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100年に一度の大変革!自動運転の普及に伴う法整備はどうなる? 他

1月25日 昨年「VISON(https://vison.jp/)」の開村で話題に上った「三重県広域連携スーパーシティ構想」。スーパーシティ構想とは、内閣府の地方創生推進事務局『「スーパーシティ」構想について』によれば、AIやビックデータを活用し、社会の在り方を根本から変えるような都市設計の動きが、国際的には急速に発展していること、(我が国が)先行している部分もあるが、世界各国でも以下のような「まるごと未来都市」は、未だ実現していない、との背景がある。「以下のような」とは、エネルギー、交通などの個別分野にとどまらず生活全般にわたり、先端技術の実証を一次的に行うのではなく暮らしに実装し、技術開発側・供給側の目線ではなく住民目線で未来社会の前倒し実現すること。我が国にも、必要な技術要素は、ほぼ揃っているが実践する場がない。スーパーシティは言うなれば、住民が参画し、住民目線で、2030年頃に実現される未来社会を先行実現することを目指すもの。ポイントとなるのは、生活全般にまたがる複数分野の先端的サービスの提供であり、複数分野間でのデータ連携、そして大胆な規制改革を含む、実践の場と言うことが出来る。「三重県広域連携スーパーシティ構想」を構成する三重県多気町、大台町、明和町、渡会町(わたらいちょう)、大紀町(たいきちょう)、紀北町の6町は、経済産業省の「地域新MaaS創出推進事業」と国土交通省の「スマートシティモデルプロジェクト」に選定されている。係る構想の「複数分野」のうちの一つは、これらの地域住民への医療やヘルスケアの提供である。6町には高齢者の医療費高騰、公共交通機関縮小によるアクセス不良、慢性疾患者の放置による医療費の増加、地域医師高齢化に伴う中長期的な不安があり、特に医療費の高騰や、医療施設へのアクセス不良、慢性疾患未治療者の地域格差は6町共通の課題とされていた。地域自治体は住民にデータ連携によるウェルネスの創造、医療MaaS(診療・薬剤)の提供、海外からのオンライン診療の提供を提案し、必要な規制改革として医療法や医師法、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)を上げ、同時に必要な規制緩和として医師法、歯科医師法、保健師助産師看護師法、国家戦略特区規制改革メニューなどを上げた。つまり「大胆な規制改革」に当たる。これらの改革の後、住民には医療アクセス改善による疾病放置の未然防止(自助推進・互助実現)、デジタル融合に拠る地域システム(互助)実現、デジタルと自然の融合で地域共助を創造するなど、住民の暮らしや体験に変化が起こることが期待されている。また、海外からの観光客も安心して長期滞在が可能となり、観光客のサポートを充実させることも出来る。地域では医療資源を効率的に活用することが出来るようになり、デジタル連携で地域医療の概念を見直すことが出来るという。キーワードは「規制改革・緩和」だ。地域を考えて作られて来た様々な規制の枠、今この枠組みを一度取り払うことで、地域住民は様々な恩恵を享受できるようになる。医療のデータ連携、医療機関へのアクセスの確保や、多目的車両を運行させることで、訪問医療の提供が実現される。また海外医療機関との「オンライン診療」が旅行者やビジネス滞在者の「安心」を増し、地方の働き手として重要な海外長期滞在者の長期滞在や定住にもつながる。地方創生は単に「地図上の自治体管轄」と考えず、地域に協力してくれる様々な「分野」に広く門戸を開き、同時に協力を仰ぐことも必要であり、地域医療の恩恵を受益する市民自身も、マイナンバーポータル連動(オプトインデータ活用)などに理解や協力を示してこそ、早期に実現できるのではないかと思う。

交通事故データとタクシー配車システムを連携、交通事故防止に向けた実証実験開始 他

1月24日 ホンダは米国カリフォルニア州にあるHelm.aiの3000万ドルのシリーズB資金調達に投資する。目的は最先端の人工知能ソフトウェアの継続的な開発を強化するため、としている(ホンダの発表では、AI技術やコンピュータビジョン(コンピュータによる視覚情報から特定の要素を認識し、その結果から必要となる情報を提供する技術)といった領域におけるソフトウェア技術の開発強化となっている)。Helm.aiは、2016年11月に設立されたスタートアップで、ホンダのオープンイノベーションプログラム「Honda Xcelerator」(スタートアップ企業へ事業開発のリソースを提供するプログラム)を通じて、2019年からコラボレーションを行ってきた。同社は「教師なし学習」によるAI画像認識技術に強みを持つという。教師なし学習とは、AIを支える技術である機械学習の手法の一つ。入力データに対してどのような正解を導き出すかを学習させる「教師あり学習」と異なり、機械に正解を与えず学習させ、自力でデータの規則性や特長を導き出す学習方法のことだ。この投資により、Helm.aiのAIソフトとホンダの持つテクノロジーの組み合わせにより、ホンダの自律型ソリューションの研究開発に弾みが付く。Helm.aiのCEOであるVladislav Voroninski氏は、「ディープティーチングによるスケーラブルなAIアプローチが、自動運転とロボット工学の未来に独自の価値提案を提供することを更に証明していきます」と述べている。また同氏は「セーフクリティカルシステムの自動化への人工知能の適用において画期的な進歩を遂げることに興奮しています」とも述べている。自動運転システムには、大量の歩行者、車、標識、その他オブジェクトのデータが画像とともに取り込まれる。これらのオブジェクトの殆どはシステムが自分で、それらを認識出来るようラベルを付ける必要がある。ラベル付けされたデータセットが存在しない場合、教師なし学習(自己監視学習とも呼ばれる)は、ドメイン知識(または領域知識は、はっきり限定された、ある専門分野に特化した分野の知識)のギャップを埋めるのに役立つという。helm.aiのシステムはダッシュカメラからデータを取り込み、画像を処理してクラスター化し、自動的にタグ付けします。この手法を活用することで、同社はフルスタックソリューションが急勾配で曲がりくねった山道のデータをトレーニングしなくても、1台のカメラを使用してこれらの道路を運転できると主張する。一般的に「教師なし学習」では、システムの予測に偏りや欠陥がある可能性を排除することは出来ないと言われている。一部の専門家は、これらのバイアスを取り除くには、特定のバイアスを「教える」ためキュレートされた追加のより小さなデータセットを使用した「教師なしモデル」の専門的なトレーニングが必要になるという。Helm.aiの30人の従業員はバイアスの緩和策については口外していないようだが、ホンダのオープンイノベーションプログラム「Honda Xcelerator」に参加するチップ企業と自動車のTier1に加え、「いくつかのトップOEM」と協業していると述べている(https://helm-ai.medium.com/?p=14732a70046b)。ホンダが「Honda Xcelerator」で協業する企業はいくつかあるが、同社はこれまでにDrivemode、Moixa、SoundHound、ubitricityなどと戦略的な出資や買収を行っている(https://techblitz.com/svs2019-sv-honda/)。既に2021年にLevel3のリース販売を実現させ、GMや同社傘下のクルーズとともに、Level4での車両運行を目指すホンダ。また、昨年9月から栃木県宇都宮市・芳賀町のテストコースにおいて「クルーズAV」を走行させ、高精度HDマップを生成するMMSを開発している。現在、ADAS対応(死角の視認など)やあおり運転への自衛措置(記録/テレマティクス)などの潮流により、市販車へのドライブレコーダーや車載カメラの搭載率も急速に上がっている。Level4におけるカメラの搭載や画像解析の主な目的は、従来の周囲の記録や視認から自律運転システムを搭載した車両が安全に走行するための認知や判断に必要なデータ収集に遷移していく。Level4においては、自車の周囲200m以上もの広範囲の把握が求められることになるという。Level4の自律運転システムを安全に走行させるためには、高精度HDマップなどの技術に加え、今まで以上に「認知」方面でも精度向上が求められることとなる。helm.aiへの投資には、そのような背景もあるのではないかと思われる。

Autopilotで死亡事故を起こしたテスラオーナー、一般向け自動運転機能に関し初の重罪に問われることに 他

1月21日 2019年に米国カリフォルニア州で発生したテスラ「Model S」の「Autopilot」使用中に赤信号を無視して走行した結果、別の車に衝突し、二人を死亡させたリムジンサービスの運転手に対して、カリフォルニア州の検察官は、2件の過失致死罪を提起した。事故発生から調査を進めて来たNHTSA(米運輸省道路交通安全局)は、最近になり同社のAutopilotが起動状態であったことを突き止めたとしている。NHTSAは停車中の緊急車両にAutopilot起動中のTESLA車が突っ込む事例が11件発生し、17人が死亡していることから、昨年8月にTESLAに対する調査を開始している。NHTSAは、部分的に自動運転システムを搭載する自動車であっても「すべての車両は常に人間のドライバーがコントロール可能な状態にある必要がある」との声明を発表している。自動運転システムを起動中であっても、ドライバーが告発されるケースとなった。国内に目を移すと、1/22~2/4まで西新宿で、自動運転サービスに向けた実証実験が大成建設、ティアフォー、アイサンテクノロジー、損保ジャパン、プライムアシスタンス、大成ロテック、KDDI、日本信号、小田急電鉄らにより行われる。使用される車両(ジャパン・タクシー)にはレベル4相当の機能が搭載されている。車両には、自動運転システム用オープンソースソフトウェア「Autoware」、LiDARや各種カメラ、GNSS(全球測位衛星システム:GNSSはGPSを含む。人工衛星で自分の位置を調べることが出来、上空が開けていないビル街などでも十分な数の衛星からの電波を受け、自己位置を調べることが出来る。)、IMU(慣性計測装置)などが装備されているとのこと。実験では5Gとセンサーの活用により、信号情報やルート上の危険情報の連携、センサーや特殊塗料を用いたトンネル内での走行支援を行う。信号付近では、現在の信号の色と次の信号の色に切り替わるまでの残り時間を車両に通知、これにより通過直前での信号の霧代わりによる急減速や、青色に切り替わる直前に発進準備が可能となり、日差しや街路樹により信号が視認しづらい場合も、安全でスムーズな運行を目指す。交差点では右左折する際の安全性確保のため、センサーを設置、対向車や横断歩道の歩行者を検知させる。これにより車載センサーだけでは検知出来ない死角の検知を補う。急なカーブで構成される駅前ロータリーにおいても、路上に設置されたセンサーが死角の安全確認に活用される。V2I(V:Vehicle、I:インフラ)の技術も含めてだが、AutoPilotが搭載されたTESLA車の赤信号の無視を解決できる可能性を持つ技術が着々と発展する様子も伺えるが、足元では自動運転以前に「逆走による事故」なども、まだ頻発していると言える。国土交通省の高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議(第4回)が平成29年5月に発表した「高速道路における逆走対策」によれば、平成28年の逆走件数は249件、内約2割が事故に至っている。75歳以上の割合は、運転免許保有者の6%であるのに対し、逆走した運転者の45%を占めるとの調査結果がある。高速道路上では、インターチェンジやジャンクション、料金所付近で起きることが多い。このため同省は、平成28年度末時点で「分合流部・出入口部」について、約7割の施設で対策を施した。本線合流部には「大型矢印路面標示」や「ラバーポール(オレンジと白のポール)」、ランプ合流部には「高輝度矢印板」、「大型矢印路面標示」、サービスエリア、パーキングエリア合流部や入口部にも「注意喚起板」、「高輝度矢印板」、「大型矢印路面標示」などを設置した。これらは高速道路出口の一般道路合流部や平面Y型交差部などにも施されている。同省はその後、平成28年11月22日~翌年2月10日まで更なる対策を募った(公募主体は東日本高速道路、中日本高速道路、西日本高速道路)。テーマは①道路側での逆走車両への注意喚起、②道路側で逆走を発見し、その情報を収集する技術、③車載装置による逆走車両への注意喚起である。①にはセンサーとLED表示板、音、光等を用いた注意喚起等、②には路側カメラ、3Dレーザーセンサー等の路側機器・路側センサーの活用、道路管制センターとの連動、③には車載機器による逆走車両への注意喚起、カーナビにより、ドライバーに対し警告等が選択されている。尊い人命を守るため、5GやV2Xの進化とともに、開発者・遠隔監視/操作者、ドライバーへの安全運転の啓蒙や、万が一の事故後の検証、開発にフィードバックされる情報の一角として「フォレンジック」も広く認知されて欲しいと願う。

SF的世界がやってくる!! クルマが人を見分け その行動を先読みする最新技術 他

1月20日 2015年の年末にあいおいニッセイ同和損害保険株式会社は三井海上火災保険株式会社とともに「自動走行実証実験総合保障プラン」の販売開始を発表し、自動運転者の実証実験を取り巻くリスクを保証する「自動走行実証実験総合補償プラン」を共同開発している。当時想定されたリスクには、運行に関わるリスクとして、①運転者(事業者従業員)には、緊急時の操舵によるリスク(自動車保険、自賠責保険)、②事業者には、運転者が原因で事故に遭った場合、企業側が損害賠償請求を受けるリスク、整備・点検不足による事故のリスク、自動車の不具合により、事業者が損害賠償請求を受けるリスク(自動車保険、自賠責保険)、③自動車製造業者等には、自動車の欠陥が原因で事故が発生し、自動車製造業者等が損害賠償請求を受けたときのリスク(PL保険)がある。また、運行に関わるリスク以外のリスクとしては、事業者が、サービス利用に登録した個人情報の漏えいリスク(情報漏えいプロテクター/情報漏えい賠償責任保険)、各企業との提携・連携等、役員の損害賠償責任リスク、実証実験等のオペレーションミスによって発生する事故の損害賠償リスク(施設所有(管理)者賠償責任保険)がある。2社はこれら保険以外にリスク評価コンサルティング(予めリスクを低減させるサービス)も用意した。およそ5年後に当たる2020年3月には、自動車事故が起きた際、フォレンジックの技術を用いた原因調査の概念が加わり、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社はグループのあいおいニッセイ同和損害調査株式会社に業界初となる「画像解析フォレンジック」が本格導入されている。リリースを拝見すると、テレマティクス自動車保険が開発されたことや、テレマティクス保険を提供する中で得られるデジタルデータ(運転挙動データ、ドライブレコーダー動画)を活用し、万が一の際にも事故事案の解決を迅速かつ適切にサポートする体制が構築され、サービス化された様子を伺うことが出来る。また、昨今事故の原因調査の場面において、ドライブレコーダー動画等のデジタルデータを重要な証拠として取り扱うケースが増加していることが紹介されている。話は陸から海へと移るが、日本財団では「MEGURI2040プロジェクト」が進められている。このプロジェクトは、無人運航船の実証実験を成功させることにより、この分野の技術開発への更なる機運を醸成、日本の物流及び経済・社会基盤の変革を促すとともに、当該分野の技術開発を支援する。背景には、内航船員の急速な高齢化や、国内に約400あるとみられる有人離島の生活航路の便数不足や離島航路の維持、さらにヒューマンエラーにより引き起こされる海難事故への対処などがある。また実証実験を通し、関連分野の技術力向上、無人運航船に係る国際基準化・標準化の先導、無人運航船への社会受容度の向上などが期待されている。プロジェクト名には、無人運航の実現により流通、人、コスト、交通などの循環が改善し、ひいては日本の循環が良くなって欲しいとの願いが込められている。国内では、これまで自動車を中心に鉄道や産業機械方面での無人化(自動運転化)が活発に進められているが、海運関係については船陸間の通信環境の整備や、障害物の回避技術、経済面(開発費が莫大)などの事情があり、無人運航船の開発は足取りは重かった。しかし、IoTやAI画像分析技術などをはじめ世界的に高い水準の技術を保持していることから、技術を持つ複数の企業の連携も進み始めている。日本海洋科学など29社が参加する「無人運航船の未来創造~多様な専門家で描くグランド・デザイン~」や、三井商船など7社が取り組む「内航コンテナ船とカーフェリーに拠る無人化技術実証実験」、ITbookホールディングス他4社・団体が取り組む「水陸両用無人運転技術の開発~八ッ場スマートモビリティ~」、丸紅他3社・団体が取り組む「横須賀市猿島プロジェクト」、新日本海フェリー、三菱造船の「スマートフェリーの開発」などのコンソーシアムが立ち上がり、新たな装備やシステム、技術の開発が進む。2021年11月現在、各陣営では2021年度末の実証実験に向け、新たな装備やシステム、技術、仕組みを開発している。今回の実証実験の特徴は、船舶交通量の多い海域の航行、長距離航行、大型船を用いた世界初の試みとなるという。1/17に本プロジェクトの一環として、大型フェリー「それいゆ」を活用し北九州市の新門司~伊予灘の海域(約240km)で、日本財団と新日本海フェリー、三菱造船により、無人運航船の実証実験が行われた。技術開発は船舶自動化、省力化を行う航海支援システムの開発の実績を持つ三菱造船が行い、システム全体の統括までを担当、システムの要件設定と運航は新日本海フェリーが担当した模様だ。今回使用された「それいゆ」には、赤外線カメラにより夜間でも他船検出が可能な物標画像解析システムや、自動避航機能を含む自動操船システム「SUPER BRIDGE-X」、自動化が困難な船の回頭や後進を伴う高度な自動離着岸操船システムなどが搭載されている。「MEGURI2040」の直前となる2021年9月8日から、日本郵船や㈱MTIは、イスラエルのORCA AI LTD.が開発した船舶の見張り業務をサポートする「船舶自動物標認識システム」の試作品を日本郵船グループ運航船に試験搭載し検証を行っている。これら2社は2021年11月5日から、東京計器、日本海洋科学、古野電気らと国交省の令和3年度「海事産業集約連携促進技術開発支援事業」の補助対象事業に採択された「自動運航システムの開発基盤の確立と自動運航システムの要素技術開発」を開始している。近年、世界で急速に進む自動運航船は、周辺情報の認知や避航ルートの判断、避航対応などを担う複数の機器やシステムで構成されているため、安全性や経済性などを検証し、評価する体制や方法、評価軸が複雑化しており、それらの整備が喫緊の課題となっているという。陸上の事故調査におけるフォレンジック技術(画像解析)の有用性が認知され、サービス化されるまでに凡そ5年。海上においてフォレンジック技術が認められるのはいつになるだろう。運輸安全委員会ダイジェストNo.23によれば、内航貨物船・内航タンカーが関連した事故等全体の発生件数は、平成23年が282件、平成27年が138件で半減しているが、船舶同士の衝突の発生件数は(318件、年平均63.6件)は、ほぼ横ばいで減少しているとは言えない状況と言える。(参考_https://www.mlit.go.jp/jtsb/bunseki-kankoubutu/jtsbdigests/jtsbdigests_No23/No23_pdf/jtsbdi-No23_02.pdf)

自動運転の主戦場は「物流」に、ウェイモがJBハントと提携 他

1月19日 この国には中央銀行でも、都市銀行・地銀や信託銀行、ネットバンクですらない、街中で同行の看板を見る人も殆どいないであろう巨大銀行が存在する。分類上は政策金融機関(政府系金融機関)であり、同区分に入る銀行は日本政策金融公庫、国際協力銀行、沖縄振興開発金融公庫、地方公共団体金融機構、住宅金融支援機構など。その銀行の名は、日本政策投資銀行。株式会社日本政策投資銀行法に基づき設立(2008年10月1日)された。前身は復興金融金庫、日本開発銀行、北海道東北開発公庫、旧日本政策投資銀行。現在は民営化。金融サービスとして、融資、投資、認証・独自プログラム(地域緊急対策プログラムなど)、コンサルティング/アドバイザリー(イノベーション創造サポートなど)、アセットマネジメントなどを行う。調査研究レポートなども発表しており、MaaS関連などで言えば、「観光地型MaaSの現状と展望-新常態における”観光立国”関西の飛躍に向けて-」(2021年4月_同行関西支店)や、自動運転関連などで言えば「自動運転開発をめぐる国内外の動向~北海道における自動運転技術の開発拠点化を考える~」(2017年1月_同行北海道支店、産業調査部、NY駐在員事務所)など、自動運転やMaaS開発に携わる人々にとっては大変興味深く、事業開発の参考となるレポートも発表している。同行の産業調査部は、1/28(金)に「2022年自動車業界展望~CES2022調査報告・市場動向と技術トレンド~」と題して、オンラインセミナーを行う(主催:㈱イード/有料)。講師である日本政策投資銀行 産業調査部 産業調査ソリューション室の青木室長は、昨年のトレンドは脱炭素や環境、コロナ禍後の消費者の価値観の変化、2050年を見据えた企業行動であったと考える。本年初めのCESでは、ロボティクスとメタモビリティ、VR/AR、「メタバース」が盛んに取り上げられた。2020年のキーワードとなりそうなのは「C-V2X(Cellar-V2X)*」「メタバース(デジタルツイン)」「バリューチェーンの変化」だという。* C-V2Xは通信に5Gを含む携帯電話の無線技術を利用するための規格。そして、これら3つのキーワードを支えるのは「OTA(Over the Air)」だと分析する。もう一人の登壇者は、同行の産業調査ソリューション室の前川副調査役である。同氏は、講演で「自動運転の社会実装に向けて」と題して、コロナ禍により影響・変化を受けた経済を背景に、CASEの「A」つまり、Autonomous(自動運転)周りの技術トレンドをもとに、今後の社会実装の在り方について考察する。昨年の自動車業界は半導体の供給不足や、コロナ再拡大による部品供給の制約により、OEM各社が生産調整した結果、消費者側の需要は回復したものの、供給不足に陥っているのが現状だという。その他、自動車業界に影響を及ぼすとされる要因は、米中摩擦やオミクロン株、寒波やエネルギー不足などだ。市場は、コロナの影響で拡大する巣ごもり需要によって物流の増加、ドライバー不足などに直面しているが、これらの変化は自動運転の社会実装を後押しする要因になるとも考えられている。自動運転化の波は、C(コネクティッド)やE(EV/電動化)と相まって車両価格を押し上げる結果、クルマは所有から、リースや相乗りなどシェア、サブスクリプション利用などが進むと予測されるという。自動車産業自体は、CASEにより、従来のハード中心からソフトの重要性がさらに高まる流れになると考えられている。同氏は法制面では、官民がバランスよく進めていく必要があり、インフラ整備や法整備は官、技術開発は官民が上手く連携・配分することが望ましいとしている。これらの環境を踏まえ、企業は注目すべき自動運転技術をどのように捉えたら良いのか?アナリストである前川氏は、どのような技術に注目が集まっているのかは「特許」を元にした技術価値分析が可能と考えている。従来の特許による分析は取得件数を指標にすることが多かったが、それでは技術(特許)の価値が判然としないが、特許が引用される件数や出願国の市場規模など「複数の要素に重みを付け分析する」ことで特許の価値を定量化し、さらにテキストマイニングにより「技術分野を特定・分類する」ことで、分野や技術ごとの価値や動向も明らかに出来るとしている。自動車業界、自動車関連業界における特許調査、マーケティング、投資や融資、技術開発などの面で、当社グループのTokkyo.Ai㈱の知財ポータル「Tokkyo.Ai」などの知財検索サービスが、皆様のお役に立つことができる時代が到来していると感じる。

油圧ショベルの自動運転を実証、施工中の現場に適応 他

1月18日 国内建機メーカーと言えば、小松製作所(KOMATSU_11%)、クボタ(KUBOTA_-)、日立建機(4%)、コベルコ建機(-)、海外勢では日本キャタピラー(米・キャタピラー社の日本法人_25%)。その他ではタダノ(-)、住友建機(-)、川崎重工(-)などか。*()内の数字はhttps://kikaiyablog.com/の世界の建機メーカーシェアランキング(2018年)、(-)はデータなし。少し前のデータとなるが、国内の油圧ショベルシェアは、小松製作所(28%)、日立建機(23%)、キャタピラー(18%)、コベルコ建機(14%)、住友建機(7%)、その他(10%)である。*三井住友銀行(2018年1月「国内建機業界の動向」)。小松製作所(コマツ)は、労働力不足やオペレータの高齢化、安全やコスト・後期に関わる現場課題の解決に向け、2020年から「スマートコンストラクション」に取り組む。工期短縮やムダな工程の削減を目指し、DXを推進、まずは全工程のデータ化、実際の現場とデジタルの現場(デジタルツイン)を同期させ、施工の最適化を図る。将来的には、1件の施工をデジタル化することで、複数の施工をリアルタイムに遠隔で繋ぎ、最適化を目指す。ちなみにコマツの建機の稼働管理・分析を行う遠隔システムは「Komtrax」というが、同社は、2021年7月から、新会社「EARTHBRAIN」を設立、NTTドコモ、ソニーセミコンダクタソリューションズらとプラットフォームやアプリケーション、現場の見える化のためのデバイス開発・提供を進める構えだ。これら建機の電動化や自動化により、現場の生産性向上、建機の燃費向上、稼働機械の台数削減を実現し、CO2削減に繋げたい。クボタ(KUBOTA)は、農業ソリューション事業で、データ活用と自動化を合わせた新しい農業の在り方「スマート農業」を推進、農業人口減少、今後訪れる世界の人口増加による食糧不足を農業の生産性を向上させることで解決しようと挑む。農業における情報をクラウドに収集・活用し、営農を支援する精密農業システムKSAS(クボタスマートアグリシステム)や無人作業を可能にする自動運転農機(トラクタ・田植え機、コンバイン)などを活用したスマート農業が効率的・高利益な農業経営を実現させるとしている。世界に販路を持ち、現地の課題に真摯に向き合うスタイルは健在だ。2022年1月14日に日立製作所から、伊藤忠商事・日本産業パートナーズが折半出資する「HCJIホールディングス合同会社」への日立建機の株式譲渡による筆頭株主の移動が発表されたばかりの日立建機は、道路工事やダム・空港・宅地造成などに用いる土工用振動ローラに、転圧システムの自律化を試みる。24時間365日の稼働が期待される鉱山現場などでは、超大型油圧ショベルの長距離遠隔操作や自律運転の開発とともに、ダンプトラックの自律走行システムの開発を推進している。また自律型建設機械向けシステムプラットフォーム「ZCORE(ズィーコア)」は施工現場内の人、機械、現場環境の情報を連携させ、現場全体の安全性や生産性の向上を図る。日頃メディアで目に触れ華やかとも言えるオーナーカーやサービスカーの自動運転化とは、一線を画す産業用機械の分野においても、ハイブリッド化からピュアEV化、自動(自律)化などは、利用者側となる大手建設会社とともに、日々活発に進展していると言えよう。

千葉幕張新都心で自動運転バス運行…東京オートサロン2022に合わせた理由がある 他

1月17日 1/15(土)~1/30(日)まで福岡地所は、九州最大のアウトレットモール「マリノアシティ福岡」で、電動キックボード「mobby」や電動ゴーカート「Ninebot Gokart」の市場体験会「モビリティサーキット in マリノア」を開催している。本実証実験は、モビリティ提供会社として㈱mobbby rideが、再生可能エネルギーを使った「グリーン充電ポート」を大成建設と大成ロテックが提供している。本実証実験は、大成建設グループにより研究・開発が進められてきたワイヤレス充電システムと路面太陽光ユニットを組み合わせた「グリーン充電ポート」を活用し、mobby社の提供する電動キックボードへの無線充電を行い、その有用性を確認する目的で行われる。大成建設は、大倉喜八郎が1873年(明治6年)に総合商社「大倉組商会」を設立、1887年(明治20年)に渋沢栄一、藤田伝三郎らと協力し日本初の法人建設会社「有限責任日本土木会社」を起こし、その後東海道線の建設や鹿鳴館、琵琶湖疎水、1927年(昭和2年)~は銀座線の上野~浅草間などの歴史に名を刻む建築実績を持つ。2020年東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となった国立競技場の設計施工も同社だ。同社中期計画(2021-2023)では、特にサステナビリティ、エネルギー・環境分野において、日本政府のカーボンニュートラル宣言を受け、同グループにおける事業活動によるCO2排出量目標を2050年に「実質ゼロ」としている。これはサプライチェーン排出量におけるスコープ1(自社の燃料の使用に伴う排出)・2(他社で生産されたエネルギーの使用に伴う排出)にあたり、大成建設グループは、グループの電力消費量を賄う目的として、2030年度までに100MWの再生エネルギー電源の保有を目指す。スコープ3(企業のサプライチェーンに相当するその他間接排出/原料調達・製造・物流・販売・廃棄など組織活動に伴う排出)に対しては、事業活動の上流に対しては、カーボンリサイクル・コンクリートの開発・利用などのグリーン調達を推進し、下流においては次世代高機能ZEB(Net Zero Energy Building/快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物)の開発・実用化により引き渡し後の建物使用によるCO2排出量を削減していくことを重点課題としている。ZEB環境を創るためには、消費エネ技術と創エネ技術、エネルギーマネジメント技術などが必要とされる。このうち創エネに使われるエネルギーには、太陽光発電やバイオマス発電など再生可能エネルギーが活用される。大成建設グループは、今回の実証実験において「ワイヤレス充電システム」と「路面太陽光発電ユニット」と呼ばれる二つの技術を投入している。「ワイヤレス充電システム」は、充電が必要な(本件の場合は、電動キックボード内の)バッテリーに対し、電源から無線で電力を供給する仕組みだ。本件では「グリーン充電ポート」と呼んでおり、供給する電力は太陽光発電により生成されている。実証では発電の安定性や車体側の受電装置の安定性を明らかにするとしている。大成建設はEVが走行中に路面から給電できる「走行中ワイヤレス充電システム」などに繋げたい考えだ。また「路面太陽光発電ユニット」は、地面に設置する太陽光発電パネルのことを指す。太陽光を利用するためには、発電パネルの設置場所が必要となるが、設置場所不足の課題解消を狙う。設置は日照条件の良い道路や歩道、駐車場などの路面が想定されている。同ユニットを提供する大成ロテックはグループ内の道路舗装会社だ。現在、道路舗装大手は、路面の発電施設化に取組んでおり、今後普及する「電動化モビリティ」の拡大に伴う充電需要の取り込みと、環境規制への対応を両立したいのではないかと思われる。国内の道路の総延長は約130万キロと言われ、これらが給電機能を持てば、脱炭素化した新たな太陽光発電所が生まれるのと同義だが、勿論、良い事尽くめではない。現行の道交法の改正、コスト問題、発電効率、耐荷重、敷設時に削られるアスファルトの再生などへの対応も必要とされる。各社は国道交通省に法改正を求めつつ、駐車場などで実証実験を進めているのが現状のようだ。

警察庁、自動運転の実現に向けた調査検討委員会実施 制度の方向性を確認 他

1月14日 警察庁の「自動運転の実現に向けた調査検討委員会」は令和3年12月に検討結果報告書を発表している。日本政府は「官民ITS構想・ロードマップ2020」(令和2年7月15日 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)において、2022年度頃限定地域における遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスを開始、2025年を目途とし各地で無人自動運転移動サービスの実現を目指すとしている他、同年には高速道路でのSAEレベル4の自動運転トラック、自動運転自家用車の市場化も目標に置く。同じく政府の成長戦略会議の「成長戦略フォローアップ」(令和3年6月18日)では、2020年度目途に限定地域で遠隔監視者1人で3台以上の車両走行を可能とするため、2022年度の早い段階で制度整備を行い、公道での地域限定の無人自動運転移動サービスについて、2025年度を目途に40カ所以上の地域で、2030年までに全国100個所以上で実現するとしている。警察庁では、令和元年度からレベル4の自動運転の実現に向けた環境整備を図る目的で、新たな交通ルールの在り方に関する調査研究を行い、昨年度はレベル4の自動運転に関するルールの在り方や自動運転システムがカバーできない事態が発生した場合の安全性の担保方策等について一定の方向性を得たとしている。今年度はさらに限定地域での遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスを念頭に、具体的な検討を行う。今年度の検討の前提は、自動運転中は「自動運転中は「運転者」が遵守すべき交通ルールのうち、定型的・一般的なものを自動運転システムが代替」「自動運転中でない場合は、従来の「運転者」が存在する場合のルールで対応」「自動運転移動サービスの提供に携わり、状況把握、連絡等の役割を果たす自然人の存在を想定」としている。今のところ、福井県永平寺町で行われている遠隔監視・操作者が存在するレベル3の自動運転移動サービス(令和3年3月認可/1:3/自転車歩行者専用道に設置された電磁誘導線上を走行)を「モデル」として、遠隔監視のみの運行に移行することを想定し、検討を行うとしている。ODD(走行環境条件)などを見ても、慎重の上にも慎重を期する姿勢だが、安全を守る組織である以上当然の姿勢であるとも言える。今年度の論点は、「運転者の存在を前提としない自動運転システムの性能について」「認定による特例の適用について」「審査基準及び審査方法について」「関係者の理解と協力を得るための手段について」「行政処分のあり方について」だ。警察庁は「自動運転の実現に向けた調査検討委員会」の中で、開発動向等をシステム開発や実証実験に携わる自動車メーカーや大学・研究機関、運送事業者等の調査主体に広くヒアリングを実施している。設問のうち「現場での個別具体的な対応について(認知方法)」がある。個別具体的な対応が必要なケースとしては、①進行方向に存在する警察官等による交通規制の識別、②進行方向に存在する警察官等の手信号の識別、③交差点付近以外の場所において接近する緊急自動車の避譲、④交差点付近以外の場所において接近する緊急自動車の優先、⑤進行方向に存在するぬかるみ又は水たまりが挙がっている。これらの個別具体的事象を識別することが出来ないが、予定通りの自動運転が継続出来ず、対応が要求されることを認知することはできる場合。ADS(Advanced Drive System)は、ADS自身の機能により、当該事象を認知することは出来ると回答した調査主体は、①は4主体、②は4主体、③は11主体、④は10主体、⑤は3主体である。自動運転の現状について、なぜ議論に時間を要するのかについても一端を窺い知ることが出来る。また、資料内では委員・オブザーバーによる主な意見のうち、2)交通事故時の責任の所在についても触れられている。興味深いのはレベル4の自動運転中に遠隔から自然人が監視している状態を制度上どのように捉えるべきか、明確にしてゆくべきとの意見が出ている点だ。これまでドライバーや或いは自動運転システム(メーカー)の責任について議論はなされてきたが、遠隔監視者・操作者についての刑事罰という点では、メディアでもあまり表出してこなかったように思う。刑事罰の議論以前の課題として、自動運転車両自体の挙動の記録などと同様、遠隔監視・操作席上で記録すべきデータやその保管方法についても、同様に議論が深まることを希望したい。

雪や雨に強い、フィンランド発「全天候型」自動運転ソフトウェア–良品計画ともコラボする「Sensible 4 」の狙い 他

1月13日 発達した低気圧が千島方面で停滞、北海道付近では、明日にかけても強い冬型の気圧配置が続く見込みだ。今夜以降も日本海側やオホーツク海側では、猛吹雪や大雪による交通障害などに注意・警戒が必要だ。NEXCOでは、1/13(木)正午に長野県と関東地方北部で大雪のため、高速道路の利用を控えるよう発表した。管内の高速道路でも、チェーン規制や通行止め等の規制があるようだ。ドライバーには、冬用タイヤの装着やタイヤチェーンの携行を呼びかけている。全日空とJALは13日だけで32便が欠航する。昨日は同じ2社で234便が欠航、2日間で約11,000人に影響が出る見通しだ。冬の雪道ではスタックやホワイトアウトなどで交通の混乱が起こりやすい。試みにSOSが必要な時は、後続車への合図、安全な場所への非難、#9910への通報が重要だ。NEXCOは、高速道路の安全を守るため、除雪・排雪作業や、中央分離帯雪氷作業と呼ばれる除排雪時に堆雪した中央分離帯の除雪作業、凍結防止作業(凍結防止剤散布)なども行っている。事故が起きやすいのは長い下り坂、日陰の路面、カーブの手前、橋上、トンネル出入り口、インターチェンジの出口だそうだ。同社では、予め危険個所を「安全チェックポイント」と呼び、Web上でマップを配布している。フィンランドのSensible4(センシブルフォー)は、フィンランドのエスポ―市発のスタートアップだ、同市はフィンランドの南部都市だが、冬季には、平均気温2℃未満の日が続く。2月の平均は-8℃にもなる。同社は、このような都市で全天候型自動運転ソフトウェアの開発を続ける。同社のシャトルバス専用の自動運転ソフトウェア「DAWN」を搭載しているのは、日本の無印良品のバス車両「GACHA」だ。雪や雨、霧などの気候変化に対応させた。国内でも、自動運転バスの冬季運行を見据え、北海道の上士幌町などで、ボードリー(BOLDLY/ソフトバンクの子会社)が昨年末に実証実験を行っている。こちらの実験では雪や氷点下の環境下で、行政と連携し除雪や凍結防止などの道路環境整備を行った上で実施され、積雪による周囲の環境変化やぼたん雪などがセンサーに与える影響(自己位置推定機能に与える影響度合いの把握/ぼたん雪が障害物として検知される度合いの把握)や、氷点下の環境下における車両の走破性(基本的な動作の確認)および路面凍結への対策(スタッドレスタイヤの走破性/凍結防止剤によるスリップ防止の有効性)の有効性などを試した。車両は自動運転バス「NAVYA ARMA」を使用、バスは自動運転車両運行管理プラットフォーム「Dispather」を使い、遠隔監視者がリアルタイムに運行状況を把握、運休や再開についての運行情報を利用者に知らせるところまでを想定していた。実験では、先行する除雪車に路肩の白線までの範囲を除雪してもらい、スタッドレスタイヤを装着したり、凍結防止剤を散布するなどしている。国交省の北陸地方整備局(新潟市)では、今冬除雪作業を自動化した除雪トラックを試行的に導入している。冬季や豪雪地帯で実用的に利用できる自動運転技術の発展にも注目していきたい。

ドラレコ、つながる車の「目」 デンソーテンが事故共有 他

1月12日 川西機械製作所(現:デンソーテン)はかつて繊維機械や航空機事業を柱とし、その後神戸工業時代に真空管・半導体などの開発を行う。その後は自動車の排ガス制御システム等を経て、カーエレクトロニクスメーカーへ。その中でカーナビやドライブレコーダー、ハイブリッドシステムの電子制御装置など、時代の先端技術を製品化し社会課題の解決に取り組んできた。社名のテンは最高・至上の「天」を意味する。神戸工業時代の1957年(昭和32年)には南極観測船「宗谷」に搭載されるレーダーも製作している。車載レーダーの道はこの時に開いた。一社)ドライブレコーダー協議会のドライブレコーダー国内出荷実績(2021年度)の第二四半期(7-9月)は、業務用が240,487台、コンシューマ用が1,253,499台、合計1,493,986台である。市場では、アイ・オー・データ機器、アルプスアルパイン、JVCケンウッド、デンソー、デンソーテン、パイオニア、パナソニック、三菱電機、矢崎エナジーシステム、ユピテル、TCL、コムテックなどがプレーヤーとなる。国内では約4000万台に設置されている。ドライブレコーダーは、交通事故等の発生状況を記録することを主たる目的として、車両周囲や挙動をカメラや各種センサで記録する車載装置で、業務用のデータは運行管理や安全運転教育(事故予防)にも用いられて来た。デンソーテンの「通信型ドライブレコーダー」は、「運行管理」では運転者の走行データ・映像データなどをサーバに自動送信、記録・分析し、運行後に、安全運転診断や安全運転ランキングや運転履歴などを確認することが出来、ドライバー教育にも活かされている。「事故予防」では運転者ごとの診断結果(車間距離分析、道交法違反分析、バック違反検知など)なども得ることが出来る。同社はドラレコをコネクテッド時代の走行データ収集の核となるデバイスと位置付け、自動運転車両の安全性向上や歩行者や周囲を走行する車両の予測に活用可能として完成車メーカーに働きかけている。また、走路に事故や落下物、渋滞などが発生すればこれらの情報を後続車に共有、移動時間の短縮や渋滞緩和に繋げるとしている。その他のドラレコメーカーにおいても、CO2排出量の予測で脱炭素に寄与する動きや、路面などのインフラの劣化情報の取集などにも活用範囲を広げようと「収集されるデータ活用」についての研究が進む。保険業界でもテレマティクスを活用した保険が盛んに導入されている。弊社の自動車フォレンジックサービス・ドライブレコーダーフォレンジックなども「収集されるデータ活用」の一角に位置する。車載されるセーフティプラッットフォーム内にある走行記録データを解析し、事故の原因調査や分析を行うサービスで、近年、官民の調査機関などの利用は増加傾向にある。