把握)、分類する過程をスキップ、あらゆる物体あらゆる大きさを検知し、それに対する距離と相対速度を得る。分類を行う前にデータから直接意思決定(衝突の回避)を始めることが出来る。判断の複雑さが増すと言われる都市部で、本システムの有用性が証明されれば、衝突回避技術分野でのパラダイムシフトが起きたと言えよう。また、車載センサー分野においても、これまで主だった「レーダー(電波)」「カメラ(可視光)」「ソナー(音波)」「LiDAR(赤外線)」に、「4Dイメージングレーダー(電波)」が加わろうとしている。従来のレーダーは、距離や速度、水平方位角を識別していたが、コンチネンタルが開発した「4Dイメージングレーダー」は、ここに高度(上下方向)の概念が加わる。これにより、レーダーでも対象物の形を認識することが出来るようになった。レーダーの利点は天候に左右されにくい点であり遠距離までの識別が可能である点だ。反対に弱点は対象物の形状把握は苦手とされていた。レーダーの検知範囲は今のところ300mだという。LiDARに比べて低コストで導入できるといい、既にドイツの自動車メーカーの車両に搭載されることが決まっている。今後は、LiDARや、その他のセンサー類との共存が進み、自律走行車両の安全が高まり、低コスト化に貢献、何よりも事故低減に貢献することを期待したい。国内MaaSアプリにも新たな動きがあった。この6/17、JR東日本(JR東日本アプリ)とJR西日本(WESTER)のMaaSアプリ内に、それぞれ互いのアプリへのリンクボタンが設置された。また、例えば「JR東日本アプリ」で経路検索を行った際、検索結果画面にJR西日本の営業範囲にあたる「特定の駅」を着地とする検索が行われた場合、結果画面にJR西日本のMaaSアプリ「WESTER」へのリンクバナーが表示される。「WESTER」上で経路検索をした場合は、結果画面に「JR東日本アプリ」へのリンクバナーが表示される。今のところ特定駅とは、東京、品川、渋谷、新宿、池袋、上野、新横浜、仙台、長野、JR西日本側は、金沢、京都、新大阪、大阪、三ノ宮、岡山、広島、博多となる。今後両社は一部線区の走行列車位置を表示できる検討をしており、JR西日本では「WESTER」の「マイ駅機能」にJR東日本の主要駅を掲出できるよう検討中だ。UIに対する利用者の利便性の追求は、一朝一夕にという訳にはいかない部分もあるだろう。今後両社のアプリの普及率を上げるため、企業の総務や営業部、経理、出張の多いビジネスマン、一般旅行者、ホテルや代理店などの旅行業界、鉄道ファンなどの愛読紙だった「JR時刻表」や「JTB時刻表」が蓄積した利便性や、路線検索アプリ、フリーペーパー各社とのコラボレーションなどが生まれないか密かに期待したい。

2021年度東京臨海部実証実験の参加者を決定 他

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7月2日 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が、管理法人を務め内閣府が実施する、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」において、①2021年度東京臨海部実証実験の参加者(22機関)を決定した。また、あわせて、②2019年10月~2020年度末まで実施した東京臨海部実証実験の成果を公表している。①については、交通環境情報の更なる広範囲での利用促進に向け、これまで整備したインフラ情報に加え、新たに公衆広域ネットワーク(V2N)を利用した「交通環境情報」を整備、実証実験を行う。本実証実験では、車両プローブ情報(実際に自動車が走行した位置や車速などの情報を用いて生成された道路交通情報のこと、その他ワイパーの使用頻度から天候情報、ブレーキングや燃費情報まで、様々な情報生成が期待される)を活用し、車線別の渋滞情報、交通規制情報、落下物情報、気象情報、緊急車両情報、事故車に関する情報などの「交通環境情報」を提供、本年秋以降に実証実験を行う。また、SIP自動運転では、自動運転システムの外界との接点となるカメラ、Radar、LiDAR等の各種センサーを同時に評価するシミュレーション評価基盤を構築するため、様々な交通環境を仮想空間で模擬できる実現象と一致性の高いシミュレーションモデルを開発しており、今後臨海副都心地域を中心に仮想的な安全性評価環境を構築し、参加者を募集し、本年度秋以降に実証実験を実施する。気になる②に成果報告ついては、3地域(A.臨海副都心、B.羽田空港、C.双方を結ぶ首都高)に分け、A.では、信号(ITS無線路側機)からの信号情報提供環境と信号情報とリンクした高精度電子3次元地図など、B.では、信号(ITS無線路側機)からの信号情報提供環境と磁気マーカー路線、仮設バス停、専用レーンなど、C.では、合流支援情報提供環境とETCゲート情報提供環境、車線別交通規制情報提供環境などのインフラが整備され、車載機器とともに実証された。A.では悪天候下や逆光などカメラや肉眼では認識が困難な状況でも信号灯火色の識別したり、信号が変わるタイミングを先読みし、急制動を防ぎ安全かつスムーズな車両停止に成功している。また、一般の自動車、自動運転車、歩行者等が混在する実交通環境下における影響評価を行っているが、交差点の右左折時の交通量や、歩行者の挙動に顕著な変化は観測されなかった。しかしながら、ジレンマゾーン(黄色信号切替え時点で、通常減速度では停止不可、かつ、現在速度維持で黄色信号中に交差点(停止線)通貨不可となる領域)の挙動では、自動運転車の判断とトライバーの判断に差が発生し、後続車が急制動を行う事象が観測されている。B.では、介助なしで車椅子の乗降を実現するバス停への正確な幅寄せの実現や、バス優先の信号制御により、平均所要時間の短縮及び運行の定時制などが検証された。C.では、高速道路上で視界を遮断する壁があるような合流地点でも、事前に本線を走行する車両を把握したり、ETCゲートを視認する前に開閉情報を取得し、安全かつスムーズな走行を可能とすることを検証した。今回の成果報告により、インフラ導入の効果の明確化、自動運転に必要なインフラ配置のあり方や、インフラおよび自動運転車が道路交通に与える正負両面の影響などについて整理を進め、更なる課題の抽出が出来たようだ。

MaaS Tech Japan、交通データ×人流データによる混雑予測情報提供を通じた行動変容効果の検証結果を公表 他

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7月1日 MaaS Tech Japanは、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」の助成を受け、4/22には、移動情報統合データ基盤「TralSARE」(トレイザー)β版の開発を完了し、交通機関×人流データによる混雑情報ダッシュボード「PeopleFlow」を公開、ゴールデン・ウィーク明けの5/14には、「TralSARE」×LINE×Microsoft Azureとともに全国各地のMaaS普及拡大の支援を発表していた。5/24には「TralSARE」のサービスサイト(https://traisare.maas.co.jp)をオープンさせ、この6/29には混雑予測情報提供を通じた行動変容提案の可能性に関する評価検証を行い、その結果を公表した。「TralSARE」は、2019年から開発が進められ、各事業者などに多様な形式・フォーマットで保有されているモビリティデータを連携させ、様々な分析や予測を可能にするための「MaaSデータ基盤」だ。技術的にはその他、モビリティデータの「リアルタイム活用」(事業者のアクション策定に役立つ)、「解析の高度化」(シミュレーションに基づいて計画やオペレーションの改善・最適化に活用できる)などの特長を備える。その一つのユースケースに当たるのが、交通機関×人流データを掛け合わせた混雑ダッシュボード「PeopleFlow」だ。「PeopleFlow」を利用すると、交通機関の混雑を避けたいが従来は難しかった、ある期間中の、任意の時間の、鉄道駅周辺エリアや混雑多発エリアの混雑情報を、「人流データ」(どこからの流入が多いか?と言った人の移動経路を加味した分析)をもとに、事前に把握することが可能となる(平常時の混雑予測情報の提供)。そして遅延時の混雑参考情報(現在の鉄道等の遅延情報に類似した過去の日時の混雑情報)の取得が可能となる。4月のβ版で活用されたのは、鉄道駅・路線データ(公共交通オープンデータ協議会)や、混雑統計データ(ゼンリンおよびゼンリンデータコム)で、対象は首都圏エリア(東京、神奈川、千葉、埼玉)だった。「TralSARE」のユースケースとしては、東京メトロ(「my!東京MaaS」)、広島県(地域公共交通の維持確保を目的とした基盤づくりを推進する「広域MaaS推進事業」)などの名前が挙がる。東京都のモニタリング会議は、専門家が都内の新規陽性者数の増加比が上昇、感染再拡大が指摘され、現在の増加比が継続した場合、4週間後には1日に1000人を超える規模となると指摘、菅首相も東京オリンピックの観客の扱いについて「無観客もあり得る」と明言しており、来週にもその決定がなされる見通しだ。大会組織委員会は6/23に発表した観客の行動ルールを示したガイドラインで大声での応援の禁止の他、自宅と会場との「直行直帰」といった感染防止対策への協力を呼びかけている。

運転記録装置、新型車に搭載義務化 | 共同通信 他

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6月30日 自律運転車両は常に車両の周囲の状況や、自車位置、交通規制情報などをLiDARを始めとするセンサー類から収集し、或いは周囲の車や信号などのインフラ設備、歩行者(が持つ端末)、ネットワークから情報を得、車両の操作履歴や挙動などのデータを車上端末に蓄積、必要に応じてサービサーにこれらの情報を提供している。6/29に米道路交通安全局(NHTSA)は、自動車メーカーと先進運転支援システム及び自動運転システムを装備した自動車オペレーターに対し、衝突事故が起きたと分かった場合、1日以内に報告する命令を発した。一方、我が国の国土交通省は6/28に「今後の車両の安全対策のあり方 ~交通政策審議会自動車部会報告書の取りまとめ~」を発表した。交通事故の状況は、近年改善傾向にあるものの、令和2年においても死者数2,839人、重傷者27,774人であるなど、依然厳しい状況だ。今後5年間の対策の方向性は、①交通事故の更なる削減のため「高度な安全運転支援技術」の開発・実用化・普及促進がカギ、②少子高齢化が進展する中、高齢運転者の交通事故防止と子供の安全確保が重要、③死者数の半数超を占める「歩行者」「自転車乗員」の安全確保が重要、④交通事故の抜本的な削減に資する「自動運転技術」の開発を促進、となる。同省では、令和3年の「第11次交通安全基本計画」を踏まえ、今後の車両の安全対策の方向性及び目標を検討するため、交通政策審議会自動車部会の下に技術安全ワーキンググループを設置し、報告書を取りまとめた。報告書は「交通事故のない社会を目指した今後の車両安全のあり方について(概要)」「交通事故のない社会を目指した今後の車両安全のあり方について」となっている。前者の中身を拝見すると、重点項目の4番目に【自動運転関連技術の活用・適正利用促進】の中で注目したいのは、安全運転支援装置等の搭載加速化・性能向上の項目の下に「事故自動通報システムの搭載拡大、課題検討」、自動運転車の開発促進・安全確保の項目の下に「自動運転車のデータ記録安全基準の拡充」、またその他車両安全対策の1番目にある「車両安全対策の推進体制」の<今後の方向性の例>の中には、高齢運転者の運転特性等の把握や車載記録装置の活用の促進に関する項目があり、その配下に「EDR(イベントデータレコーダー)やドライブレコーダー等から得られる車両データの事故分析等での活用促進」との項目があることだ。自律運転の時代を迎え、車両の走行や運転に関わるデータは、普段からカメラやセンサなどの車上装置等により記録され、通常は車上の記憶媒体かクラウドに管理されることとなり、有事にはこのデータが事故状況などの検証・証拠データとして分析され、事故処理や保険、或いは訴訟、そして同じ事故を繰り返すことがないよう事故防止対策等に活用される流れが定着しそうだ。

AOSデータ社、シニア向け動画チャンネル「Husime TV」の新動画、 『70代のスマホ挑戦「ARでシューズ試着!」デジタルって人生より難しいもんか 笑』

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2021年7月1日AOSデータ株式会社 AOSデータ社、シニア向け動画チャンネル「Husime TV」の新動画、 『70代のスマホ挑戦「ARでシューズ試着!」デジタルって人生より難しいもんか 笑』 クラウドデータ、システ・・・

シダックス、長崎・対馬市に社員派遣 自動運転バス支援 他

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6月29日 国連の持続可能な開発目標(SDGs)を推進する対馬市とソーシャル・ウェルネス・カンパニーのシダックスは「持続可能なしまづくりに関する連携協定」を締結し、同社よりデジタルマーケティング専門の社員を派遣し、自動運転バスの導入支援に取り組む。対馬市は707.42㎢の広大な市域を持ち、面積の89%を山林が占め、標高200~300mの山々が海岸まで続く急峻な地形を持つ島だ。人口は28,511人(令和2年 国勢調査人口速報集計)。産業は第一次産業が19.88%(うち林業は5%)、第二次産業が13.09%、第三次産業が66.93%(うち56%がサービス業)を占める。対馬ではスマートアイランドの実現に向け、①公共交通、市民の移動手段の確保、コミュニティの維持等社会インフラの整備、②観光へのMaaS導入による産業の振興、③林業作業等自動運転技術の活用による産業の振興と環境の保全、④自動運転船を活用した漂着ごみ回収による環境の保全などを行い、少子高齢化の進む市の社会維持や活性化を図っている。島内には小規模の集落が散在、道路は南北の縦貫線を軸として、そこから枝葉となる支線が伸びる構造だ。公共交通の維持コストやバスドライバーの高齢化が進み、免許返納者が右肩上がりとなった結果、住民の移動手段の確保に迫られる。観光では訪日外国人がレンタカーで島内を走行するスタイルが増え、交通事故増加や、観光や買い物スポットの検索が困難であった。また約9割を占める山の材積量(立木を含めた木材の体積)は1300万㎥と試算されるが、林業従事者は平成27年現在、141人に減少、林業の衰退が進み資源の産業化が出来ない。またリアス式海岸である浅茅湾(あそうわん)を有する等複雑な海岸線の延長は915㎞に及ぶ。特に西海岸には、近隣諸国から流れ着く大量のゴミ(産業廃棄物)が押し寄せ、環境問題となっている。対馬市では、これらの課題に対し①コミュニティバスの維持等、市民の移動手段の確保、②観光路線でのMaaS活用、③自動運転の林業機械の導入による、森林資源の利用量を増やし、産業振興を図る。④自動運転船を活用し漂着ごみの回収を行うことで、コスト削減と、収集したごみのリサイクルを図るなどの方向性を示している。2019年8月に対馬市と明治大学研究・知財戦略機構自動運転社会総合研究所、SBドライブ(現:BOLDLY)などが連携し「対馬厳原港まつり」の開催に合わせ、自律走行バスの実証実験を行っている。当時の実証実験の目的は、自律走行バスの社会受容性の拡大や実用化に向けた課題の整理など。今回、自動運転バスの導入支援はシダックスの傘下にある大新東株式会社が、車両運行事業や情報通信技術(ICT)を担う。同社は車両運行管理アウトソーシングでは、民間企業や官公庁・自治体を含め、約1,100団体の顧客と約3,600台の車両運行管理を、旅客自動車運送事業においては、利用者減による民間バス会社の路線撤退、財政難の中での補助金の交付などを抱える自治体の課題解決を図るエキスパートで、路線バス撤退後の自治体バス(民間路線代替バス)の運行管理を各地の自治体から受託している。同時に要望に応じてデマンドバスの運行等の提案を行っており、2019年6月現在で98台~のコミュニティバスの運行管理業務を受託している。約1年前に当たる令和2年6月23日に行われた対馬市の「第2回 対馬市議会定例会会議録(第8日)」では、自動運転バスが運行できるエリアが拡大されないと(住民の)理解が進みにくい、との質疑に対し、比田勝尚喜(ひだかつなおき)市長は、自動運転関係を本年度も上地区で進める旨を回答し「AI関係を活用して進めるとして、今対馬の中でこの情報通信の部分がまだまだ脆弱であるので、この情報の脆弱さを是正する意味でも、インターネットの基盤関係をもう少し整備する必要があろうかと考えているところであり、今現在総務省の地域情報化のアドバイザーである鹿児島大学の先生のご支援を受けて、対馬市の情報通信基盤整備の策定に着手している」旨を回答している。このやり取りは、自動運転バスを導入する自治体は、自動運転バス自体に係る導入費や運用コスト以外にも、市域の情報基盤の整備コストを考慮する必要があることを示唆している。実証に参加したSBドライブ(現:BOLDLY)の力を借りたいところでもある。その後の経過が気になるところだ。

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